数学III・C 例題マスター
〜 問題で学ぶ・基礎網羅から入試基礎まで 〜
本書の構成と使い方
第1巻「数学I・A」・第2巻「数学II・B」と同じ、問題を解きながら学ぶ例題ベースの参考書の第3巻です。
| 区分 | レベル | 解答の位置 | ねらい |
|---|---|---|---|
| A問題 | 教科書基礎(★) | 問題のすぐ下 | 学習指導要領の基礎範囲を全網羅。各テーマ最低2問 |
| B問題 | 応用・入試基礎(★★〜★★★) | 章末にまとめて | 各テーマ最低3問。つまずきやすい単元は増量 |
| 実戦問題 | 共通テスト形式/入試形式 | 章末にまとめて | 誘導つき問題。「誘導の意図」を読む練習 |
A問題の型:問題 →「解答」→「ポイント」
B問題・実戦の型:「考え方」→「解答」→「ポイント」
使い方
1. 各章冒頭の「公式・要点まとめ」に目を通す
2. A問題を上から順に。解答を隠して自力で→照合→ポイントを音読
3. B問題は考え方を自分で言葉にしてから。詰まったら5分で解説へ→翌日再挑戦
4. 実戦問題は誘導(前の設問)を使う意識で
記号の凡例 ①②③… = 小問の番号 / (i)(ii)(iii) = 解答内の場合分け / [ア][イ] = マーク欄 / (あ)(い)(う)… = 選択肢
ベクトルの表記 本書ではベクトル a を a→、点 A から B へのベクトルを AB→ と書く。大きさは |a→|、内積は a→·b→ と表す。
数学III・Cの範囲について 数学C(ベクトル/複素数平面/平面上の曲線)は共通テスト「数学II・B・C」の選択分野、数学III(極限/微分法/積分法)は主に国公立2次・私大の記述で問われる。本書は数学C(第1〜3章)+数学III(第4〜8章)を扱う。
目次
第1章 ベクトル
図形の問題を「向きと大きさをもつ量」の計算に翻訳する道具。演算規則は普通の文字式とほぼ同じで、新しく登場するのが内積(ベクトルどうしの掛け算)。この章のカギは3つ — ①終点−始点で差を作る ②内積で「垂直・なす角・長さ」を測る ③位置ベクトルで交点・分点を式にする。平面で慣れたら、空間はその自然な拡張(成分が1つ増えるだけ)。
この章の公式・要点まとめ
ベクトルの基本
• 有向線分の「向きと大きさ」だけに着目したものがベクトル。AB→ は点 A から B への移動
• 相等:向きと大きさが同じなら等しい(位置は無関係)
• 零ベクトル 0→(大きさ0)、逆ベクトル −a→、大きさ |a→|
• 単位ベクトル:大きさ1のベクトル。a→ と同じ向きの単位ベクトルは a→/|a→|
演算
• 和:AB→ + BC→ = AC→(つなぐ)/差:OB→ − OA→ = AB→(終点−始点)
• 実数倍:k a→ は a→ に平行で大きさ |k||a→|
• 平行条件:a→ ∥ b→(a→, b→ ≠ 0→)⇔ b→ = k a→ となる実数 k がある
成分表示(平面)
• a→ = (a₁, a₂)、大きさ |a→| = √(a₁²+a₂²)
• 和・差・実数倍は成分ごと:(a₁,a₂)±(b₁,b₂) = (a₁±b₁, a₂±b₂)、k(a₁,a₂) = (ka₁, ka₂)
• AB→ = (Bの座標)−(Aの座標)
• 平行条件(成分):a→ ∥ b→ ⇔ a₁b₂ − a₂b₁ = 0
内積
• 定義:a→·b→ = |a→||b→|cosθ(θ は a→ と b→ のなす角、0°≦θ≦180°)
• 成分:a→·b→ = a₁b₁ + a₂b₂
• なす角:cosθ = (a→·b→)/(|a→||b→|)
• 垂直条件:a→ ⊥ b→ ⇔ a→·b→ = 0(a→, b→ ≠ 0→)
• 大きさとの関係:|a→|² = a→·a→、|a→ ± b→|² = |a→|² ± 2a→·b→ + |b→|²
位置ベクトル(点 A の位置ベクトルを a→ と書く)
• 線分 AB を m:n に内分する点:(n a→ + m b→)/(m+n)、中点:(a→+b→)/2
• 線分 AB を m:n に外分する点:(−n a→ + m b→)/(m−n)(n を −n に)
• △ABC の重心:(a→ + b→ + c→)/3
• 3点 A, B, C が一直線上 ⇔ AC→ = t AB→ となる実数 t がある
ベクトル方程式
• 点 A(a→)を通り d→ に平行な直線:p→ = a→ + t d→(t は媒介変数)
• 2点 A(a→), B(b→)を通る直線:p→ = (1−t)a→ + t b→
• 点 C(c→)中心、半径 r の円:|p→ − c→| = r
空間ベクトル
• 空間座標 (x, y, z)、a→ = (a₁, a₂, a₃)、大きさ |a→| = √(a₁²+a₂²+a₃²)
• 内積 a→·b→ = a₁b₁ + a₂b₂ + a₃b₃(平面と同じ形式)
• なす角・垂直条件・内分・外分・重心・距離の公式は、すべて平面と同じ形(成分が1つ増えるだけ)
• 面積:△ABC の面積 = (1/2)√(|AB→|²|AC→|² − (AB→·AC→)²)(平面・空間共通)
A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下
A1【ベクトルの演算(和・差・実数倍)】★
A1-1
平行四辺形 ABCD において、AB→ = a→、AD→ = b→ とする。次のベクトルを a→、b→ で表せ。
① AC→
② BD→
③ 対角線の交点を M とするとき AM→
A1-1解答を見る解答を隠す
解答
① AC→ = AB→ + BC→ = AB→ + AD→ = a→ + b→(平行四辺形なので BC→ = AD→)
② BD→ = AD→ − AB→ = b→ − a→(終点 D − 始点 B、すなわち AD→ − AB→)
③ M は AC の中点(対角線は互いを二等分)だから AM→ = (1/2)AC→ = (1/2)(a→ + b→)
ポイント つなぐ(和)・終点引く始点(差)が2大操作。平行四辺形では向かい合う辺が同じベクトル(BC→ = AD→、DC→ = AB→)になることを毎回使う。
A1-2(類題)
正六角形 ABCDEF において、中心を O とし、OA→ = a→、OB→ = b→ とする。次のベクトルを a→、b→ で表せ。
① AB→
② BC→
③ AC→
A1-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① AB→ = OB→ − OA→ = b→ − a→
② BC→ は OA→ と大きさが等しく逆向き(正六角形の性質)だから BC→ = −a→
③ AC→ = AB→ + BC→ = (b→ − a→) + (−a→) = b→ − 2a→
ポイント 正六角形は中心から6つの正三角形に分かれ、|OA→| = |OB→| = |辺| が成り立つ。まず「終点−始点」で AB→ を出し、あとは図の対称性で1辺ずつたどる。
A2【成分表示と大きさ】★
A2-1
a→ = (3, −1)、b→ = (1, 2) のとき、次を成分で表し、大きさも求めよ。
① a→ + b→
② 2a→ − 3b→
A2-1解答を見る解答を隠す
解答
① a→ + b→ = (3+1, −1+2) = (4, 1)、大きさ √(4²+1²) = √17
② 2a→ − 3b→ = (6, −2) − (3, 6) = (3, −8)、大きさ √(3²+8²) = √73
ポイント 成分計算は各成分ごとに足し引き・定数倍。大きさは √(x²+y²)(原点からの距離、第2巻第3章と同じ)。
A2-2(類題)
2点 A(1, 3)、B(4, −1) について、AB→ の成分と大きさ |AB→| を求めよ。また、AB→ と同じ向きの単位ベクトルを求めよ。
A2-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
AB→ = (4−1, −1−3) = (3, −4)、|AB→| = √(3²+4²) = 5
同じ向きの単位ベクトルは AB→/|AB→| = (1/5)(3, −4) = (3/5, −4/5)
ポイント AB→ = 終点 B − 始点 A。単位ベクトル(大きさ1)は「もとのベクトル ÷ その大きさ」で作る。
A3【内積(定義・成分)】★★
A3-1
|a→| = 3、|b→| = 2、a→ と b→ のなす角が 60° のとき、a→·b→ を求めよ。また |a→ + b→| を求めよ。
A3-1解答を見る解答を隠す
解答
a→·b→ = |a→||b→|cos60° = 3·2·(1/2) = 3
|a→ + b→|² = |a→|² + 2a→·b→ + |b→|² = 9 + 2·3 + 4 = 19
よって |a→ + b→| = √19
ポイント 内積の定義は |a→||b→|cosθ。大きさの2乗は展開して内積に化ける(|a→+b→|² = |a→|²+2a→·b→+|b→|²)— 第1巻の (a+b)² と同じ形。
A3-2(類題)
a→ = (2, 3)、b→ = (−1, 4) のとき、a→·b→ を成分から求めよ。また |a→ − b→| を求めよ。
A3-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
a→·b→ = 2·(−1) + 3·4 = −2 + 12 = 10
a→ − b→ = (2−(−1), 3−4) = (3, −1)、|a→ − b→| = √(3²+1²) = √10
ポイント 成分での内積は a₁b₁ + a₂b₂(掛けて足す)。大きさを求めるときは先に成分の差を出してから √(x²+y²)。
A4【なす角】★★
A4-1
a→ = (√3, 1)、b→ = (0, 2) のなす角 θ を求めよ。
A4-1解答を見る解答を隠す
解答
a→·b→ = √3·0 + 1·2 = 2
|a→| = √((√3)²+1²) = 2、|b→| = √(0²+2²) = 2
cosθ = (a→·b→)/(|a→||b→|) = 2/(2·2) = 1/2
0°≦θ≦180° より θ = 60°
ポイント cosθ = (a→·b→)/(|a→||b→|)。内積・2つの大きさを出して代入するだけ。0°≦θ≦180° の範囲で角を決める。
A4-2(類題)
a→ = (2, 1)、b→ = (1, 3) のなす角 θ を求めよ。
A4-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
a→·b→ = 2·1 + 1·3 = 5、|a→| = √5、|b→| = √10
cosθ = 5/(√5·√10) = 5/√50 = 5/(5√2) = 1/√2 = √2/2
よって θ = 45°
ポイント 内積の符号がそのまま角の種類を表す:正なら鋭角・0なら直角・負なら鈍角。cos の値を有理化して既知の角に当てはめる。
A5【平行と垂直】★★
A5-1
a→ = (2, −3)、b→ = (x, 6) とする。
① a→ ∥ b→ となる x
② a→ ⊥ b→ となる x
A5-1解答を見る解答を隠す
解答
① 平行条件 a₁b₂ − a₂b₁ = 0 より 2·6 − (−3)·x = 0 → 12 + 3x = 0 → x = −4
② 垂直条件 a→·b→ = 0 より 2·x + (−3)·6 = 0 → 2x − 18 = 0 → x = 9
ポイント 平行は「たすき掛けの差 = 0」(a₁b₂ − a₂b₁ = 0)、垂直は「内積 = 0」。2つの条件をはっきり区別する。
A5-2(類題)
a→ = (1, 2) に垂直な単位ベクトルをすべて求めよ。
A5-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
(1, 2) に垂直なベクトルは (2, −1) と (−2, 1)(内積 1·2 + 2·(−1) = 0)。
大きさは √(2²+1²) = √5 だから、単位ベクトルは
(2/√5, −1/√5) と (−2/√5, 1/√5)(= (2√5/5, −√5/5) と (−2√5/5, √5/5))
ポイント (a, b) に垂直なのは (b, −a) と (−b, a) の2方向。それぞれ大きさで割って単位化 — 符号±の両方が答え。
A6【内分点・外分点・重心の位置ベクトル】★★
A6-1
3点 A(a→)、B(b→)、C(c→) について、次の位置ベクトルを求めよ。
① 線分 AB を 2:1 に内分する点 P
② 線分 AB を 2:1 に外分する点 Q
③ △ABC の重心 G
A6-1解答を見る解答を隠す
解答
① P→ = (1·a→ + 2·b→)/(2+1) = (a→ + 2b→)/3
② Q→ = (−1·a→ + 2·b→)/(2−1) = 2b→ − a→
③ G→ = (a→ + b→ + c→)/3
ポイント 内分(m:n)は (n a→ + m b→)/(m+n)(比の数がたすき掛けで相手にかかる)。外分は n → −n に置き換えるだけ。重心は3頂点の平均。
A6-2(類題)
A(2, 1)、B(−1, 4)、C(5, 3) を頂点とする △ABC について、重心 G の座標と、辺 BC の中点 M の座標を求めよ。
A6-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
G = ((2+(−1)+5)/3, (1+4+3)/3) = (6/3, 8/3) = (2, 8/3)
M = ((−1+5)/2, (4+3)/2) = (2, 7/2)
ポイント 座標の重心は各成分の平均、中点は2点の平均。位置ベクトルの公式を成分ごとに使っているだけ。
A7【一次独立とベクトルの分解】★★
A7-1
a→、b→ は一次独立(平行でない)とする。c→ = 3a→ + 2b→、d→ = a→ − b→ のとき、2c→ − 3d→ を a→、b→ で表せ。
A7-1解答を見る解答を隠す
解答
2c→ − 3d→ = 2(3a→ + 2b→) − 3(a→ − b→) = 6a→ + 4b→ − 3a→ + 3b→ = 3a→ + 7b→
ポイント 一次独立な a→、b→ は文字のように扱って計算してよい(第1巻の文字式と同じ)。「a→ の係数」「b→ の係数」を別々に集める。
A7-2(類題)
平行四辺形 ABCD で、辺 BC の中点を M、辺 CD の中点を N とする。AB→ = a→、AD→ = b→ とするとき、AM→、AN→ を a→、b→ で表せ。
A7-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
AM→ = AB→ + BM→ = AB→ + (1/2)BC→ = a→ + (1/2)AD→ = a→ + (1/2)b→
AN→ = AD→ + DN→ = AD→ + (1/2)DC→ = b→ + (1/2)AB→ = (1/2)a→ + b→
ポイント 基準点 A から「たどって」表すのが定石。平行四辺形の等しい辺(BC→ = AD→ = b→、DC→ = AB→ = a→)を代入する。
A8【ベクトル方程式(直線)】★★
A8-1
点 A(1, 2) を通り、方向ベクトル d→ = (3, 1) に平行な直線について、
① 媒介変数 t を用いた表示
② 媒介変数を消去した x, y の方程式
を求めよ。
A8-1解答を見る解答を隠す
解答
① (x, y) = (1, 2) + t(3, 1)、すなわち x = 1 + 3t、y = 2 + t
② y = 2 + t より t = y − 2。x = 1 + 3(y − 2) = 3y − 5 だから x − 3y + 5 = 0
ポイント 直線は「(通る点) + t(方向ベクトル)」。媒介変数 t を消せば、おなじみの x, y の直線の式に戻る(第2巻第3章とつながる)。
A8-2(類題)
2点 A(1, 0)、B(4, 6) を通る直線を媒介変数 t で表示せよ。
A8-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
p→ = (1−t)·OA→ + t·OB→ = (1−t)(1, 0) + t(4, 6) = (1 + 3t, 6t)
すなわち x = 1 + 3t、y = 6t(t = 0 で A、t = 1 で B を通る)
ポイント 2点を通る直線は p→ = (1−t)a→ + t b→。A → B の向きのベクトル AB→ = (3, 6) を使って p→ = A + t·AB→ と書いても同じ。
A9【空間座標と空間ベクトルの成分】★★
A9-1
空間の2点 A(1, 2, 3)、B(4, 0, −1) について、AB→ の成分と大きさ |AB→| を求めよ。
A9-1解答を見る解答を隠す
解答
AB→ = (4−1, 0−2, −1−3) = (3, −2, −4)
|AB→| = √(3² + (−2)² + (−4)²) = √(9+4+16) = √29
ポイント 空間でも「終点 − 始点」「大きさ = √(x²+y²+z²)」— 成分が1つ増えるだけで、平面の自然な拡張。
A9-2(類題)
空間に A(2, 1, 0)、B(0, 3, 4) がある。線分 AB の中点 M の座標と、原点 O から A までの距離 OA を求めよ。
A9-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
M = ((2+0)/2, (1+3)/2, (0+4)/2) = (1, 2, 2)
OA = √(2² + 1² + 0²) = √5
ポイント 中点は各成分の平均、距離公式も成分が3つになるだけ。平面で覚えた式がそのまま通用する。
A10【空間ベクトルの内積・なす角】★★
A10-1
a→ = (1, 0, 1)、b→ = (0, 1, 1) のとき、a→·b→ と、なす角 θ を求めよ。
A10-1解答を見る解答を隠す
解答
a→·b→ = 1·0 + 0·1 + 1·1 = 1
|a→| = √(1+0+1) = √2、|b→| = √(0+1+1) = √2
cosθ = 1/(√2·√2) = 1/2 より θ = 60°
ポイント 空間の内積も a₁b₁ + a₂b₂ + a₃b₃(掛けて足す、項が3つ)。なす角の求め方は平面とまったく同じ。
A10-2(類題)
a→ = (1, −1, 2)、b→ = (x, 2, 1) が垂直になるような x を求めよ。
A10-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
a→·b→ = 1·x + (−1)·2 + 2·1 = x − 2 + 2 = x
垂直条件 a→·b→ = 0 より x = 0
ポイント 垂直 ⇔ 内積0 は空間でも同じ。成分の内積を x の式で表し、= 0 を解く。
B問題(応用力養成)
※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B1(交点の位置ベクトル)とB4(空間図形)が入試の最頻出。
B1【交点の位置ベクトル・存在範囲】★★★
B1-1 △OAB において、辺 OA を 2:1 に内分する点を M、辺 OB の中点を N とする。線分 AN と線分 BM の交点を P とするとき、OP→ を OA→ = a→、OB→ = b→ で表せ。
B1-2 △OAB において、辺 AB を 1:2 に内分する点を C、辺 OB を 3:1 に内分する点を D とする。直線 OC と直線 AD の交点を P とするとき、OP→ を a→ = OA→、b→ = OB→ で表せ。
B1-3 △OAB において、点 P が OP→ = s a→ + t b→(s、t は実数)で表され、s、t が s + t = 3、s ≧ 0、t ≧ 0 を満たしながら動くとき、点 P の存在範囲を求めよ。
B2【内積と三角形(なす角・面積)】★★★
B2-1
△OAB において、OA→ = a→、OB→ = b→ とし、|a→| = 2、|b→| = 3、a→·b→ = 3 とする。
① cos∠AOB を求めよ。
② △OAB の面積 S を求めよ。
B2-2
|a→| = 3、|b→| = 2、|a→ − b→| = √7 のとき、次を求めよ。
① a→·b→
② a→ と b→ のなす角 θ
③ |a→ + b→|
B2-3 3点 A(1, 1)、B(4, 2)、C(2, 5) を頂点とする △ABC の面積 S を求めよ。
B3【垂線・垂直の応用】★★★
B3-1
△OAB において、OA→ = a→、OB→ = b→、|a→| = 2、|b→| = 3、a→·b→ = 3 とする。点 A から直線 OB に下ろした垂線の足を H とする。
① OH→ を b→ で表せ。
② 線分 AH の長さを求めよ。
B3-2 △ABC において、AB = AC ならば、辺 BC の中点を M とするとき AM ⊥ BC であることを、ベクトルを用いて証明せよ。
B3-3 点 A(2, 1) を通り、n→ = (3, 4) に垂直な直線 ℓ の方程式を求めよ。また、原点 O と直線 ℓ の距離を求めよ。
B4【空間図形への応用】★★★
B4-1 四面体 OABC において、OA→ = a→、OB→ = b→、OC→ = c→ とする。辺 AB の中点を M、線分 CM を 2:1 に内分する点を G とするとき、OG→ を a→、b→、c→ で表せ。また、G はどのような点か。
B4-2 4点 A(1, 0, 0)、B(0, 1, 0)、C(0, 0, 1)、P(2, y, −1) が同一平面上にあるとき、y の値を求めよ。
B4-3
1辺の長さが 1 の正四面体 OABC において、OA→ = a→、OB→ = b→、OC→ = c→ とする。辺 OA の中点を M、辺 BC の中点を N とする。
① MN→ を a→、b→、c→ で表せ。
② MN ⊥ OA および MN ⊥ BC を示せ。
③ 線分 MN の長さを求めよ。
B5【ベクトル方程式(円・球面)】★★★
B5-1 2点 A(1, 2)、B(5, 4) に対し、AP→·BP→ = 0 を満たす点 P(x, y) の軌跡の方程式を求め、どのような図形か答えよ。
B5-2 中心が (1, −2, 3)、半径が 4 の球面の方程式を求めよ。また、この球面と xy 平面(z = 0)が交わってできる円の中心と半径を求めよ。
B5-3 定点 A(a→) と動点 P(p→) について、|3p→ − a→| = 6 を満たす点 P は、どのような図形をえがくか。
B問題 解答・解説
B1【交点の位置ベクトル・存在範囲】
考え方 2直線の交点は「P を2通りに表して、一次独立による係数比較」が唯一にして万能の型:P が直線 AN 上 → 実数 s で表す/P が直線 BM 上 → 実数 t で表す/a→、b→ は一次独立だから係数がそれぞれ一致。
B1-1解答を見る解答を隠す
解答
OM→ = (2/3)a→、ON→ = (1/2)b→
P は線分 AN 上にあるから、実数 s を用いて
OP→ = (1−s)OA→ + s ON→ = (1−s)a→ + (s/2)b→ …(1)
P は線分 BM 上にあるから、実数 t を用いて
OP→ = (1−t)OB→ + t OM→ = (2t/3)a→ + (1−t)b→ …(2)
a→、b→ は一次独立だから、(1)(2)の係数を比較して
1−s = 2t/3、s/2 = 1−t
これを解いて s = 1/2、t = 3/4
よって OP→ = (1/2)a→ + (1/4)b→
ポイント 「線分 AN 上」は (1−s)×(端) + s×(端) の形(係数の和が1)で書くと機械的。係数比較の根拠「a→、b→ は一次独立(平行でなく 0→ でもない)だから」の一言は記述の必須アイテム。検算:s = 1/2 を(1)に、t = 3/4 を(2)に入れて同じ式になるか。
B1-2解答を見る解答を隠す
解答
OC→ = (2a→ + b→)/3(AB を 1:2 に内分)、OD→ = (3/4)b→
P は直線 OC 上:OP→ = k OC→ = (2k/3)a→ + (k/3)b→
P は直線 AD 上:OP→ = (1−u)a→ + (3u/4)b→
係数比較して 2k/3 = 1−u、k/3 = 3u/4
これを解いて u = 2/5、k = 9/10
よって OP→ = (3/5)a→ + (3/10)b→
ポイント 「直線 OC 上」は原点を通るので OP→ = k OC→ と1文字でおける(こちらは係数の和1の形は不要)。k = 9/10 から OP:PC = 9:1 という比の情報まで読み取れる — 位置ベクトルは「どこで交わるか」を数で答えてくれる。
B1-3解答を見る解答を隠す
解答
s + t = 3 の両辺を 3 で割ると (s/3) + (t/3) = 1
そこで s' = s/3、t' = t/3 とおくと、s' + t' = 1、s' ≧ 0、t' ≧ 0 で
OP→ = s a→ + t b→ = s'(3a→) + t'(3b→)
OA'→ = 3a→、OB'→ = 3b→ となる点 A'、B' をとれば、P は
OP→ = s' OA'→ + t' OB'→(s'+t' = 1、s'、t' ≧ 0)
すなわち 点 P は、OA を 3 倍に延ばした点 A' と OB を 3 倍に延ばした点 B' を結ぶ線分 A'B' 上を動く
ポイント 存在範囲の合言葉は「係数の和 = 1 の形を作る」— 和が 1 なら直線(0 以上の条件つきで線分)。和が 3 なら「3 で割って新しい基準のベクトル 3a→、3b→ に読み替える」。s+t ≦ 1、s、t ≧ 0 なら △OAB の周と内部(発展)— 係数の条件が図形の形を決める。
B2【内積と三角形】
B2-1解答を見る解答を隠す
解答
① cos∠AOB = (a→·b→)/(|a→||b→|) = 3/(2×3) = 1/2(∠AOB = 60°)
② sin∠AOB = √3/2 だから
S = (1/2)|a→||b→|sin∠AOB = (1/2)×2×3×(√3/2) = (3√3)/2
《別解》面積公式 S = (1/2)√(|a→|²|b→|²−(a→·b→)²) = (1/2)√(4×9−9) = (1/2)√27 = (3√3)/2
ポイント 面積公式 S = (1/2)√(|a→|²|b→|²−(a→·b→)²) は「(1/2)ab sinθ」を内積だけで書き直したもの — cosθ を経由せず一気に面積が出るので、成分・内積が与えられた問題ではこちらが速い。2通りの一致が検算になる。
B2-2解答を見る解答を隠す
解答
① |a→−b→|² = |a→|²−2a→·b→+|b→|² より
7 = 9−2a→·b→+4 → a→·b→ = 3
② cosθ = 3/(3×2) = 1/2 より θ = 60°
③ |a→+b→|² = 9+2×3+4 = 19 → |a→+b→| = √19
ポイント 「大きさの2乗 → 展開して内積を取り出す」— |a→±b→|² は (a±b)² と同じ展開公式で、符号だけが逆の兄弟。①と③で ∓2a→·b→ の符号が入れ替わることを体で覚える。
B2-3解答を見る解答を隠す
解答
AB→ = (3, 1)、AC→ = (1, 4)
S = (1/2)|3×4−1×1| = (1/2)×11 = 11/2
ポイント 成分版の面積公式 S = (1/2)|x₁y₂−x₂y₁|(AB→ = (x₁, y₁)、AC→ = (x₂, y₂))は、B2-1 の√公式に成分を代入して整理した形 — 「たすき掛けの差の絶対値の半分」。1つの頂点を始点にした2辺のベクトルを作るのが第一手。
B3【垂線・垂直の応用】
B3-1解答を見る解答を隠す
解答
① H は直線 OB 上にあるから OH→ = t b→(t は実数)とおける。
AH→ = OH→−OA→ = t b→−a→
AH ⊥ OB より AH→·b→ = 0:
(t b→−a→)·b→ = t|b→|²−a→·b→ = 9t−3 = 0 → t = 1/3
よって OH→ = (1/3)b→
② |AH→|² = |(1/3)b→−a→|² = (1/9)×9−2×(1/3)×3+4 = 1−2+4 = 3
よって AH = √3
ポイント 垂線の足は「直線上の点を t でおく → 垂直条件(内積0)で t を決める」の2手 — 図形の垂線が1次方程式に化ける、ベクトルの威力の代表例。t = (a→·b→)/|b→|²(正射影の係数)という一般形も見えると強い。
B3-2解答を見る解答を隠す
解答
《証明》AB→ = b→、AC→ = c→ とおくと、仮定より |b→| = |c→|。
AM→ = (b→+c→)/2、BC→ = c→−b→ だから
AM→·BC→ = (1/2)(b→+c→)·(c→−b→) = (1/2)(|c→|²−|b→|²) = 0
AM→ ≠ 0→、BC→ ≠ 0→ なので AM ⊥ BC ∎
ポイント (b→+c→)·(c→−b→) = |c→|²−|b→|² は「和と差の積 = 2乗の差」— 文字式の展開公式がそのまま内積で成立する。図形の性質(二等辺三角形の対称性)が、計算1行の恒等式に翻訳される美しさを味わう問題。
B3-3解答を見る解答を隠す
解答
ℓ 上の点 P(x, y) について AP→ = (x−2, y−1) が n→ に垂直だから
n→·AP→ = 3(x−2)+4(y−1) = 0
よって 3x+4y−10 = 0
原点との距離は |3×0+4×0−10|/√(3²+4²) = 10/5 = 2
ポイント 直線 ax+by+c = 0 の係数 (a, b) は法線ベクトルそのもの — 第2巻第3章の「点と直線の距離」の公式の分母 √(a²+b²) は |n→| だった、という種明かし。法線でおくと「通る点+垂直」の情報が1行で式になる。
B4【空間図形への応用】
B4-1解答を見る解答を隠す
解答
OM→ = (a→+b→)/2
G は線分 CM を 2:1 に内分する(CG:GM = 2:1)から
OG→ = (1×OC→+2×OM→)/(2+1) = {c→+2×(a→+b→)/2}/3
= (a→+b→+c→)/3
これは △ABC の重心 の位置ベクトルである。
ポイント 空間でも内分の公式は平面と同一。中線 CM を頂点 C から 2:1 に分ける点が重心 — 「重心 = 3頂点の平均」が、中線の分点として導かれる構造ごと理解する。四面体 OABC の重心 (a→+b→+c→+0→)/4 への拡張も同じ発想。
B4-2解答を見る解答を隠す
解答
P が平面 ABC 上にある ⇔ AP→ = s AB→+t AC→ となる実数 s、t が存在する。
AB→ = (−1, 1, 0)、AC→ = (−1, 0, 1)、AP→ = (1, y, −1)
成分を比較して
−s−t = 1、s = y、t = −1
t = −1 を第1式に代入して −s+1 = 1 → s = 0
よって y = 0
《別解》OP→ = αOA→+βOB→+γOC→ かつ α+β+γ = 1 で表せることが同一平面上の条件。P(2, y, −1) = 2A+yB+(−1)C と読めるので α+β+γ = 2+y−1 = 1 → y = 0(同じ)
ポイント 平面 ABC 上の条件は2つの言い方:「AP→ が AB→、AC→ で張れる」/「係数の和が1(α+β+γ = 1)」。後者は B1-3(直線:和が1)の平面版 — 次元が上がっても「和 = 1」の思想は不変。
B4-3解答を見る解答を隠す
解答
1辺 1 の正四面体なので |a→| = |b→| = |c→| = 1、なす角はすべて 60° だから
a→·b→ = b→·c→ = c→·a→ = 1×1×cos60° = 1/2
① MN→ = ON→−OM→ = (b→+c→)/2−(1/2)a→ = (b→+c→−a→)/2
② MN→·a→ = (1/2)(a→·b→+a→·c→−|a→|²) = (1/2)(1/2+1/2−1) = 0 → MN ⊥ OA
MN→·BC→ = (1/2)(b→+c→−a→)·(c→−b→)
= (1/2)(|c→|²−|b→|²+a→·b→−a→·c→) = (1/2)(0+0) = 0 → MN ⊥ BC ∎
③ |MN→|² = (1/4)|b→+c→−a→|²
= (1/4)(|b→|²+|c→|²+|a→|²+2b→·c→−2a→·b→−2a→·c→)
= (1/4)(1+1+1+1−1−1) = 1/2
よって MN = √2/2
ポイント 正四面体の内積セット「|各ベクトル| = 1、どの内積も 1/2」を最初に書き出すのが作法 — 以後は代入だけの作業になる。「向かい合う辺の中点を結ぶ線分は両方の辺に垂直」は正四面体の有名性質:③の 3項の2乗展開(2乗3つ+内積3つ)は空間ベクトル計算の基本動作。
B5【ベクトル方程式(円・球面)】
B5-1解答を見る解答を隠す
解答
AP→ = (x−1, y−2)、BP→ = (x−5, y−4)
AP→·BP→ = (x−1)(x−5)+(y−2)(y−4) = 0
x²−6x+5+y²−6y+8 = 0
(x−3)²+(y−3)² = 5
これは 中心 (3, 3)(線分 AB の中点)、半径 √5 の円 — すなわち線分 AB を直径とする円である。
ポイント AP→·BP→ = 0 ⇔ ∠APB = 90° ⇔ P は AB を直径とする円周上(直径に対する円周角)。中心が中点 (3, 3)、半径² = (AB/2)² = 20/4 = 5 と、図形的にも式が検算できる。「内積 0 の軌跡 = 円」は頻出の翻訳。
B5-2解答を見る解答を隠す
解答
球面:(x−1)²+(y+2)²+(z−3)² = 16
z = 0 を代入して (x−1)²+(y+2)²+9 = 16、すなわち (x−1)²+(y+2)² = 7
よって交わりの円は 中心 (1, −2, 0)、半径 √7
ポイント 球面は円の式の z 版(中心と半径で決まる)。平面で切った円の半径は √(r²−d²)(d = 中心と平面の距離 = |3|)— 第2巻第3章の「弦の長さ」と同じ三平方の構造が、1次元上がって「球と平面」に再登場する。
B5-3解答を見る解答を隠す
解答
|3p→−a→| = 6 の左辺を変形:
|3p→−a→| = 3|p→−(1/3)a→| = 6 → |p→−(1/3)a→| = 2
よって P は、位置ベクトル (1/3)a→ の点(線分 OA を 1:2 に内分する点)を中心とする半径 2 の円をえがく。
ポイント 円のベクトル方程式の標準形は |p→−(中心)| = 半径。係数がじゃまなときは「くくり出して標準形に直す」— |3p→−a→| をそのまま眺めず、3 で割って中心を読む。方程式の"顔"を標準形に整える発想は、第2巻の平方完成と同じ。
実戦問題(共通テスト形式)
実戦1-1【平面ベクトルの総合(内分・内積・垂線)】★★★
△OAB において、OA = 3、OB = 2、∠AOB = 60° とし、OA→ = a→、OB→ = b→ とおく。
① a→·b→ = [ア] である。
② 辺 AB を 2:1 に内分する点を C とすると、OC→ = (a→+[イ]b→)/[ウ] である。
③ |OC→|² = [エオ]/[カ] であり、OC = √[エオ]/[キ] である。
④ 点 B から直線 OA に下ろした垂線の足を H とすると、OH→ = (1/[ク])a→ であり、BH = √[ケ] である。
実戦1-2【空間ベクトル(正四面体)】★★★
四面体 OABC において、OA→ = a→、OB→ = b→、OC→ = c→ とし、
|a→| = |b→| = |c→| = 2、a→·b→ = b→·c→ = c→·a→ = 2
であるとする。
① |AB→|² = [ア] であり、この四面体は1辺の長さ [イ] の正四面体である。
② △ABC の重心を G とすると、OG→ = (a→+b→+c→)/[ウ] である。
③ |OG→|² = [エ]/[オ] であり、OG = ([カ]√[キ])/[ク] である。
④ OG→·AB→ = [ケ] であり、OG は平面 ABC に垂直である。
⑤ この四面体の体積は ([コ]√[サ])/[シ] である。
実戦問題 解答・解説
実戦1-1
考え方 「内積の定義 → 内分点 → 大きさは2乗して展開 → 垂線の足(t でおいて内積0)」— A問題と B3-1 の部品を1つの三角形で通す構成。③④はどちらも「2乗の展開」が計算の心臓部。
実戦1-1解答を見る解答を隠す
解答
① a→·b→ = |a→||b→|cos60° = 3×2×(1/2) = 3(ア = 3)
② AB を 2:1 に内分するから OC→ = (1×a→+2×b→)/(2+1) = (a→+2b→)/3(イ = 2、ウ = 3)
③ |OC→|² = (1/9)|a→+2b→|² = (1/9)(|a→|²+4a→·b→+4|b→|²)
= (1/9)(9+12+16) = 37/9
よって OC = √37/3(エオ = 37、カ = 9、キ = 3)
④ OH→ = t a→ とおくと、BH→ = t a→−b→ で、BH ⊥ OA より
(t a→−b→)·a→ = 9t−3 = 0 → t = 1/3 → OH→ = (1/3)a→(ク = 3)
|BH→|² = |(1/3)a→−b→|² = (1/9)×9−(2/3)×3+4 = 1−2+4 = 3
よって BH = √3(ケ = 3)
ポイント
• ③のような |○a→+△b→|² は「2乗+2倍の内積+2乗」の3点セットで機械的に展開 — 係数(1 と 2)の2乗・積を丁寧に。
• ④は B3-1 と同じ「t でおく → 内積0」。BH の長さは、直角三角形 OBH で |b→|²−|OH→|² = 4−1 = 3 と三平方でも検算できる。
実戦1-2
考え方 「内積のデータ → 辺の長さ → 重心 → OG が底面に垂直 → 体積」と、1つの四面体を丸ごと解剖するフルコース。④の垂直が⑤の「OG = 高さ」の根拠になる — 設問のつながりを読むのが共通テスト流。
実戦1-2解答を見る解答を隠す
解答
① |AB→|² = |b→−a→|² = 4−2×2+4 = 4 → AB = 2
同様にすべての辺の長さが 2 なので、1辺 2 の正四面体(ア = 4、イ = 2)
② 重心の公式より OG→ = (a→+b→+c→)/3(ウ = 3)
③ |a→+b→+c→|² = |a→|²+|b→|²+|c→|²+2(a→·b→+b→·c→+c→·a→)
= 12+12 = 24
|OG→|² = 24/9 = 8/3、OG = √(8/3) = (2√6)/3(エ = 8、オ = 3、カ = 2、キ = 6、ク = 3)
④ OG→·AB→ = (1/3)(a→+b→+c→)·(b→−a→)
= (1/3)(a→·b→−|a→|²+|b→|²−a→·b→+b→·c→−c→·a→)
= (1/3)(−4+4+2−2) = 0(ケ = 0)
同様に OG→·AC→ = 0 なので、OG は平面 ABC に垂直。
⑤ △ABC は1辺 2 の正三角形なので、面積 = (√3/4)×2² = √3
④より OG が高さだから
体積 = (1/3)×√3×(2√6)/3 = (2√18)/9 = (2×3√2)/9 = (2√2)/3(コ = 2、サ = 2、シ = 3)
ポイント
• ③の |a→+b→+c→|² は「2乗3つ+内積3種×2」— 空間の対称的な設定では、この6項展開が何度も主役になる。
• ⑤の検算:1辺 x の正四面体の体積は x³/(6√2)。x = 2 なら 8/(6√2) = (2√2)/3 ○ — 公式との一致で締める。「垂直の証明(④)が高さの資格を与える」という論理の順序も、記述式でそのまま使える型。
第2章 複素数平面
複素数(第2巻第2章)が「平面上の点」として目に見えるようになる章。足し算は平行移動、掛け算は回転と拡大 — この読み替えがすべての中心。道具は3つ:①絶対値と共役(|z|² = z z̄)②極形式とド・モアブルの定理 ③(γ−α)/(β−α) による角の測定。図形問題が計算で解ける快感を味わってほしい。 ※偏角 θ は特に断らない限り 0 ≦ θ < 2π の範囲で答える。z の共役複素数を z̄ と書く。
この章の公式・要点まとめ
複素数平面の基本
• 複素数 z = a+bi ↔ 点 (a, b)。横軸が実軸、縦軸が虚軸
• 共役 z̄ = a−bi:点 z を実軸に関して折り返した点
• 絶対値 |z| = √(a²+b²):原点からの距離。|z|² = z z̄(最重要の関係式)
• 2点 α、β 間の距離:|α−β|
• z+z̄ = 2×(実部)、z−z̄ = 2i×(虚部)
• z が実数 ⇔ z̄ = z/z が純虚数 ⇔ z̄ = −z(z ≠ 0)
極形式
• z = r(cosθ + i sinθ)(r = |z|:絶対値、θ = arg z:偏角)
• 積:絶対値は掛け、偏角は足す — |zw| = |z||w|、arg(zw) = arg z + arg w
• 商:絶対値は割り、偏角は引く
• 図形的意味:「w を掛ける」=「原点を中心に arg w だけ回転し、|w| 倍に拡大」
• 特に i を掛ける = 90°(π/2)回転
ド・モアブルの定理
• (cosθ + i sinθ)ⁿ = cos nθ + i sin nθ(n は整数)
• zⁿ の計算は「極形式に直す → 絶対値は n 乗、偏角は n 倍」
• 1 の n 乗根:zⁿ = 1 の解は cos(2kπ/n) + i sin(2kπ/n)(k = 0, 1, …, n−1)— 単位円に内接する正 n 角形の頂点
複素数と図形
• 内分・外分・重心:位置ベクトルと同じ公式(線分 αβ を m:n に内分 → (nα+mβ)/(m+n))
• |z−α| = r:中心 α、半径 r の円
• |z−α| = |z−β|:線分 αβ の垂直二等分線
• 回転:点 β を、点 α を中心に θ 回転した点 γ は γ = α + (β−α)(cosθ + i sinθ)
• 角の測定:∠βαγ = arg{(γ−α)/(β−α)}
• (γ−α)/(β−α) が実数 ⇔ 3点 α、β、γ が一直線上/純虚数 ⇔ 直線 αβ ⊥ 直線 αγ
A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下
A1【複素数平面・共役・絶対値】★
A1-1
z = 3+2i について、次に答えよ。
① 点 z と点 z̄ の位置関係を述べよ。
② |z| を求めよ。
③ z z̄ を計算し、|z|² と等しいことを確かめよ。
A1-1解答を見る解答を隠す
解答
① z̄ = 3−2i で、点 z と点 z̄ は実軸に関して対称
② |z| = √(3²+2²) = √13
③ z z̄ = (3+2i)(3−2i) = 9+4 = 13 = (√13)² = |z|² ○
ポイント |z|² = z z̄ はこの章で最も働く等式(絶対値の2乗を「共役との積」に置き換えて計算する)。共役 = 実軸対称、絶対値 = 原点からの距離、という図形の言葉も常にセットで。
A1-2(類題)
α = 2+i、β = −1+3i について、次を求めよ。
① |α|
② 2点 α、β 間の距離
A1-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① |α| = √(4+1) = √5
② α−β = 3−2i より、距離 = |α−β| = √(9+4) = √13
ポイント 距離は「差をとって絶対値」— 座標の距離公式 √{(x₁−x₂)²+(y₁−y₂)²} と同じものを、複素数では |α−β| の3文字で書ける。
A2【極形式】★
A2-1
次の複素数を極形式で表せ(0 ≦ θ < 2π)。
① z = 1+i
② z = −√3+i
A2-1解答を見る解答を隠す
解答
① r = √2、cosθ = 1/√2、sinθ = 1/√2 → θ = π/4
z = √2(cos(π/4) + i sin(π/4))
② r = √(3+1) = 2、cosθ = −√3/2、sinθ = 1/2 → θ = 5π/6
z = 2(cos(5π/6) + i sin(5π/6))
ポイント 手順:「①絶対値 r = √(a²+b²) ②cosθ = a/r、sinθ = b/r から両方の符号で象限を確定して θ を決める」。点 (a, b) を図示して角を目で確認するのが最強の検算。
A2-2(類題)
次の複素数を極形式で表せ(0 ≦ θ < 2π)。
① z = −2i
② z = −3
A2-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① r = 2、点は虚軸の負の側 → θ = 3π/2
z = 2(cos(3π/2) + i sin(3π/2))
② r = 3、点は実軸の負の側 → θ = π
z = 3(cos π + i sin π)
ポイント 軸上の点(実数・純虚数)は図から即断:正の実軸 θ = 0、虚軸上 θ = π/2 か 3π/2、負の実軸 θ = π。「−3 の偏角は π」— 負の数も立派な複素数として偏角をもつ。
A3【積・商と回転・拡大】★★
A3-1
z₁ = 2(cos(π/3) + i sin(π/3))、z₂ = 3(cos(π/6) + i sin(π/6)) のとき、次を極形式で表し、a+bi の形にも直せ。
① z₁ z₂
② z₁/z₂
A3-1解答を見る解答を隠す
解答
① 絶対値は 2×3 = 6、偏角は π/3+π/6 = π/2
z₁z₂ = 6(cos(π/2) + i sin(π/2)) = 6i
② 絶対値は 2/3、偏角は π/3−π/6 = π/6
z₁/z₂ = (2/3)(cos(π/6) + i sin(π/6)) = (2/3)(√3/2 + (1/2)i) = √3/3 + (1/3)i
ポイント 「積は"絶対値は掛け・偏角は足す"、商は"割り・引く"」— 掛け算が回転と拡大に化ける、この章の心臓部。成分のまま掛けるより圧倒的に速い場面が多い。
A3-2(類題)
① 点 2+i を、原点を中心に π/2 だけ回転した点を表す複素数を求めよ。
② 点 2 を、原点を中心に π/3 だけ回転した点を表す複素数を求めよ。
A3-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① π/2 回転は i を掛けること:i(2+i) = −1+2i → −1+2i
② cos(π/3)+i sin(π/3) = 1/2+(√3/2)i を掛けて
2×(1/2+(√3/2)i) = 1+√3 i
ポイント 「原点中心の θ 回転 = cosθ+i sinθ を掛ける」。特に ×i = 90°回転 は反射で使えるように((2, 1) → (−1, 2):座標の回転公式と一致)。
A4【ド・モアブルの定理】★★
A4-1
(1+i)⁸ の値を求めよ。
A4-1解答を見る解答を隠す
解答
1+i = √2(cos(π/4) + i sin(π/4)) だから、ド・モアブルの定理より
(1+i)⁸ = (√2)⁸ {cos(8×π/4) + i sin(8×π/4)} = 16(cos 2π + i sin 2π) = 16
ポイント 高い累乗は「極形式 → 絶対値は n 乗・偏角は n 倍」の2手で終わる — 二項定理で展開するのとは比較にならない速さ。(√2)⁸ = 2⁴ = 16 の処理も落ち着いて。
A4-2(類題)
(1−√3 i)⁶ の値を求めよ。
A4-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
1−√3 i の絶対値は 2、偏角は −π/3(第4象限)だから
(1−√3 i)⁶ = 2⁶ {cos(−2π) + i sin(−2π)} = 64×1 = 64
ポイント 偏角は計算の便宜上負の角のまま使ってよい(n 倍して最後に 2π の整数倍を除けば同じ)。答えが実数になった = 偏角が π の整数倍まで回った、という図形的な意味も確認。
A5【zⁿ = α(n乗根)】★★
A5-1
方程式 z³ = 1 を複素数平面を利用して解け。
A5-1解答を見る解答を隠す
解答
z = r(cosθ + i sinθ) とおくと z³ = r³(cos 3θ + i sin 3θ) = 1(cos 0 + i sin 0)
絶対値:r³ = 1 → r = 1
偏角:3θ = 0+2kπ → θ = 2kπ/3(k = 0, 1, 2)
よって z = 1、cos(2π/3)+i sin(2π/3) = −1/2+(√3/2)i、cos(4π/3)+i sin(4π/3) = −1/2−(√3/2)i
ポイント 3つの解は単位円に内接する正三角形の頂点。虚数解2つは第2巻第2章の ω と ω² そのもの — 「ω³ = 1、ω²+ω+1 = 0」の正体が、円周の3等分点だったという種明かし。
A5-2(類題)
方程式 z² = i を解け。
A5-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
i = cos(π/2) + i sin(π/2)。z = r(cosθ+i sinθ) とおくと
r² = 1 → r = 1、2θ = π/2+2kπ → θ = π/4、5π/4
よって z = cos(π/4)+i sin(π/4)、cos(5π/4)+i sin(5π/4)
すなわち z = ±(√2/2)(1+i)
ポイント 偏角の方程式は「+2kπ を忘れずに書いてから k を動かす」— これを落とすと解が1つしか出ない。答えの2解は原点対称(正2角形 = 直径の両端)。検算:{(√2/2)(1+i)}² = (1/2)(1+2i−1) = i ○。
A6【方程式の表す図形】★★
A6-1
次の方程式を満たす点 z の全体は、どのような図形をえがくか。
① |z−(1+2i)| = 3
② |z−2| = |z+2i|
A6-1解答を見る解答を隠す
解答
① 点 1+2i からの距離が 3 → 中心 1+2i、半径 3 の円
② 点 2 と点 −2i から等距離 → 2点 2、−2i を結ぶ線分の垂直二等分線(直線 y = −x)
ポイント 「|z−α| は α からの距離」と音読できれば、①円 ②垂直二等分線は定義そのもの。②を成分で確かめると (x−2)²+y² = x²+(y+2)² → y = −x — 第2巻第3章の軌跡と同じ計算になる。
A6-2(類題)
次の方程式を満たす点 z の全体は、どのような図形をえがくか。
① |z+1−i| = 2
② |z−3| = |z+1|
A6-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① |z−(−1+i)| = 2 と読み替えて、中心 −1+i、半径 2 の円
② 2点 3、−1 から等距離 → 垂直二等分線。中点は 1 で、2点は実軸上にあるから、点 1 を通り実軸に垂直な直線(実部が 1 の直線)
ポイント ①のように z+● の形は z−(−●) に読み替える(中心の符号ミスが最多の事故)。②は「実軸上の2点の垂直二等分線 = 縦の直線」と図で即断できる。
A7【内分点・重心】★
A7-1
2点 α = −1+4i、β = 5+i について、次の点を表す複素数を求めよ。
① 線分 αβ を 1:2 に内分する点
② 線分 αβ の中点
A7-1解答を見る解答を隠す
解答
① (2α+1×β)/(1+2) = {2(−1+4i)+(5+i)}/3 = (3+9i)/3 = 1+3i
② (α+β)/2 = (4+5i)/2 = 2+(5/2)i
ポイント 内分・外分・重心の公式は位置ベクトルと完全に同一(第1章 A6)— 複素数は「1つの文字で書ける2次元ベクトル」だと実感できる場面。
A7-2(類題)
3点 2+i、−1+2i、5−3i を頂点とする三角形の重心を表す複素数を求めよ。
A7-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
{(2+i)+(−1+2i)+(5−3i)}/3 = (6+0i)/3 = 2
ポイント 重心 = 3点の平均。虚部が打ち消し合って実数(実軸上の点)になった — 答えが実数や純虚数になるのは異常ではなく、図形の配置の反映。
A8【なす角・一直線上・垂直】★★
A8-1
3点 A(1+i)、B(3+2i)、C(2+4i) について、(γ−α)/(β−α) を計算し、∠BAC の大きさを求めよ(α = 1+i、β = 3+2i、γ = 2+4i)。
A8-1解答を見る解答を隠す
解答
β−α = 2+i、γ−α = 1+3i
(γ−α)/(β−α) = (1+3i)/(2+i) = (1+3i)(2−i)/5 = (5+5i)/5 = 1+i
1+i の偏角は π/4 だから ∠BAC = π/4
(また |1+i| = √2 より AC = √2 AB という長さの比も同時に分かる)
ポイント (γ−α)/(β−α) は「A を原点に平行移動して、AB→ を基準に AC→ を測った複素数」 — 偏角がなす角、絶対値が長さの比。1つの割り算に角と比の2情報が詰まっている。
A8-2(類題)
3点 A(1)、B(2+i)、C(4+ki) について、次の条件を満たす実数 k を求めよ。
① 3点 A、B、C が一直線上にある
② 直線 AB と直線 AC が垂直である
A8-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
(γ−α)/(β−α) = (3+ki)/(1+i) = (3+ki)(1−i)/2 = {(3+k)+(k−3)i}/2
① 一直線上 ⇔ この値が実数 ⇔ k−3 = 0 → k = 3
② 垂直 ⇔ この値が純虚数 ⇔ 3+k = 0(かつ虚部 ≠ 0)→ k = −3
ポイント 「実数なら一直線、純虚数なら垂直」— 割り算1回で共線・垂直の両方が判定できる万能テスト。分母の実数化(共役を掛ける)は第2巻第2章 A1 の技術。
B問題(応用力養成)
※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B1(ド・モアブル)とB2(方程式の表す図形)が入試の最頻出、B3(回転)は共通テストの定番。
B1【極形式・ド・モアブルの応用】★★★
B1-1 z = (1+i)/(√3+i) とする。z を極形式で表せ。また、zⁿ が実数となる最小の自然数 n と、そのときの zⁿ の値を求めよ。
B1-2 方程式 z⁴ = −8+8√3 i を解け。
B1-3
ド・モアブルの定理と二項定理を用いて、3倍角の公式
cos 3θ = 4cos³θ−3cosθ、sin 3θ = 3sinθ−4sin³θ
を導け。
B2【方程式の表す図形(応用)】★★★
B2-1 方程式 |z−4| = 2|z−1| を満たす点 z の全体は、どのような図形をえがくか。
B2-2 点 z が |z| = 1 を満たしながら動く(ただし z ≠ 1)。このとき w = (z+1)/(z−1) で表される点 w は、どのような図形をえがくか。
B2-3 点 z が |z| = 1 を満たしながら動くとき、|z−3−4i| の最大値と最小値を求めよ。
B3【回転と三角形】★★★
B3-1 点 β = 3+2i を、点 α = 1+i を中心として π/2 だけ回転した点 γ を表す複素数を求めよ。
B3-2 複素数平面上の3点 0、2、γ が正三角形の3頂点となるような γ をすべて求めよ。
B3-3 異なる3点 A(α)、B(β)、C(γ) が (γ−α)/(β−α) = 1+i を満たすとき、△ABC はどのような三角形か。
B4【共役の利用】★★★
B4-1 0 でない複素数 z について、z+1/z が実数となるための必要十分条件は「z が実数、または |z| = 1」であることを示せ。
B4-2
任意の複素数 α、β について、等式
|α+β|²+|α−β|² = 2(|α|²+|β|²)
が成り立つことを示せ。
B4-3 w = z/(z−2) が純虚数となるような点 z の全体は、どのような図形をえがくか。
B問題 解答・解説
B1【極形式・ド・モアブルの応用】
考え方 累乗・n 乗根は極形式が主戦場:「絶対値は絶対値どうし、偏角は偏角どうし」で別々に処理する。「実数になる」「±が付く」などの条件は偏角の条件に翻訳するのがカギ。
B1-1解答を見る解答を隠す
解答
1+i = √2(cos(π/4)+i sin(π/4))、√3+i = 2(cos(π/6)+i sin(π/6)) だから
z = (√2/2){cos(π/4−π/6)+i sin(π/4−π/6)}
z = (√2/2)(cos(π/12)+i sin(π/12))
zⁿ = (√2/2)ⁿ{cos(nπ/12)+i sin(nπ/12)} が実数 ⇔ sin(nπ/12) = 0 ⇔ nπ/12 が π の整数倍 ⇔ n が 12 の倍数
よって最小の自然数は n = 12
このとき z¹² = (√2/2)¹²(cos π+i sin π) = (1/2)⁶×(−1) = −1/64
ポイント 商は成分計算せず、分子・分母を先に極形式にして「絶対値は割る・偏角は引く」が速い。「実数 ⇔ sin(偏角) = 0」の翻訳と、(√2/2)¹² = {(√2/2)²}⁶ = (1/2)⁶ の指数処理が2大要点。
B1-2解答を見る解答を隠す
解答
−8+8√3 i の絶対値は √(64+192) = 16、偏角は 2π/3(cos = −1/2、sin = √3/2)。
z = r(cosφ+i sinφ) とおくと z⁴ = r⁴(cos 4φ+i sin 4φ) だから
r⁴ = 16 → r = 2
4φ = 2π/3+2kπ → φ = π/6+kπ/2(k = 0, 1, 2, 3)
よって
z = 2(cos(π/6)+i sin(π/6)) = √3+i
z = 2(cos(2π/3)+i sin(2π/3)) = −1+√3 i
z = 2(cos(7π/6)+i sin(7π/6)) = −√3−i
z = 2(cos(5π/3)+i sin(5π/3)) = 1−√3 i
ポイント 4つの解は原点中心・半径 2 の円に内接する正方形の頂点(偏角が π/2 ずつ進む)。「+2kπ を書いてから k を動かす」— A5 と同じ作法の実戦版。検算:(√3+i)⁴ = 16(cos(2π/3)+i sin(2π/3)) = −8+8√3 i ○。
B1-3解答を見る解答を隠す
解答
《証明》ド・モアブルの定理より
(cosθ+i sinθ)³ = cos 3θ+i sin 3θ …(1)
一方、二項定理で左辺を展開すると
(cosθ+i sinθ)³ = cos³θ+3cos²θ(i sinθ)+3cosθ(i sinθ)²+(i sinθ)³
= (cos³θ−3cosθ sin²θ)+i(3cos²θ sinθ−sin³θ) …(2)
(1)(2)は同じ複素数だから、実部どうし・虚部どうしが等しい:
cos 3θ = cos³θ−3cosθ sin²θ = cos³θ−3cosθ(1−cos²θ) = 4cos³θ−3cosθ
sin 3θ = 3cos²θ sinθ−sin³θ = 3(1−sin²θ)sinθ−sin³θ = 3sinθ−4sin³θ ∎
ポイント 「同じものを2通りに計算して実部・虚部を比較」— 複素数による等式証明の王道。第2巻第4章で加法定理を重ねて出した3倍角が、ド・モアブル1行から現れる。cos 5θ など n 倍角も同じ手順で導ける汎用工場。
B2【方程式の表す図形(応用)】
B2-1解答を見る解答を隠す
解答
両辺は 0 以上なので、2乗して
|z−4|² = 4|z−1|²
(z−4)(z̄−4) = 4(z−1)(z̄−1)
z z̄−4z−4z̄+16 = 4z z̄−4z−4z̄+4
12 = 3z z̄ → |z|² = 4 → |z| = 2
よって 原点を中心とする半径 2 の円
ポイント 距離の比の条件(アポロニウスの円)は「2乗 → |●|² = ●×(●の共役) で展開」が定石 — x、y を持ち出さずに共役の計算だけで済む。−4z、−4z̄ が両辺で消える構造も味わいどころ。
B2-2解答を見る解答を隠す
解答
w = (z+1)/(z−1) を z について解くと
w(z−1) = z+1 → z(w−1) = w+1 → z = (w+1)/(w−1)(w ≠ 1)
これを |z| = 1 に代入して
|w+1|/|w−1| = 1、すなわち |w+1| = |w−1|
よって w は 2点 −1、1 から等距離の点、すなわち 虚軸の全体をえがく。
ポイント 変換の軌跡は「逆に解いて z = (w の式)、それを z の条件に代入」— 文字 z を消して w だけの条件にする(第2巻第3章の軌跡と同じ大方針)。|w+1| = |w−1| を「2点 ±1 の垂直二等分線」と読み取るのが仕上げ。
B2-3解答を見る解答を隠す
解答
|z| = 1 より、点 z は原点中心・半径 1 の円上を動く。
定点 3+4i と原点(円の中心)の距離は |3+4i| = 5。
円上の点と定点の距離は「(中心との距離)±(半径)」の間を動くから
最大値 = 5+1 = 6、最小値 = 5−1 = 4
ポイント |z−α| は「点 α からの距離」— 図を描けば計算はほぼ不要で、中心・定点・半径の位置関係だけで決まる。最大・最小を与える点は、中心と定点を結ぶ直線と円の2交点。
B3【回転と三角形】
B3-1解答を見る解答を隠す
解答
点 α を中心とする π/2 回転だから
γ = α+(β−α){cos(π/2)+i sin(π/2)} = α+(β−α)i
β−α = 2+i より
γ = (1+i)+(2+i)i = (1+i)+(−1+2i) = 3i
ポイント 回転公式 γ = α+(β−α)(cosθ+i sinθ) は「①中心を原点へずらす(β−α)②原点中心で回す(×cosθ+i sinθ)③中心を戻す(+α)」の3段の合成 — 動きで覚える。検算:|γ−α| = |−1+2i| = √5 = |β−α| ○(回転は長さを変えない)。
B3-2解答を見る解答を隠す
解答
γ は、点 2 を原点のまわりに ±π/3 だけ回転した点だから
γ = 2{cos(π/3)+i sin(π/3)} = 2(1/2+(√3/2)i) = 1+√3 i
または γ = 2{cos(−π/3)+i sin(−π/3)} = 1−√3 i
よって γ = 1±√3 i
ポイント 正三角形は「1辺を 60° 回転すると隣の辺に重なる」図形 — 回転で頂点を作図する感覚。実軸の上下で±の2つあることを忘れない。検算:|γ| = |γ−2| = 2 ○(3辺すべて 2)。
B3-3解答を見る解答を隠す
解答
(γ−α)/(β−α) = 1+i = √2{cos(π/4)+i sin(π/4)} より
∠A = π/4、AC = √2 AB …(1)
また γ−β = (γ−α)−(β−α) = (1+i)(β−α)−(β−α) = i(β−α) だから
(γ−β)/(α−β) = i(β−α)/{−(β−α)} = −i
絶対値 1、偏角 −π/2 なので
∠B = π/2、BC = BA …(2)
(1)(2)より、△ABC は ∠B = 90° の直角二等辺三角形(BA = BC)
ポイント 1+i = √2 cis(π/4) の「45°・√2 倍」が見えた時点で、直角二等辺(45°-45°-90°、斜辺が他辺の √2 倍)の姿を予想できる。決め手は別の頂点でも比をとること — γ−β = i(β−α) を作る変形が急所。具体例 α = 0、β = 1、γ = 1+i を描くと一目瞭然。
B4【共役の利用】
考え方 「実数 ⇔ w̄ = w/純虚数 ⇔ w̄ = −w(w ≠ 0)」— 条件を共役の等式に翻訳し、z z̄ = |z|² で整理するのがこのテーマの型。
B4-1解答を見る解答を隠す
解答
《証明》w = z+1/z とおく。w が実数 ⇔ w̄ = w、すなわち
z̄+1/z̄ = z+1/z
移項して z−z̄ = 1/z̄−1/z = (z−z̄)/(z z̄)
(z−z̄)(1−1/|z|²) = 0
よって z = z̄ または |z|² = 1
すなわち z が(0 でない)実数、または |z| = 1 ∎
(逆に、z が実数なら w = z+1/z は実数。|z| = 1 なら 1/z = z̄ より w = z+z̄ = 2×(実部)で実数)
ポイント 実数条件は「共役をとっても変わらない」の等式化が第一手。共通因数 (z−z̄) で割らずにくくる整理は、第1巻第1章の「両辺を文字で割らない」鉄則の複素数版(z = z̄ の解を失わないため)。|z| = 1 ⇔ 1/z = z̄ という便利な言い換えもここで手に入る。
B4-2解答を見る解答を隠す
解答
《証明》|w|² = w w̄ を用いる。
|α+β|² = (α+β)(ᾱ+β̄) = |α|²+αβ̄+ᾱβ+|β|²
|α−β|² = (α−β)(ᾱ−β̄) = |α|²−αβ̄−ᾱβ+|β|²
辺々加えると、中央の2項が打ち消し合って
|α+β|²+|α−β|² = 2(|α|²+|β|²) ∎
ポイント これは中線定理(平行四辺形の法則)の複素数版 — 対角線の2乗の和 = 4辺の2乗の和。展開して消える構造はベクトルの |a→±b→|²(第1章 B2)と同一。「絶対値の2乗を見たら共役との積に直す」反射神経を作る問題。
B4-3解答を見る解答を隠す
解答
w = z/(z−2) とおく(z ≠ 2)。w が純虚数 ⇔ w̄ = −w かつ w ≠ 0
z̄/(z̄−2) = −z/(z−2)
分母を払って z̄(z−2) = −z(z̄−2)
z z̄−2z̄ = −z z̄+2z
2z z̄−2(z+z̄) = 0 → |z|²−(z+z̄) = 0
z = x+yi とおくと x²+y²−2x = 0、すなわち (x−1)²+y² = 1
また、w ≠ 0 より z ≠ 0、定義より z ≠ 2。
よって 中心 1、半径 1 の円(ただし 2点 0、2 を除く)
ポイント 純虚数条件は「w̄ = −w かつ w ≠ 0」— 除外点は「分子 = 0 の点」と「分母 = 0 の点」の2種類。図形の意味は「点 z から 2点 0、2 を見込む角が 90°」— 線分 0-2 を直径とする円(円周角の定理)。式と図の両面で確認したい。検算:z = 1+i(円上)で w = (1+i)/(−1+i) = −i ○ 純虚数。
実戦問題(共通テスト形式)
実戦2-1【ド・モアブルと1の6乗根】★★★
z = cos(π/3)+i sin(π/3) とする。
① z⁶ = [ア] である。
② z³ = [イウ] である。
③ 1+z+z²+z³+z⁴+z⁵ = [エ] である。
④ |1−z| = [オ] である。
⑤ 1+z+z² = [カ]+√[キ] i である。
実戦2-2【回転と三角形の計量】★★★
複素数平面上に 2点 A(α)、B(β) があり、α = 1+2i、β = 4+3i とする。
① β−α = [ア]+i であり、AB = √[イウ] である。
② 点 B を、点 A を中心として π/2 だけ回転した点を C(γ) とすると、γ = [エ]i である。
③ △ABC は ∠A = [オカ]° の直角二等辺三角形であり、その面積は [キ] である。
④ 線分 BC の中点 M を表す複素数は [ク]+[ケ]i である。
実戦問題 解答・解説
実戦2-1
考え方 z は偏角 π/3 の単位円上の点 — 6乗すると1周する「1の6乗根」の1つ。①②は偏角の n 倍、③は等比数列の和、④⑤は成分での直接計算。単位円に内接する正六角形の頂点(1、z、z²、…、z⁵)を描いておくと、全設問の答えが図から先読みできる。
実戦2-1解答を見る解答を隠す
解答
① z⁶ = cos(6×π/3)+i sin(6×π/3) = cos 2π+i sin 2π = 1(ア = 1)
② z³ = cos π+i sin π = −1(イウ = −1)
③ z ≠ 1 なので、等比数列の和の公式より
1+z+…+z⁵ = (z⁶−1)/(z−1) = 0/(z−1) = 0(エ = 0)
④ z = 1/2+(√3/2)i だから 1−z = 1/2−(√3/2)i
|1−z| = √(1/4+3/4) = 1(オ = 1)
⑤ z² = cos(2π/3)+i sin(2π/3) = −1/2+(√3/2)i だから
1+z+z² = 1+{1/2+(√3/2)i}+{−1/2+(√3/2)i} = 1+√3 i(カ = 1、キ = 3)
ポイント
• ③「1 の n 乗根をすべて足すと 0」は、n 個の頂点の重心が原点(円の中心)にあることの式版 — マーク式では答えの形(= 0)ごと覚えて時短してよい。
• ⑤の検算:1+z+z² = (z³−1)/(z−1) = −2/(z−1)。z−1 = −1/2+(√3/2)i で分母の絶対値の2乗は 1 だから、−2×(−1/2−(√3/2)i) = 1+√3 i ○ — 等比の和の公式が部分和にも使える。
• ④は「単位円上で偏角が π/3 離れた2点の距離 = 2sin(π/6) = 1」— 正六角形の1辺 = 半径という図形的事実そのもの。
実戦2-2
考え方 「差と絶対値 → 回転公式 → 90°回転が作る三角形の形状 → 中点」— 第1章(ベクトル)なら成分計算が続く計量が、複素数では掛け算1回ずつで進む。①の β−α が②以降ずっと再利用される、共通テスト典型の誘導。
実戦2-2解答を見る解答を隠す
解答
① β−α = (4+3i)−(1+2i) = 3+i(ア = 3)
AB = |β−α| = √(9+1) = √10(イウ = 10)
② γ = α+(β−α)i = (1+2i)+(3+i)i = (1+2i)+(−1+3i) = 5i(エ = 5)
③ C は B を A のまわりに π/2 回転した点だから
∠A = 90°、AC = AB = √10(オカ = 90)
面積 = (1/2)×AB×AC = (1/2)×√10×√10 = 5(キ = 5)
④ M = (β+γ)/2 = {(4+3i)+5i}/2 = (4+8i)/2 = 2+4i(ク = 2、ケ = 4)
ポイント
• ②の検算:|γ−α| = |−1+3i| = √10 = AB ○ — 「回転は長さを保つ」が③の二等辺の根拠そのもの。
• ④の M は直角の対辺(斜辺)BC の中点なので外接円の中心。実際 |M−α| = |1+2i| = √5、BC = |γ−β| = |−4+2i| = 2√5 で、AM = BC/2 ○(直角三角形の外接円は斜辺が直径)— 第1巻第7章の図形性質がここでも生きる。
第3章 式と曲線(平面上の曲線)
「距離の条件」で定義される3つの曲線 — 放物線(1点と1直線から等距離)、楕円(2点からの距離の和が一定)、双曲線(距離の差が一定)。標準形と焦点の関係(楕円 c² = a²−b²、双曲線 c² = a²+b²)を軸に、媒介変数表示と極座標という「曲線の新しい書き表し方」までを学ぶ。共通テスト数Cのもう1つの主役分野。
この章の公式・要点まとめ
放物線
• y² = 4px:焦点 (p, 0)、準線 x = −p(軸は x 軸)
• x² = 4py:焦点 (0, p)、準線 y = −p(軸は y 軸)
• 定義:焦点からの距離 = 準線からの距離
楕円(a > b > 0)
• x²/a²+y²/b² = 1:長軸の長さ 2a(x 軸上)、短軸の長さ 2b、焦点 (±c, 0)、c = √(a²−b²)
• 定義:2焦点からの距離の和 = 2a(長軸の長さに等しい)
• 焦点は分母の大きい方の軸上(x²/4+y²/9 = 1 なら焦点は y 軸上で c = √(9−4))
• 円 x²+y² = a² を y 軸方向に b/a 倍に縮小(拡大)したもの
双曲線(a > 0、b > 0)
• x²/a²−y²/b² = 1:頂点 (±a, 0)、焦点 (±c, 0)、c = √(a²+b²)、漸近線 y = ±(b/a)x
• x²/a²−y²/b² = −1:頂点 (0, ±b)、焦点は y 軸上 (0, ±c)
• 定義:2焦点からの距離の差 = 2a
平行移動:x を x−p、y を y−q に置き換えると、曲線全体(中心・頂点・焦点・準線・漸近線)が (p, q) だけ移動
2次曲線と直線:連立して1文字消去 → 2次方程式 → 判別式 D(D > 0:2点で交わる/D = 0:接する/D < 0:共有点なし)
• 接線の公式:x²/a²+y²/b² = 1 上の点 (x₁, y₁) における接線は x₁x/a²+y₁y/b² = 1(x²、y² の一方を x₁x、y₁y に置き換える)
媒介変数表示
• 円 x²+y² = a²:x = a cosθ、y = a sinθ
• 楕円 x²/a²+y²/b² = 1:x = a cosθ、y = b sinθ
• 媒介変数の消去:cos²θ+sin²θ = 1 に代入する/t について解いて代入する
極座標
• 点 (r, θ):極 O からの距離 r と、始線からの角 θ
• 直交座標との変換:x = r cosθ、y = r sinθ、r² = x²+y²
• 極方程式 → 直交座標:r cosθ、r sinθ、r² の形を作って置き換える(両辺に r を掛けるのが定番の一手)
• 基本形:r = a は円(中心 O)、θ = α は極を通る直線、r = 2a cosθ は中心 (a, 0)・半径 a の円
A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下
A1【放物線の焦点・準線】★
A1-1
放物線 y² = 8x の焦点の座標と準線の方程式を求めよ。
A1-1解答を見る解答を隠す
解答
y² = 4px の形で 4p = 8 → p = 2
焦点 (2, 0)、準線 x = −2
ポイント y² = 4px の p(焦点までの距離)を読み取るだけ — 「4p = (係数)」と割る作業を焦らずに。焦点は曲線の内側、準線は反対側、と図の向きで検算する。
A1-2(類題)
① 放物線 x² = −4y の焦点の座標と準線の方程式を求めよ。
② 焦点が (3, 0)、準線が x = −3 の放物線の方程式を求めよ。
A1-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① x² = 4py の形で 4p = −4 → p = −1
焦点 (0, −1)、準線 y = 1(下に開く放物線)
② p = 3 だから y² = 4×3×x、すなわち y² = 12x
ポイント x² = 4py 型は軸が y 軸(数Iの y = ax² の仲間:a = 1/(4p))。p の符号が開く向きを決める — p < 0 なら下(左)向き。②のような決定問題は p を特定して公式に戻すだけ。
A2【楕円の標準形】★
A2-1
楕円 x²/25+y²/9 = 1 について、長軸・短軸の長さと焦点の座標を求めよ。
A2-1解答を見る解答を隠す
解答
a = 5、b = 3 だから
長軸の長さ 10、短軸の長さ 6
c = √(25−9) = 4 より 焦点 (±4, 0)
ポイント 楕円の3点セット「a・b・c = √(a²−b²)」。長軸・短軸の"長さ"は 2a、2b(a、b そのものではない)— 問われている量を最後に確認。
A2-2(類題)
楕円 x²/4+y²/9 = 1 について、長軸・短軸の長さと焦点の座標を求めよ。
A2-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
分母は y² の方が大きい(9 > 4)ので、長軸は y 軸上。
長軸の長さ 6、短軸の長さ 4
c = √(9−4) = √5 より 焦点 (0, ±√5)
ポイント 焦点は分母の大きい方の軸上 — 縦長の楕円では焦点が y 軸に乗る。c = √(大きい分母 − 小さい分母)と覚えれば向きの混乱がない。
A3【楕円の方程式の決定】★★
A3-1
焦点が (±3, 0) で、長軸の長さが 10 の楕円の方程式を求めよ。
A3-1解答を見る解答を隠す
解答
2a = 10 → a = 5、c = 3
b² = a²−c² = 25−9 = 16
よって x²/25+y²/16 = 1
ポイント 決定の手順は「2a と c を確定 → b² = a²−c²」の一本道。焦点が x 軸上なら大きい分母は x² 側 — 配置の確認まで含めて完答。
A3-2(類題)
2点 (0, 2)、(0, −2) からの距離の和が 6 である点の軌跡(楕円)の方程式を求めよ。
A3-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
焦点が y 軸上で c = 2、距離の和 = 2a = 6 → a = 3
b² = a²−c² = 9−4 = 5
長軸が y 軸上だから x²/5+y²/9 = 1
ポイント 「距離の和 = 2a」が楕円の定義そのもの。焦点が y 軸上のときは a² が y² の分母に入る — A3-1 と分母の位置が入れ替わる対比で覚える。
A4【双曲線の標準形・漸近線】★★
A4-1
双曲線 x²/9−y²/4 = 1 について、頂点・焦点の座標と漸近線の方程式を求めよ。
A4-1解答を見る解答を隠す
解答
a = 3、b = 2
頂点 (±3, 0)
c = √(9+4) = √13 より 焦点 (±√13, 0)
漸近線 y = ±(2/3)x
ポイント 双曲線は c = √(a²+b²)(足す!) — 楕円(引く)との最大の違い。漸近線 y = ±(b/a)x は「右辺を 0 にした式 x²/9−y²/4 = 0 を解いた直線」と覚えると平行移動後も対応できる。
A4-2(類題)
双曲線 x²/4−y²/4 = −1 について、頂点・焦点の座標と漸近線の方程式を求めよ。
A4-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y²/4−x²/4 = 1 と見て、頂点・焦点は y 軸上。
頂点 (0, ±2)
c = √(4+4) = 2√2 より 焦点 (0, ±2√2)
漸近線 y = ±x
ポイント 右辺が −1 の型は上下に開く双曲線(頂点・焦点が y 軸上)。漸近線が y = ±x になる(a = b の)双曲線は直角双曲線と呼ばれる — xy = k 型(第2巻の反比例)の親戚。
A5【2次曲線の平行移動】★★
A5-1
楕円 x²/9+y²/4 = 1 を x 軸方向に 2、y 軸方向に −1 だけ平行移動した楕円の方程式と、その焦点の座標を求めよ。
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解答
(x−2)²/9+(y+1)²/4 = 1
もとの焦点は c = √(9−4) = √5 より (±√5, 0)。これも同じだけ移動して
焦点 (2±√5, −1)
ポイント 平行移動は「x → x−2、y → y−(−1) = y+1」の置き換え。焦点・中心・準線・漸近線もそっくり同じ分だけ移動 — 曲線だけ動いて焦点が置き去り、というミスに注意。
A5-2(類題)
方程式 x²+4y²−4x−8y+4 = 0 の表す曲線を標準形に直し、どのような曲線か答えよ。また焦点の座標を求めよ。
A5-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
x²−4x+4(y²−2y)+4 = 0
(x−2)²−4+4(y−1)²−4+4 = 0
(x−2)²+4(y−1)² = 4
(x−2)²/4+(y−1)² = 1 — 中心 (2, 1) の楕円(a = 2、b = 1)
c = √(4−1) = √3 より 焦点 (2±√3, 1)
ポイント 一般形は「x、y それぞれで平方完成」して標準形へ — 第1巻第3章(2次関数)・第2巻第3章(円)と同じ整形技術の3度目の登場。y² の係数 4 でくくってから平方完成する順序に注意。
A6【2次曲線と直線】★★
A6-1
楕円 x²/4+y² = 1 と直線 y = x+1 の共有点の座標を求めよ。
A6-1解答を見る解答を隠す
解答
y = x+1 を代入して x²/4+(x+1)² = 1
両辺 4 倍:x²+4(x+1)² = 4 → 5x²+8x = 0 → x(5x+8) = 0
x = 0、−8/5
よって共有点は (0, 1) と (−8/5, −3/5)
ポイント 曲線と直線は「代入 → 2次方程式」— 円のとき(第2巻第3章)と同じ流れ。分数の代入検算(x = −8/5 で 16/25+9/25 = 1 ○)まで丁寧に。
A6-2(類題)
楕円 x²+4y² = 4 と直線 y = x+k が接するような定数 k の値を求めよ。
A6-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y = x+k を代入して x²+4(x+k)² = 4
5x²+8kx+4k²−4 = 0
接する ⇔ 判別式 D = 0:
D/4 = (4k)²−5(4k²−4) = −4k²+20 = 0 → k² = 5
よって k = ±√5
ポイント 「接する ⇔ 重解 ⇔ D = 0」— 2次曲線でも判別式が主役(円のときの「距離 = 半径」の代わり)。±の2本(上下から接する)を図でイメージして本数を検算。
A7【媒介変数表示】★★
A7-1
媒介変数 θ で表された曲線 x = 3cosθ、y = 2sinθ は、どのような曲線か。θ を消去して答えよ。
A7-1解答を見る解答を隠す
解答
cosθ = x/3、sinθ = y/2 を cos²θ+sin²θ = 1 に代入して
x²/9+y²/4 = 1 — 楕円
ポイント 三角関数の媒介変数は「cos²θ+sin²θ = 1 に押し込む」のが消去の定石。(a cosθ, b sinθ) が楕円の媒介変数表示 — 逆向き(楕円上の点をこの形でおく)は最大最小問題の武器になる(B3 へ)。
A7-2(類題)
次の媒介変数表示は、それぞれどのような曲線を表すか。
① x = 1+2cosθ、y = −3+2sinθ
② x = t−1、y = t²
A7-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① cosθ = (x−1)/2、sinθ = (y+3)/2 より
(x−1)²+(y+3)² = 4 — 中心 (1, −3)、半径 2 の円
② t = x+1 を y = t² に代入して
y = (x+1)² — 放物線
ポイント ①のような「+定数」は中心の平行移動。②のような多項式型は「t について解いて代入」— 消去の2大手段(恒等式に押し込む/解いて代入)を使い分ける。
A8【極座標と直交座標】★★
A8-1
① 極座標が (2, π/3) の点の直交座標を求めよ。
② 直交座標が (−√2, √2) の点の極座標 (r, θ) を求めよ(0 ≦ θ < 2π)。
A8-1解答を見る解答を隠す
解答
① x = 2cos(π/3) = 1、y = 2sin(π/3) = √3 → (1, √3)
② r = √(2+2) = 2、cosθ = −√2/2、sinθ = √2/2 → θ = 3π/4
(2, 3π/4)
ポイント 変換の3点セット「x = r cosθ、y = r sinθ、r² = x²+y²」。②では cos と sin の両方の符号で象限を確定してから θ を決める(第2章 A2 の極形式と同じ作業)。
A8-2(類題)
① 直交座標が (1, −1) の点の極座標 (r, θ) を求めよ(0 ≦ θ < 2π)。
② 極座標が (4, 5π/6) の点の直交座標を求めよ。
A8-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① r = √2、cosθ = 1/√2、sinθ = −1/√2 → θ = 7π/4
(√2, 7π/4)
② x = 4cos(5π/6) = −2√3、y = 4sin(5π/6) = 2 → (−2√3, 2)
ポイント 極形式(第2章)と極座標は同じ「距離と角」の言葉 — 複素数 z = r(cosθ+i sinθ) の (r, θ) がそのまま極座標。2つの章はデータの持ち方が共通している。
A9【極方程式】★★
A9-1
次の極方程式の表す図形を、直交座標の方程式で表せ。
① r = 4
② θ = π/4
A9-1解答を見る解答を隠す
解答
① r = 4 ⇔ r² = 16 ⇔ x²+y² = 16(原点中心、半径 4 の円)
② 偏角が常に π/4 → 原点を通る傾き tan(π/4) = 1 の直線:y = x
ポイント r = (定数) は円、θ = (定数) は極を通る直線 — 極座標の「基本図形」。距離一定・角一定という定義がそのまま図形になる素直さを味わう。
A9-2(類題)
次の極方程式の表す図形を、直交座標の方程式で表せ。
① r = 2cosθ
② r cosθ = 3
A9-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① 両辺に r を掛けて r² = 2r cosθ
x²+y² = 2x → (x−1)²+y² = 1(中心 (1, 0)、半径 1 の円)
② r cosθ = x そのものだから x = 3(y 軸に平行な直線)
ポイント ①の「両辺 r 倍」が極方程式攻略の最重要テクニック — r²、r cosθ、r sinθ の形を作れば機械的に x、y へ置き換わる。r = 2a cosθ ⇔ 中心 (a, 0) 半径 a の円、は頻出の対応。
B問題(応用力養成)
※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B1(定義からの導出)とB2(曲線と直線)が記述の頻出、B4(極方程式)は共通テストの新定番。
B1【2次曲線の定義と軌跡】★★★
B1-1 点 F(2, 0) からの距離と、直線 x = −2 からの距離が等しい点 P の軌跡の方程式を、定義に従って求めよ。
B1-2 2点 A(3, 0)、B(−3, 0) からの距離の和が 10 である点 P の軌跡の方程式を、定義に従って求めよ。
B1-3 点 F(4, 0) からの距離が、直線 x = 1 からの距離の 2 倍である点 P の軌跡の方程式を求めよ。
B2【2次曲線と直線(弦・接線)】★★★
B2-1 楕円 x²/8+y²/2 = 1 と直線 y = x−2 が交わってできる弦について、中点の座標と弦の長さを求めよ。
B2-2 楕円 x²/6+y²/3 = 1 上の点 (2, 1) における接線の方程式を求めよ。
B2-3 双曲線 x²−y² = 1 と直線 y = 2x+k が接するような定数 k の値を求めよ。
B3【媒介変数の応用】★★★
B3-1 点 P(x, y) が楕円 x²/4+y² = 1 上を動くとき、x+2y の最大値と最小値を求めよ。
B3-2
媒介変数 t で表された曲線
x = (1−t²)/(1+t²)、y = 2t/(1+t²)
は、単位円 x²+y² = 1 から 1 点を除いたものであることを示せ。
B3-3 点 Q が円 x²+y² = 4 上を動くとき、点 A(4, 0) と Q を結ぶ線分 AQ の中点 P の軌跡を求めよ。
B4【極方程式の応用】★★★
B4-1 極方程式 r cos(θ−π/3) = 2 の表す図形を、直交座標の方程式で表せ。
B4-2 極方程式 r = 2cosθ+2sinθ の表す図形を、直交座標の方程式で表せ。
B4-3 極方程式 r(1+cosθ) = 2 の表す図形を、直交座標の方程式で表せ。
B問題 解答・解説
B1【2次曲線の定義と軌跡】
考え方 「距離の条件 → 距離を式で書く → √ を2乗で消す」— 第2巻第3章の軌跡と同じ手順で、放物線・楕円・双曲線が"生まれる瞬間"を自分の手で計算する。標準形の公式は、この計算の結果を覚えたものにすぎない。
B1-1解答を見る解答を隠す
解答
P(x, y) とすると、条件は
√{(x−2)²+y²} = |x+2|
両辺を2乗して
(x−2)²+y² = (x+2)²
x²−4x+4+y² = x²+4x+4
y² = 8x(焦点 (2, 0)、準線 x = −2 の放物線)
ポイント 点からの距離は √、直線 x = −2 からの距離は |x+2| — 絶対値も2乗で消える。結果はまさに A1-1 の放物線:定義 →「4p = 8」の対応を確認して公式と接続する。
B1-2解答を見る解答を隠す
解答
P(x, y) とすると、条件は
√{(x−3)²+y²}+√{(x+3)²+y²} = 10
√{(x+3)²+y²} = 10−√{(x−3)²+y²} として両辺を2乗:
(x+3)²+y² = 100−20√{(x−3)²+y²}+(x−3)²+y²
(x+3)²−(x−3)² = 12x だから
12x = 100−20√{(x−3)²+y²}
5√{(x−3)²+y²} = 25−3x
再び2乗して 25(x²−6x+9+y²) = 625−150x+9x²
16x²+25y² = 400
x²/25+y²/16 = 1(焦点 (±3, 0)、長軸 10 の楕円)
ポイント √ が2つあるときは「1つを孤立させて2乗」を2回 — 1回目の2乗で √ が1つに減る構造を見る。−150x が両辺で消える(定義の対称性の反映)のが計算の検算ポイント。2a = 10、c = 3、b² = 16 と、A3-1 の公式の"証明"になっている。
B1-3解答を見る解答を隠す
解答
P(x, y) とすると、条件は
√{(x−4)²+y²} = 2|x−1|
両辺を2乗して
(x−4)²+y² = 4(x−1)²
x²−8x+16+y² = 4x²−8x+4
3x²−y² = 12
x²/4−y²/12 = 1(双曲線)
ポイント 「距離の比が一定」の軌跡:比が 1(B1-1)なら放物線、1 より大きいと双曲線、1 未満なら楕円になる — この比を離心率という(発展)。−8x が両辺で消える設定の妙も味わいどころ。この双曲線は実戦3-2 で再登場する。
B2【2次曲線と直線(弦・接線)】
B2-1解答を見る解答を隠す
解答
y = x−2 を代入して x²/8+(x−2)²/2 = 1
両辺 8 倍:x²+4(x−2)² = 8 → 5x²−16x+8 = 0 …(※)
判別式 D/4 = 64−40 = 24 > 0 で確かに2点で交わる。
交点の x 座標を x₁、x₂ とすると、解と係数の関係より
x₁+x₂ = 16/5、x₁x₂ = 8/5
中点の x 座標は (x₁+x₂)/2 = 8/5、y 座標は 8/5−2 = −2/5
中点 (8/5, −2/5)
また (x₁−x₂)² = (x₁+x₂)²−4x₁x₂ = 256/25−32/5 = 96/25
弦の長さ = √(1+1²)×|x₁−x₂| = √2×(4√6)/5 = 8√3/5
ポイント 交点を求めずに中点・弦長を出す「解と係数の関係」ルート(第2巻第3章 B2 と同じ技術)。弦長 = √(1+傾き²)×|x₁−x₂| の公式は、直線上の三平方から。(※)を解いてしまうと √ 混じりの座標で消耗する — 対称式で済ませるのが応用力。
B2-2解答を見る解答を隠す
解答
接線の公式より、点 (2, 1) における接線は
(2×x)/6+(1×y)/3 = 1
x/3+y/3 = 1
x+y = 3
ポイント 接線公式「x² → x₁x、y² → y₁y の置き換え」(円 x₁x+y₁y = r² と同じ形の拡張)。検算:y = 3−x を楕円に代入すると x²−4x+4 = (x−2)² = 0 と重解になる ○ — 公式を信じつつ、重解確認の1行が記述の保険になる。
B2-3解答を見る解答を隠す
解答
y = 2x+k を代入して x²−(2x+k)² = 1
x²−4x²−4kx−k² = 1
3x²+4kx+k²+1 = 0
接する ⇔ D = 0:
D/4 = (2k)²−3(k²+1) = k²−3 = 0
よって k = ±√3
ポイント 双曲線でも「接する ⇔ D = 0」は同じ。ただし1つ注意 — 直線の傾きが漸近線の傾き ±1 と等しいときは x² の項が消えて2次方程式にならない(1点で交わるが接するのではない)。本問は傾き 2 ≠ ±1 なので安心して判別式が使える、という確認が上級者の一言。
B3【媒介変数の応用】
B3-1解答を見る解答を隠す
解答
楕円上の点は P(2cosθ, sinθ) とおける(0 ≦ θ < 2π)。
x+2y = 2cosθ+2sinθ = 2√2 sin(θ+π/4)
−1 ≦ sin(θ+π/4) ≦ 1 で、どちらの値もとりうるから
最大値 2√2、最小値 −2√2
ポイント 「楕円上の点 → (a cosθ, b sinθ) とおく」が媒介変数の攻めの使い方 — 2変数 x、y の条件つき最大最小が、θ 1変数の三角関数の合成(第2巻第4章 B4)に化ける。=k とおいて判別式でも解けるが、合成の方が速い。
B3-2解答を見る解答を隠す
解答
《証明》x²+y² を計算すると
x²+y² = {(1−t²)²+(2t)²}/(1+t²)² = (1−2t²+t⁴+4t²)/(1+t²)²
= (1+t²)²/(1+t²)² = 1
よって、この曲線上の点はすべて単位円 x²+y² = 1 上にある。
次に、x = −1 となるためには 1−t² = −(1+t²)、すなわち 1 = −1 が必要で、これは不可能。
逆に、単位円上の (−1, 0) 以外の点は、対応する t(t = y/(1+x))によって表される。
よって、この曲線は 単位円 x²+y² = 1 から点 (−1, 0) を除いたものである ∎
ポイント 分子の展開で (1−t²)²+4t² = (1+t²)² ときれいに畳まれるのがこの表示の心臓部。t = tan(θ/2) とおいたときの cosθ、sinθ の表現(発展)としても有名で、「多項式(分数式)だけで円を表せる」— 除外点 1 点がその代償、という構造まで見えると深い。
B3-3解答を見る解答を隠す
解答
P(x, y) とおくと、P は AQ の中点だから Q = (2x−4, 2y)
Q は円 x²+y² = 4 上にあるので
(2x−4)²+(2y)² = 4
4(x−2)²+4y² = 4
(x−2)²+y² = 1 — 中心 (2, 0)、半径 1 の円
ポイント 軌跡の定石「動く点 Q を、求める点 P で逆に表して条件に代入」(第2巻第3章 B5 と同じ「つなぎの文字消去」)。Q = (2cosθ, 2sinθ) とおいて P = (cosθ+2, sinθ) → 消去、の媒介変数ルートでも同じ結論 — 2通りの道を持っておく。
B4【極方程式の応用】
考え方 極方程式 → 直交座標は「r cosθ = x、r sinθ = y、r² = x²+y² の形を作って置き換える」。加法定理で開く(B4-1)、両辺 r 倍(B4-2)、r を孤立させてから2乗(B4-3)— 形づくりの3パターンを揃える。
B4-1解答を見る解答を隠す
解答
加法定理で展開して
r(cosθ cos(π/3)+sinθ sin(π/3)) = 2
(1/2)r cosθ+(√3/2)r sinθ = 2
(1/2)x+(√3/2)y = 2
x+√3 y = 4(直線)
ポイント r cos(θ−α) = d は「極からの距離が d、法線の向きが α の直線」— 実際、原点からこの直線までの距離は 4/√(1+3) = 2 ○、法線方向 (1, √3) の偏角は π/3 ○。直線の極方程式の標準形として顔を覚えておく。
B4-2解答を見る解答を隠す
解答
両辺に r を掛けて
r² = 2r cosθ+2r sinθ
x²+y² = 2x+2y
(x−1)²+(y−1)² = 2 — 中心 (1, 1)、半径 √2 の円
ポイント A9-2 の「両辺 r 倍」の合わせ技(cosθ と sinθ の両方)。r = 2a cosθ+2b sinθ ⇔ 中心 (a, b)、半径 √(a²+b²) の原点を通る円、という一般対応まで見えると強い(r = 0 が解に含まれる = 極を通る)。
B4-3解答を見る解答を隠す
解答
r+r cosθ = 2 より r = 2−x
r = √(x²+y²) だから √(x²+y²) = 2−x(2−x ≧ 0)
両辺を2乗して x²+y² = 4−4x+x²
y² = −4(x−1) — 放物線(頂点 (1, 0)、左に開く)
ポイント この放物線の焦点は 4p = −4 → 頂点から −1、すなわち原点(極)そのもの — 「焦点を極にとった2次曲線の極方程式 r = l/(1+e cosθ)」(e = 1 で放物線)の実例。惑星の軌道もこの形で書かれる、極座標の見せ場。
実戦問題(共通テスト形式)
実戦3-1【楕円の総合】★★★
楕円 C:x²/9+y²/4 = 1 について考える。
① C の焦点は (±√[ア], 0) である。
② C は、円 x²+y² = 9 を y 軸方向に [イ]/[ウ] 倍に縮小したものである。
③ C 上の点 P は P(3cosθ, 2sinθ) と表せる。このとき 2x+3y の最大値は [エ]√[オ] である。
④ 直線 y = x+k が C に接するのは k = ±√[カキ] のときである。
実戦3-2【双曲線の総合】★★★
双曲線 C:x²/4−y²/12 = 1 について考える。
① C の頂点は (±[ア], 0)、焦点は (±[イ], 0) である。
② C の漸近線は y = ±√[ウ] x である。
③ C と直線 x = 4 の交点の y 座標は ±[エ] である。
④ 交点のうち P(4, 6) をとり、2つの焦点を F(4, 0)、F'(−4, 0) とすると、
PF = [オ]、PF' = [カキ]
であり、PF'−PF = [ク] は頂点間の距離 2a と一致する。
実戦問題 解答・解説
実戦3-1
考え方 「焦点 → 円との関係 → 媒介変数で最大最小 → 接線条件」と、楕円の4大論点を1本で。③は B3-1、④は A6-2 の再演 — 部品の組み立てとして解く。
実戦3-1解答を見る解答を隠す
解答
① c = √(9−4) = √5 より 焦点 (±√5, 0)(ア = 5)
② 円上の点 (3cosθ, 3sinθ) の y 座標を 2/3 倍すると (3cosθ, 2sinθ) となり、C 上の点になる。
よって 2/3 倍(イ = 2、ウ = 3)
③ 2x+3y = 6cosθ+6sinθ = 6√2 sin(θ+π/4)
よって最大値 6√2(エ = 6、オ = 2)
④ y = x+k を代入して 4x²+9(x+k)² = 36
13x²+18kx+9k²−36 = 0
接する ⇔ D/4 = (9k)²−13(9k²−36) = 36(13−k²) = 0
よって k = ±√13(カキ = 13)
ポイント
• ②の「円をつぶすと楕円」は、楕円の面積 πab(数IIIで登場)や媒介変数表示の根拠になる見方 — ③の (3cosθ, 2sinθ) はこの縮小の式そのもの。
• ④の検算:接点での k の範囲を考えると、共有点をもつ条件は −√13 ≦ k ≦ √13 — 「接する = 共有点をもつ範囲の端」という位置づけも確認。
実戦3-2
考え方 双曲線の基本量(頂点・焦点・漸近線)を出したうえで、具体的な点 P で「距離の差 = 2a」という定義を数値検証する構成 — 公式と定義が往復できているかを問う、良質な確認問題。
実戦3-2解答を見る解答を隠す
解答
① a = 2、c = √(4+12) = 4 より 頂点 (±2, 0)、焦点 (±4, 0)(ア = 2、イ = 4)
② 漸近線は y = ±(√12/2)x = ±√3 x(ウ = 3)
③ x = 4 を代入して 4−y²/12 = 1 → y² = 36 → y = ±6(エ = 6)
④ P(4, 6) について
PF = |6−0| = 6(P と F は x 座標が同じ)(オ = 6)
PF' = √{(4+4)²+6²} = √100 = 10(カキ = 10)
PF'−PF = 10−6 = 4 = 2a ○(ク = 4)
ポイント
• ④の PF は「x 座標が同じ2点の距離 = y 座標の差」で即答 — 焦点を通る垂直な弦(半直弦)の半分の長さでもある。
• 「距離の差 = 2a」が具体的な数で成り立つのを見る経験は、定義の実感として貴重。B1-3 で導いた双曲線がまさにこの C — 定義 → 導出 → 検証 の3点が章の中でつながっている。
第4章 関数と極限
ここから数学III。微分積分の土台となる「極限」の章 — 「限りなく近づく」を式で扱う技術を身につける。3本柱は ①不定形の解消(最高次で割る・有理化・因数分解)②無限等比(rⁿ と級数:|r| < 1 が生命線)③lim sinx/x = 1(三角極限の心臓)。前半では分数関数・無理関数・逆関数・合成関数という「関数の教養」も整える。数IIIは記述式の2次試験が主戦場 — 実戦問題も誘導つき記述型で構成する。
この章の公式・要点まとめ
分数関数・無理関数
• y = k/(x−p)+q:漸近線 x = p、y = q の直角双曲線。(ax+b)/(cx+d) 型は帯分数化(分子を分母で割る)してこの形に直す
• y = √(a(x−p)):横向きの放物線の半分。定義域(根号の中 ≧ 0)を最初に確認
逆関数・合成関数
• 逆関数 f⁻¹:y = f(x) を x について解いて x と y を交換。定義域と値域が入れ替わる。グラフは直線 y = x に関して対称
• 合成関数 (g∘f)(x) = g(f(x)):内側から代入。一般に g∘f ≠ f∘g(順序で変わる)
数列の極限
• ∞/∞ 型:分母の最高次の項で分母・分子を割る
• ∞−∞ 型(√ の差):有理化(共役な式を掛けて割る)
• 無限等比数列 rⁿ の極限:|r| < 1 → 0/r = 1 → 1/r > 1 → ∞/r ≦ −1 → 振動して発散。{rⁿ} の収束条件は −1 < r ≦ 1
• はさみうちの原理:aₙ ≦ cₙ ≦ bₙ かつ lim aₙ = lim bₙ = α ならば lim cₙ = α
無限級数
• 無限級数の和 = 部分和 Sₙ の極限(まず Sₙ を求めてから n → ∞)
• 無限等比級数 a+ar+ar²+…:|r| < 1 のとき収束して和は a/(1−r)。収束条件は「a = 0 または |r| < 1」
• Σaₙ が収束 ⇒ lim aₙ = 0(逆は成り立たない)
関数の極限
• 0/0 型:因数分解して約分、√ を含めば有理化
• x → ∞:最高次で割る(数列と同じ)
• 片側極限:x → a+0(右)と x → a−0(左)が一致して初めて極限が存在
• 分母 → 0 なのに極限値が存在する ⇒ 分子 → 0 が必要(係数決定の定石)
三角関数の極限
• lim_{x→0} sinx/x = 1(x はラジアン)
• 派生形:lim_{x→0} tanx/x = 1、lim_{x→0} (1−cosx)/x² = 1/2
• 使い方:sin▲/▲ の形を作る(▲を一致させ、係数で調整)
連続と中間値の定理
• f(x) が x = a で連続 ⇔ lim_{x→a} f(x) = f(a)
• 中間値の定理:f(x) が閉区間 [a, b] で連続で f(a) と f(b) が異符号なら、f(c) = 0 となる c が a < c < b に少なくとも1つ存在(解の存在証明の道具)
A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下
A1【分数関数のグラフ】★
A1-1
関数 y = (2x+1)/(x−1) のグラフの漸近線を求め、グラフの概形を述べよ。
A1-1解答を見る解答を隠す
解答
分子を分母で割って
y = {2(x−1)+3}/(x−1) = 2+3/(x−1)
漸近線は x = 1 と y = 2。
グラフは y = 3/x を x 軸方向に 1、y 軸方向に 2 だけ平行移動した直角双曲線(第1・3象限型)。
ポイント 分数関数はまず帯分数化(分子 = 分母×商+余り)— これで「基本形 k/x の平行移動」として漸近線・概形が読める。k = 3 > 0 なので双曲線は漸近線の交点から見て右上・左下に伸びる。
A1-2(類題)
関数 y = (3x+5)/(x+2) のグラフの漸近線を求めよ。
A1-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y = {3(x+2)−1}/(x+2) = 3−1/(x+2)
漸近線は x = −2 と y = 3
ポイント 縦の漸近線は「分母 = 0」、横の漸近線は「商(x → ∞ での値)」— 帯分数化の結果と対応させて2本セットで即答できるように。
A2【無理関数のグラフ・定義域】★
A2-1
関数 y = √(2x−4) の定義域と値域を求め、グラフの概形を述べよ。
A2-1解答を見る解答を隠す
解答
根号の中 ≧ 0 より 2x−4 ≧ 0 → 定義域 x ≧ 2
√ の値は 0 以上だから 値域 y ≧ 0
y = √(2(x−2)) なので、グラフは y = √(2x) を x 軸方向に 2 だけ平行移動した、点 (2, 0) から右上に伸びる曲線(横向き放物線の上半分)。
ポイント 無理関数は「定義域の確認が第一手」。y² = 2(x−2)(y ≧ 0)と2乗すれば放物線の半分 — 第3章の y² = 4px とつながる。
A2-2(類題)
関数 y = √(3−x) の定義域と値域を求めよ。
A2-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
3−x ≧ 0 より 定義域 x ≦ 3、値域 y ≧ 0
(グラフは点 (3, 0) から左上に伸びる曲線)
ポイント x の係数が負だと左向きに伸びる。定義域の不等号の向きを根号の中の1次式から機械的に決める。
A3【逆関数】★★
A3-1
関数 f(x) = x²+1(x ≧ 0)の逆関数 f⁻¹(x) を求めよ。また、その定義域を答えよ。
A3-1解答を見る解答を隠す
解答
y = x²+1(x ≧ 0、y ≧ 1)を x について解くと
x² = y−1 → x = √(y−1)(x ≧ 0 より正の方)
x と y を交換して f⁻¹(x) = √(x−1)(定義域 x ≧ 1)
ポイント 手順は「x について解く → x と y を交換」。もとの関数の値域 y ≧ 1 が逆関数の定義域になる — 定義域・値域の入れ替わりまで書いて完答。x ≧ 0 の制限があるから逆関数が作れる(制限がないと1つの y に x が2つ対応してしまう)。
A3-2(類題)
関数 f(x) = (2x+1)/(x−1) の逆関数 f⁻¹(x) を求めよ。
A3-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y = (2x+1)/(x−1) より y(x−1) = 2x+1
xy−y = 2x+1 → x(y−2) = y+1 → x = (y+1)/(y−2)
x と y を交換して f⁻¹(x) = (x+1)/(x−2)
ポイント 分数関数の逆関数は「分母を払って x について1次方程式を解く」— x でくくる整理が急所。検算:f(2) = 5 と f⁻¹(5) = 6/3 = 2 が往復すること ○。
A4【合成関数】★★
A4-1
f(x) = 2x−1、g(x) = x² のとき、(g∘f)(x) と (f∘g)(x) を求めよ。
A4-1解答を見る解答を隠す
解答
(g∘f)(x) = g(f(x)) = g(2x−1) = (2x−1)²
(f∘g)(x) = f(g(x)) = f(x²) = 2x²−1
ポイント 合成は「内側から順に代入」— g∘f は「f してから g」。展開すると 4x²−4x+1 と 2x²−1 で明らかに別物:合成の順序は交換できないのが大原則。
A4-2(類題)
f(x) = x+2、g(x) = 1/x のとき、(g∘f)(x)、(f∘g)(x)、(f∘f)(x) を求めよ。
A4-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
(g∘f)(x) = 1/(x+2)
(f∘g)(x) = 1/x+2
(f∘f)(x) = (x+2)+2 = x+4
ポイント 1/(x+2) と 1/x+2 — 括弧の位置だけの違いが別の関数を生む。定義域も変わる(前者は x ≠ −2、後者は x ≠ 0)ことに注意。
A5【数列の極限(∞/∞・√の差)】★★
A5-1
次の極限を求めよ。
① lim_{n→∞} (2n²+3n)/(n²+1)
② lim_{n→∞} (3n+1)/(n²+2)
A5-1解答を見る解答を隠す
解答
① 分母・分子を n² で割って
(2+3/n)/(1+1/n²) → 2
② 分母・分子を n² で割って
(3/n+1/n²)/(1+2/n²) → 0/1 = 0
ポイント ∞/∞ 型は「分母の最高次で割る」— 1/n、1/n² → 0 だけが残る。次数を比べて「分子が高ければ ∞、同じなら係数比、低ければ 0」という速読も併用。
A5-2(類題)
極限 lim_{n→∞} (√(n²+2n)−n) を求めよ。
A5-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
共役な式を掛けて有理化:
√(n²+2n)−n = {(n²+2n)−n²}/{√(n²+2n)+n} = 2n/{√(n²+2n)+n}
分母・分子を n で割って
= 2/{√(1+2/n)+1} → 2/2 = 1
ポイント ∞−∞ 型は「有理化して ∞/∞ 型に変換」— √ を分母に追いやるのがコツ。√ の中に n を入れるとき √(n²+2n)/n = √(1+2/n) と、n = √n² として中に入れる処理を正確に。
A6【無限等比数列 rⁿ の極限】★★
A6-1
次の極限を求めよ。
① lim_{n→∞} (2/3)ⁿ
② lim_{n→∞} (3ⁿ−2ⁿ)/(3ⁿ+2ⁿ)
A6-1解答を見る解答を隠す
解答
① |2/3| < 1 だから 0
② 分母・分子を 3ⁿ で割って
{1−(2/3)ⁿ}/{1+(2/3)ⁿ} → 1/1 = 1
ポイント rⁿ は |r| < 1 なら 0 — これが全ての基礎。指数の混じった ∞/∞ は「最大の底の n 乗で割る」と、(小/大)ⁿ → 0 だけが残る。
A6-2(類題)
次の極限を求めよ。
① lim_{n→∞} 3ⁿ/(2ⁿ+3ⁿ⁺¹)
② lim_{n→∞} {4ⁿ−(−3)ⁿ}/4ⁿ⁺¹
A6-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① 分母・分子を 3ⁿ で割って
1/{(2/3)ⁿ+3} → 1/3 → 1/3
② 分母・分子を 4ⁿ で割って
{1−(−3/4)ⁿ}/4 → 1/4 → 1/4
ポイント 3ⁿ⁺¹ = 3×3ⁿ、4ⁿ⁺¹ = 4×4ⁿ と指数をそろえてから割る。②の (−3/4)ⁿ は負の公比でも |−3/4| < 1 なら 0(符号ごと 0 に潰れる)。
A7【無限等比級数】★★
A7-1
次の無限級数の和を求めよ。
① 1+1/3+1/9+1/27+…
② 2−1+1/2−1/4+…
A7-1解答を見る解答を隠す
解答
① 初項 1、公比 1/3(|r| < 1 で収束)
和 = 1/(1−1/3) = 3/2
② 初項 2、公比 −1/2(|r| < 1 で収束)
和 = 2/{1−(−1/2)} = 2/(3/2) = 4/3
ポイント 無限等比級数は「収束の確認(|r| < 1)→ a/(1−r)」の2段 — 収束の一言を書かずに公式だけ使うのは減点対象。負の公比は分母が 1+|r| になる。
A7-2(類題)
循環小数 0.727272… を無限等比級数と考えて、分数で表せ。
A7-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
0.727272… = 0.72+0.0072+0.000072+…
初項 72/100、公比 1/100 の無限等比級数だから
和 = (72/100)/(1−1/100) = 72/99 = 8/11
ポイント 循環小数の正体は無限等比級数(第1巻第1章の「x = 0.72…とおいて 100x−x」の背後にある構造)。公比は循環節の長さで決まる(2桁なら 1/100)。
A8【関数の極限(不定形)】★★
A8-1
次の極限を求めよ。
① lim_{x→2} (x²−4)/(x−2)
② lim_{x→∞} (3x²−x)/(x²+2)
A8-1解答を見る解答を隠す
解答
① (x−2)(x+2)/(x−2) = x+2 → 4
② 分母・分子を x² で割って (3−1/x)/(1+2/x²) → 3
ポイント 0/0 型は「約分できる因数(x−a)が必ず隠れている」— 分子を因数分解して消す。x → ∞ は数列と同じく最高次で割る。
A8-2(類題)
次の極限を求めよ。
① lim_{x→0} {√(x+4)−2}/x
② lim_{x→∞} {√(x²+x)−x}
A8-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① 有理化して
{(x+4)−4}/[x{√(x+4)+2}] = 1/{√(x+4)+2} → 1/4 → 1/4
② 有理化して
x/{√(x²+x)+x} = 1/{√(1+1/x)+1} → 1/2
ポイント √ を含む 0/0・∞−∞ は有理化が万能の第一手。①の答え 1/4 は「√x+4 の x = 0 での接線の傾き」— 次章の微分係数の予告編になっている。
A9【三角関数の極限】★★
A9-1
次の極限を求めよ。
① lim_{x→0} sin3x/x
② lim_{x→0} sin5x/sin2x
A9-1解答を見る解答を隠す
解答
① sin3x/x = 3×sin3x/(3x) → 3×1 = 3
② (sin5x/5x)×(2x/sin2x)×(5/2) → 1×1×(5/2) = 5/2
ポイント sin▲/▲ の形を作る(▲を一致させ、つじつまの係数を外に出す)— lim sinx/x = 1 の使い方はこの1パターンに尽きる。答えは「角の係数の比」になる。
A9-2(類題)
次の極限を求めよ。
① lim_{x→0} tanx/x
② lim_{x→0} (1−cosx)/x²
A9-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① tanx/x = (sinx/x)×(1/cosx) → 1×1 = 1
② 分母・分子に 1+cosx を掛けて
(1−cos²x)/{x²(1+cosx)} = (sinx/x)²×1/(1+cosx) → 1×(1/2) = 1/2
ポイント ②の「1+cosx を掛けて sin² を作る」は三角極限の3大技の1つ(①割る ②そろえる ③1+cos)。結果 1/2 は頻出なので、導出ごと覚えて即答できるように。
A10【連続性・中間値の定理】★★
A10-1
方程式 x³+x−3 = 0 は、1 < x < 2 の範囲に少なくとも1つの実数解をもつことを示せ。
A10-1解答を見る解答を隠す
解答
《証明》f(x) = x³+x−3 とおくと、f(x) は多項式なので連続。
f(1) = 1+1−3 = −1 < 0
f(2) = 8+2−3 = 7 > 0
f(1) と f(2) は異符号だから、中間値の定理より
f(c) = 0 となる c が 1 < c < 2 に少なくとも1つ存在する ∎
ポイント 解の存在証明の型:「連続の確認 → 両端の符号 → 中間値の定理」の3行。「連続だから」の一言が論理の要(不連続な関数では飛び越えられる)。
A10-2(類題)
関数 f(x) が
f(x) = (x²−1)/(x−1)(x ≠ 1)、f(1) = a
で定められている。f(x) が x = 1 で連続となるような定数 a の値を求めよ。
A10-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
lim_{x→1} f(x) = lim_{x→1} (x−1)(x+1)/(x−1) = lim_{x→1} (x+1) = 2
連続の条件は lim_{x→1} f(x) = f(1) だから a = 2
ポイント 連続 ⇔ 「極限値 = その点での値」— 定義そのものを使う問題。グラフでいえば「穴のあいた直線 y = x+1 の穴 (1, 2) を a で埋める」作業。
B問題(応用力養成)
※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B1(はさみうち)とB3(係数決定)が記述試験の最頻出、B2(級数)は図形との融合が定番。
B1【数列の極限の応用】★★★
B1-1 極限 lim_{n→∞} (1/n)cos(nπ/4) を求めよ。
B1-2 不等式 2ⁿ > n(n−1)/2(n ≧ 2)を用いて、極限 lim_{n→∞} n/2ⁿ を求めよ。
B1-3 a₁ = 1、a_{n+1} = (1/2)aₙ+1 で定まる数列 {aₙ} の一般項を求め、lim_{n→∞} aₙ を求めよ。
B2【無限級数の応用】★★★
B2-1 無限級数 Σₙ₌₁^∞ 1/{n(n+1)} の和を求めよ。
B2-2 無限級数 x+x(1−x)+x(1−x)²+x(1−x)³+… が収束するような実数 x の値の範囲を求めよ。また、そのときの和を求めよ。
B2-3 1辺の長さが 2 の正三角形から始めて、各辺の中点を結んで新しい正三角形を作る操作を限りなく繰り返す。できるすべての正三角形(最初のものを含む)の周の長さの総和を求めよ。
B3【関数の極限と係数決定】★★★
B3-1 等式 lim_{x→1} (x²+ax+b)/(x−1) = 3 が成り立つように、定数 a、b の値を定めよ。
B3-2 極限 lim_{x→2+0} (x²−4)/|x−2| と lim_{x→2−0} (x²−4)/|x−2| を求めよ。また、lim_{x→2} (x²−4)/|x−2| は存在するか。
B3-3 lim_{x→∞} {√(4x²+x)+ax} が収束するような定数 a の値と、そのときの極限値を求めよ。
B4【三角関数の極限の応用】★★★
B4-1 極限 lim_{x→0} sin3x/tan2x を求めよ。
B4-2 極限 lim_{x→0} (1−cos2x)/x² を求めよ。
B4-3 極限 lim_{x→π} sinx/(x−π) を求めよ。
B問題 解答・解説
B1【数列の極限の応用】
B1-1解答を見る解答を隠す
解答
−1 ≦ cos(nπ/4) ≦ 1 だから、各辺を n(> 0)で割って
−1/n ≦ (1/n)cos(nπ/4) ≦ 1/n
lim_{n→∞}(−1/n) = lim_{n→∞}(1/n) = 0 なので、はさみうちの原理より
lim_{n→∞} (1/n)cos(nπ/4) = 0
ポイント cos(nπ/4) は収束しない(振動する)が、有界(−1 以上 1 以下)であることが使える — 「振動 × 0 に向かう量 → はさみうち」が定石。両側の極限が一致することまで書いて原理を適用する。
B1-2解答を見る解答を隠す
解答
n ≧ 2 のとき、与えられた不等式 2ⁿ > n(n−1)/2 より
0 < n/2ⁿ < n/{n(n−1)/2} = 2/(n−1)
lim_{n→∞} 2/(n−1) = 0 なので、はさみうちの原理より
lim_{n→∞} n/2ⁿ = 0
ポイント 「(多項式)/(指数)→ 0 — 指数は多項式より速く増える」の代表例。評価の元になる 2ⁿ = (1+1)ⁿ ≧ 1+n+n(n−1)/2 は二項定理から(必要な次数の項だけ残して捨てる)。0 < ではさむ下側も忘れずに。
B1-3解答を見る解答を隠す
解答
特性方程式 α = (1/2)α+1 より α = 2。
a_{n+1}−2 = (1/2)(aₙ−2) だから、{aₙ−2} は初項 a₁−2 = −1、公比 1/2 の等比数列:
aₙ−2 = −(1/2)ⁿ⁻¹
aₙ = 2−(1/2)ⁿ⁻¹
(1/2)ⁿ⁻¹ → 0 だから lim_{n→∞} aₙ = 2
ポイント 第2巻第7章の特性方程式がそのまま数IIIの主役に — 「一般項を求めてから極限」が基本ルート。極限値 2 が特性方程式の解 α と一致するのは偶然でなく、「動かなくなる値(不動点)」だから。
B2【無限級数の応用】
B2-1解答を見る解答を隠す
解答
部分和を求める。部分分数分解 1/{k(k+1)} = 1/k−1/(k+1) より
Sₙ = (1/1−1/2)+(1/2−1/3)+…+{1/n−1/(n+1)} = 1−1/(n+1)
よって 和 = lim_{n→∞} Sₙ = lim_{n→∞} {1−1/(n+1)} = 1
ポイント 等比型でない無限級数は「部分和 Sₙ を閉じた式にしてから n → ∞」— 定義に忠実に2段で書く。望遠鏡和(第2巻第7章 B2)が極限と合体した、数III頻出の型。
B2-2解答を見る解答を隠す
解答
初項 x、公比 1−x の無限等比級数。収束条件は
(i) 初項 x = 0、または (ii) |1−x| < 1 すなわち 0 < x < 2
よって 収束する x の範囲は x = 0 または 0 < x < 2(まとめて 0 ≦ x < 2)
和は
(i) x = 0 のとき すべての項が 0 だから 和 = 0
(ii) 0 < x < 2 のとき 和 = x/{1−(1−x)} = x/x = 1
ポイント 無限等比級数の収束条件は「初項 = 0 または |公比| < 1」— 初項 0 の場合を落とすのが最頻出ミス。和が x によらず 1 になる(x = 0 だけ 0)という不連続な結果も、この型の名物。
B2-3解答を見る解答を隠す
解答
最初の正三角形の周の長さは 3×2 = 6。
中点連結定理より、次の正三角形の1辺は前の 1/2 — 周の長さも 1/2 倍になる。
よって周の長さは 初項 6、公比 1/2 の無限等比級数をなし、|1/2| < 1 で収束して
総和 = 6/(1−1/2) = 12
ポイント 図形の反復操作は「相似比 → 公比」の読み替えが全て(周・辺の長さは相似比、面積なら相似比の2乗が公比)。第1巻第7章の中点連結定理が、無限級数の初項・公比を与える部品になる。
B3【関数の極限と係数決定】
B3-1解答を見る解答を隠す
解答
x → 1 で分母 → 0。極限値が存在するためには分子 → 0 が必要:
1+a+b = 0 → b = −a−1
このとき 分子 = x²+ax−a−1 = (x−1)(x+a+1) だから
lim_{x→1} (x−1)(x+a+1)/(x−1) = lim_{x→1} (x+a+1) = a+2
これが 3 に等しいので a+2 = 3 → a = 1、b = −2
(検算:(x²+x−2)/(x−1) = (x−1)(x+2)/(x−1) → 3 ○)
ポイント 「分母 → 0 なのに収束 ⇒ 分子 → 0(必要条件)」で文字を1つ減らし、約分してから極限値と比較 — 係数決定の完全な型。必要条件で出した答えが十分でもあることを検算で確かめる流れまで含めて作法。
B3-2解答を見る解答を隠す
解答
x²−4 = (x−2)(x+2) に注意する。
x → 2+0 のとき x > 2 で |x−2| = x−2:
(x−2)(x+2)/(x−2) = x+2 → 4
x → 2−0 のとき x < 2 で |x−2| = −(x−2):
(x−2)(x+2)/{−(x−2)} = −(x+2) → −4
右極限と左極限が一致しないので、lim_{x→2} は存在しない
ポイント 絶対値は「左右で場合分け」— 片側極限の存在と、両者の一致(= 極限の存在)は別の話。グラフでいえば x = 2 で値が 4 と −4 に「割れて」いる状態。
B3-3解答を見る解答を隠す
解答
√(4x²+x) = x√(4+1/x)(x > 0)だから
√(4x²+x)+ax = x{√(4+1/x)+a}
x → ∞ で √(4+1/x) → 2 なので、a > −2 なら +∞、a < −2 なら −∞ に発散。
収束するのは a = −2 のときに限る。このとき有理化して
√(4x²+x)−2x = x/{√(4x²+x)+2x} = 1/{√(4+1/x)+2} → 1/4
よって a = −2、極限値 1/4
ポイント 「収束する a を探す」型は、まず x でくくって発散の主犯を特定(√(4x²+…) ~ 2x)— 主要部を打ち消す a だけが生き残る。決めた後は A8-2 と同じ有理化。
B4【三角関数の極限の応用】
B4-1解答を見る解答を隠す
解答
sin3x/tan2x = (sin3x/3x)×(2x/tan2x)×(3x/2x)
= (sin3x/3x)×(2x/tan2x)×(3/2)
x → 0 で sin3x/3x → 1、tan2x/2x → 1 だから
極限は 1×1×(3/2) = 3/2
ポイント sin も tan も「▲/▲ = 1 の形」に整えるのは同じ(tanx/x → 1 は A9-2 で確認済み)。答えは角の係数比 3/2 — 形を作れば結果は係数だけが語る。
B4-2解答を見る解答を隠す
解答
半角(2倍角)の公式より 1−cos2x = 2sin²x だから
(1−cos2x)/x² = 2sin²x/x² = 2(sinx/x)² → 2×1² = 2
ポイント 1−cos2x を見たら 2sin²x への書き換えが最速(第2巻第4章の2倍角)。A9-2 ②の「1+cos を掛ける」でも解けるが、公式変形の方が1行速い — 両ルートを持つ。
B4-3解答を見る解答を隠す
解答
t = x−π とおくと、x → π のとき t → 0 で、x = π+t だから
sinx = sin(π+t) = −sin t
よって lim_{x→π} sinx/(x−π) = lim_{t→0} (−sin t)/t = −1
ポイント x → a(a ≠ 0)の三角極限は「t = x−a とおいて t → 0 に平行移動」— sinx/x = 1 は「0 のまわり」でしか使えないから。加法定理(sin(π+t) = −sin t)で新しい変数の式に書き直す。
実戦問題(入試形式)
実戦4-1【正方形の入れ子と無限級数】★★★
1辺の長さが 1 の正方形 S₁ がある。S₁ の各辺の中点を結んで正方形 S₂ を作り、S₂ の各辺の中点を結んで S₃ を作る。以下、この操作を限りなく繰り返す。
① S₂ の1辺の長さを求めよ。
② Sₙ の面積 aₙ を n の式で表せ。
③ すべての正方形の面積の総和 Σₙ₌₁^∞ aₙ を求めよ。
④ すべての正方形の周の長さの総和を求めよ。
実戦4-2【円に内接する正 n 角形と極限】★★★
半径 1 の円に内接する正 n 角形(n ≧ 3)を考える。
① 正 n 角形の1辺の長さを n の式で表せ。
② 正 n 角形の周の長さ Lₙ を n の式で表し、lim_{n→∞} Lₙ を求めよ。
③ 正 n 角形の面積 Sₙ を n の式で表し、lim_{n→∞} Sₙ を求めよ。
実戦問題 解答・解説
実戦4-1
考え方 「中点を結ぶ → 相似比 1/√2」を読み取れば、面積は公比 1/2、周は公比 1/√2 の無限等比級数 — ①の1辺の長さがすべての設問の源泉になる。
実戦4-1解答を見る解答を隠す
解答
① S₂ の1辺は、直角二等辺三角形の斜辺として
√{(1/2)²+(1/2)²} = √2/2
② 相似比が √2/2 だから面積比は (√2/2)² = 1/2。
a₁ = 1 で、{aₙ} は公比 1/2 の等比数列:
aₙ = (1/2)ⁿ⁻¹
③ 初項 1、公比 1/2(|r| < 1 で収束)の無限等比級数だから
Σaₙ = 1/(1−1/2) = 2
④ Sₙ の周の長さは 4×(√2/2)ⁿ⁻¹。初項 4、公比 √2/2(|r| < 1)で収束し
総和 = 4/(1−√2/2) = 8/(2−√2) = 8(2+√2)/{(2−√2)(2+√2)} = 8(2+√2)/2 = 8+4√2
ポイント
• 長さは相似比(√2/2)、面積は相似比の2乗(1/2)が公比 — 何の量を足すかで公比が変わるのが本問の学びの核。
• ④の分母の有理化 8/(2−√2) = 4(2+√2) は第1巻第1章の技術 — 無限級数の答えの整形で頻繁に再登場する。
実戦4-2
考え方 正 n 角形を中心角 2π/n の二等辺三角形 n 個に割るのが唯一の初手。②③はどちらも「n → ∞ で sin▲/▲ の形を作る」— n を分母に入れ替えて 1/n → 0 の極限に読み替える変換が主役。極限値が円周 2π と面積 π になる、この章のクライマックス。
実戦4-2解答を見る解答を隠す
解答
① 中心と隣り合う2頂点が作る三角形は、頂角 2π/n、等辺 1 の二等辺三角形。
1辺の長さ = 2×1×sin(π/n) = 2sin(π/n)
② Lₙ = n×2sin(π/n) = 2n sin(π/n)
ここで Lₙ = 2π×{sin(π/n)/(π/n)}
n → ∞ のとき π/n → 0 だから sin(π/n)/(π/n) → 1
よって lim_{n→∞} Lₙ = 2π
③ 二等辺三角形1個の面積は (1/2)×1×1×sin(2π/n) だから
Sₙ = (n/2)sin(2π/n)
Sₙ = π×{sin(2π/n)/(2π/n)} で、n → ∞ のとき 2π/n → 0 だから
lim_{n→∞} Sₙ = π
ポイント
• ②③の変形の芯は「Lₙ = 2π×(sin▲/▲)、Sₙ = π×(sin▲/▲) の形に無理やり整える」— 求めたい極限値が係数として先に浮かび上がる構造。
• 結果の意味:内接正 n 角形の周と面積が、n を増やすと円周 2π・円の面積 π に限りなく近づく — 「多角形で円を近似する」古代からの発想が、lim sinx/x = 1 で正当化される。この見方は第7章(積分・区分求積)への橋になる。
第5章 微分法
数IIの微分が「xⁿ だけの世界」だったのに対し、数IIIではあらゆる関数(分数・無理・三角・指数・対数)が微分できるようになる。装備は3点 — ①積・商の公式 ②合成関数の微分(チェーンルール) ③基本導関数の表(sin → cos、eˣ → eˣ、log x → 1/x)。この章は「計算の章」— 手が勝手に動くまで反復することが、次章(応用)での自由度に直結する。 ※log x は自然対数(底 e)を表す。
この章の公式・要点まとめ
導関数の定義
• f'(x) = lim_{h→0} {f(x+h)−f(x)}/h(数IIと同じ定義 — 対象になる関数が広がる)
基本導関数
• (xᵖ)' = p xᵖ⁻¹(p は実数:負の数・分数でも成立。1/x³ = x⁻³、√x = x^(1/2) と直してから)
• (sin x)' = cos x、(cos x)' = −sin x、(tan x)' = 1/cos²x
• (eˣ)' = eˣ、(aˣ)' = aˣ log a
• (log x)' = 1/x、(log_a x)' = 1/(x log a)、(log|x|)' = 1/x
積・商の微分法
• 積:(fg)' = f'g+fg'(「前を微分×後ろ+前×後ろを微分」)
• 商:(f/g)' = (f'g−fg')/g²(分子は「分子'×分母−分子×分母'」の順、分母は2乗)
• 特に (1/g)' = −g'/g²
合成関数の微分法(チェーンルール)
• y = f(u)、u = g(x) のとき dy/dx = (dy/du)×(du/dx) —「外側の微分×中身の微分」
• 例:{(2x+3)⁵}' = 5(2x+3)⁴×2
自然対数の底 e
• e = lim_{h→0} (1+h)^(1/h) = lim_{x→∞} (1+1/x)ˣ ≒ 2.718
• 派生の極限:lim_{h→0} log(1+h)/h = 1、lim_{h→0} (eʰ−1)/h = 1
対数微分法
• 両辺の自然対数をとってから微分:(log y)' = y'/y
• 累乗が積・商で絡む式や、xˣ のような「底も指数も変数」の関数に有効
陰関数の微分
• y を x の関数とみなして両辺を x で微分(y の式を微分すると y' が付く)
• 例:x²+y² = 25 → 2x+2y y' = 0 → y' = −x/y
媒介変数表示の微分
• x = f(t)、y = g(t) のとき dy/dx = (dy/dt)/(dx/dt)
高次導関数:y''(第2次)、y'''、y⁽ⁿ⁾(第 n 次)— 繰り返し微分するだけ。規則を見つけて一般形を推測 → 帰納法
A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下
A1【導関数の定義】★
A1-1
定義に従って、f(x) = 1/x の導関数を求めよ。
A1-1解答を見る解答を隠す
解答
f'(x) = lim_{h→0} {1/(x+h)−1/x}/h
= lim_{h→0} [{x−(x+h)}/{x(x+h)}]/h
= lim_{h→0} (−h)/{h x(x+h)}
= lim_{h→0} {−1/(x(x+h))} = −1/x²
ポイント 定義計算の型は「通分 → h で約分 → h → 0」。結果は (x⁻¹)' = −x⁻² と公式 (xᵖ)' = pxᵖ⁻¹ の p = −1 の場合に一致 — 公式の根拠を一度は手で確かめる。
A1-2(類題)
定義に従って、f(x) = √x の導関数を求めよ。
A1-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
f'(x) = lim_{h→0} {√(x+h)−√x}/h
分子を有理化して
= lim_{h→0} h/[h{√(x+h)+√x}]
= lim_{h→0} 1/{√(x+h)+√x} = 1/(2√x)
ポイント √ の定義計算は有理化(第4章 A8 の技術)で h を約分。(x^(1/2))' = (1/2)x^(−1/2) と、これも指数公式の p = 1/2 の場合。
A2【xᵖ の微分(負・分数の指数)】★
A2-1
次の関数を微分せよ。
① y = 1/x³
② y = √x
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解答
① y = x⁻³ より y' = −3x⁻⁴ = −3/x⁴
② y = x^(1/2) より y' = (1/2)x^(−1/2) = 1/(2√x)
ポイント 分数・√ はまず xᵖ の形に直す — あとは「指数が前に降りて 1 減る」の同じリズム。答えは分数・√ の形に戻して書くのが読みやすい。
A2-2(類題)
次の関数を微分せよ。
① y = ³√x²
② y = 1/√x
A2-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① y = x^(2/3) より y' = (2/3)x^(−1/3) = 2/(3 ³√x)
② y = x^(−1/2) より y' = −(1/2)x^(−3/2) = −1/(2x√x)
ポイント ³√x² = x^(2/3)(「³√ は 1/3 乗、2乗は分子」)。指数法則(第2巻第5章)の運用力がそのまま微分の計算力になる。
A3【積の微分法】★★
A3-1
y = (x²+1)(x³−2x) を微分せよ。
A3-1解答を見る解答を隠す
解答
y' = (x²+1)'(x³−2x)+(x²+1)(x³−2x)'
= 2x(x³−2x)+(x²+1)(3x²−2)
= 2x⁴−4x²+3x⁴+x²−2 = 5x⁴−3x²−2
ポイント (fg)' = f'g+fg':「片方ずつ微分して足す」。検算:先に展開すると y = x⁵−x³−2x → y' = 5x⁴−3x²−2 ○ — 積の公式と展開の一致で公式への信頼を作る。
A3-2(類題)
y = (2x+1)(x²−3) を微分せよ。
A3-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y' = 2(x²−3)+(2x+1)×2x = 2x²−6+4x²+2x = 6x²+2x−6
ポイント 展開してから微分もできるが、因数の形のまま微分する練習をここで積む — 三角・指数が混ざると展開できなくなるので、積の公式が唯一の道になる(B1 へ)。
A4【商の微分法】★★
A4-1
y = (2x−1)/(x²+1) を微分せよ。
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解答
y' = {(2x−1)'(x²+1)−(2x−1)(x²+1)'}/(x²+1)²
= {2(x²+1)−(2x−1)×2x}/(x²+1)²
= (2x²+2−4x²+2x)/(x²+1)² = (−2x²+2x+2)/(x²+1)²
ポイント 商の公式は「(上'×下−上×下')/下²」— 分子の引き算の順序が最大の事故ポイント(「上の微分が先」)。分母は展開せず (x²+1)² のまま置く。
A4-2(類題)
次の関数を微分せよ。
① y = 1/(x²+3)
② y = x/(x+1)
A4-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① (1/g)' = −g'/g² より y' = −2x/(x²+3)²
② y' = {1×(x+1)−x×1}/(x+1)² = 1/(x+1)²
ポイント 分子が定数の①は簡易版 (1/g)' = −g'/g² で1行。②のように分子が整理でよく消えるのは、帯分数化 y = 1−1/(x+1) からも見える(こちらで微分しても同じ答え — 検算になる)。
A5【合成関数の微分法】★★
A5-1
次の関数を微分せよ。
① y = (2x+3)⁵
② y = (x²+1)³
A5-1解答を見る解答を隠す
解答
① y' = 5(2x+3)⁴×(2x+3)' = 5(2x+3)⁴×2 = 10(2x+3)⁴
② y' = 3(x²+1)²×(x²+1)' = 3(x²+1)²×2x = 6x(x²+1)²
ポイント 「外側の微分 × 中身の微分」 — 中身をひとかたまり u とみなして (u⁵)' = 5u⁴、最後に u' を掛ける。「×中身の微分」を忘れるのが数III最初の関門 — 声に出して習慣化する。
A5-2(類題)
次の関数を微分せよ。
① y = √(x²+1)
② y = 1/(x²+x+1)²
A5-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① y = (x²+1)^(1/2) より
y' = (1/2)(x²+1)^(−1/2)×2x = x/√(x²+1)
② y = (x²+x+1)⁻² より
y' = −2(x²+x+1)⁻³×(2x+1) = −2(2x+1)/(x²+x+1)³
ポイント √ や分数も「xᵖ 化 → チェーンルール」の同じ流れで統一処理できる — 商の公式を使うより速い場面が多い。①の形 x/√(x²+1) は今後何度も再会する頻出の答え。
A6【三角関数の微分】★★
A6-1
次の関数を微分せよ。
① y = sin 3x
② y = cos²x
A6-1解答を見る解答を隠す
解答
① y' = cos 3x×(3x)' = 3cos 3x
② y = (cos x)² より y' = 2cos x×(cos x)' = 2cos x×(−sin x) = −2sin x cos x = −sin 2x
ポイント 三角関数の微分は必ずチェーンルールとセット(角や中身の微分を掛ける)。(cos x)' = −sin x のマイナスが最頻出の落とし穴。②の答えは2倍角で整理すると美しい。
A6-2(類題)
次の関数を微分せよ。
① y = tan 2x
② y = x sin x
A6-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① y' = {1/cos²2x}×2 = 2/cos²2x
② 積の公式で y' = 1×sin x+x×cos x = sin x+x cos x
ポイント (tan x)' = 1/cos²x は商の公式 (sin/cos)' から導ける(分子が cos²+sin² = 1 に畳まれる)。②は「多項式×三角」— 積の公式の出番はこういう展開できない積にある。
A7【指数・対数関数の微分】★★
A7-1
次の関数を微分せよ。
① y = e^(3x)
② y = log(x²+1)
A7-1解答を見る解答を隠す
解答
① y' = e^(3x)×3 = 3e^(3x)
② y' = {1/(x²+1)}×(x²+1)' = 2x/(x²+1)
ポイント eˣ は「微分しても形が変わらない」唯一の関数 — 中身の微分だけが外に出る。(log ●)' = ●'/● の形で覚えると②が1行になる。
A7-2(類題)
次の関数を微分せよ。
① y = 2ˣ
② y = log₂ x
A7-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① y' = 2ˣ log 2
② y' = 1/(x log 2)
ポイント 底が e 以外は log(底)の補正が付く — (aˣ)' = aˣ log a、(log_a x)' = 1/(x log a)。底の変換公式 log₂x = log x/log 2(第2巻第5章)から②を導いておくと忘れない。
A8【e の定義と極限】★★
A8-1
次の極限を求めよ。
① lim_{x→∞} (1+1/x)ˣ
② lim_{x→∞} (1+2/x)ˣ
A8-1解答を見る解答を隠す
解答
① e の定義そのもの:e
② (1+2/x)ˣ = {(1+2/x)^(x/2)}²
x/2 → ∞ で (1+2/x)^(x/2) → e だから、極限は e²
ポイント e の定義は「(1+微小)^(1/微小) → e」— ②のように指数を「1/微小」にそろえてからべきで調整する。この「そろえる」操作は sinx/x の三角極限と同じ発想。
A8-2(類題)
次の極限を求めよ。
① lim_{h→0} (1+h)^(1/h)
② lim_{x→0} (e^(2x)−1)/x
A8-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① e の定義(h → 0 版):e
② (e^(2x)−1)/x = 2×(e^(2x)−1)/(2x)
2x → 0 で (e^(2x)−1)/(2x) → 1 だから、極限は 2
ポイント lim (eʰ−1)/h = 1 は「(eˣ)' = eˣ」の正体(x = 0 での微分係数が 1)。三角の sin▲/▲ = 1 と同様、▲をそろえるだけで係数が答えになる。
A9【高次導関数・媒介変数の微分】★★
A9-1
① y = x⁴−2x³ の第2次導関数 y'' を求めよ。
② y = sin x の第2次導関数 y'' を求めよ。
A9-1解答を見る解答を隠す
解答
① y' = 4x³−6x² より y'' = 12x²−12x
② y' = cos x より y'' = −sin x
ポイント 高次導関数は「もう一度微分するだけ」。②の y'' = −y(2回微分すると符号が反転して戻る)は、sin・cos が「微分で4周期の循環」をなす構造の入り口。
A9-2(類題)
x = t²+1、y = t³ で表された曲線について、dy/dx を t の式で表せ(t ≠ 0)。
A9-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
dx/dt = 2t、dy/dt = 3t²
dy/dx = (dy/dt)/(dx/dt) = 3t²/(2t) = 3t/2
ポイント 媒介変数の微分は「t で微分したものどうしの商」— y を x で直接表せなくても傾きが出せるのが強み(第3章の媒介変数表示と接続)。分母 dx/dt ≠ 0 の確認も一言。
B問題(応用力養成)
※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B1(混合計算)は毎日の筋トレ、B2(対数微分法)とB3(陰関数・媒介変数)が記述の定番。
B1【いろいろな関数の微分(総合)】★★★
B1-1 y = x²e^(−x) を微分せよ。
B1-2 y = log(x+√(x²+1)) を微分せよ。
B1-3 y = sin x/(1+cos x) を微分せよ。
B2【対数微分法】★★★
B2-1 y = xˣ(x > 0)を微分せよ。
B2-2 y = (x+1)²(x+2)³/(x+3)⁴ を微分せよ(結果は y を用いて表してよい)。
B2-3 a > 0、a ≠ 1 とする。対数微分法を用いて、(aˣ)' = aˣ log a を導け。
B3【陰関数・媒介変数の微分】★★★
B3-1 円 x²+y² = 25 について、dy/dx を x、y で表せ。また、点 (3, 4) における接線の傾きを求めよ。
B3-2 放物線 y² = 4x 上の点 (1, 2) における dy/dx の値を求めよ。
B3-3 サイクロイド x = t−sin t、y = 1−cos t について、dy/dx を t の式で表せ。また、t = π/2 のときの値を求めよ。
B4【微分可能性・第 n 次導関数】★★★
B4-1 f(x) = |x| は x = 0 で連続であるが微分可能でないことを示せ。
B4-2 関数 f(x) を、x ≧ 1 のとき f(x) = x²+ax+b、x < 1 のとき f(x) = 2x で定める。f(x) が x = 1 で微分可能となるように、定数 a、b の値を定めよ。
B4-3 y = xeˣ について、y'、y'' を求め、第 n 次導関数 y⁽ⁿ⁾ を推測して数学的帰納法で証明せよ。
B問題 解答・解説
B1【いろいろな関数の微分(総合)】
考え方 「積か、商か、合成か」— 式の一番外側の構造を見抜いてから公式を選ぶ。複数が入れ子のときは外側から順に適用(内側はチェーンルールが自動処理)。
B1-1解答を見る解答を隠す
解答
積の公式と (e^(−x))' = −e^(−x) より
y' = 2x×e^(−x)+x²×(−e^(−x)) = x(2−x)e^(−x)
ポイント e^(−x) の微分のマイナス(中身 −x の微分)を落とさない。答えは e^(−x) でくくって因数分解した形まで整える — 次章で y' = 0 を解くとき(増減表)この形が威力を発揮する。
B1-2解答を見る解答を隠す
解答
(log ●)' = ●'/● を使う。中身の微分は
(x+√(x²+1))' = 1+x/√(x²+1) = {√(x²+1)+x}/√(x²+1)
よって
y' = [{√(x²+1)+x}/√(x²+1)]/{x+√(x²+1)} = 1/√(x²+1)
ポイント 分子に x+√(x²+1) が再登場して約分で消える、有名な仕掛けの1問。結果 1/√(x²+1) は第7章(積分)で「∫dx/√(x²+1) = log(x+√(x²+1))」として逆向きに再会する — 覚える価値のあるペア。
B1-3解答を見る解答を隠す
解答
商の公式より
y' = {cos x(1+cos x)−sin x×(−sin x)}/(1+cos x)²
= (cos x+cos²x+sin²x)/(1+cos x)²
= (cos x+1)/(1+cos x)² = 1/(1+cos x)
ポイント 分子で sin²+cos² = 1 が発動して (1+cos x) が現れ、分母と約分 — 三角の微分計算は「公式で整理して次数を下げる」後処理までがワンセット。y = tan(x/2) と同じ関数(半角の公式)であることを知ると、結果の美しさに納得がいく。
B2【対数微分法】
考え方 累乗・積・商が絡んだら「両辺の log をとる → log の性質でバラす → 微分(左辺は y'/y)→ y を掛け戻す」の4手。log が「掛け算を足し算に変える」性質(第2巻第5章)を微分に輸出する技術。
B2-1解答を見る解答を隠す
解答
x > 0 で y > 0。両辺の自然対数をとると
log y = x log x
両辺を x で微分して
y'/y = 1×log x+x×(1/x) = log x+1
よって y' = y(log x+1) = xˣ(log x+1)
ポイント xˣ は「底も指数も変数」なので (xᵖ)' も (aˣ)' も使えない — 対数微分法だけが道。左辺の微分が y'/y になる(合成関数:log y を x で微分)ことの理解が核心。
B2-2解答を見る解答を隠す
解答
両辺の絶対値の対数をとると
log|y| = 2log|x+1|+3log|x+2|−4log|x+3|
両辺を x で微分して
y'/y = 2/(x+1)+3/(x+2)−4/(x+3)
よって y' = y{2/(x+1)+3/(x+2)−4/(x+3)}
(y = (x+1)²(x+2)³/(x+3)⁴ を代入した形でもよい)
ポイント 商の公式でゴリ押しすると数行の泥沼 — 対数微分法なら指数が係数に降りて分数の和になり1行。「累乗の積・商を見たら log」の反射を作る問題。
B2-3解答を見る解答を隠す
解答
《証明》y = aˣ(y > 0)の両辺の自然対数をとると
log y = x log a
両辺を x で微分して
y'/y = log a
よって y' = y log a = aˣ log a ∎
ポイント 公式 (aˣ)' の出どころを自分の手で。aˣ = e^(x log a) と書き直してチェーンルール、という別証明も同じ結論 — 「a の世界は e に翻訳して処理する」数IIIの基本思想。
B3【陰関数・媒介変数の微分】
B3-1解答を見る解答を隠す
解答
x²+y² = 25 の両辺を x で微分すると(y は x の関数とみなす)
2x+2y×y' = 0
よって dy/dx = −x/y(y ≠ 0)
点 (3, 4) では 傾き = −3/4 → −3/4
ポイント y² を x で微分すると 2y×y'(チェーンルール:y の関数を x で微分)— これが陰関数微分の全て。答え −x/y は「半径 OP(傾き y/x)と接線が垂直」という円の幾何(第2巻第3章)と一致 ○。
B3-2解答を見る解答を隠す
解答
y² = 4x の両辺を x で微分して
2y×y' = 4 → y' = 2/y
点 (1, 2) では dy/dx = 1
ポイント y について解かずに(y = ±2√x の場合分け不要で)傾きが出るのが陰関数微分の利点。第3章の放物線 y² = 4px の接線公式 y₁y = 2p(x+x₁) をこの方法で導くこともできる。
B3-3解答を見る解答を隠す
解答
dx/dt = 1−cos t、dy/dt = sin t
よって dy/dx = sin t/(1−cos t)(cos t ≠ 1)
t = π/2 のとき sin(π/2)/(1−cos(π/2)) = 1/(1−0) = 1
ポイント サイクロイド(円が転がるとき円周上の点が描く曲線)は媒介変数の代表選手 — 第7章(面積・弧長)まで付き合う重要曲線。dy/dx は t の式のままでよい(x に直す必要はない)。
B4【微分可能性・第 n 次導関数】
B4-1解答を見る解答を隠す
解答
《証明》lim_{x→0} |x| = 0 = f(0) なので、f(x) は x = 0 で連続。
微分係数の定義で h → 0 の左右を調べると
lim_{h→+0} {|h|−0}/h = lim_{h→+0} h/h = 1
lim_{h→−0} {|h|−0}/h = lim_{h→−0} (−h)/h = −1
右極限と左極限が一致しないので、f'(0) は存在しない。
よって f(x) = |x| は x = 0 で連続だが微分可能でない ∎
ポイント 「連続 ⇐ 微分可能」だが逆は不成立 — その最も有名な反例。グラフの言葉では「つながっているが尖っている」:微分可能 = なめらか(接線が引ける)、の感覚を式で裏づける問題。
B4-2解答を見る解答を隠す
解答
x = 1 で微分可能なら連続でもあるから
(連続)lim_{x→1−0} f(x) = f(1):2 = 1+a+b …(1)
(微分係数の一致)x > 1 側の f'(x) = 2x+a、x < 1 側の f'(x) = 2 より
2+a = 2 …(2)
(2)より a = 0、(1)より b = 1
(このとき x ≧ 1 で f(x) = x²+1、f'(1) = 2 が両側で一致 ○)
ポイント つなぎ目の微分可能性は「値の一致(連続)+ 傾きの一致」の2条件 — 第2巻第6章 B1-3「接する ⇔ 値と傾きが一致」と同じ構造が、区分的に定義された関数で再登場。連続の条件を忘れて傾きだけ合わせるのが定番ミス。
B4-3解答を見る解答を隠す
解答
y' = 1×eˣ+x×eˣ = (x+1)eˣ
y'' = eˣ+(x+1)eˣ = (x+2)eˣ
そこで y⁽ⁿ⁾ = (x+n)eˣ と推測し、帰納法で示す。
《証明》
(i) n = 1 のとき:y' = (x+1)eˣ で成立。
(ii) n = k のとき y⁽ᵏ⁾ = (x+k)eˣ と仮定すると
y⁽ᵏ⁺¹⁾ = {(x+k)eˣ}' = eˣ+(x+k)eˣ = (x+k+1)eˣ
となり、n = k+1 でも成立。
(i)(ii)より、すべての自然数 n について y⁽ⁿ⁾ = (x+n)eˣ ∎
ポイント 第 n 次導関数は「2〜3回微分して規則を発見 → 帰納法で確定」が正式ルート(第2巻第7章 B5 の帰納法がここで働く)。「微分するたびに x の係数へ +1 が溜まる」構造が見えれば推測は自然。
実戦問題(入試形式)
実戦5-1【分数関数の微分の総合】★★★
f(x) = x/(x²+1) とする。
① f'(x) を求めよ。
② f'(0) と f'(1) の値を求めよ。
③ 方程式 f'(x) = 0 を解け。
④ lim_{x→∞} f(x) と lim_{x→−∞} f(x) を求めよ。
実戦5-2【定義から導く微分公式】★★★
lim_{h→0} (1+h)^(1/h) = e であることを用いてよい。
① lim_{h→0} log(1+h)/h を求めよ。
② 導関数の定義に従って、(log x)' = 1/x を示せ。
③ lim_{h→0} (eʰ−1)/h を求めよ。
④ 導関数の定義に従って、(eˣ)' = eˣ を示せ。
実戦問題 解答・解説
実戦5-1
考え方 商の微分 → 値の代入 → f' = 0 → 遠方の極限、と1つの関数を多角的に調べる — 実はこれ、次章で行う「グラフをかく」作業の部品を先に全部そろえる構成(③が極値候補、④が漸近線)。
実戦5-1解答を見る解答を隠す
解答
① 商の公式より
f'(x) = {1×(x²+1)−x×2x}/(x²+1)² = (1−x²)/(x²+1)²
② f'(0) = 1/1 = 1、f'(1) = 0/4 = 0
③ f'(x) = 0 ⇔ 分子 = 0 ⇔ 1−x² = 0 ⇔ x = ±1
④ 分母・分子を x² で割って(x ≠ 0)
f(x) = (1/x)/(1+1/x²)
x → ∞ でも x → −∞ でも 1/x → 0 だから、どちらも 0
ポイント
• ③のように分数関数の f' = 0 は「分子 = 0」だけ解けばよい(分母は常に正)— ①で分子を因数分解できる形に整えておく意味がここにある。
• ②の f'(1) = 0 と③の x = ±1 が対応:x = 1 は「接線が水平になる点」。④の極限 0 は「x 軸が漸近線」— 次章でこの関数のグラフが完成する。
実戦5-2
考え方 ①→②→③→④と、e の定義ただ1つから log と e の微分公式が両方生まれる過程をたどる誘導。①と③は互いに逆数の関係(おき換えでつながる)— この2つの「= 1」が微分公式の心臓部。
実戦5-2解答を見る解答を隠す
解答
① log(1+h)/h = log(1+h)^(1/h)
h → 0 で (1+h)^(1/h) → e だから、log の連続性より
極限は log e = 1
② 定義より
(log x)' = lim_{h→0} {log(x+h)−log x}/h = lim_{h→0} (1/h)log(1+h/x)
t = h/x とおくと h = tx、h → 0 のとき t → 0 で
(1/h)log(1+t) = (1/x)×log(1+t)/t
①より log(1+t)/t → 1 だから
(log x)' = 1/x ∎
③ t = eʰ−1 とおくと eʰ = 1+t、h = log(1+t) で、h → 0 のとき t → 0。
(eʰ−1)/h = t/log(1+t) = 1/{log(1+t)/t} → 1/1 = 1
④ 定義より
(eˣ)' = lim_{h→0} (e^(x+h)−eˣ)/h = lim_{h→0} eˣ×(eʰ−1)/h
③より (eʰ−1)/h → 1 だから
(eˣ)' = eˣ ∎
ポイント
• ④の変形 e^(x+h)−eˣ = eˣ(eʰ−1) — 指数法則で eˣ をくくり出すと、x に無関係な極限③だけが残る。「eˣ は微分しても不変」の理由は、この分離ができる指数法則そのもの。
• ③のおき換え t = eʰ−1(逆関数への乗り換え)で①が再利用できる — log と e の公式が表裏一体である構造ごと理解すると、公式忘れが怖くなくなる。
第6章 微分法の応用
第5章で鍛えた計算力を「曲線を読む力」に変える章。道具は3種 — ①増減表(いまや凹凸の行つき)②極限(漸近線・遠方のふるまい、第4章との合流)③定数分離(方程式の解の個数)。関数のグラフを自力で描けることが、数IIIの応用問題すべての土台になる。
この章の公式・要点まとめ
接線・法線
• 接線:y = f'(a)(x−a)+f(a)/法線:y = −{1/f'(a)}(x−a)+f(a)(f'(a) ≠ 0、傾きの積 = −1)
• 曲線外の点からの接線:接点 (a, f(a)) をおく(第2巻第6章と同じ定石)
平均値の定理
• f が [a, b] で連続、(a, b) で微分可能なら、{f(b)−f(a)}/(b−a) = f'(c) を満たす c が a < c < b に存在
• 使い道:差 f(b)−f(a) を f'(c)(b−a) に置き換えて不等式評価
増減・極値・凹凸
• f' の符号で増減、f'(a) = 0 かつ符号変化で極値(数IIと同じ)
• f'' > 0 で下に凸、f'' < 0 で上に凸。f''(a) = 0 かつ符号変化 → 変曲点
• グラフの手順:定義域 → 増減(f')→ 凹凸(f'')→ 極限(漸近線) → 概形
最大・最小:極値と区間の端の値を比較(開区間・無限区間では極限も見る)
方程式・不等式への応用
• 解の個数:定数 k を分離 → 曲線 y = g(x) と直線 y = k の共有点(極値と極限が境目)
• 不等式の証明:(左辺)−(右辺)の最小値 ≧ 0 を増減で示す
速度・加速度・近似
• 数直線上:速度 v = dx/dt、加速度 a = dv/dt/平面上:速度ベクトル (dx/dt, dy/dt)、速さはその大きさ
• 1次近似:h ≒ 0 のとき f(a+h) ≒ f(a)+f'(a)h(接線で代用)
A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下
A1【接線】★
A1-1
曲線 y = eˣ 上の点 (1, e) における接線の方程式を求めよ。
A1-1解答を見る解答を隠す
解答
y' = eˣ より、傾きは e。
y = e(x−1)+e = ex
ポイント 接線は「傾き f'(a)・点 (a, f(a))」の直線 — 数IIと同じ型で、微分する関数だけが豊かになった。この接線が原点を通る事実は B1-1 で再登場する。
A1-2(類題)
曲線 y = log x 上の点 (e, 1) における接線の方程式を求めよ。
A1-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y' = 1/x より、傾きは 1/e。
y = (1/e)(x−e)+1 = x/e
ポイント これも原点を通る接線 — y = eˣ と y = log x は y = x に関して対称(逆関数)なので、接線どうしも y = ex と y = x/e で対称になっている。
A2【法線】★
A2-1
曲線 y = x² 上の点 (1, 1) における法線の方程式を求めよ。
A2-1解答を見る解答を隠す
解答
y' = 2x より接線の傾きは 2、法線の傾きは −1/2。
y = −(1/2)(x−1)+1 = −x/2+3/2
ポイント 法線 = 接線と直交する直線:傾きは −1/f'(a)(積が −1)。「接線を出してから傾きを反転」の2段で機械的に。
A2-2(類題)
曲線 y = √x 上の点 (1, 1) における法線の方程式を求めよ。
A2-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y' = 1/(2√x) より接線の傾きは 1/2、法線の傾きは −2。
y = −2(x−1)+1 = −2x+3
ポイント 無理関数でも手順は不変。法線は物理(光の反射・入射)や最短距離の議論で主役になる補助線。
A3【増減と極値】★★
A3-1
関数 f(x) = x/(x²+1) の増減を調べ、極値を求めよ。
A3-1解答を見る解答を隠す
解答
f'(x) = (1−x²)/(x²+1)²(第5章 実戦5-1)
f'(x) = 0 ⇔ x = ±1。増減表:
| x | … | −1 | … | 1 | … |
|---|---|---|---|---|---|
| f' | − | 0 | + | 0 | − |
| f | ↘ | −1/2 | ↗ | 1/2 | ↘ |
x = −1 で極小値 −1/2、x = 1 で極大値 1/2
ポイント 分数関数の f' の符号は分子だけで決まる(分母は常に正)。増減表の書式は数IIと同一 — 対象の関数が広がっただけ。
A3-2(類題)
関数 f(x) = x+4/x の増減を調べ、極値を求めよ。
A3-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
定義域は x ≠ 0。f'(x) = 1−4/x² = (x²−4)/x²
f'(x) = 0 ⇔ x = ±2。増減表(x = 0 で切れる):
x < −2 で増加、−2 < x < 0 で減少、0 < x < 2 で減少、x > 2 で増加。
x = −2 で極大値 −4、x = 2 で極小値 4
ポイント 極大値 −4 < 極小値 4 という逆転が起こるのは、定義域が x = 0 で分断されているから — 極値は「局所的な山谷」であって全体の大小ではない、の好例。x > 0 側の最小値 4 は相加相乗 x+4/x ≧ 2√4 = 4 とも一致 ○。
A4【最大・最小】★★
A4-1
関数 f(x) = x e⁻ˣ(0 ≦ x ≦ 3)の最大値と最小値を求めよ。
A4-1解答を見る解答を隠す
解答
f'(x) = (1−x)e⁻ˣ
0 ≦ x ≦ 3 で f'(x) = 0 ⇔ x = 1。
f(0) = 0、f(1) = 1/e(極大)、f(3) = 3/e³
3/e³ > 0 だから
最大値 1/e(x = 1)、最小値 0(x = 0)
ポイント e⁻ˣ > 0 なので f' の符号は (1−x) だけで決まる — 第5章 B1 で強調した「因数分解した形の導関数」がここで効く。端の値 3/e³ ≒ 0.15 との比較まで丁寧に。
A4-2(類題)
関数 f(x) = x−2sin x(0 ≦ x ≦ 2π)の最大値と最小値を求めよ。
A4-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
f'(x) = 1−2cos x = 0 ⇔ cos x = 1/2 ⇔ x = π/3、5π/3
増減:0 ≦ x < π/3 で減少、π/3 < x < 5π/3 で増加、5π/3 < x ≦ 2π で減少。
候補:f(0) = 0、f(π/3) = π/3−√3(極小)、f(5π/3) = 5π/3+√3(極大)、f(2π) = 2π
5π/3+√3 ≒ 6.97 > 2π ≒ 6.28、π/3−√3 ≒ −0.69 < 0 だから
最大値 5π/3+√3(x = 5π/3)、最小値 π/3−√3(x = π/3)
ポイント 三角方程式 cos x = 1/2 を範囲内で全部拾う(第2巻第4章)。端 f(0)、f(2π) と極値の比較は近似値で大小を確定させる — π ≒ 3.14、√3 ≒ 1.73 の暗算力が答案を支える。
A5【凹凸と変曲点】★★
A5-1
曲線 y = x³−3x² の凹凸を調べ、変曲点を求めよ。
A5-1解答を見る解答を隠す
解答
y' = 3x²−6x、y'' = 6x−6 = 6(x−1)
x < 1 で y'' < 0(上に凸)、x > 1 で y'' > 0(下に凸)。
x = 1 の前後で凹凸が変わるから、変曲点は (1, −2)
ポイント 凹凸は f'' の符号、変曲点は「f'' = 0 かつ符号が変わる点」— 増減(f')と同じ論法を1階深くやるだけ。3次関数の変曲点はグラフの点対称の中心でもある。
A5-2(類題)
曲線 y = x⁴−6x² の変曲点を求めよ。
A5-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y' = 4x³−12x、y'' = 12x²−12 = 12(x+1)(x−1)
y'' の符号は x = ±1 の前後でどちらも変わる。
y(±1) = 1−6 = −5 より、変曲点は (1, −5) と (−1, −5)
ポイント y'' = 0 の解が複数あればそれぞれで符号変化を確認。「y'' = 0 だから変曲点」は誤り(y = x⁴ の x = 0 は変曲点でない)— 極値のときの f' と同じ注意が f'' にも要る。
A6【グラフの概形】★★
A6-1
関数 y = x+1/x のグラフの概形を、増減・極値・漸近線に触れてかけ(述べよ)。
A6-1解答を見る解答を隠す
解答
定義域 x ≠ 0。y' = 1−1/x² = (x²−1)/x²
増減:x = −1 で極大値 −2、x = 1 で極小値 2(A3-2 と同様)。
漸近線:x → ±0 で y → ∓∞ より x = 0(y 軸)。
また y−x = 1/x → 0(x → ±∞)より y = x(斜めの漸近線)。
概形:第1象限と第3象限に、直線 y = x と y 軸を漸近線とする2本の枝(双曲線型)。
ポイント 数IIIのグラフの新要素は斜めの漸近線:「y−(直線) → 0」を確かめる。y = x+1/x は「x に 1/x のさざ波が乗った形」— 遠方で直線に吸い付く感覚をもつ。
A6-2(類題)
関数 y = x e⁻ˣ のグラフの概形を、増減・極値・変曲点・極限に触れて述べよ。ただし lim_{x→∞} x e⁻ˣ = 0 を用いてよい。
A6-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y' = (1−x)e⁻ˣ:x < 1 で増加、x > 1 で減少、x = 1 で極大値 1/e。
y'' = (x−2)e⁻ˣ:x = 2 の前後で符号が変わり、変曲点 (2, 2/e²)。
極限:x → ∞ で y → 0(x 軸が漸近線)、x → −∞ で y → −∞。
概形:原点を通り、x = 1 で山(高さ 1/e)を作り、x = 2 で反り返りながら x 軸に沿って 0 に近づく曲線。
ポイント 「多項式 × e⁻ˣ」は遠方で指数が勝って 0 に潰れる(第4章 B1-2 の「指数は多項式より強い」)— この型のグラフは頻出中の頻出で、B4-1・実戦6-2 で主役を張る。
A7【不等式への応用】★★
A7-1
x > 0 のとき、不等式 eˣ > 1+x が成り立つことを示せ。
A7-1解答を見る解答を隠す
解答
《証明》f(x) = eˣ−1−x とおくと f'(x) = eˣ−1
x > 0 で eˣ > 1 だから f'(x) > 0、よって f(x) は x ≧ 0 で増加。
f(0) = 0 なので、x > 0 で f(x) > f(0) = 0
すなわち eˣ > 1+x ∎
ポイント 不等式証明の型「差をとって最小値(または増加+始点)≧ 0」— 数IIの手法がそのまま。1+x は eˣ の x = 0 での接線:「凸な曲線は接線の上」という図形的意味も添えたい。
A7-2(類題)
x > 0 のとき、不等式 log x ≦ x−1 が成り立つことを示せ(等号成立も調べよ)。
A7-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
《証明》f(x) = x−1−log x とおくと f'(x) = 1−1/x = (x−1)/x
0 < x < 1 で f' < 0、x > 1 で f' > 0 だから、f(x) は x = 1 で最小値 f(1) = 0 をとる。
よって x > 0 で f(x) ≧ 0、すなわち log x ≦ x−1(等号は x = 1 のとき) ∎
ポイント y = x−1 は y = log x の (1, 0) における接線 — A7-1 と対をなす「対数は接線の下」。この2つの不等式は極限評価(実戦6-1)や e の評価で繰り返し使われる基本部品。
A8【速度・加速度・近似】★★
A8-1
数直線上を動く点 P の座標が x = t³−6t²+9t(t ≧ 0)で表されるとき、
① t = 2 における速度 v と加速度 a を求めよ。
② P が運動の向きを変える時刻を求めよ。
A8-1解答を見る解答を隠す
解答
v = dx/dt = 3t²−12t+9 = 3(t−1)(t−3)、a = dv/dt = 6t−12
① v(2) = 3×1×(−1) = −3、a(2) = 12−12 = 0
② 向きが変わる ⇔ v の符号が変わる ⇔ t = 1 と t = 3
ポイント 速度は位置の微分、加速度は速度の微分 — 「微分 = 変化率」の物理的な顔。②は「v = 0」でなく「v = 0 かつ符号が変わる」(極値の判定と同じ論理)。
A8-2(類題)
1次の近似式を用いて、次の近似値を求めよ。
① √4.02
② (1.002)¹⁰
A8-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① f(x) = √x、f'(x) = 1/(2√x) で f(4+h) ≒ 2+h/4
h = 0.02 として √4.02 ≒ 2+0.005 = 2.005
② h ≒ 0 で (1+h)ⁿ ≒ 1+nh だから
(1.002)¹⁰ ≒ 1+10×0.002 = 1.02
ポイント 近似式 f(a+h) ≒ f(a)+f'(a)h は「曲線を接線で代用」— h が小さいほど精密。②の (1+h)ⁿ ≒ 1+nh は物理・化学の計算でも常用される万能近似。
B問題(応用力養成)
※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B3(解の個数)とB4-1(グラフ総合)が記述試験の王様。
B1【接線の応用】★★★
B1-1 原点から曲線 y = eˣ に引いた接線の方程式を求めよ。
B1-2 曲線 y = log x と直線 y = ax が接するような定数 a の値を求めよ。
B1-3 サイクロイド x = t−sin t、y = 1−cos t の、t = π/2 に対応する点における接線の方程式を求めよ。
B2【極値の条件・平均値の定理】★★★
B2-1 関数 f(x) = x+a/x が x = 2 で極値をもつような定数 a の値を求めよ。また、そのときの極値を求めよ。
B2-2 関数 f(x) = (ax+b)/(x²+1) が x = 1 で極値 1 をとるような定数 a、b の値を求めよ。
B2-3
0 < a < b のとき、平均値の定理を用いて、次の不等式を示せ。
1/b < (log b−log a)/(b−a) < 1/a
B3【方程式・不等式への応用】★★★
B3-1 k を定数とする。方程式 eˣ = kx の異なる実数解の個数を、k の値によって分類せよ。ただし lim_{x→−∞} eˣ/x = 0 を用いてよい。
B3-2 x > 0 のとき、不等式 eˣ > 1+x+x²/2 が成り立つことを示せ。
B3-3 x > 0 のとき、不等式 log x ≦ x/e が成り立つことを示せ。また、この不等式と B1-2 の結果との関係を述べよ。
B4【グラフ総合・変化率】★★★
B4-1 関数 y = x²e⁻ˣ の増減・極値・変曲点を調べ、グラフの概形を述べよ。ただし lim_{x→∞} x²e⁻ˣ = 0 を用いてよい。
B4-2 平面上を動く点 P の座標が x = 2cos t、y = 2sin t で表されるとき、速度ベクトル、速さ、加速度ベクトルの大きさを求めよ。
B4-3 球の半径が毎秒 1 cm の割合で大きくなっている。半径が 5 cm になった瞬間における、体積の増加する速さを求めよ。
B問題 解答・解説
B1【接線の応用】
B1-1解答を見る解答を隠す
解答
接点を (a, eᵃ) とおくと、接線は y = eᵃ(x−a)+eᵃ
原点を通るから 0 = eᵃ(−a)+eᵃ = eᵃ(1−a)
eᵃ ≠ 0 より a = 1。よって接線は y = ex(接点 (1, e))
ポイント 「接点をおく → 条件で接点を決める」— 第2巻第6章 B1 の型が超越関数でも不変。eᵃ ≠ 0 で割る一言(方程式の処理の丁寧さ)まで含めて答案。
B1-2解答を見る解答を隠す
解答
接点の x 座標を t とすると、接する条件は
(値の一致)log t = at (傾きの一致)1/t = a
第2式より at = 1。第1式に代入して log t = 1 → t = e
よって a = 1/e(接点 (e, 1)、接線 y = x/e)
ポイント 「接する ⇔ 値と傾きの2条件」の連立(第2巻第6章 B1-3 と同じ骨格)。結果は A1-2 の接線そのもの — 「原点を通る log x の接線はただ1本」という図の理解とセットで。
B1-3解答を見る解答を隠す
解答
第5章 B3-3 より、t = π/2 における dy/dx = sin t/(1−cos t) = 1
対応する点は (π/2−1, 1)。よって接線は
y = 1×{x−(π/2−1)}+1 = y = x−π/2+2
ポイント 媒介変数の曲線でも「傾き(dy/dx)と通る点」がそろえば接線は書ける — 点の座標も t を代入して作る。x を消去できない曲線を扱えるのが媒介変数微分の存在意義。
B2【極値の条件・平均値の定理】
B2-1解答を見る解答を隠す
解答
f'(x) = 1−a/x²。x = 2 で極値をもつ必要条件は f'(2) = 1−a/4 = 0 → a = 4
このとき f'(x) = (x²−4)/x² は x = 2 の前後で − → + と変わるので、確かに極小。
a = 4、極小値 f(2) = 2+2 = 4
ポイント f'(2) = 0 は必要条件にすぎない — 十分性(符号変化)の確認が答案の生命線(第2巻第6章 B2 の作法の数III版)。
B2-2解答を見る解答を隠す
解答
f'(x) = {a(x²+1)−(ax+b)×2x}/(x²+1)² = (−ax²−2bx+a)/(x²+1)²
条件は f(1) = (a+b)/2 = 1 かつ f'(1) = (−a−2b+a)/4 = −b/2 = 0
よって b = 0、a = 2。
このとき f(x) = 2x/(x²+1)、f'(x) = 2(1−x²)/(x²+1)² は x = 1 の前後で + → − となり、極大値 f(1) = 1 ○
a = 2、b = 0
ポイント 「x = 1 で極値 1」は2つの等式(値と f' = 0)— 条件の翻訳を落とさない。決定後の増減確認(極大であること)までが1セット。
B2-3解答を見る解答を隠す
解答
《証明》f(x) = log x は x > 0 で連続かつ微分可能。区間 [a, b] に平均値の定理を用いると
(log b−log a)/(b−a) = f'(c) = 1/c
を満たす c が a < c < b に存在する。
a < c < b より 1/b < 1/c < 1/a だから
1/b < (log b−log a)/(b−a) < 1/a ∎
ポイント 平均値の定理の使い方は「差の商を f'(c) に置き換え、c の範囲で評価」の一本槍。「存在する c」を不等式ではさむ、この間接的な論法が数IIIの証明の新しい型。
B3【方程式・不等式への応用】
B3-1解答を見る解答を隠す
解答
x = 0 は解でない(1 ≠ 0)ので、k = eˣ/x と分離できる。
g(x) = eˣ/x とおくと g'(x) = eˣ(x−1)/x²
x > 0:x = 1 で極小値 g(1) = e。x → +0 で +∞、x → ∞ で +∞。
x < 0:g'(x) < 0 で減少。x → −∞ で 0(に下から近づく)、x → −0 で −∞。
よって y = g(x) と y = k の共有点を数えて
k < 0 のとき 1 個/0 ≦ k < e のとき 0 個/k = e のとき 1 個/k > e のとき 2 個
ポイント 定数分離 → 増減+両端の極限でグラフの「値域の地図」を作る — 数IIIの解の個数は極値だけでなく極限(漸近のふるまい)が境目になるのが新しい。x < 0 の枝(負の値だけをとる)を忘れると k < 0 を落とす。
B3-2解答を見る解答を隠す
解答
《証明》f(x) = eˣ−1−x−x²/2 とおくと
f'(x) = eˣ−1−x
A7-1 より x > 0 で eˣ > 1+x、すなわち f'(x) > 0。
よって f(x) は x ≧ 0 で増加し、f(0) = 0 だから x > 0 で f(x) > 0
すなわち eˣ > 1+x+x²/2 ∎
ポイント 「微分したら1つ前の不等式が現れる」階段構造 — A7-1 → 本問 → eˣ > 1+x+x²/2+x³/6 → … と無限に続けられる(eˣ の多項式近似の芽)。証明済みの結果を f' の符号評価に使う連携が学びどころ。
B3-3解答を見る解答を隠す
解答
《証明》f(x) = x/e−log x とおくと f'(x) = 1/e−1/x = (x−e)/(ex)
0 < x < e で f' < 0、x > e で f' > 0 だから、f は x = e で最小値 f(e) = 1−1 = 0。
よって x > 0 で f(x) ≧ 0、すなわち log x ≦ x/e(等号は x = e) ∎
関係:y = x/e は B1-2 で求めた「原点を通る y = log x の接線」— この不等式は「log x のグラフ全体が接線 y = x/e の下側にある」ことを表している(上に凸な曲線は接線の下)。
ポイント 不等式・接線・凸性の三位一体:接線を求める(B1-2)ことと、接線ではさむ不等式(本問)は同じ現象の2つの顔。「凸性 → 接線との上下関係」という見方は評価問題の視力になる。
B4【グラフ総合・変化率】
B4-1解答を見る解答を隠す
解答
y' = 2xe⁻ˣ−x²e⁻ˣ = x(2−x)e⁻ˣ(第5章 B1-1)
y' = 0 ⇔ x = 0、2。増減:x < 0 減少、0 < x < 2 増加、x > 2 減少。
x = 0 で極小値 0、x = 2 で極大値 4/e²
y'' = (2−2x)e⁻ˣ−(2x−x²)e⁻ˣ = (x²−4x+2)e⁻ˣ
y'' = 0 ⇔ x = 2±√2 で、その前後で符号が変わるから 変曲点は x = 2±√2 の2点
極限:x → ∞ で y → 0(x 軸が漸近線)、x → −∞ で y → ∞。
概形:x ≦ 0 から下りてきて原点で底(接地)、x = 2 で山(高さ 4/e² ≒ 0.54)、2つの変曲点で反りを変えながら x 軸へ潰れていく曲線。
ポイント 「多項式 × e⁻ˣ」のグラフの完全版:y' も y'' も e⁻ˣ でくくれば多項式の符号問題に落ちる。原点で x 軸に接する(y = y' = 0)、遠方で 0 — この形は確率・統計の分布曲線にも通じる頻出プロファイル。
B4-2解答を見る解答を隠す
解答
速度ベクトルは (dx/dt, dy/dt) = (−2sin t, 2cos t)
速さ = √(4sin²t+4cos²t) = 2(一定)
加速度ベクトルは (−2cos t, −2sin t) で、大きさ = 2
ポイント 円運動の名場面:速さ一定でも速度(向き)は変わり続け、加速度は中心を向く(加速度ベクトル = −(位置ベクトル))。「加速度 ≠ スピードの変化」という概念の整理を、微分の計算が裏づける。
B4-3解答を見る解答を隠す
解答
体積 V = (4/3)πr³ を t で微分すると(r は t の関数)
dV/dt = 4πr²×(dr/dt)
r = 5、dr/dt = 1 を代入して dV/dt = 4π×25×1 = 100π (cm³/秒)
ポイント 関連変化率は「関係式を作ってから t で微分」(合成関数の微分が自動で dr/dt を連れてくる)。係数 4πr² が球の表面積であること — 「体積の増える速さ = 表面積 × 半径の伸びる速さ」の直観と一致 ○。
実戦問題(入試形式)
実戦6-1【log x/x のグラフと e^π vs π^e】★★★
f(x) = (log x)/x(x > 0)とする。
① f'(x) を求めよ。
② f(x) の増減を調べ、最大値を求めよ。
③ A7-2 の不等式 log t ≦ t−1 に t = √x を代入することにより、lim_{x→∞} f(x) = 0 を示せ。
④ e^π と π^e の大小を比較せよ。
実戦6-2【解の個数の総合】★★★
k を定数とする。方程式 x e⁻ˣ = k の異なる実数解の個数を、k の値によって分類せよ。ただし lim_{x→∞} x e⁻ˣ = 0 を用いてよい。
実戦問題 解答・解説
実戦6-1
考え方 ①②でグラフの山を特定 → ③で遠方のふるまいを不等式評価(はさみうち)→ ④で「f(e) と f(π) の比較」に翻訳 — 有名問題 e^π vs π^e が、関数 (log x)/x のグラフ1枚に還元される構成。
実戦6-1解答を見る解答を隠す
解答
① 商の公式より f'(x) = {(1/x)×x−log x}/x² = (1−log x)/x²
② f'(x) = 0 ⇔ log x = 1 ⇔ x = e
0 < x < e で f' > 0(増加)、x > e で f' < 0(減少)。
x = e で最大値 f(e) = 1/e
③ 《証明》log t ≦ t−1 に t = √x(x > 1)を代入すると
(1/2)log x ≦ √x−1 < √x → log x < 2√x
よって x > 1 で 0 < f(x) = log x/x < 2√x/x = 2/√x
lim_{x→∞} 2/√x = 0 だから、はさみうちの原理より lim_{x→∞} f(x) = 0 ∎
④ e < π で、②より f(x) は x > e で減少するから
f(e) > f(π) すなわち 1/e > (log π)/π
両辺に eπ(> 0)を掛けて π > e log π = log π^e
π = log e^π だから log e^π > log π^e
log は増加関数なので e^π > π^e
ポイント
• ③の「t への代入で √x を作る」は、既知の不等式を強い評価に化けさせる標準技 — logx は √x より遅い、が結論。
• ④の核心は「a^b と b^a の比較 → log をとって (log x)/x の値の比較」という翻訳。e^π ≒ 23.1、π^e ≒ 22.5 — 僅差の勝負をグラフの単調性が裁く名問。
実戦6-2
考え方 g(x) = xe⁻ˣ のグラフ(A6-2 で作成済み)と水平線 y = k の共有点を数える — 極大値 1/e と、遠方の極限 0 の「2つの境目」で場合が割れるのが数III流。
実戦6-2解答を見る解答を隠す
解答
g(x) = xe⁻ˣ とおくと g'(x) = (1−x)e⁻ˣ
増減:x < 1 で増加、x > 1 で減少。極大値 g(1) = 1/e。
極限:x → ∞ で g(x) → 0(正の側から)、x → −∞ で g(x) → −∞。
また g(0) = 0 で、x < 0 では g(x) < 0、x > 0 では g(x) > 0。
y = g(x) と y = k の共有点の個数を数えて
k > 1/e のとき 0 個
k = 1/e のとき 1 個
0 < k < 1/e のとき 2 個
k ≦ 0 のとき 1 個
ポイント
• k = 0 が「ちょうど1個(x = 0)」、0 < k < 1/e が「山の両側で2個」— x → ∞ で 0 に近づくが到達しないことが個数を分ける。極限は「見えない境界線」。
• グラフの部品(増減・極値・極限)がすべて既出(A6-2)— 良いグラフを1枚持っていれば、解の個数は「水平線を上下させて眺める」だけの作業になる。
第7章 積分法
微分の逆演算 — ただし数IIIの積分は「公式に当てはめる」だけでは進まず、「積分できる形へ変形する」工程が主役になる。2大技は置換積分(中身をおき換える)と部分積分(積を崩す)。終盤の区分求積法は「無限の和 = 積分」という、積分の本当の意味に触れるハイライト。 ※表記:∫[a→b] f(x)dx(a が下端、b が上端)。log x は自然対数。
この章の公式・要点まとめ
基本の不定積分(C は積分定数)
• ∫xᵖ dx = xᵖ⁺¹/(p+1)+C(p ≠ −1)/∫(1/x)dx = log|x|+C(p = −1 の特別枠)
• ∫eˣ dx = eˣ+C、∫aˣ dx = aˣ/log a+C
• ∫sin x dx = −cos x+C、∫cos x dx = sin x+C、∫(1/cos²x)dx = tan x+C
f(ax+b) 型:F を原始関数として ∫f(ax+b)dx = (1/a)F(ax+b)+C(中の傾き a で割る)
置換積分
• ∫f(g(x))g'(x)dx:u = g(x) とおくと ∫f(u)du(中身の微分が横にいる形を探す)
• 頻出形:∫{g'(x)/g(x)}dx = log|g(x)|+C(分子が分母の微分)
• 定積分では積分区間も u の区間に取り替える
部分積分
• ∫f g' dx = f g−∫f' g dx(積の微分の逆)
• 「微分すると簡単になる方(x、log x)を f に、積分しやすい方(eˣ、sin、cos)を g' に」
• ∫log x dx = x log x−x+C(log x = 1×log x と見る)
三角関数の積分
• sin²x、cos²x → 半角の公式で次数下げ(sin²x = (1−cos 2x)/2)
• sin x cos x → 2倍角/奇数乗(sin³x など)→ 1つ残して置換
定積分の性質
• 偶関数・奇関数(対称区間):奇関数は 0、偶関数は 2倍
• d/dx ∫[a→x] f(t)dt = f(x)/∫[a→b] f(t)dt は定数
区分求積法
• lim_{n→∞} (1/n) Σₖ₌₁ⁿ f(k/n) = ∫[0→1] f(x)dx(幅 1/n の長方形の総和 → 面積)
定積分と不等式:区間で f(x) ≦ g(x) ならば ∫f ≦ ∫g(積分は大小を保つ)
A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下
A1【不定積分の基本】★
A1-1
次の不定積分を求めよ。
① ∫(2x³+3/x²)dx
② ∫√x dx
A1-1解答を見る解答を隠す
解答
① ∫(2x³+3x⁻²)dx = x⁴/2−3x⁻¹+C = x⁴/2−3/x+C
② ∫x^(1/2)dx = (2/3)x^(3/2)+C = (2/3)x√x+C
ポイント 数IIと同じ「指数を1増やして割る」— ただし p が負・分数でも同じ公式が回る。答えを微分して戻る検算(10秒の保険)を習慣に。
A1-2(類題)
次の不定積分を求めよ。
① ∫(1/x)dx
② ∫³√x dx
A1-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① log|x|+C
② ∫x^(1/3)dx = (3/4)x^(4/3)+C = (3/4)x ³√x+C
ポイント 1/x だけは log|x| — 公式 xᵖ⁺¹/(p+1) が p = −1 で分母 0 になる穴を、log が埋めている。絶対値を忘れない(x < 0 でも成立させるため)。
A2【三角・指数の基本積分】★
A2-1
次の不定積分を求めよ。
① ∫(2cos x−3sin x)dx
② ∫dx/cos²x
A2-1解答を見る解答を隠す
解答
① 2sin x+3cos x+C
② tan x+C
ポイント 微分の表を「右から左へ」読む — (−cos x)' = sin x だから ∫sin x = −cos x:符号の出入りが三角積分の最頻出ミス。
A2-2(類題)
次の不定積分を求めよ。
① ∫(eˣ−1/x)dx
② ∫3ˣ dx
A2-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① eˣ−log|x|+C
② 3ˣ/log 3+C
ポイント (aˣ)' = aˣ log a の log a を「割って返す」のが ∫aˣ = aˣ/log a。e は log e = 1 だから何も付かない — e が「積分の世界の標準通貨」である理由。
A3【f(ax+b) 型】★★
A3-1
次の不定積分を求めよ。
① ∫(2x+1)⁴dx
② ∫cos 3x dx
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解答
① (1/2)×(2x+1)⁵/5+C = (2x+1)⁵/10+C
② (1/3)sin 3x+C
ポイント 中身が 1次式なら「普通に積分して、中の傾きで割る」— 合成関数の微分(×a)の逆再生(÷a)。微分して戻るかの検算が最も効くのがこの型。
A3-2(類題)
次の不定積分を求めよ。
① ∫e^(−2x)dx
② ∫dx/(3x+2)
A3-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① −(1/2)e^(−2x)+C
② (1/3)log|3x+2|+C
ポイント ①はマイナス(÷(−2))、②は log|1次式| ÷ 傾き — この2つが定積分・面積計算で毎回登場する基礎部品になる。
A4【置換積分(不定積分)】★★
A4-1
∫x(x²+1)³dx を求めよ。
A4-1解答を見る解答を隠す
解答
u = x²+1 とおくと du = 2x dx、すなわち x dx = (1/2)du
∫x(x²+1)³dx = (1/2)∫u³du = u⁴/8+C = (x²+1)⁴/8+C
ポイント 置換の合図は「中身の微分(2x)が外に(定数倍で)いる」こと — かたまり u と du の在庫確認をしてからおき換える。最後は必ず x の式に戻す。
A4-2(類題)
次の不定積分を求めよ。
① ∫sin²x cos x dx
② ∫2x/(x²+1)dx
A4-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① u = sin x とおくと du = cos x dx
∫u²du = u³/3+C = sin³x/3+C
② 分子 2x が分母 x²+1 の微分だから
log(x²+1)+C
ポイント ②の「●'/● = log|●|」は数IIIで最も回転数の多い公式(x²+1 > 0 なので絶対値不要)。①のように「1つ残して相方を u に」が三角の置換の型。
A5【部分積分(不定積分)】★★
A5-1
∫x eˣ dx を求めよ。
A5-1解答を見る解答を隠す
解答
f = x、g' = eˣ として
∫x eˣ dx = x eˣ−∫1×eˣ dx = x eˣ−eˣ+C = (x−1)eˣ+C
ポイント 部分積分 ∫fg' = fg−∫f'g:「微分して軽くなる x を f に、積分が楽な eˣ を g' に」— 役割分担を間違えると式が重くなる方向に進む。
A5-2(類題)
次の不定積分を求めよ。
① ∫x cos x dx
② ∫log x dx
A5-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① ∫x cos x dx = x sin x−∫sin x dx = x sin x+cos x+C
② log x = 1×log x と見て f = log x、g' = 1:
∫log x dx = x log x−∫x×(1/x)dx = x log x−x+C
ポイント ②の「1 を掛けて部分積分」は log 系の名品 — log x は「微分すると 1/x に軽くなる」ので f 側が定位置。結果 x log x−x は暗記級の頻出。
A6【定積分の計算】★★
A6-1
次の定積分を求めよ。
① ∫[0→π] sin x dx
② ∫[1→e] (1/x)dx
A6-1解答を見る解答を隠す
解答
① [−cos x] を 0 から π まで:(−cos π)−(−cos 0) = 1+1 = 2
② [log x] を 1 から e まで:log e−log 1 = 1−0 = 1
ポイント ①「sin の山1つ分の面積 = 2」②「1/x の 1〜e の面積 = 1」— どちらも今後何度も使う基準の値。上端−下端の順序は数IIと同じ。
A6-2(類題)
次の定積分を求めよ。
① ∫[0→1] x eˣ dx
② ∫[1→2] dx/x²
A6-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① A5-1 の結果を使って [(x−1)eˣ] を 0 から 1 まで:0−(−1) = 1
② [−1/x] を 1 から 2 まで:(−1/2)−(−1) = 1/2
ポイント 定積分は「不定積分(の1つ)を作ってから代入」— 部分積分の結果も原始関数としてそのまま使える。①の答え 1 の潔さも記憶に。
A7【三角関数の積分(次数下げ)】★★
A7-1
定積分 ∫[0→π] sin²x dx を求めよ。
A7-1解答を見る解答を隠す
解答
半角の公式 sin²x = (1−cos 2x)/2 より
∫[0→π] (1−cos 2x)/2 dx = [x/2−sin 2x/4] を 0 から π まで
= (π/2−0)−0 = π/2
ポイント 2乗の三角は半角で1次に下げる — sin²・cos² を見た瞬間の反射にする。「sin²x の 0〜π の積分 = π/2(区間の半分)」は回転体の体積で主役になる基準値。
A7-2(類題)
次の定積分を求めよ。
① ∫[0→π] cos²x dx
② ∫[0→π/2] sin x cos x dx
A7-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① cos²x = (1+cos 2x)/2 より、A7-1 と同様に π/2
② sin x cos x = (1/2)sin 2x より
(1/2)[−cos 2x/2] を 0 から π/2 まで = (1/4)+(1/4) = 1/2
ポイント sin²+cos² = 1 を 0〜π で積分すると π — ①と A7-1 の和が π になるのは当然、という検算の視点。②は u = sin x の置換でも同じ(2ルート確認)。
A8【定積分の置換積分】★★
A8-1
定積分 ∫[0→1] x(x²+1)³dx を求めよ。
A8-1解答を見る解答を隠す
解答
u = x²+1 とおくと du = 2x dx。x:0 → 1 のとき u:1 → 2。
∫[0→1] x(x²+1)³dx = (1/2)∫[1→2] u³du = (1/2)[u⁴/4] を 1 から 2 まで
= (1/2)×(16−1)/4 = 15/8
ポイント 定積分の置換は「区間も u の世界に引っ越す」— x に戻す必要がなくなるのが不定積分との違い(戻し忘れ・区間忘れの事故を同時に防げる)。
A8-2(類題)
次の定積分を求めよ。
① ∫[0→1] √(1−x²)dx(x = sin θ とおけ)
② ∫[0→1] dx/(1+x²)(x = tan θ とおけ)
A8-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① x = sin θ(0 ≦ θ ≦ π/2)とおくと dx = cos θ dθ、x:0 → 1 で θ:0 → π/2
√(1−sin²θ) = cos θ だから
∫[0→π/2] cos²θ dθ = π/4(A7-2)→ π/4
② x = tan θ とおくと dx = dθ/cos²θ、1+tan²θ = 1/cos²θ、x:0 → 1 で θ:0 → π/4
∫[0→π/4] dθ = π/4
ポイント √(a²−x²) には x = a sin θ、1/(a²+x²) には x = a tan θ — 三角置換の2大指定席。①は「単位円の 1/4 の面積 = π/4」そのもの:答えに π が現れる理由は円が隠れているから。
A9【偶関数・奇関数、定積分で表された関数】★★
A9-1
定積分 ∫[−π/2→π/2] (sin x+cos x)dx を求めよ。
A9-1解答を見る解答を隠す
解答
sin x は奇関数なので対称区間の積分は 0。cos x は偶関数なので
∫[−π/2→π/2] cos x dx = 2∫[0→π/2] cos x dx = 2[sin x] = 2×1 = 2
ポイント 対称区間では「奇関数は消え、偶関数は 2 倍」— 計算前の一瞥で仕事が半減する(第2巻第6章 A7 の拡張)。sin・奇数乗は奇、cos・偶数乗は偶。
A9-2(類題)
① d/dx ∫[1→x] log t dt を求めよ。
② 等式 f(x) = eˣ+2∫[0→1] f(t)dt を満たす関数 f(x) を求めよ。
A9-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① 上端が x の定積分の微分:log x
② ∫[0→1] f(t)dt は定数なので A とおくと f(x) = eˣ+2A
A = ∫[0→1] (e^t+2A)dt = (e−1)+2A
よって −A = e−1 → A = 1−e
f(x) = eˣ+2−2e
ポイント ①「積分して微分すると元どおり」②「上下端が数字の定積分 = ただの定数 A」— 第2巻第6章 B4 の2大原理が、関数の顔ぶれを変えて再登場。②は求めた f で A を再計算して一致を確認(A = 1−e ○)。
B問題(応用力養成)
※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B1・B2(置換と部分積分の応用)が計算力の天王山、B3(区分求積)は「和と積分の橋」。
B1【置換積分の応用】★★★
B1-1 定積分 ∫[1→2] x√(x−1) dx を求めよ。
B1-2 定積分 ∫[0→π/2] cos³x dx を求めよ。
B1-3 定積分 ∫[e→e²] dx/(x log x) を求めよ。
B2【部分積分の応用】★★★
B2-1 定積分 ∫[0→π] x sin x dx を求めよ。
B2-2 定積分 ∫[1→e] x log x dx を求めよ。
B2-3 不定積分 ∫eˣ sin x dx を求めよ。
B3【区分求積法】★★★
B3-1 極限 lim_{n→∞} (1/n){(1/n)²+(2/n)²+…+(n/n)²} を求めよ。
B3-2 極限 lim_{n→∞} {n/(n²+1²)+n/(n²+2²)+…+n/(n²+n²)} を求めよ。
B3-3 極限 lim_{n→∞} (1/n){sin(π/n)+sin(2π/n)+…+sin(nπ/n)} を求めよ。
B4【定積分と不等式・積分方程式】★★★
B4-1
k を自然数とする。
① k ≦ x ≦ k+1 のとき 1/(k+1) ≦ 1/x ≦ 1/k であることを用いて、1/(k+1) < ∫[k→k+1] dx/x < 1/k を示せ。
② ①を用いて、1+1/2+1/3+…+1/n > log(n+1) を示せ。
B4-2 F(x) = ∫[0→x] (x−t)e^t dt について、F'(x) を求めよ。
B4-3 連続関数 f(x) と定数 a が ∫[a→x] f(t)dt = eˣ−2 を満たすとき、f(x) と a を求めよ。
B問題 解答・解説
B1【置換積分の応用】
B1-1解答を見る解答を隠す
解答
u = x−1 とおくと x = u+1、dx = du。x:1 → 2 で u:0 → 1。
∫[0→1] (u+1)√u du = ∫[0→1] (u^(3/2)+u^(1/2))du
= [2u^(5/2)/5+2u^(3/2)/3] を 0 から 1 まで = 2/5+2/3 = 16/15
ポイント √(1次式) は「中身ごと u にして、余った x は u+1 で書き直す」— 展開すれば xᵖ の積分に落ちる。区間の引っ越し(1→2 が 0→1 に)も同時に。
B1-2解答を見る解答を隠す
解答
cos³x = cos²x×cos x = (1−sin²x)cos x
u = sin x とおくと du = cos x dx、x:0 → π/2 で u:0 → 1。
∫[0→1] (1−u²)du = 1−1/3 = 2/3
ポイント 奇数乗は「1つ残して残りを相方に書き換える」 — cos を1つ残し、cos² = 1−sin² で u = sin の世界へ。偶数乗(半角で次数下げ)との使い分けが三角積分の分岐点。
B1-3解答を見る解答を隠す
解答
u = log x とおくと du = dx/x。x:e → e² で u:1 → 2。
∫[1→2] du/u = [log u] = log 2−log 1 = log 2
ポイント 1/(x log x) = (1/log x)×(1/x) — 1/x が log x の微分である構造を見抜く。log の中に log が現れる「入れ子」も、置換1回で1階層ほどける。
B2【部分積分の応用】
B2-1解答を見る解答を隠す
解答
∫[0→π] x sin x dx = [x×(−cos x)] を 0 から π まで−∫[0→π] (−cos x)dx
= (π−0)+[sin x] を 0 から π まで = π+0 = π
ポイント 定積分の部分積分は「[fg] の代入と残りの積分を分けて処理」。x sin x(0〜π)= π はきれいな基準値 — 対称性(x = π/2 中心)から π×(sinの面積2)/2 = π と読む別視点もある。
B2-2解答を見る解答を隠す
解答
f = log x、g' = x として
∫[1→e] x log x dx = [x²/2×log x] を 1 から e まで−∫[1→e] (x²/2)×(1/x)dx
= e²/2−(1/2)∫[1→e] x dx = e²/2−(1/2)×(e²−1)/2 = (e²+1)/4
ポイント log が絡む積は必ず log を f(微分する側)に — 1/x に化けて x のべきと合流し、ただの多項式積分に落ちる。x を f にすると ∫x²/2 × … と log が生き残って泥沼。
B2-3解答を見る解答を隠す
解答
I = ∫eˣ sin x dx とおく。部分積分を2回:
I = eˣ sin x−∫eˣ cos x dx = eˣ sin x−(eˣ cos x+∫eˣ sin x dx)
= eˣ(sin x−cos x)−I
よって 2I = eˣ(sin x−cos x) より
I = (1/2)eˣ(sin x−cos x)+C
ポイント eˣ × 三角 は部分積分を2回すると同じ積分 I が右辺に再登場する — 「I の方程式」として解くのが名物の型。検算:微分して eˣ sin x に戻る ○。
B3【区分求積法】
考え方 和を (1/n)Σ f(k/n) の形に整形できれば、lim = ∫[0→1] f(x)dx — 「幅 1/n の長方形 n 本の面積和が、n → ∞ で曲線の下の面積になる」。k/n のかたまりを作るのが技術のすべて。
B3-1解答を見る解答を隠す
解答
与式 = lim_{n→∞} (1/n)Σₖ₌₁ⁿ (k/n)²
f(x) = x² の区分求積だから
= ∫[0→1] x²dx = 1/3
ポイント もっとも基本の形 — Σk² の公式(第2巻第7章)で計算して極限をとっても 1/3 に一致する。「和の公式が使えない関数でも積分なら計算できる」のが区分求積の存在価値。
B3-2解答を見る解答を隠す
解答
n/(n²+k²) = (1/n)×1/{1+(k/n)²} だから
与式 = lim_{n→∞} (1/n)Σₖ₌₁ⁿ 1/{1+(k/n)²}
= ∫[0→1] dx/(1+x²) = π/4(A8-2 ②)
ポイント 「分母・分子を n² で割って k/n を作る」整形が主役。答えに π が出る驚き — 有理数の和の極限に円周率が現れるのは、背後に tan の置換(円)がいるから。
B3-3解答を見る解答を隠す
解答
与式 = lim_{n→∞} (1/n)Σₖ₌₁ⁿ sin(kπ/n) = lim_{n→∞} (1/n)Σₖ₌₁ⁿ f(k/n)(f(x) = sin πx)
= ∫[0→1] sin πx dx = [−cos πx/π] を 0 から 1 まで = (1/π)+(1/π) = 2/π
ポイント kπ/n = π×(k/n) と読んで f(x) = sin πx — 角の中の k/n を見抜く。第4章 実戦4-2(多角形→円)と同じ「分割して足して極限」が、公式として整備された姿。
B4【定積分と不等式・積分方程式】
B4-1解答を見る解答を隠す
解答
① 《証明》k ≦ x ≦ k+1 で 1/(k+1) ≦ 1/x ≦ 1/k。等号が常には成り立たないので、辺々を k から k+1 まで積分すると(積分は大小を保つ)
1/(k+1) = ∫[k→k+1] dx/(k+1) < ∫[k→k+1] dx/x < ∫[k→k+1] dx/k = 1/k ∎
② 《証明》①の右側の不等式 ∫[k→k+1] dx/x < 1/k を k = 1, 2, …, n について辺々加えると
Σₖ₌₁ⁿ ∫[k→k+1] dx/x < Σₖ₌₁ⁿ 1/k
左辺は区間がつながって ∫[1→n+1] dx/x = log(n+1)
よって 1+1/2+…+1/n > log(n+1) ∎
ポイント 「階段(和)と曲線(積分)を面積で比較」— 区分求積の兄弟にあたる評価技術。この不等式から「調和級数 Σ1/k は発散する」(log(n+1) → ∞)という有名な事実が従う — 第4章「lim aₙ = 0 でも級数は収束するとは限らない」の実例。
B4-2解答を見る解答を隠す
解答
t の積分では x は定数なので、x を積分の外に出す:
F(x) = x∫[0→x] e^t dt−∫[0→x] t e^t dt
第1項の微分は(積の微分)∫[0→x] e^t dt+x eˣ、第2項の微分は x eˣ。
F'(x) = ∫[0→x] e^t dt+x eˣ−x eˣ = [e^t] を 0 から x まで = eˣ−1
ポイント (x−t) 型は「x を外に出してから微分」 — そのまま d/dx∫ = 中身、とやるのは誤り(中身にも x がいる)。x∫…dt の微分に積の公式が要る点が急所。
B4-3解答を見る解答を隠す
解答
両辺を x で微分して f(x) = eˣ
x = a を代入すると左辺は 0 だから 0 = eᵃ−2 → a = log 2
ポイント 変数上端の積分方程式の2大操作「微分して f を出す/x = a を代入して a を出す」(第2巻第6章 B4-3 の数III版)。両方やって初めて完答。
実戦問題(入試形式)
実戦7-1【(log x)ⁿ の定積分と漸化式】★★★
Iₙ = ∫[1→e] (log x)ⁿ dx(n は自然数)とする。
① I₁ を求めよ。
② n ≧ 2 のとき、部分積分により Iₙ = e−n Iₙ₋₁ が成り立つことを示せ。
③ I₂、I₃ を求めよ。
実戦7-2【区分求積の総合】★★★
① 極限 lim_{n→∞} (1/n){√(1/n)+√(2/n)+…+√(n/n)} を求めよ。
② 定積分 ∫[0→1] log(1+x)dx を求めよ。
③ 極限 lim_{n→∞} [{(n+1)(n+2)…(2n)}/nⁿ]^(1/n) を求めよ。
実戦問題 解答・解説
実戦7-1
考え方 (log x)ⁿ は直接は積分できない — 部分積分で指数 n を1つ下げる「漸化式」を作り、I₁ から積み上げる。定積分の漸化式は入試の大定番(sinⁿ、xⁿeˣ でも同じ思想)。
実戦7-1解答を見る解答を隠す
解答
① I₁ = ∫[1→e] log x dx = [x log x−x] を 1 から e まで = (e−e)−(0−1) = 1
② 《証明》f = (log x)ⁿ、g' = 1 として部分積分:
Iₙ = [x(log x)ⁿ] を 1 から e まで−∫[1→e] x×n(log x)ⁿ⁻¹×(1/x)dx
= (e×1−0)−n∫[1→e] (log x)ⁿ⁻¹dx = e−n Iₙ₋₁ ∎
③ I₂ = e−2I₁ = e−2
I₃ = e−3I₂ = e−3(e−2) = 6−2e
ポイント
• ②の [x(log x)ⁿ] は x = e で e、x = 1 で 0 — log 1 = 0、log e = 1 が区間 [1, e] を漸化式に最適な舞台にしている。
• 検算の感覚:区間 [1, e] で 0 ≦ log x ≦ 1 だから 0 < Iₙ < e−1、しかも n が増えるほど小さくなるはず — I₁ = 1 > I₂ = e−2 ≒ 0.72 > I₃ = 6−2e ≒ 0.56 ○。
実戦7-2
考え方 ①②は部品作り、③が本番 — 「積の n 乗根は、log をとると (1/n)Σ の形になる」という翻訳で、②の定積分が③の答えを与える。log が「積を和に変える」(第2巻第5章)ことと区分求積の合体技。
実戦7-2解答を見る解答を隠す
解答
① 与式 = lim (1/n)Σₖ₌₁ⁿ √(k/n) = ∫[0→1] √x dx = [2x^(3/2)/3] = 2/3
② 部分積分(f = log(1+x)、g' = 1)で
∫[0→1] log(1+x)dx = [(1+x)log(1+x)−(1+x)] を 0 から 1 まで
= (2log 2−2)−(0−1) = 2log 2−1
③ 与式を aₙ とおき、対数をとると
log aₙ = (1/n){log((n+1)/n)+log((n+2)/n)+…+log((2n)/n)}
= (1/n)Σₖ₌₁ⁿ log(1+k/n)
区分求積法より lim_{n→∞} log aₙ = ∫[0→1] log(1+x)dx = 2log 2−1
log は連続だから lim aₙ = e^(2log2−1) = e^(log4)/e = 4/e
ポイント
• ②の原始関数は「(1+x)log(1+x)−(1+x)」— ∫log x = x log x−x の平行移動版(u = 1+x の置換でも同じ)。
• ③の型「積・累乗根の極限 → log をとって区分求積」は最上位の定番。答え 4/e ≒ 1.47 — n 個の因数の"幾何平均的な大きさ"が 4/e という美しい着地。
第8章 積分法の応用
積分の使い道 — 面積・体積・曲線の長さ・道のり。発想はすべて同じ「細かく切って足す」:面積は細い長方形、体積は薄い断面、長さは短い線分の総和。公式は3本柱 — 面積 ∫(上−下)、回転体 π∫y²dx、長さ ∫√(1+(y')²)dx。第7章の計算力がそのまま得点になる、数IIIの集大成。
この章の公式・要点まとめ
面積
• 曲線と x 軸:S = ∫[a→b] |f(x)|dx(下側はマイナスを付けて正に)
• 2曲線間:S = ∫[a→b] {(上)−(下)}dx — 上下確認が第一
• y 軸方向:S = ∫[c→d] {(右)−(左)}dy(x について解く)
• 媒介変数の曲線:S = ∫y dx = ∫y (dx/dt)dt(区間も t に取り替える)
体積
• 断面積 S(x) が分かる立体:V = ∫[a→b] S(x)dx(薄切りの総和)
• x 軸回転体:V = π∫[a→b] y²dx(断面が半径 |y| の円)
• y 軸回転体:V = π∫[c→d] x²dy
• 2曲線間の回転:V = π∫{(外側)²−(内側)²}dx(2乗してから引く)
曲線の長さ
• y = f(x):L = ∫[a→b] √(1+(y')²)dx
• 媒介変数:L = ∫[α→β] √((dx/dt)²+(dy/dt)²)dt(三平方の極限)
速度と道のり
• 位置の変化 = ∫v dt(符号つき)/道のり = ∫|v|dt(符号なし)
• 平面上:道のり = ∫√((dx/dt)²+(dy/dt)²)dt(= 曲線の長さと同じ式)
A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下
A1【曲線と x 軸の間の面積】★
A1-1
曲線 y = eˣ と x 軸、y 軸、直線 x = 1 で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
A1-1解答を見る解答を隠す
解答
eˣ > 0 なので
S = ∫[0→1] eˣdx = [eˣ] を 0 から 1 まで = e−1
ポイント 面積の3手順「①交わり・区間 ②上下(符号)確認 ③積分」は数IIと同一 — 積分できる関数が増えただけ。e−1 ≒ 1.72 の量感も持つ。
A1-2(類題)
次の図形の面積を求めよ。
① 曲線 y = 1/x と x 軸、直線 x = 1、x = e で囲まれた図形
② 曲線 y = sin x(0 ≦ x ≦ π)と x 軸で囲まれた図形
A1-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
① S = ∫[1→e] dx/x = [log x] = 1
② S = ∫[0→π] sin x dx = 2(第7章 A6-1)
ポイント 「1/x の 1〜e:面積 1」「sin の山:面積 2」— この2つは面積の"度量衡"。ここを暗算で通過できると応用問題の景色が変わる。
A2【2曲線間の面積】★★
A2-1
曲線 y = √x と直線 y = x で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
A2-1解答を見る解答を隠す
解答
交点:√x = x → x = x²(x ≧ 0)→ x = 0、1
0 ≦ x ≦ 1 では √x ≧ x(例:x = 1/4 で 1/2 > 1/4)。
S = ∫[0→1] (√x−x)dx = [2x^(3/2)/3−x²/2] = 2/3−1/2 = 1/6
ポイント (上)−(下)の確認は中間の1点代入が確実。答え 1/6 — y = x² と y = x の間(数IIの1/6公式)と同じ値になるのは、y = √x が y = x² の逆関数(y = x 対称)だから。
A2-2(類題)
曲線 y = eˣ、直線 y = e、y 軸で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
A2-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
y = eˣ と y = e の交点は x = 1。0 ≦ x ≦ 1 で e ≧ eˣ。
S = ∫[0→1] (e−eˣ)dx = [ex−eˣ] を 0 から 1 まで = (e−e)−(0−1) = 1
ポイント 「横線 y = e が上、曲線が下」の素直な差。答えの 1 は、A1-1 の e−1 と合わせて縦 e×横 1 の長方形(面積 e)を2分している — 図で検算できる関係。
A3【三角関数と面積】★★
A3-1
0 ≦ x ≦ π/4 の範囲で、2曲線 y = cos x、y = sin x と y 軸で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
A3-1解答を見る解答を隠す
解答
この範囲では cos x ≧ sin x。
S = ∫[0→π/4] (cos x−sin x)dx = [sin x+cos x] を 0 から π/4 まで
= √2−1 → √2−1
ポイント [sin x+cos x] の上端 π/4 で √2/2+√2/2 = √2 — 合成 √2 sin(x+π/4) の最大値が顔を出す。三角の面積は端点の値の美しさまで味わう。
A3-2(類題)
曲線 y = tan x(0 ≦ x ≦ π/3)と x 軸、直線 x = π/3 で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
A3-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
tan x = sin x/cos x で、分子が分母の微分の(−1)倍だから
S = ∫[0→π/3] tan x dx = [−log|cos x|] を 0 から π/3 まで
= −log(1/2)+log 1 = log 2
ポイント ∫tan x dx = −log|cos x|+C は「●'/● = log|●|」(第7章 A4-2)の代表例 — 導出ごと覚える。答えが log になるのは 1/x 系の面積の親戚だから。
A4【回転体の体積(x 軸)】★★
A4-1
半円 y = √(4−x²)(−2 ≦ x ≦ 2)を x 軸のまわりに1回転してできる立体(球)の体積 V を求めよ。
A4-1解答を見る解答を隠す
解答
V = π∫[−2→2] (4−x²)dx = 2π∫[0→2] (4−x²)dx(偶関数)
= 2π[4x−x³/3] を 0 から 2 まで = 2π(8−8/3) = 32π/3
ポイント 結果は (4/3)π×2³ — 球の体積公式 (4/3)πr³ が回転体の積分から導かれる瞬間。π∫y²dx は「半径 y の円盤を厚み dx で積む」意味ごと理解する。
A4-2(類題)
曲線 y = sin x(0 ≦ x ≦ π)と x 軸で囲まれた図形を、x 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V を求めよ。
A4-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
V = π∫[0→π] sin²x dx = π×π/2 = π²/2(第7章 A7-1)
ポイント 回転体では y² が現れる → 三角なら必ず半角で次数下げ — 第7章 A7 の「sin² の積分 = 区間の半分」がそのまま体積の主計算になる。
A5【回転体の体積(y 軸・2曲線間)】★★
A5-1
曲線 y = x²、直線 y = 4、y 軸で囲まれた図形(x ≧ 0)を、y 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V を求めよ。
A5-1解答を見る解答を隠す
解答
x² = y だから
V = π∫[0→4] x²dy = π∫[0→4] y dy = π[y²/2] = 8π
ポイント y 軸回転は「x² を y の式にして dy で積分」— 主役の変数が y に交代する。x について解く(逆関数を作る)処理が入口。
A5-2(類題)
曲線 y = x² と直線 y = x で囲まれた図形を、x 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V を求めよ。
A5-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
交点は x = 0、1。0 ≦ x ≦ 1 で x ≧ x²(直線が外側)。
V = π∫[0→1] {x²−(x²)²}dx = π∫[0→1] (x²−x⁴)dx = π(1/3−1/5) = 2π/15
ポイント 2曲線間の回転体は「(外)²−(内)² を積分」— 先に差をとってから2乗する誤り {(x−x²)²} が最頻出事故。ドーナツの断面(外円−内円)を思い浮かべる。
A6【曲線の長さ】★★
A6-1
曲線 y = (2/3)x^(3/2)(0 ≦ x ≦ 1)の長さ L を求めよ。
A6-1解答を見る解答を隠す
解答
y' = x^(1/2) = √x だから 1+(y')² = 1+x
L = ∫[0→1] √(1+x)dx = [2(1+x)^(3/2)/3] を 0 から 1 まで
= (2/3)(2√2−1) → (2/3)(2√2−1)
ポイント 長さの公式 √(1+(y')²) は「微小な直角三角形の斜辺 √(dx²+dy²)」の積み上げ — 1+(y')² が平方や1次式に化ける関数だけが出題される(逆算で作られている)。
A6-2(類題)
媒介変数で表された曲線 x = cos t、y = sin t(0 ≦ t ≦ π)の長さ L を求めよ。
A6-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
dx/dt = −sin t、dy/dt = cos t
L = ∫[0→π] √(sin²t+cos²t)dt = ∫[0→π] 1 dt = π
ポイント 答えは半径 1 の半円周 π — 公式が円周の長さを正しく再現することの確認。媒介変数版 √((dx/dt)²+(dy/dt)²) は「速さを時間で積分 = 道のり」と同じ式(A7 へ)。
A7【速度と道のり】★★
A7-1
数直線上を動く点の速度が v(t) = 2t−4(0 ≦ t ≦ 3)であるとき、位置の変化量と道のりを求めよ。
A7-1解答を見る解答を隠す
解答
位置の変化 = ∫[0→3] (2t−4)dt = [t²−4t] = 9−12 = −3
v の符号は t = 2 で − から + に変わるから
道のり = ∫[0→2] (4−2t)dt+∫[2→3] (2t−4)dt = 4+1 = 5
ポイント 変化量は符号つき、道のりは |v| の積分 — 「戻った分も歩いた距離に数える」のが道のり。v = 0 の時刻で区間を切るのが唯一の手間。
A7-2(類題)
平面上を動く点 P の座標が x = cos t、y = sin t(0 ≦ t ≦ 2π)であるとき、P が動いた道のりを求めよ。
A7-2(類題)解答を見る解答を隠す
解答
速さ = √(sin²t+cos²t) = 1
道のり = ∫[0→2π] 1 dt = 2π
ポイント 単位円を1周 — 道のり = 円周 2π ○。「道のり = 速さの積分 = 軌跡の長さ」で、A6-2 と同じ計算が物理の顔で再登場している。
B問題(応用力養成)
※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B1-3・B3-1(サイクロイド)は媒介変数の集大成、B2-3(断面積)は「切って足す」の真髄。
B1【面積の応用】★★★
B1-1 曲線 y = √x と曲線 y = x² で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
B1-2 曲線 y = eˣ と、原点からこの曲線に引いた接線、および y 軸で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
B1-3 サイクロイド x = t−sin t、y = 1−cos t(0 ≦ t ≦ 2π)と x 軸で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
B2【体積の応用】★★★
B2-1 曲線 y = eˣ(0 ≦ x ≦ 1)と x 軸、y 軸、直線 x = 1 で囲まれた図形を、x 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V を求めよ。
B2-2 曲線 y = log x(1 ≦ x ≦ e)と y 軸、x 軸、直線 y = 1 で囲まれた図形(曲線の左側の部分)を、y 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V を求めよ。
B2-3 底面が半径 1 の円である立体を、底面の直径に垂直な平面で切ると、切り口はつねに正方形になる。この立体の体積 V を求めよ。
B3【曲線の長さ・道のりの応用】★★★
B3-1 サイクロイド x = t−sin t、y = 1−cos t(0 ≦ t ≦ 2π)の長さ L を求めよ。
B3-2 カテナリー(懸垂線)y = (eˣ+e⁻ˣ)/2(0 ≦ x ≦ 1)の長さ L を求めよ。
B3-3 数直線上を動く点の速度が v(t) = sin t(0 ≦ t ≦ 2π)であるとき、位置の変化量と道のりを求めよ。
B4【面積・体積の総合】★★★
B4-1 0 ≦ x ≦ π の範囲で、2曲線 y = sin x と y = sin 2x で囲まれた図形の面積の総和 S を求めよ。
B4-2 曲線 y = 1/x、x 軸、直線 x = 1、x = e² で囲まれた図形の面積を、直線 x = a(1 < a < e²)が2等分するとき、a の値を求めよ。
B4-3 曲線 y = √x と直線 y = x で囲まれた図形を、x 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V を求めよ。
B問題 解答・解説
B1【面積の応用】
B1-1解答を見る解答を隠す
解答
交点:√x = x² → x = x⁴ → x(x³−1) = 0 → x = 0、1
0 ≦ x ≦ 1 で √x ≧ x²。
S = ∫[0→1] (√x−x²)dx = [2x^(3/2)/3−x³/3] = 2/3−1/3 = 1/3
ポイント y = √x と y = x² は y = x に関して対称(互いに逆関数)— 囲む図形も対称で、A2-1 の 1/6 が2枚分(1/6×2 = 1/3)という対称性による検算が効く。
B1-2解答を見る解答を隠す
解答
接線は y = ex(第6章 B1-1、接点 (1, e))。
0 ≦ x ≦ 1 で eˣ ≧ ex(下に凸な曲線は接線の上)。
S = ∫[0→1] (eˣ−ex)dx = [eˣ−ex²/2] を 0 から 1 まで
= (e−e/2)−1 = e/2−1
ポイント 「凸な曲線と接線の間」— 上下判定は凸性で即断できる(第6章 B3-3 の視点)。接点 x = 1 で差が 0 になる(囲みが閉じる)構造も図で確認。
B1-3解答を見る解答を隠す
解答
x = t−sin t より dx = (1−cos t)dt。t:0 → 2π が x:0 → 2π に対応。
S = ∫[x:0→2π] y dx = ∫[0→2π] (1−cos t)(1−cos t)dt = ∫[0→2π] (1−cos t)²dt
= ∫[0→2π] (1−2cos t+cos²t)dt = 2π−0+π = 3π
ポイント 媒介変数の面積は「y dx の dx を (dx/dt)dt に翻訳」— x に直せない曲線でも面積が出る。cos²t の 0〜2π の積分 = π(区間の半分)を即答できるか(第7章 A7)。答え 3π = 円の面積 π の3倍は覚える価値のある名結果。
B2【体積の応用】
B2-1解答を見る解答を隠す
解答
V = π∫[0→1] (eˣ)²dx = π∫[0→1] e^(2x)dx = π[e^(2x)/2] を 0 から 1 まで
= π(e²−1)/2
ポイント (eˣ)² = e^(2x) — 指数法則で2乗を指数の2倍に。∫e^(2x) = e^(2x)/2(第7章 A3-2 の f(ax+b) 型)まで一直線。
B2-2解答を見る解答を隠す
解答
y = log x を x について解くと x = e^y。y:0 → 1。
V = π∫[0→1] x²dy = π∫[0→1] e^(2y)dy = π(e²−1)/2
ポイント B2-1 とまったく同じ値になるのは偶然でない — 2つの立体は y = x に関する対称(逆関数の関係)で、x 軸回転と y 軸回転が互いに移り合うから。「答えの一致に理由を見つける」姿勢が力になる。
B2-3解答を見る解答を隠す
解答
底面の円を x²+y² ≦ 1 とし、x 軸に垂直な平面で切る。
位置 x での切り口の正方形の1辺は 2√(1−x²) だから、断面積は
S(x) = {2√(1−x²)}² = 4(1−x²)
V = ∫[−1→1] 4(1−x²)dx = 8∫[0→1] (1−x²)dx = 8×(1−1/3) = 16/3
ポイント 回転体でなくても「断面積を積分」で体積は出る — V = ∫S(x)dx が体積の本当の定義(π∫y² はその特別な場合)。切り口の1辺 = 弦の長さ 2√(1−x²)、を図で確定させるのが勝負。
B3【曲線の長さ・道のりの応用】
B3-1解答を見る解答を隠す
解答
dx/dt = 1−cos t、dy/dt = sin t
(dx/dt)²+(dy/dt)² = (1−cos t)²+sin²t = 2−2cos t = 4sin²(t/2)
0 ≦ t ≦ 2π で sin(t/2) ≧ 0 だから
L = ∫[0→2π] 2sin(t/2)dt = 2[−2cos(t/2)] を 0 から 2π まで = 2(2+2) = 8
ポイント 2−2cos t = 4sin²(t/2)(半角の公式)で √ が外れる — サイクロイドの計算はこの1手が心臓。√ を外すとき sin(t/2) の符号確認(0 ≦ t/2 ≦ π で非負)を忘れない。長さ 8 = 半径の8倍、面積 3π とともに暗記級の名数値。
B3-2解答を見る解答を隠す
解答
y' = (eˣ−e⁻ˣ)/2
1+(y')² = 1+(e^(2x)−2+e^(−2x))/4 = (e^(2x)+2+e^(−2x))/4 = {(eˣ+e⁻ˣ)/2}²
よって √(1+(y')²) = (eˣ+e⁻ˣ)/2(> 0)
L = ∫[0→1] (eˣ+e⁻ˣ)/2 dx = [(eˣ−e⁻ˣ)/2] を 0 から 1 まで = (e−1/e)/2
ポイント カテナリーは「1+(y')² が完全平方になる」奇跡の曲線(電線のたるみの形)。(eˣ±e⁻ˣ)/2 のペアが微分で入れ替わる構造 — 双曲線関数 cosh・sinh の入り口でもある。
B3-3解答を見る解答を隠す
解答
位置の変化 = ∫[0→2π] sin t dt = [−cos t] = (−1)−(−1) = 0
sin t は 0 ≦ t ≦ π で正、π ≦ t ≦ 2π で負だから
道のり = ∫[0→π] sin t dt+∫[π→2π] (−sin t)dt = 2+2 = 4
ポイント 「行って戻って元の位置(変化 0)、でも歩いた道のりは 4」— 振動運動の1往復。|v| の積分は符号の変わり目 t = π で区間を割る、A7-1 と同じ作法。
B4【面積・体積の総合】
B4-1解答を見る解答を隠す
解答
交点:sin 2x = sin x → 2sin x cos x−sin x = sin x(2cos x−1) = 0
→ x = 0、π/3、π
0 ≦ x ≦ π/3 では sin 2x ≧ sin x、π/3 ≦ x ≦ π では sin x ≧ sin 2x。
S₁ = ∫[0→π/3] (sin 2x−sin x)dx = [−cos 2x/2+cos x] を 0 から π/3 まで
= (1/4+1/2)−(−1/2+1) = 1/4
S₂ = ∫[π/3→π] (sin x−sin 2x)dx = [−cos x+cos 2x/2] を π/3 から π まで
= (1+1/2)−(−1/2−1/4) = 9/4
S = S₁+S₂ = 1/4+9/4 = 5/2
ポイント 交点で上下が入れ替わる → 区間を切ってそれぞれ正の向きに — まとめて積分すると打ち消される(第2巻第6章 B5-2 の罠と同じ)。sin x(2cos x−1) = 0 の因数分解が交点調べの入口。
B4-2解答を見る解答を隠す
解答
全体の面積は ∫[1→e²] dx/x = log e² = 2。
2等分の条件は ∫[1→a] dx/x = 1、すなわち log a = 1
よって a = e
ポイント 1/x の面積は log がそのまま「面積の目盛り」— log a = (1 から a までの面積) という見方をすれば、2 の半分 1 を与える a = e は一瞬。e とは「1/x の下の面積がちょうど 1 になる地点」という、e のもう1つの定義に触れる問題。
B4-3解答を見る解答を隠す
解答
交点は x = 0、1。0 ≦ x ≦ 1 で √x ≧ x(外側が √x)。
V = π∫[0→1] {(√x)²−x²}dx = π∫[0→1] (x−x²)dx = π(1/2−1/3) = π/6
ポイント 「外² − 内²」の型(A5-2 と同じ)— (√x)² = x で式が一気に軽くなる。面積 1/6(A2-1)と体積 π/6 — 同じ図形の2つの顔を並べて仕上げる。
実戦問題(入試形式)
実戦8-1【e⁻ˣ の面積・体積と無限への極限】★★★
a > 0 とし、曲線 y = e⁻ˣ、x 軸、y 軸、直線 x = a で囲まれた図形を D とする。
① D の面積 S(a) を求めよ。
② lim_{a→∞} S(a) を求めよ。
③ D を x 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V(a) を求めよ。
④ lim_{a→∞} V(a) を求めよ。
実戦8-2【y = log x の面積と2つの回転体】★★★
曲線 y = log x、x 軸、直線 x = e で囲まれた図形を D とする。
① D の面積 S を求めよ。
② D を x 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V₁ を求めよ。
③ D を y 軸のまわりに1回転してできる立体の体積 V₂ を求めよ。
実戦問題 解答・解説
実戦8-1
考え方 有限の a で面積・体積を出し(①③)、a → ∞ の極限をとる(②④)— 「無限に伸びる図形が有限の面積・体積をもつ」数IIIならではの現象を体験する構成。e⁻ˣ が 0 に潰れる速さ(第4章)がすべてを支える。
実戦8-1解答を見る解答を隠す
解答
① S(a) = ∫[0→a] e⁻ˣdx = [−e⁻ˣ] を 0 から a まで = 1−e⁻ᵃ
② a → ∞ で e⁻ᵃ → 0 だから lim S(a) = 1
③ V(a) = π∫[0→a] e^(−2x)dx = π[−e^(−2x)/2] を 0 から a まで = π(1−e^(−2a))/2
④ lim V(a) = π/2
ポイント
• 「無限に長いのに面積は 1、体積は π/2」— 指数関数の減衰はすそ野の寄与を有限に抑え込むほど速い(多項式 1/x では ∫[1→∞] が発散:B4-2 の log の伸びと対照)。
• ②④のように「まず有限区間で計算 → 極限」は、広い意味の積分(広義積分)への正式な入り口 — 答案の書式ごと覚える。
実戦8-2
考え方 1つの図形 D を「面積 → x 軸回転 → y 軸回転」と3通りに測る総合問題。②で (log x)² の積分 = 第7章 実戦7-1 の I₂ がそのまま使え、③は逆関数 x = e^y に乗り換えて washer(外² − 内²) — 前章との連携が試される。
実戦8-2解答を見る解答を隠す
解答
① S = ∫[1→e] log x dx = [x log x−x] を 1 から e まで = 0−(−1) = 1
② V₁ = π∫[1→e] (log x)²dx
部分積分で ∫[1→e] (log x)²dx = [x(log x)²]−2∫[1→e] log x dx = e−2×1 = e−2
よって V₁ = π(e−2)
③ y = log x ⇔ x = e^y。D を y 軸回転すると、高さ y(0 ≦ y ≦ 1)での断面は
外半径 e(直線 x = e)、内半径 e^y(曲線)の円環。
V₂ = π∫[0→1] {e²−(e^y)²}dy = π∫[0→1] (e²−e^(2y))dy
= π[e²y−e^(2y)/2] を 0 から 1 まで = π{(e²−e²/2)−(−1/2)} = π(e²+1)/2
ポイント
• ②の ∫(log x)² = e−2 は実戦7-1 の漸化式 I₂ = e−2I₁ の再演 — 章をまたいで部品が再利用されるのが数IIIの試験の実際。
• ③は「y で切るとドーナツ型(外 e、内 e^y)」の見取りがすべて — 回転軸に垂直に切る、外²−内²、逆関数への乗り換え、と本章の技術の総集編。
おわりに
「数学III・C 例題マスター」全8章、お疲れさまでした。
数学C(第1〜3章:ベクトル/複素数平面/式と曲線)+数学III(第4〜8章:関数と極限/微分法/微分法の応用/積分法/積分法の応用)を収録しています。
第1巻(数学I・A)・第2巻(数学II・B)と合わせて、高校数学全範囲をカバーしています。