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数学II・B

数学II・B 例題マスター

〜 問題で学ぶ・基礎網羅から共通テストまで 〜


本書の構成と使い方

第1巻「数学I・A 例題マスター」と同じ、問題を解きながら学ぶ例題ベースの参考書です。

区分 レベル 解答の位置 ねらい
A問題 教科書基礎(★) 問題のすぐ下 学習指導要領の基礎範囲を全網羅。各テーマ最低2問
B問題 応用・入試基礎(★★〜★★★) 章末にまとめて 各テーマ最低3問。つまずきやすい単元は増量
実戦問題 共通テスト形式 章末にまとめて 誘導つき穴埋め。「誘導の意図」を読む練習

A問題の型:問題 →「解答」→「ポイント」
B問題・実戦の型:「考え方」→「解答」→「ポイント」

使い方
1. 各章冒頭の「公式・要点まとめ」に目を通す
2. A問題を上から順に。解答を隠して自力で→照合→ポイントを音読
3. B問題は考え方を自分で言葉にしてから。詰まったら5分で解説へ→翌日再挑戦
4. 実戦問題は誘導(前の設問)を使う意識で

記号の凡例 ①②③… = 小問の番号 / (i)(ii)(iii) = 解答内の場合分け / [ア][イ] = マーク欄(共通テスト形式) / (あ)(い)(う)… = 選択肢

数学II・B・Cの試験範囲について 共通テスト「数学II・B・C」は数学II全範囲が必答、数学B「数列」「統計的な推測」と数学C「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」から3分野選択。本書は数学II(第1〜6章)+数学B(第7〜8章)を扱い、ベクトルなど数Cは第3巻(数学III・C)で扱う。


目次


第1章 式と証明

数IIの入り口の章。前半は計算体力(3次式・二項定理・割り算・分数式)、後半は論証の型(等式・不等式の証明)を身につける。最初の関門は不等式の証明と相加相乗平均 — とくに「等号成立の確認」を怠る癖がつくと後々まで失点が続くので、ここで徹底する。


この章の公式・要点まとめ

3次式の展開・因数分解
• (a+b)³ = a³+3a²b+3ab²+b³ / (a−b)³ = a³−3a²b+3ab²−b³
• (a+b)(a²−ab+b²) = a³+b³ / (a−b)(a²+ab+b²) = a³−b³
• 因数分解は逆向きに:a³+b³ = (a+b)(a²−ab+b²)(「真ん中の符号が逆・係数1」)
• (発展)a³+b³+c³−3abc = (a+b+c)(a²+b²+c²−ab−bc−ca)

二項定理
• (a+b)ⁿ の一般項(第 r+1 項)は ₙCᵣ aⁿ⁻ʳ bʳ
• 係数は「求めたい項の指数から r を決める」— 展開し切らない
• 数値代入の技:(1+x)ⁿ に x = 1 → ₙC₀+ₙC₁+…+ₙCₙ = 2ⁿ、x = −1 → 交代和 = 0
• 多項定理:(a+b+c)ⁿ の aᵖbᵠcʳ の係数は n!/(p!q!r!)(p+q+r = n)

多項式の割り算
• A = B×Q+R(R の次数 < B の次数)— この等式自体が最重要
• 「商と余りから元の式を復元」「次数下げによる値の計算」に使う

分数式
• 約分は分母分子を因数分解してから/加減は通分/最後に約分できないか確認

恒等式(すべての x で成り立つ等式)
• 係数比較法:両辺を展開して各次数の係数を比較
• 数値代入法:文字の個数だけ値を代入(分数式の分解では分母 = 0 の値が有効)

等式の証明
• (左辺)−(右辺)を計算して 0 を示す/複雑な方を変形して他方へ
• 条件式があれば文字を消去して代入
• 比例式 a/b = c/d は = k とおく(a = bk、c = dk)

不等式の証明
• A ≧ B ⇔ A−B ≧ 0:差をとって平方完成 or 平方の和の形へ((実数)² ≧ 0)
• 両辺が 0 以上なら A ≧ B ⇔ A² ≧ B²(2乗の差で比較してよい)
• 絶対値の不等式:|a|² = a²、|a||b| = |ab| を使って2乗で処理
等号成立条件を必ず添える(平方 = 0 のとき)

相加平均・相乗平均の関係(a > 0、b > 0)
• (a+b)/2 ≧ √(ab) すなわち a+b ≧ 2√(ab)(等号は a = b のとき)
• 使いどころ:「正の数」+「積が定数になるペア」→ 和の最小値
• 注意:①等号が成立する値の確認までがワンセット ②2回使うときは等号が同時に成立するかを必ず点検


A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下


A1【3次式の展開・因数分解】

A1-1
次の式を展開せよ。
① (x+2)³
② (2x−y)³
③ (x+3)(x²−3x+9)

A1-1解答を見る解答を隠す

解答
① x³+3×x²×2+3×x×4+8 = x³+6x²+12x+8
② (2x)³−3(2x)²y+3(2x)y²−y³ = 8x³−12x²y+6xy²−y³
③ a³+b³ 型(a = x、b = 3)なので x³+27

ポイント (a±b)³ は「1・3・3・1」の係数と、b の指数が1つずつ増える構造で覚える。③は「(和)×(2乗−積+2乗)」の形を見た瞬間に a³+b³ と反応できるように — 展開して確かめる検算も30秒でできる。

A1-2(類題)
次の式を因数分解せよ。
① x³+8
② 27a³−b³
③ x³−6x²+12x−8

A1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① x³+2³ = (x+2)(x²−2x+4)
② (3a)³−b³ = (3a−b)(9a²+3ab+b²)
③ 係数 1、−6、12、−8 は (x−2)³ の展開と一致:(x−2)³

ポイント a³±b³ の因数分解は「同符号・逆符号・係数1」:a³+b³ = (a+b)(a²−ab+b²) — 2つ目の因数の真ん中だけ符号が逆で、2ab にならない(係数1)ことに注意。③のような「1、3、3、1 の気配」(6 = 3×2、12 = 3×4、8 = 2³)にも敏感に。


A2【二項定理】★★

A2-1
① (a+b)⁴ を展開せよ。
② (x+2)⁵ の展開における x³ の係数を求めよ。

A2-1解答を見る解答を隠す

解答
① 係数はパスカルの三角形の 1、4、6、4、1:
a⁴+4a³b+6a²b²+4ab³+b⁴
② 一般項は ₅Cᵣ x⁵⁻ʳ 2ʳ。x³ の項は 5−r = 3 より r = 2。
係数は ₅C₂×2² = 10×4 = 40

ポイント 特定の係数を求めるときは展開し切らず、一般項 ₙCᵣ aⁿ⁻ʳ bʳ から r を逆算する。「x の指数 = 3」という方程式を立てるのが手順のすべて。

A2-2(類題)
① (2x−3y)⁴ の展開における x²y² の係数を求めよ。
② (x−2)⁶ の展開における x⁴ の係数を求めよ。

A2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 一般項は ₄Cᵣ (2x)⁴⁻ʳ (−3y)ʳ。x²y² は r = 2 の項:
₄C₂×2²×(−3)² = 6×4×9 = 216
② 一般項は ₆Cᵣ x⁶⁻ʳ (−2)ʳ。x⁴ は r = 2 の項:
₆C₂×(−2)² = 15×4 = 60

ポイント 係数(2 や −3)も指数つきで一般項に含めること。符号は (−3)ʳ、(−2)ʳ の r の偶奇で決まる — 「マイナスを忘れて符号ミス」が最頻出の事故。


A3【多項式の割り算】★★

A3-1
x³+2x²−5x+1 を x−2 で割ったときの商と余りを求めよ。

A3-1解答を見る解答を隠す

解答
筆算で割る:
x³+2x²−5x+1 = (x−2)(x²+4x+3)+7
よって 商 x²+4x+3、余り 7

ポイント 筆算は「最高次だけを見て商を立てる → 掛けて引く」の繰り返し。検算は A = B×Q+R に戻して展開(この等式が次章の剰余の定理の土台になる)。

A3-2(類題)
2x³−3x²+4 を x²−x+1 で割ったときの商と余りを求めよ。

A3-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
x の項がないので 2x³−3x²+0×x+4 と空きの次数を 0 で埋めて筆算:
2x³−3x²+4 = (x²−x+1)(2x−1)+(−3x+5)
よって 商 2x−1、余り −3x+5

ポイント ①欠けている次数は 0 を書いて桁をそろえる ②余りの次数は割る式の次数より低い(2次式で割れば余りは1次以下)— 余りを ax+b とおく設定(第2章で多用)の根拠がこれ。


A4【分数式の計算】★★

A4-1
次の式を計算せよ。
① (x²−x−6)/(x²−4)
② (x²−1)/(x²+3x) × (x+3)/(x+1)

A4-1解答を見る解答を隠す

解答
① 分母分子を因数分解して約分:
(x−3)(x+2)/{(x+2)(x−2)} = (x−3)/(x−2)
② {(x+1)(x−1)/x(x+3)} × {(x+3)/(x+1)} = (x−1)/x

ポイント 分数式の第一手は必ず因数分解。掛け算は「約分してから掛ける」と計算が軽い。

A4-2(類題)
次の式を計算せよ。
① 1/(x−1) − 1/(x+1)
② (x+3)/(x+1) − (x+4)/(x+2)

A4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 通分して {(x+1)−(x−1)}/{(x−1)(x+1)} = 2/(x²−1)
② 通分して {(x+3)(x+2)−(x+4)(x+1)}/{(x+1)(x+2)}
分子 = (x²+5x+6)−(x²+5x+4) = 2
よって 2/{(x+1)(x+2)}

ポイント ②のように「分子の高次の項が消える」設計が多い — 分子は最後まで展開して整理する。引き算では後ろの式全体にマイナス(かっこをつけて展開)がミス防止の要。


A5【恒等式】★★

A5-1
等式 x²+3x+4 = a(x−1)²+b(x−1)+c が x についての恒等式となるように、定数 a、b、c の値を定めよ。

A5-1解答を見る解答を隠す

解答
右辺を展開:a(x²−2x+1)+bx−b+c = ax²+(−2a+b)x+(a−b+c)
左辺と係数比較:
a = 1、−2a+b = 3、a−b+c = 4
よって a = 1、b = 5、c = 8 → (a, b, c) = (1, 5, 8)
《別解》数値代入法:x = 1 で 8 = c、x = 0 で 4 = a−b+c、x = 2 で 14 = a+b+c → 連立して同じ結果。

ポイント 恒等式は「すべての x で成り立つ」から、係数がすべて一致する(係数比較法)。数値代入法は速いが、代入した値以外でも成り立つことの確認(または「2次式なら3つの値で決まる」の断り)が本来必要 — 答案では係数比較が安全。

A5-2(類題)
等式 (3x+5)/{(x+1)(x+2)} = a/(x+1) + b/(x+2) が恒等式となるように、定数 a、b の値を定めよ。

A5-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
両辺に (x+1)(x+2) を掛けて分母を払う:
3x+5 = a(x+2)+b(x+1)
x = −1 を代入:2 = a → a = 2
x = −2 を代入:−1 = −b → b = 1

ポイント 部分分数分解では分母が 0 になる値(x = −1、−2)を代入すると一方の文字が消えて即決まる — 数値代入法が最も輝く場面。この分解は数B「数列」の和の計算、数IIIの積分で主役になる。


A6【等式の証明】★★

A6-1
等式 (a²+b²)(x²+y²) = (ax+by)²+(ay−bx)² を証明せよ。

A6-1解答を見る解答を隠す

解答
《証明》右辺を展開すると
(ax+by)² = a²x²+2abxy+b²y²
(ay−bx)² = a²y²−2abxy+b²x²
辺々加えて 右辺 = a²x²+b²y²+a²y²+b²x² = (a²+b²)(x²+y²) = 左辺 ∎

ポイント 等式の証明は「複雑な方(ここでは右辺)を変形して簡単な方に一致させる」か「左辺−右辺 = 0」。±2abxy が打ち消し合う構造まで見えると、式の対称性への感覚が育つ。

A6-2(類題)
a+b = 1 のとき、等式 a²+b² = 1−2ab が成り立つことを証明せよ。

A6-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
《証明》(左辺)−(右辺) = a²+b²−1+2ab = (a+b)²−1
条件 a+b = 1 より = 1−1 = 0
よって a²+b² = 1−2ab ∎

ポイント 条件式のある証明は「条件を使える形(ここでは (a+b)²)を作る」か「1文字消去(b = 1−a を代入)」の2択。どちらでも書けるようにしておく。


A7【不等式の証明】★★

A7-1
実数 x、y について、不等式 x²+y² ≧ 2xy が成り立つことを証明せよ。また、等号が成り立つのはどのようなときか。

A7-1解答を見る解答を隠す

解答
《証明》(左辺)−(右辺) = x²−2xy+y² = (x−y)² ≧ 0
よって x²+y² ≧ 2xy
等号が成り立つのは (x−y)² = 0、すなわち x = y のとき

ポイント 不等式の証明の基本形:「差をとる → 平方完成 →(実数)² ≧ 0」。結論の不等号に等号が含まれるときは、等号成立条件まで述べて完結

A7-2(類題)
実数 a、b、c について、不等式 a²+b²+c² ≧ ab+bc+ca が成り立つことを証明せよ。また、等号が成り立つ条件を求めよ。

A7-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
《証明》(左辺)−(右辺) = a²+b²+c²−ab−bc−ca
= (1/2)(2a²+2b²+2c²−2ab−2bc−2ca)
= (1/2){(a−b)²+(b−c)²+(c−a)²} ≧ 0
よって a²+b²+c² ≧ ab+bc+ca
等号は a−b = b−c = c−a = 0、すなわち a = b = c のとき

ポイント 平方1つで書けないときは「2倍して平方の和に分ける」— (1/2){…} の変形は頻出の技巧なので手順ごと暗記してよい。「平方の和 ≧ 0、等号はすべて 0」の論理も定型。


A8【相加平均・相乗平均の関係】★★

A8-1
x > 0 のとき、x + 4/x の最小値を求めよ。

A8-1解答を見る解答を隠す

解答
x > 0、4/x > 0 だから、相加平均・相乗平均の関係より
x + 4/x ≧ 2√(x × 4/x) = 2√4 = 4
等号が成り立つのは x = 4/x、すなわち x² = 4 より x = 2(> 0)のとき。
よって 最小値 4(x = 2 のとき)

ポイント 「正の数どうし」で「掛けると x が消えるペア」→ 相加相乗の合図。等号成立の x を求めて初めて「最小値」と言える(不等式だけでは「4以上」しか言えていない)— この一言の有無が答案の評価を分ける。

A8-2(類題)
a > 0、b > 0 のとき、不等式 b/a + a/b ≧ 2 が成り立つことを証明せよ。また、等号が成り立つ条件を求めよ。

A8-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
《証明》b/a > 0、a/b > 0 だから、相加平均・相乗平均の関係より
b/a + a/b ≧ 2√{(b/a)×(a/b)} = 2√1 = 2
等号が成り立つのは b/a = a/b、すなわち a² = b²。
a > 0、b > 0 より a = b のとき

ポイント 使う前に「両方とも正」を明言するのが作法(相加相乗の適用条件)。a² = b² から a = b に進むときも「正だから」の一言を添える。


B問題(応用力養成)

※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B5(相加相乗の応用)の等号処理がこの章の核心


B1【二項定理の応用】★★★

B1-1 (x² + 2/x)⁶ の展開における x³ の係数と、定数項を求めよ。
B1-2 n を自然数とする。二項定理を用いて、次の等式を証明せよ。
① ₙC₀+ₙC₁+ₙC₂+…+ₙCₙ = 2ⁿ
② ₙC₀−ₙC₁+ₙC₂−…+(−1)ⁿₙCₙ = 0
B1-3 (a+b+c)⁶ の展開における次の項の係数を求めよ。
① a³b²c
② a²b²c²

B2【多項式の割り算の応用】★★★

B2-1 x²−x+1 で割ると、商が x+2、余りが 3x−1 となる多項式 A を求めよ。
B2-2 x³+ax+b が (x−1)² で割り切れるとき、定数 a、b の値を求めよ。
B2-3 x = 1+√2 のとき、x³−2x²+3x−1 の値を求めよ。

B3【条件つき等式・比例式の証明】★★★

B3-1 a/b = c/d のとき、等式 (a²+c²)/(b²+d²) = ac/(bd) が成り立つことを証明せよ。
B3-2 a+b+c = 0 のとき、等式 a³+b³+c³ = 3abc が成り立つことを証明せよ。
B3-3 (x+y)/3 = (y+z)/4 = (z+x)/5(≠ 0)のとき、x : y : z を求めよ。

B4【不等式の証明(応用)】★★★

B4-1 a > 0、b > 0 のとき、不等式 √a+√b > √(a+b) が成り立つことを証明せよ。
B4-2 実数 a、b について、不等式 |a+b| ≦ |a|+|b| が成り立つことを証明せよ。また、等号が成り立つ条件を求めよ。
B4-3 a ≧ 0、b ≧ 0 のとき、不等式 (a+b)/2 ≧ √(ab) が成り立つことを証明せよ。また、等号が成り立つ条件を求めよ。

B5【相加平均・相乗平均の応用(最大・最小)】★★★

B5-1 x > 1 のとき、x + 4/(x−1) の最小値を求めよ。
B5-2 a > 0、b > 0 のとき、(a + 1/b)(b + 4/a) の最小値を求めよ。
B5-3 x > 0 のとき、(x + 1/x)(x + 4/x) の最小値を求めよ。


B問題 解答・解説


B1【二項定理の応用】

B1-1 (x² + 2/x)⁶

考え方 分数を含んでいても一般項は同じ。x の指数を r の式で表し、「指数 = 3」「指数 = 0」の方程式を解く。

B1-1解答を見る解答を隠す

解答
一般項は ₆Cᵣ (x²)⁶⁻ʳ (2/x)ʳ = ₆Cᵣ 2ʳ x¹²⁻²ʳ × x⁻ʳ = ₆Cᵣ 2ʳ x¹²⁻³ʳ
x³ の項:12−3r = 3 → r = 3
係数は ₆C₃×2³ = 20×8 = 160
定数項:12−3r = 0 → r = 4
₆C₄×2⁴ = 15×16 = 240

ポイント 「x の指数を r で表す → 指数の方程式」— この2手で分数型・積型のどんな展開でも係数が取れる。r が 0〜6 の整数になるかの確認(範囲外なら「その項は存在しない」)も忘れずに。

B1-2 二項係数の和

考え方 (1+x)ⁿ = ₙC₀+ₙC₁x+ₙC₂x²+…+ₙCₙxⁿ は x の恒等式 — 好きな値を代入してよい

B1-2解答を見る解答を隠す

解答
《証明》二項定理より (1+x)ⁿ = ₙC₀+ₙC₁x+ₙC₂x²+…+ₙCₙxⁿ …(※)
① (※)に x = 1 を代入すると
2ⁿ = ₙC₀+ₙC₁+ₙC₂+…+ₙCₙ ∎
② (※)に x = −1 を代入すると
0 = ₙC₀−ₙC₁+ₙC₂−…+(−1)ⁿₙCₙ ∎

ポイント 「二項係数の和 → (1+x)ⁿ に数値代入」は完全な定型。①+②を2で割れば「偶数番だけの和 = 2ⁿ⁻¹」も出る(共通テスト・二次とも頻出の発展)。組合せの言葉なら①は「n 人の部分集合の総数」— 意味づけも検算になる。

B1-3 多項定理

B1-3解答を見る解答を隠す

解答
(a+b+c)⁶ の一般項は 6!/(p!q!r!) × aᵖbᵠcʳ(p+q+r = 6)
① a³b²c の係数:6!/(3!×2!×1!) = 720/12 = 60
② a²b²c² の係数:6!/(2!×2!×2!) = 720/8 = 90

ポイント 多項係数は「6文字の並べ方(同じものを含む順列)」そのもの — aaabbc の並べ方が 60 通り、と第1巻第6章の知識で理解できる。公式の丸暗記より「順列としての意味」で覚えると崩れない。


B2【多項式の割り算の応用】

B2-1 商と余りから復元

考え方 割り算の等式 A = B×Q+R に当てはめるだけ — 「割り算の逆再生」。

B2-1解答を見る解答を隠す

解答
A = (x²−x+1)(x+2)+(3x−1)
= (x³+x²−x+2)+(3x−1)
= x³+x²+2x+1

ポイント (x²−x+1)(x+2) の展開は分配を1項ずつ丁寧に。求めた A を実際に x²−x+1 で割り直して商 x+2・余り 3x−1 に戻る検算が確実。

B2-2 割り切れる条件

考え方 「(x−1)² で割り切れる」⇔ A = (x−1)²×(1次式) と因数分解の形でおける。3次 ÷ 2次の商は1次式 x+c。

B2-2解答を見る解答を隠す

解答
x³+ax+b = (x−1)²(x+c) とおける(c は定数)。
右辺 = (x²−2x+1)(x+c) = x³+(c−2)x²+(1−2c)x+c
左辺(x² の係数 0)と係数比較:
c−2 = 0、a = 1−2c、b = c
よって c = 2、a = −3、b = 2
(検算:x³−3x+2 = (x−1)²(x+2) ○)

ポイント 「割り切れる = 余り 0 = 積の形でおける」の言い換えが第一手。実際に筆算して「余り = 0」から連立する方法でも同じ結果 — 2通りの道を持つ。

B2-3 次数下げ

考え方 x = 1+√2 をそのまま3乗すると大変。x の満たす2次方程式を先に作り、式をそれで割って次数を下げる。

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解答
x−1 = √2 の両辺を2乗して x²−2x+1 = 2、すなわち x²−2x−1 = 0 …(※)
x³−2x²+3x−1 を x²−2x−1 で割ると
x³−2x²+3x−1 = (x²−2x−1)×x+(4x−1)
(※)より x²−2x−1 = 0 だから
与式 = 0×x+4x−1 = 4(1+√2)−1 = 3+4√2

ポイント 「√ を含む値の高次式 → ①√ を孤立させて2乗し2次方程式を作る ②割り算で次数下げ」— 二次試験最頻出の型。割り算の等式 A = BQ+R が「B = 0 なら A = R」という値の計算装置になる、という見方が本質。


B3【条件つき等式・比例式の証明】

B3-1 比例式

考え方 比例式は迷わず = k とおく。すべてを k と1種類の文字たちで表せば、あとは計算。

B3-1解答を見る解答を隠す

解答
《証明》a/b = c/d = k とおくと a = bk、c = dk。
(左辺) = (b²k²+d²k²)/(b²+d²) = k²(b²+d²)/(b²+d²) = k²
(右辺) = (bk×dk)/(bd) = k²
よって両辺は等しい ∎

ポイント 「= k」の置き方は比例式の万能キー。分母 b、d が 0 でないことは比例式の前提に含まれている(答案で軽く触れると丁寧)。

B3-2 a+b+c = 0

考え方 条件式から 1文字消去(c = −(a+b))が最短。

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解答
《証明》条件より c = −(a+b)。
(左辺) = a³+b³+c³ = a³+b³−(a+b)³
= a³+b³−(a³+3a²b+3ab²+b³) = −3ab(a+b)
(右辺) = 3abc = 3ab×{−(a+b)} = −3ab(a+b)
よって両辺は等しい ∎

ポイント この等式は「a+b+c = 0 のとき a³+b³+c³ = 3abc」として結果ごと記憶推奨(対称式・因数分解の発展公式 a³+b³+c³−3abc = (a+b+c)(…) の特別な場合)。消去する文字はどれでもよい — 対称性があるからこそ。

B3-3 連比

B3-3解答を見る解答を隠す

解答
(x+y)/3 = (y+z)/4 = (z+x)/5 = k(≠ 0)とおくと
x+y = 3k、y+z = 4k、z+x = 5k
3式を辺々加えて 2(x+y+z) = 12k → x+y+z = 6k
順に引いて z = 6k−3k = 3k、x = 6k−4k = 2k、y = 6k−5k = k
よって x : y : z = 2 : 1 : 3

ポイント 連立の対称形は「全部足して総和を出し、各式を引く」が最速の定石。答えの比に k は残らない(比だから)。検算:x+y = 3k ○、y+z = 4k ○、z+x = 5k ○。


B4【不等式の証明(応用)】

B4-1 √a+√b > √(a+b)

考え方 両辺とも正 → 2乗の差で比較してよい(A ≧ 0、B ≧ 0 のとき A > B ⇔ A² > B²)。

B4-1解答を見る解答を隠す

解答
《証明》a > 0、b > 0 より両辺とも正。
(左辺)²−(右辺)² = (a+2√(ab)+b)−(a+b) = 2√(ab) > 0
よって (左辺)² > (右辺)² であり、両辺は正だから √a+√b > √(a+b) ∎

ポイント √ を含む不等式は「差をとる」より「2乗して比べる」が圧倒的に楽。ただし冒頭で「両辺とも正(または0以上)」を宣言しないと論理が成立しない — この宣言が採点ポイント。

B4-2 三角不等式 |a+b| ≦ |a|+|b|

B4-2解答を見る解答を隠す

解答
《証明》両辺とも 0 以上なので、2乗の差で比較する。
(右辺)²−(左辺)² = (|a|²+2|a||b|+|b|²)−(a+b)²
= (a²+2|ab|+b²)−(a²+2ab+b²) = 2(|ab|−ab)
|ab| ≧ ab だから (右辺)²−(左辺)² ≧ 0 両辺は 0 以上なので |a+b| ≦ |a|+|b|
等号は |ab| = ab、すなわち ab ≧ 0 のとき(a、b が同符号または一方が 0) ∎

ポイント 絶対値の処理は「|a|² = a²、|a||b| = |ab|」で2乗の世界へ持ち込むのが定石。等号条件 ab ≧ 0 は「同じ向きなら足しても長さが減らない」という数直線のイメージと一致 — 意味で検算する。

B4-3 相加平均・相乗平均の関係の証明

B4-3解答を見る解答を隠す

解答
《証明》(左辺)−(右辺) = (a+b)/2 − √(ab) = (a−2√(ab)+b)/2
a ≧ 0、b ≧ 0 より a = (√a)²、b = (√b)² と表せるから
= {(√a)²−2√a√b+(√b)²}/2 = (√a−√b)²/2 ≧ 0
よって (a+b)/2 ≧ √(ab)
等号は √a = √b、すなわち a = b のとき

ポイント いつも「使う側」の相加相乗を、自分で証明できるようにしておく(記述で問われる)。核心は「a を (√a)² と見て平方完成」— 差をとる基本方針(A7)がここでも貫かれている。


B5【相加平均・相乗平均の応用(最大・最小)】

考え方 手順:「①正であることの確認 ②掛けると変数が消えるペアを作る(なければ式変形で作る)③相加相乗 ④等号成立の値を確認して初めて最小値」。②のための「ずらし」「展開」、④の「同時成立チェック」がB問題の勘所。

B5-1 x + 4/(x−1)(x > 1)

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解答
x−1 > 0 に注目して、ペアが作れる形にずらす:
x + 4/(x−1) = (x−1) + 4/(x−1) + 1
x−1 > 0、4/(x−1) > 0 だから、相加平均・相乗平均の関係より
(x−1) + 4/(x−1) ≧ 2√4 = 4
よって 与式 ≧ 4+1 = 5
等号は x−1 = 4/(x−1)、すなわち (x−1)² = 4。x−1 > 0 より x−1 = 2 → x = 3。
最小値 5(x = 3 のとき)

ポイント そのまま x と 4/(x−1) に相加相乗を使っても積から変数が消えないので失敗する。「分母に合わせて分子側をずらす(+1 で調整)」が絶対の定石。

B5-2 (a + 1/b)(b + 4/a)

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解答
展開すると ab + 4 + 1 + 4/(ab) = ab + 4/(ab) + 5
ab > 0、4/(ab) > 0 だから、相加平均・相乗平均の関係より
ab + 4/(ab) ≧ 2√4 = 4
よって 与式 ≧ 4+5 = 9
等号は ab = 4/(ab)、すなわち (ab)² = 4。ab > 0 より ab = 2(例:a = 2、b = 1)。
最小値 9

ポイント 積の形はまず展開してみる — ab というカタマリのペアが現れる。等号条件が「ab = 2 を満たすすべての (a, b)」という曲線上の点全体になるのも面白いところ(最小値の存在は例を1つ示せば十分)。

B5-3 (x + 1/x)(x + 4/x) — 等号の同時成立の罠

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解答
《誤りやすい解法》x+1/x ≧ 2(等号 x = 1)、x+4/x ≧ 4(等号 x = 2)より積 ≧ 8 …?
→ 2つの等号は x = 1 と x = 2 で同時に成立しないので、8 は最小値ではない!
《正しい解答》展開すると
x² + 4 + 1 + 4/x² = x² + 4/x² + 5
x² > 0、4/x² > 0 だから、相加平均・相乗平均の関係より
x² + 4/x² ≧ 2√4 = 4
よって 与式 ≧ 4+5 = 9
等号は x² = 4/x²、すなわち x⁴ = 4。x > 0 より x² = 2 → x = √2。
最小値 9(x = √2 のとき)

ポイント 不等式を2回使って掛け合わせるときは、等号が同じ x で同時に成立するかを必ず点検 — 成立しないなら「≧ 8」は正しくても「最小値 8」は誤り。この罠は定期試験・入試の超頻出。回避策は「先に展開して相加相乗を1回で済ませる」。


実戦問題(共通テスト形式)

実戦1-1【二項定理の総合】★★★

① (2x+1)⁵ の展開における x³ の係数は [アイ] である。
② (x + 1/x²)⁶ の展開における定数項は [ウエ] である。
③ 101⁵ を 10000 で割った余りは [オカキ] である。

実戦1-2【相加平均・相乗平均と最小値】★★★

x > 0 とする。
① x + 16/x ≧ [ア] が成り立ち、等号は x = [イ] のとき成立する。
② x > 2 のとき、x + 9/(x−2) は x = [ウ] のとき最小値 [エ] をとる。
③ t = x + 4/x とおくと t ≧ [オ] であり、(x + 4/x)² − 8(x + 4/x) + 20 は x = [カ] のとき最小値 [キ] をとる。


実戦問題 解答・解説


実戦1-1

考え方 ①②は一般項からの指数逆算(B1-1 の型)。③が本問の華 — 101 = 100+1 と見て二項定理で展開すると、大きい項が根こそぎ 10000 の倍数になる。二項定理を「整数の余り」に使う発想の代表例。

実戦1-1解答を見る解答を隠す

解答
① 一般項は ₅Cᵣ (2x)⁵⁻ʳ。x³ の項は r = 2:
₅C₂×2³ = 10×8 = 80(アイ = 80)
② 一般項は ₆Cᵣ x⁶⁻ʳ (1/x²)ʳ = ₆Cᵣ x⁶⁻³ʳ
定数項は 6−3r = 0 → r = 2:₆C₂ = 15(ウエ = 15)
③ 101⁵ = (100+1)⁵ = ₅C₀+₅C₁×100+₅C₂×100²+₅C₃×100³+₅C₄×100⁴+₅C₅×100⁵
100² = 10000 なので、₅C₂×100² 以降の項はすべて 10000 で割り切れる。
よって余りは前の2項:₅C₀+₅C₁×100 = 1+500 = 501(オカキ = 501)

ポイント
• ③の一般形:「(10ᵏ±1)ⁿ を 10 のべきで割った余り」は、二項展開して割る数の倍数になる項を捨てるだけ。合同式を知らなくても余りが求まる、二項定理の強力な応用。
• 501 < 10000 の確認(余りは割る数より小さい)も一瞬で済む検算。


実戦1-2

考え方 ①基本形 → ②「ずらし」(B5-1)→ ③相加相乗と2次関数(第1巻第3章)の融合。③はおき換え t の変域 t ≧ 4 を確認してから2次関数の最小値を考える、という2段構えが誘導の核心。

実戦1-2解答を見る解答を隠す

解答
① 相加平均・相乗平均の関係より x + 16/x ≧ 2√16 = 8(ア = 8)
等号は x = 16/x、x² = 16、x > 0 より x = 4(イ = 4)
② x + 9/(x−2) = (x−2) + 9/(x−2) + 2
x−2 > 0 だから (x−2)+9/(x−2) ≧ 2√9 = 6
よって 与式 ≧ 8。等号は (x−2)² = 9、x−2 = 3 → x = 5 のとき最小値 8(ウ = 5、エ = 8)
③ 相加平均・相乗平均の関係より t = x+4/x ≧ 2√4 = 4(オ = 4)(等号は x = 2)
与式 = t²−8t+20 = (t−4)²+4
t ≧ 4 の範囲で、軸 t = 4 は範囲の左端 → t = 4 のとき最小。
t = 4 となるのは x = 2 のときだから、x = 2 のとき最小値 4(カ = 2、キ = 4)

ポイント
• ③は「おき換え → 新しい変数の変域 → その範囲での2次関数の最小」という、数IIで何度も現れる思考パターンの初登場。変域 t ≧ 4 を出させる誘導([オ])が「変域を忘れるな」というメッセージそのもの。
• もし軸が範囲の内部(たとえば t ≧ 3 で軸 t = 4)なら頂点で最小 — 第1巻第3章 A3・B1 の「軸と区間」の議論がそのまま再利用される。既習の道具が章をまたいで連結する感覚をつかんでほしい。


第2章 複素数と方程式

数の世界が複素数へ拡張される章。計算自体は第1章の延長だが、「i² = −1 の徹底」「解と係数の関係」「剰余の定理・因数定理」の3本柱が、この先の数II全体(さらに数Cの複素数平面)の基盤になる。定番の山は2次式で割った余り(B2)1の3乗根 ω(B4)


この章の公式・要点まとめ

複素数の基本
• i² = −1。複素数 a+bi(a:実部、b:虚部)。b ≠ 0 なら虚数、a = 0 かつ b ≠ 0 なら純虚数
• 相等:a+bi = c+di ⇔ a = c かつ b = d(a、b、c、d は実数)— 実部どうし・虚部どうし
• 共役複素数:a+bi と a−bi。和 = 2a、積 = a²+b² はともに実数
• 割り算:分母の共役を分母分子に掛ける(第1巻の有理化と同じ発想)
• 負の数の平方根:a > 0 のとき √(−a) = √a i。計算前に必ず i の形に直す(√(−2)×√(−3) = √2 i×√3 i = −√6。√6 ではない!)

2次方程式と判別式
• 解の公式は虚数解にもそのまで有効
• D = b²−4ac:D > 0 異なる2つの実数解/D = 0 重解/D < 0 異なる2つの虚数解(互いに共役)

解と係数の関係(ax²+bx+c = 0 の2解 α、β)
• α+β = −b/a、αβ = c/a
• 対称式(α²+β²、α³+β³ など)は α+β と αβ で表す(第1巻第1章の技術)
• 2数 α、β を解とする2次方程式:x²−(α+β)x+αβ = 0(x² の係数1)
• ax²+bx+c = a(x−α)(x−β)

剰余の定理・因数定理
• P(x) を x−k で割った余りは P(k)(割り算の等式 A = BQ+R に x = k を代入した結果)
• x−k が P(x) の因数 ⇔ P(k) = 0
2次式で割った余りは ax+b とおく(余りの次数 < 割る式の次数)

高次方程式
• 因数定理で1次の因数を発見:P(k) = 0 となる k の候補は ±(定数項の約数)/(最高次の係数の約数)
• 実数係数の方程式が虚数解 p+qi をもてば、共役 p−qi も解
• 1の3乗根:x³ = 1 の虚数解 ω について ω³ = 1、ω²+ω+1 = 0 — 高い累乗はこの2式で次数下げ


A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下


A1【複素数の四則計算】

A1-1
次の計算をせよ。
① (3+2i)+(1−4i)
② (2+i)(3−2i)
③ (1+2i)²

A1-1解答を見る解答を隠す

解答
① 実部・虚部ごとに:4−2i
② 6−4i+3i−2i² = 6−i+2 = 8−i
③ 1+4i+4i² = 1+4i−4 = −3+4i

ポイント i を文字のように計算し、i² が出たら −1 に置き換える — これだけ。答えは必ず a+bi の形に整理する。

A1-2(類題)
次の計算をせよ。
① (1+3i)/(1−i)
② (2−i)/(3+i)

A1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 分母の共役 1+i を分母分子に掛けて
(1+3i)(1+i)/{(1−i)(1+i)} = (1+4i+3i²)/(1+1) = (−2+4i)/2 = −1+2i
② (2−i)(3−i)/{(3+i)(3−i)} = (6−5i+i²)/(9+1) = (5−5i)/10 = 1/2 − (1/2)i

ポイント 分母の実数化は「共役を掛ける」。分母は (a+bi)(a−bi) = a²+b² で必ず正の実数になる。


A2【負の数の平方根・複素数の相等】★★

A2-1
次の計算をせよ。
① √(−8)
② √(−2)×√(−3)
③ √(−12)/√3

A2-1解答を見る解答を隠す

解答
① √8 i = 2√2 i
先に i の形に直してから掛ける:√2 i×√3 i = √6 i² = −√6
③ (2√3 i)/√3 = 2i

ポイント ②が本章最初の関門:√a×√b = √(ab) は a、b が負のときは使えない。「√(マイナス)を見たら反射的に √○ i に直す」を徹底する。

A2-2(類題)
等式 (x+y)+(x−y)i = 4+2i を満たす実数 x、y を求めよ。

A2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
x、y は実数なので、x+y と x−y も実数。複素数の相等より
x+y = 4、x−y = 2
連立を解いて x = 3、y = 1

ポイント 「実部 = 実部、虚部 = 虚部」で方程式が2本手に入る — 複素数の等式1本は実数の等式2本分。「x、y は実数」という前提があって初めて使える論法である点も答案で意識する。


A3【2次方程式(虚数解)と判別式】★★

A3-1
次の2次方程式を解け。
① x²+2x+5 = 0
② 2x²−3x+2 = 0

A3-1解答を見る解答を隠す

解答
① x = −1±√(1−5) = −1±√(−4) = −1±2i
② x = {3±√(9−16)}/4 = {3±√(−7)}/4 = (3±√7 i)/4

ポイント D < 0 でも解の公式はそのまま — √(負) を i で書き直すだけ。答えの2つの解が互いに共役になっていることを毎回確認(検算になる)。

A3-2(類題)
k は定数とする。2次方程式 x²+2(k−1)x+k²−3 = 0 の解の種類を判別せよ。

A3-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
D/4 = (k−1)²−(k²−3) = −2k+4 = 2(2−k)
k < 2 のとき D > 0:異なる2つの実数解
k = 2 のとき D = 0:重解
k > 2 のとき D < 0:異なる2つの虚数解

ポイント 「解の種類の判別」= D の符号で3分割して答える定型。虚数解が仲間入りしたので、D < 0 の答えが「解なし」から「異なる2つの虚数解」に変わった — 第1巻第3章との違いはここだけ。


A4【解と係数の関係】★★

A4-1
2次方程式 2x²−4x+5 = 0 の2つの解を α、β とするとき、次の値を求めよ。
① α+β
② αβ
③ α²+β²

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解答
解と係数の関係より
① α+β = −(−4)/2 = 2
② αβ = 5/2 → 5/2
③ α²+β² = (α+β)²−2αβ = 4−5 = −1

ポイント 方程式を解かずに解の情報が手に入るのが解と係数の関係の価値。③が負になるのは α、β が虚数だから(実数なら2乗の和は負にならない)— 結果の吟味も学べる好例。

A4-2(類題)
2次方程式 x²−3x+1 = 0 の2つの解を α、β とするとき、次の値を求めよ。
① α²+β²
② α³+β³
③ 1/α + 1/β

A4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
α+β = 3、αβ = 1
① (α+β)²−2αβ = 9−2 = 7
② (α+β)³−3αβ(α+β) = 27−9 = 18
③ (α+β)/(αβ) = 3

ポイント 第1巻第1章の対称式3点セットがそのまま再登場。「解の対称式 → 基本対称式(和と積)→ 解と係数の関係」という3段の橋を意識する。


A5【2数を解とする2次方程式】★★

A5-1
次の2数を解とする2次方程式のうち、x² の係数が1のものを求めよ。
① 2、−3
② 3+√2、3−√2

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解答
① 和 = −1、積 = −6 → x²+x−6 = 0
② 和 = 6、積 = 9−2 = 7 → x²−6x+7 = 0

ポイント 公式 x²−(和)x+(積) = 0。符号は「マイナス和・プラス積」— x²+... と書き始めてから符号ミスするのが定番なので、展開 (x−α)(x−β) = x²−(α+β)x+αβ に立ち返って確認。

A5-2(類題)
① 2+i、2−i を解とし、x² の係数が1の2次方程式を求めよ。
② 和が2、積が−8である2つの数を求めよ。

A5-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 和 = 4、積 = (2+i)(2−i) = 4+1 = 5 → x²−4x+5 = 0
② 求める2数は x²−2x−8 = 0 の2解。
(x−4)(x+2) = 0 → 4 と −2

ポイント ②は公式の逆向き:「和と積が分かっている2数」は2次方程式を作って解けば求まる。①は共役ペアから実数係数の方程式ができる仕組み(和・積が実数になる)の確認でもある。


A6【剰余の定理】★★

A6-1
P(x) = x³−2x²+3x−5 を次の式で割ったときの余りを求めよ。
① x−2
② x+1

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解答
剰余の定理より、余りは割る式を 0 にする値の代入で求まる。
① P(2) = 8−8+6−5 = 1
② P(−1) = −1−2−3−5 = −11

ポイント 剰余の定理「x−k で割った余り = P(k)」は、割り算の等式 P(x) = (x−k)Q(x)+R に x = k を代入すると Q の項が消えることから出る — 由来ごと理解すれば忘れない。x+1 = x−(−1) なので代入するのは −1。

A6-2(類題)
P(x) = 2x³+ax−3 を x−1 で割った余りが 1 であるとき、
① 定数 a の値を求めよ。
② そのときの P(x) を x+1 で割った余りを求めよ。

A6-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① P(1) = 2+a−3 = a−1 = 1 → a = 2
② P(x) = 2x³+2x−3 だから P(−1) = −2−2−3 = −7

ポイント 「余りの条件 → P(k) = 数値」という方程式に翻訳する。筆算不要で係数が決まるのが剰余の定理の威力。


A7【因数定理と高次方程式】★★

A7-1
3次方程式 x³−2x²−5x+6 = 0 を解け。

A7-1解答を見る解答を隠す

解答
P(x) = x³−2x²−5x+6 とおく。P(1) = 1−2−5+6 = 0 なので、因数定理より x−1 が因数。
割り算して P(x) = (x−1)(x²−x−6) = (x−1)(x−3)(x+2)
よって x = 1、3、−2

ポイント 因数の発見は「±(定数項6の約数)= ±1、±2、±3、±6 を順に代入」。1 → −1 → 2 → … の順に試すのが速い。1つ見つかれば、あとは割り算(または組立除法)で次数が下がる。

A7-2(類題)
3次方程式 x³+x²−2 = 0 を解け。

A7-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
P(1) = 1+1−2 = 0 より x−1 が因数。
x³+x²−2 = (x−1)(x²+2x+2)
x²+2x+2 = 0 を解いて x = −1±√(1−2) = −1±i
よって x = 1、−1±i

ポイント 2次まで下げたら解の公式(虚数解も可)で最後まで。3次方程式は複素数の範囲で必ず3個の解をもつ(重解は重複して数える)— 「解が3つそろったか」が検算の視点。


B問題(応用力養成)

※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B2(2次式で割った余り)とB4(ω)は記述・共テ両方の定番


B1【解と係数の関係の応用】★★★

B1-1 2次方程式 x²+3x+k = 0 の2つの解の差が1であるとき、定数 k の値を求めよ。
B1-2 2次方程式 x²−6x+k = 0 の1つの解が他の解の2倍であるとき、定数 k の値と2つの解を求めよ。
B1-3 2次方程式 x²−2x+3 = 0 の2つの解を α、β とするとき、α+1、β+1 を解とし、x² の係数が1である2次方程式を求めよ。

B2【剰余の定理の応用(2次式・積の形で割る)】★★★

B2-1 多項式 P(x) を x−1 で割ると余りが3、x−2 で割ると余りが5である。P(x) を (x−1)(x−2) で割ったときの余りを求めよ。
B2-2 多項式 P(x) を x+1 で割ると余りが−2、x−3 で割ると余りが6である。P(x) を (x+1)(x−3) で割ったときの余りを求めよ。
B2-3 多項式 P(x) を (x−1)² で割ると余りが 2x+1、x−2 で割ると余りが7である。P(x) を (x−1)²(x−2) で割ったときの余りを求めよ。

B3【高次方程式と虚数解】★★★

B3-1 a、b を実数とする。2次方程式 x²+ax+b = 0 が x = 1+2i を解にもつとき、a、b の値と他の解を求めよ。
B3-2 a、b を実数とする。3次方程式 x³+ax²+bx−10 = 0 が x = 1+2i を解にもつとき、a、b の値と他の解をすべて求めよ。
B3-3 3次方程式 x³ = 8 のすべての解を求めよ。

B4【1の3乗根 ω】★★★

ω は x³ = 1 の虚数解の1つとする。
B4-1 次の値を求めよ。
① ω²+ω+1
② ω⁶
③ ω¹⁰+ω⁵+1
B4-2 次の値を求めよ。
① 1/ω + 1/ω²
② (1+ω)(1+ω²)
B4-3 次の値を求めよ。
① ω²⁰⁰+ω¹⁰⁰+1
② (1+ω)⁶

B5【解の符号と解と係数の関係】★★★

B5-1 2次方程式 x²−mx+m+3 = 0 が異なる2つの正の解をもつような定数 m の値の範囲を求めよ。
B5-2 2次方程式 x²−3x+k−1 = 0 が正の解と負の解を1つずつもつような定数 k の値の範囲を求めよ。
B5-3 2次方程式 x²−2ax+a+6 = 0 の異なる2つの解がともに1より大きくなるような定数 a の値の範囲を求めよ。


B問題 解答・解説


B1【解と係数の関係の応用】

考え方 「解の条件」を α+β と αβ の式に翻訳する。差・倍・平行移動 — どんな条件も、和と積(=係数)を経由すれば方程式になる。

B1-1解答を見る解答を隠す

解答
2解を α、β とすると α+β = −3、αβ = k
差が1より (α−β)² = 1
(α−β)² = (α+β)²−4αβ = 9−4k = 1
よって k = 2
(検算:x²+3x+2 = 0 の解は −1、−2 で差は1 ○)

ポイント α−β のままでは±の不定さが残るので、2乗して対称式にするのが定石。(α−β)² = (α+β)²−4αβ は第1巻第1章の変形公式そのもの。

B1-2解答を見る解答を隠す

解答
2解を α、2α とおける。解と係数の関係より
α+2α = 6 → α = 2
k = α×2α = 2α² = 8
2つの解は 2 と 4

ポイント 「他の解の2倍」のような解どうしの関係は、文字を1つに減らして表す(α と 2α)。和の式から α が即決まり、積の式で k が出る — 2本の式の役割分担が明確。

B1-3解答を見る解答を隠す

解答
α+β = 2、αβ = 3
新しい2数の和:(α+1)+(β+1) = (α+β)+2 = 4
新しい2数の積:(α+1)(β+1) = αβ+(α+β)+1 = 3+2+1 = 6
よって x²−4x+6 = 0

ポイント 「解を作りかえて新しい方程式を作る」型:新しい和と積を、元の α+β、αβ で表すだけ。α、β 自体(1±√2 i)を求める必要は一切ない — 解と係数の関係の思想が最も表れる問題。


B2【剰余の定理の応用】

考え方 手順は完全な定型:
「(1) 余りを文字でおく(2次式で割る → ax+b、3次式で割る → ax²+bx+c)(2) 割り算の等式 P(x) = (割る式)×Q(x)+(余り)を書く (3) 割る式が0になる値を代入して連立」
Q(x) は正体不明のままでよい — 代入で消えるのがこの解法の妙。

B2-1解答を見る解答を隠す

解答
P(x) を (x−1)(x−2) で割った商を Q(x)、余りを ax+b とおくと
P(x) = (x−1)(x−2)Q(x)+ax+b
x = 1 を代入:P(1) = a+b。条件より a+b = 3
x = 2 を代入:P(2) = 2a+b。条件より 2a+b = 5
連立を解いて a = 2、b = 1
よって余りは 2x+1

ポイント 「x−1 で割った余りが3」⇔「P(1) = 3」という剰余の定理による翻訳が入口。割る式(x−1)(x−2)が0になる x = 1、2 の代入で Q(x) が消える構造を、式を書いて体感する。

B2-2解答を見る解答を隠す

解答
P(x) = (x+1)(x−3)Q(x)+ax+b とおく。
P(−1) = −a+b = −2
P(3) = 3a+b = 6
辺々引いて 4a = 8 → a = 2、b = 0
よって余りは 2x

ポイント 余り「2x」のように b = 0 になることもある — 「余りは ax+b の形(1次以下)」であって「1次式」とは限らない。

B2-3解答を見る解答を隠す

解答
P(x) を (x−1)²(x−2) で割った余りは2次以下なので、R(x) とおく。
P(x) = (x−1)²(x−2)Q(x)+R(x)
ここで、P(x) を (x−1)² で割った余りが 2x+1 であることから、R(x) を (x−1)² で割った余りも 2x+1。
R(x) は2次以下なので R(x) = a(x−1)²+2x+1 とおける。
x = 2 を代入:P(2) = R(2) = a+5。条件より a+5 = 7 → a = 2
よって R(x) = 2(x−1)²+2x+1 = 2x²−2x+3

ポイント 本問の核心は「余りをさらに条件に合う形でおく」技術:R(x) = a(x−1)²+2x+1 という置き方が、(x−1)² で割った余りの条件を自動的に満たす。ax²+bx+c と3文字でおいて条件2本+…と進むより圧倒的に速い。二次試験最頻出の型。


B3【高次方程式と虚数解】

B3-1解答を見る解答を隠す

解答
実数係数の2次方程式が虚数解 1+2i をもつので、共役な 1−2i も解
解と係数の関係より
a = −{(1+2i)+(1−2i)} = −2 → a = −2
b = (1+2i)(1−2i) = 1+4 = 5 → b = 5
他の解は 1−2i

ポイント 「実数係数 + 虚数解 → 共役も解」— この一言で解が2つそろい、和と積へ直行できる。代入して実部・虚部で連立する方法(A2-2 の相等)でも解けるが、共役の性質を使う方が速い。

B3-2解答を見る解答を隠す

解答
共役より 1−2i も解。この2解をもつ2次式は
x²−{(1+2i)+(1−2i)}x+(1+2i)(1−2i) = x²−2x+5
よって x³+ax²+bx−10 = (x²−2x+5)(x−c) とおける(c は実数)。
右辺の定数項:−5c = −10 → c = 2
展開:(x²−2x+5)(x−2) = x³−4x²+9x−10
係数比較して a = −4、b = 9、他の解は 1−2i と 2

ポイント 手順:「共役ペア → 2解から2次式を作る → 積の形において係数比較」。定数項の比較(−5c = −10)から先に c を決めると計算が軽い。検算:3解の和 = (1+2i)+(1−2i)+2 = 4 = −a ○。

B3-3解答を見る解答を隠す

解答
x³−8 = 0 と変形し、a³−b³ の公式で因数分解:
(x−2)(x²+2x+4) = 0
x²+2x+4 = 0 を解いて x = −1±√(1−4) = −1±√3 i
よって x = 2、−1±√3 i

ポイント 「xⁿ = 定数」型は移項して因数分解。実数解1つ+共役な虚数解2つ、合わせて3個 — 「n 次方程式は複素数の範囲で n 個の解」の実例。この3解が次の B4(1の3乗根)の舞台になる。


B4【1の3乗根 ω】

考え方 ω の問題で使う式は2つだけ:
ω³ = 1(3乗ごとに1に戻る → 高い累乗は「指数を3で割った余り」だけ見る)
ω²+ω+1 = 0(x³−1 = (x−1)(x²+x+1) = 0 で ω ≠ 1 だから)
この2式で「次数下げ」と「和の計算」がすべて処理できる。

B4-1解答を見る解答を隠す

解答
① ω は x³ = 1 の解で ω ≠ 1。x³−1 = (x−1)(x²+x+1) = 0 より
ω²+ω+1 = 0
② ω⁶ = (ω³)² = 1² = 1
③ ω¹⁰ = (ω³)³×ω = ω、ω⁵ = ω³×ω² = ω²
よって ω¹⁰+ω⁵+1 = ω+ω²+1 = 0

ポイント ③の手順:「指数を3で割った余りに落とす(10 → 1、5 → 2)→ ω²+ω+1 = 0 で締める」。この2段コンボが ω 問題の全パターンの原型。

B4-2解答を見る解答を隠す

解答
① ω³ = 1 より 1/ω = ω³/ω = ω²、1/ω² = ω
よって 1/ω+1/ω² = ω²+ω = −1(ω²+ω+1 = 0 より)→ −1
② (1+ω)(1+ω²) = 1+ω+ω²+ω³ = 0+1 = 1

ポイント ①の「逆数は ω³ = 1 で払う」(1/ω = ω²)は覚えておくと速い。②は展開してから ω²+ω+1 = 0 と ω³ = 1 を1回ずつ使う — 2つの式の合わせ技。

B4-3解答を見る解答を隠す

解答
① 200 = 3×66+2、100 = 3×33+1 より ω²⁰⁰ = ω²、ω¹⁰⁰ = ω
よって ω²⁰⁰+ω¹⁰⁰+1 = ω²+ω+1 = 0
② ω²+ω+1 = 0 より 1+ω = −ω²
(1+ω)⁶ = (−ω²)⁶ = ω¹² = (ω³)⁴ = 1

ポイント ②の「1+ω = −ω² と置き換える」変形は最重要テクニック(1+ω² = −ω も同様)。和の形を単項の累乗に変えてから ω³ = 1 で刈り取る。


B5【解の符号と解と係数の関係】

考え方 実数解の符号条件は解と係数の関係に翻訳できる:
「ともに正 ⇔ D ≧ 0 かつ α+β > 0 かつ αβ > 0」/「ともに負 ⇔ D ≧ 0、和 < 0、積 > 0」/「異符号 ⇔ αβ < 0 だけ(このとき D > 0 は自動成立)」
第1巻第3章の「グラフ3点セット [D][軸][端]」と同じ内容の代数バージョン — 両方の言葉で言えるようにする。

B5-1解答を見る解答を隠す

解答
2解を α、β とすると α+β = m、αβ = m+3。「異なる2つの正の解」の条件:
D = m²−4(m+3) = (m−6)(m+2) > 0 → m < −2 または m > 6
α+β = m > 0
αβ = m+3 > 0 → m > −3
共通範囲をとって m > 6
(検算:m = 7 のとき x²−7x+10 = (x−2)(x−5) = 0 → 解 2、5 はともに正 ○)

ポイント 3条件の役割は第1巻B4と同じ(D:実数解の存在/和:重心の位置/積:同符号の保証)。「異なる」なので D > 0(等号なし)— 問題文の一語を条件に正確に反映する。

B5-2解答を見る解答を隠す

解答
2解を α、β とすると、異符号 ⇔ αβ < 0:
αβ = k−1 < 0 → k < 1
(このとき、もし虚数解 p±qi なら積は p²+q² > 0 となり αβ < 0 に反するから、解は自動的に異なる2つの実数解である)

ポイント 異符号だけは1条件で完結する特別型:αβ < 0 が「実数解であること」まで保証する(かっこ内の理由づけ)。グラフの言葉なら「f(0) < 0(下に凸)」1本で済む話と対応 — 第1巻第3章 B4-3 の親戚。

B5-3解答を見る解答を隠す

解答
2解を α、β とすると α+β = 2a、αβ = a+6。「異なる2解がともに1より大きい」は、α−1 > 0 かつ β−1 > 0 と読み替えて:
D/4 = a²−(a+6) = (a−3)(a+2) > 0 → a < −2 または a > 3
(α−1)+(β−1) = 2a−2 > 0 → a > 1
(α−1)(β−1) = αβ−(α+β)+1 = a+6−2a+1 = 7−a > 0 → a < 7
共通範囲をとって 3 < a < 7

ポイント 「1より大きい」は「1だけずらした α−1、β−1 が正」と言い換えるのが解と係数流の急所。なお、この方程式は第1巻第3章 B4-3 とまったく同じ — あちらは「1をはさむ(f(1) < 0 → a > 7)」、こちらは「両方1より大(3 < a < 7)」。同じ式でも条件が変われば答えの範囲が変わる対比まで味わうと理解が深まる。


実戦問題(共通テスト形式)

実戦2-1【高次方程式と虚数解】★★★

a、b を実数とし、f(x) = x³−x²+ax+b とする。3次方程式 f(x) = 0 は x = 2+i を解にもつ。
① x = 2+i は、2次方程式 x²−[ア]x+[イ] = 0 を満たす。
② f(x) は f(x) = (x²−[ア]x+[イ])(x+[ウ]) と因数分解できる。よって a = [エオ]、b = [カキ] である。
③ f(x) = 0 の解は、x = 2+i のほかに x = 2−i と x = [クケ] である。

実戦2-2【解と係数の関係の総合】★★★

2次方程式 x²−4x+2 = 0 の2つの解を α、β(α > β)とする。
① α+β = [ア]、αβ = [イ] である。
② α²+β² = [ウエ] である。
③ α−β = [オ]√[カ] である。
④ α³+β³ = [キク] である。
⑤ α²、β² を解とし、x² の係数が1である2次方程式は x²−[ウエ]x+[ケ] = 0 である。


実戦問題 解答・解説


実戦2-1

考え方 誘導の設計:①で「2+i の満たす実数係数2次方程式」を作らせ(= 共役 2−i とペアの2次式)、②でそれを因数として f(x) から括り出す。B3-2 の解法をマーク形式で追体験する構成。

実戦2-1解答を見る解答を隠す

解答
① x = 2+i より x−2 = i。両辺を2乗して x²−4x+4 = −1
よって x²−4x+5 = 0(ア = 4、イ = 5)
② f(x) = (x²−4x+5)(x+c) とおくと、定数項の比較で 5c = b、x² の係数の比較で c−4 = −1 → c = 3(ウ = 3)
展開:(x²−4x+5)(x+3) = x³−x²−7x+15
係数比較して a = −7、b = 15(エオ = −7、カキ = 15)
③ x²−4x+5 = 0 の解が 2±i、x+3 = 0 の解が −3。
よって他の解は 2−i と −3(クケ = −3)

ポイント
• ①の「x−2 = i として2乗」は、虚数解から実数係数の2次方程式を復元する最速の手(和と積からでも同じ式)。第1巻の「x = 1+√2 → x²−2x−1 = 0」(次数下げ)と同じ発想が複素数でも通用する。
• ②は x² の係数(−1)の比較で c が即決まる — どの係数を比べると速いかを選ぶのもマーク式の技術。


実戦2-2

考え方 解と係数の関係のフルコース。α、β の値(2±√2)を求めずに①〜⑤を進むのが理想ルート — すべて和と積の対称式(③のみ2乗を経由)で処理できる。

実戦2-2解答を見る解答を隠す

解答
① 解と係数の関係より α+β = 4、αβ = 2(ア = 4、イ = 2)
② α²+β² = (α+β)²−2αβ = 16−4 = 12(ウエ = 12)
③ (α−β)² = (α+β)²−4αβ = 16−8 = 8
α > β より α−β > 0 だから α−β = √8 = 2√2(オ = 2、カ = 2)
④ α³+β³ = (α+β)³−3αβ(α+β) = 64−24 = 40(キク = 40)
⑤ α²、β² の和は②より 12、積は (αβ)² = 4。
よって x²−12x+4 = 0(ケ = 4)

ポイント
• ③で α−β の符号を条件(α > β)で確定させてから √ を外す — (α−β)² から戻る際の必須の一言。
• ⑤は B1-3 と同じ「解の作りかえ」:新しい和(= α²+β² = 12)と新しい積(= (αβ)² = 4)を出すだけで、α² の値そのものは不要。マークの[ウエ]が⑤で再利用される誘導 — 前の結果を使えのサインを見逃さない。


第3章 図形と方程式

図形を「式」で扱う章。土台は距離と傾きの2つだけ。円と直線は「中心との距離 d と半径 r の比較」、軌跡は「動点を (x, y) とおく」、領域の最大最小は「= k とおいて図形を動かす」— この3つの型(A6・B3・B4)を身につければ章の8割が終わる。第1巻の図形の章と同じく、図を描かずに解かないこと。


この章の公式・要点まとめ

点と距離・分点
• 2点間の距離 AB = √{(x₂−x₁)²+(y₂−y₁)²}
• 線分 AB を m : n に内分する点:((nx₁+mx₂)/(m+n), (ny₁+my₂)/(m+n))(中点は m = n)
• m : n に外分する点:n を −n に置き換える
• 三角形の重心:((x₁+x₂+x₃)/3, (y₁+y₂+y₃)/3)

直線
• 点 (x₁, y₁) を通り傾き m:y−y₁ = m(x−x₁)
• 2点を通る直線:まず傾き (y₂−y₁)/(x₂−x₁) を出す(x座標が等しいときは x = 定数)
• 平行 ⇔ 傾きが等しい/垂直 ⇔ 傾きの積が −1
• 一般形 a₁x+b₁y+c₁ = 0 と a₂x+b₂y+c₂ = 0:平行 ⇔ a₁b₂−a₂b₁ = 0、垂直 ⇔ a₁a₂+b₁b₂ = 0
• 点 (x₁, y₁) と直線 ax+by+c = 0 の距離:d = |ax₁+by₁+c| / √(a²+b²)(直線は一般形に直してから)


• 中心 (a, b)、半径 r:(x−a)²+(y−b)² = r²
• 一般形 x²+y²+lx+my+n = 0 は平方完成して中心・半径を読む
• 円と直線の位置関係:中心と直線の距離 d と r を比較(d < r:2点/d = r:接する/d > r:共有点なし)
• 弦の長さ = 2√(r²−d²)(半径・d・半弦の直角三角形 — 三平方)
• 円 x²+y² = r² 上の点 (x₁, y₁) における接線:x₁x+y₁y = r²
• 2つの円の位置関係:中心間距離と「半径の和・差」の比較(第1巻第7章と同じ)
• 2円の交点を通る直線(共通弦):2円の式を辺々引く

軌跡
• 手順:「①求める点を (x, y) とおく ②条件を x、y の式に翻訳 ③整理して図形を答える ④除外点がないか確認
• 2定点からの距離の比が m : n(m ≠ n)の点の軌跡は円(アポロニウスの円)
• つられて動く点(中点・重心など):もとの動点の座標を x、y で表して、もとの条件式に代入

領域
• y > f(x) は曲線の上側、y < f(x) は下側/円は内部(<)・外部(>)。境界を含むかは等号の有無
• 連立不等式 → それぞれの領域の共通部分
領域における最大・最小:目的の式 = k とおき、その図形(直線・円など)が領域と共有点をもつような k の範囲を調べる。最大最小は頂点・接点で起こる


A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下


A1【距離・内分点・外分点】

A1-1
2点 A(1, 2)、B(7, 5) について、次を求めよ。
① 線分 AB の長さ
② 線分 AB の中点の座標
③ 線分 AB を 1 : 2 に内分する点の座標

A1-1解答を見る解答を隠す

解答
① AB = √{(7−1)²+(5−2)²} = √(36+9) = √45 = 3√5
② ((1+7)/2, (2+5)/2) = (4, 7/2)
③ ((2×1+1×7)/(1+2), (2×2+1×5)/(1+2)) = (9/3, 9/3) = (3, 3)

ポイント 内分点の公式は「比の後ろの数 n が前の点 x₁ に掛かる」(たすき掛けの形)。③の検算:A から B へ 1/3 だけ進んだ点(x は 1 → 7 の 1/3 で 3)— 「進んだ割合」でも確認できる。

A1-2(類題)
① 2点 A(1, 2)、B(4, 5) について、線分 AB を 2 : 1 に外分する点の座標を求めよ。
② 3点 A(1, 2)、B(4, 5)、C(−2, 5) を頂点とする三角形の重心の座標を求めよ。

A1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 外分は n を −n にして
((−1×1+2×4)/(2−1), (−1×2+2×5)/(2−1)) = (7, 8)
② ((1+4−2)/3, (2+5+5)/3) = (1, 4)

ポイント ①の検算:「2 : 1 に外分」なら B が AP の中点になるはず — A(1, 2) と P(7, 8) の中点は (4, 5) = B ○。外分は図を描いて位置(どちら側の延長か)を確認する習慣を。


A2【直線の方程式】

A2-1
次の直線の方程式を求めよ。
① 点 (2, −1) を通り、傾きが 3 の直線
② 2点 (1, 2)、(3, 6) を通る直線

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解答
① y−(−1) = 3(x−2) より y = 3x−7
② 傾き = (6−2)/(3−1) = 2。y−2 = 2(x−1) より y = 2x

ポイント すべての基本は y−y₁ = m(x−x₁)(通る点と傾き)。2点型もまず傾きを計算してこの形に流し込む。

A2-2(類題)
次の直線の方程式を求めよ。
① x 切片が 3、y 切片が 2 の直線
② 2点 (−1, 3)、(2, 3) を通る直線、および 2点 (2, 1)、(2, 5) を通る直線

A2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 2点 (3, 0)、(0, 2) を通るので、傾き = −2/3。2x+3y−6 = 0(x/3 + y/2 = 1 の形でもよい)
② y 座標が等しい → 水平な直線 y = 3
x 座標が等しい → 垂直な直線 x = 2(傾きが定義できない特別な形)

ポイント ②の x = 定数 の形は y = mx+n では表せない — 「傾きをもたない直線」の存在を常に頭の隅に(場合分けの原因として今後何度も現れる)。


A3【2直線の平行・垂直】★★

A3-1
点 (1, 2) を通り、直線 y = 2x+3 に
① 平行な直線
② 垂直な直線
の方程式をそれぞれ求めよ。

A3-1解答を見る解答を隠す

解答
① 傾き 2:y−2 = 2(x−1) より y = 2x
② 傾き m は 2m = −1 より m = −1/2:y−2 = −(1/2)(x−1) より y = −x/2+5/2(x+2y−5 = 0)

ポイント 平行 = 傾きコピー、垂直 = 傾きの積 −1(逆数にしてマイナス)。あとは A2 の基本形に乗せるだけ。

A3-2(類題)
2直線 ax+2y+1 = 0 と x+(a+1)y−3 = 0 について、
① 平行になるような定数 a の値
② 垂直になるような定数 a の値
をそれぞれ求めよ。

A3-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 平行条件 a₁b₂−a₂b₁ = 0 より a(a+1)−2×1 = 0
a²+a−2 = 0 → (a+2)(a−1) = 0 → a = 1、−2
② 垂直条件 a₁a₂+b₁b₂ = 0 より a×1+2(a+1) = 0
3a+2 = 0 → a = −2/3

ポイント 文字係数のときは一般形の条件式(平行:a₁b₂ = a₂b₁、垂直:a₁a₂+b₁b₂ = 0)が便利 — 傾きに直すと「y の係数 = 0」の場合分けが必要になるのを回避できる。


A4【点と直線の距離】★★

A4-1
点 (2, 1) と直線 3x+4y−20 = 0 の距離を求めよ。

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解答
d = |3×2+4×1−20| / √(3²+4²) = |−10|/5 = 2

ポイント 公式 d = |ax₁+by₁+c|/√(a²+b²)。分子は「直線の式に点を代入して絶対値」— 代入結果の符号は点が直線のどちら側かを表す(領域の話とつながる)。

A4-2(類題)
次の距離を求めよ。
① 原点と直線 x+2y−5 = 0 の距離
② 点 (1, −2) と直線 y = 2x+1 の距離

A4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① |−5|/√(1+4) = 5/√5 = √5
② 一般形 2x−y+1 = 0 に直して
|2×1−(−2)+1| / √(4+1) = 5/√5 = √5

ポイント ②のように y = … の形は必ず一般形に直してから公式へ(そのまま係数を読むのが最頻出ミス)。この公式は次の「円と直線」で毎回使う主役。


A5【円の方程式】★★

A5-1
次の円の方程式を求めよ。
① 中心が (2, −3)、半径が 4 の円
② 中心が (1, 2) で、原点を通る円

A5-1解答を見る解答を隠す

解答
(x−2)²+(y+3)² = 16
② 半径 = 中心と原点の距離 = √(1²+2²) = √5
よって (x−1)²+(y−2)² = 5

ポイント 円は「中心と半径」の2情報で決まる。②のように半径が直接与えられないときは、通る点との距離で半径を作る。符号注意:中心 (2, −3) なら式は (y+3)²。

A5-2(類題)
① 円 x²+y²−4x+6y+4 = 0 の中心の座標と半径を求めよ。
② 2点 A(1, 1)、B(5, 3) を直径の両端とする円の方程式を求めよ。

A5-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① x、y それぞれ平方完成:
(x−2)²−4+(y+3)²−9+4 = 0 → (x−2)²+(y+3)² = 9
中心 (2, −3)、半径 3
② 中心 = AB の中点 = (3, 2)
半径 = AB/2 = √(16+4)/2 = (2√5)/2 = √5
よって (x−3)²+(y−2)² = 5

ポイント 一般形は平方完成が唯一の道(x²、y² の係数が1であることも確認)。「直径の両端」→ 中心は中点・半径は距離の半分、と情報を翻訳する。


A6【円と直線の位置関係】★★

A6-1
円 x²+y² = 5 と直線 y = x+1 の共有点の座標を求めよ。

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解答
y = x+1 を円の式に代入:
x²+(x+1)² = 5 → 2x²+2x−4 = 0 → x²+x−2 = 0 → (x+2)(x−1) = 0
x = 1 のとき y = 2、x = −2 のとき y = −1
よって共有点は (1, 2)、(−2, −1)

ポイント 共有点の座標まで必要なら代入して連立。個数だけなら次問の「距離と半径の比較」が速い — 目的で解法を選ぶ。

A6-2(類題)
円 x²+y² = 4 と直線 y = x+k について、
① 円と直線が接するような定数 k の値を求めよ。
② 円と直線が異なる2点で交わるような k の値の範囲を求めよ。

A6-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
直線を一般形に:x−y+k = 0。中心(原点)との距離は
d = |k|/√2
① 接する ⇔ d = r:|k|/√2 = 2 → |k| = 2√2 → k = ±2√2
② 2点で交わる ⇔ d < r:|k| < 2√2 → −2√2 < k < 2√2

ポイント 円と直線は「d と r の比較」が最強(判別式より計算が軽い)。d < r、= r、> r が交わる・接する・離れるに1対1対応 — 図とセットで覚える。


A7【不等式の表す領域】★★

A7-1
次の不等式の表す領域を図示せよ(言葉で説明してよい)。
① y > 2x−1
② x²+y² ≦ 9

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解答
① 直線 y = 2x−1 の上側。境界(直線)は含まない
② 中心が原点、半径 3 の円の内部。境界(円周)は含む

ポイント 「y >」は上側、「y <」は下側。円は「中心からの距離が r 以下」= 内部。境界を含むか(≦ か <)を必ず明記 — 図では実線・破線で描き分ける。

A7-2(類題)
連立不等式 x ≧ 0、y ≧ 0、x+y ≦ 4 の表す領域を図示し、その面積を求めよ。

A7-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
x ≧ 0(y 軸の右側)、y ≧ 0(x 軸の上側)、x+y ≦ 4(直線 x+y = 4 の下側)の共通部分。
すなわち 3点 (0, 0)、(4, 0)、(0, 4) を頂点とする三角形の周と内部
面積 = (1/2)×4×4 = 8

ポイント 連立不等式は「1つずつ塗って共通部分」。頂点の座標(境界どうしの交点)を求めておくのが、B4「領域と最大・最小」への準備になる。


B問題(応用力養成)

※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B3(軌跡)とB4(領域と最大・最小)がこの章の2大関門


B1【対称点と最短距離】★★★

B1-1 直線 x+2y−5 = 0 に関して、点 A(4, 3) と対称な点 B の座標を求めよ。
B1-2 2点 A(1, 3)、B(4, 1) と、x 軸上を動く点 P がある。AP+PB の最小値と、そのときの P の座標を求めよ。
B1-3 2点 A(−1, 2)、B(3, 4) から等距離にある点の軌跡(線分 AB の垂直二等分線)の方程式を求めよ。

B2【円の応用(接線・弦・2円)】★★★

B2-1 ① 円 x²+y² = 25 上の点 (3, 4) における接線の方程式を求めよ。
② 点 (3, 1) から円 x²+y² = 5 に引いた接線の方程式を求めよ。
B2-2 円 x²+y² = 9 と直線 x+y−2 = 0 が交わってできる弦の長さを求めよ。
B2-3 ① 2つの円 x²+y² = 4 と (x−3)²+y² = 1 の位置関係を調べ、共有点があればその座標を求めよ。
② 2つの円 x²+y² = 10 と x²+y²−2x−4y = 0 は2点で交わる。その2交点を通る直線(共通弦)の方程式を求めよ。

B3【軌跡】★★★

B3-1 2点 A(0, 0)、B(3, 0) からの距離の比が 2 : 1 である点 P の軌跡を求めよ。
B3-2 点 Q が円 x²+y² = 16 上を動くとき、点 A(6, 0) と Q を結ぶ線分 AQ の中点 P の軌跡を求めよ。
B3-3 点 Q が円 x²+y² = 9 上を動くとき、2点 A(3, 0)、B(0, 3) と Q を頂点とする三角形 ABQ の重心 G の軌跡を求めよ。

B4【領域と最大・最小】★★★

B4-1 連立不等式 x ≧ 0、y ≧ 0、x+2y ≦ 6、2x+y ≦ 6 の表す領域を D とする。点 (x, y) が D を動くとき、
① x+y の最大値
② 3x+y の最大値
をそれぞれ求めよ。
B4-2 点 (x, y) が x²+y² ≦ 5 を満たすとき、x+2y の最大値と最小値を求めよ。
B4-3 点 (x, y) が (x−3)²+y² ≦ 4 を満たすとき、x²+y² の最大値と最小値を求めよ。

B5【定点・交点を通る図形】★★★

B5-1 直線 (k+1)x+(k−1)y−2k = 0 は、定数 k の値によらず定点を通る。その定点の座標を求めよ。
B5-2 2直線 x+2y−3 = 0、3x−y+2 = 0 の交点と、点 (1, 2) を通る直線の方程式を求めよ。
B5-3 2つの円 x²+y²−4 = 0、x²+y²−4x+2 = 0 の2つの交点と、点 (0, 1) を通る円の方程式を求めよ。


B問題 解答・解説


B1【対称点と最短距離】

B1-1 対称点

考え方 「B は A の直線 ℓ に関する対称点」⇔ (1) 線分 AB の中点が ℓ 上 (2) AB ⊥ ℓ — この2条件を連立するのが唯一にして万能の型。

B1-1解答を見る解答を隠す

解答
B(p, q) とおく。
(1) AB の中点 ((4+p)/2, (3+q)/2) が直線上:
(4+p)/2 + 2×(3+q)/2 − 5 = 0 → 整理して p+2q = 0
(2) 直線の傾きは −1/2 なので、AB の傾きは 2:
(q−3)/(p−4) = 2 → 2p−q = 5
連立を解いて p = 2、q = −1 → B(2, −1)

ポイント (2) は「AB が直線の法線ベクトル (1, 2) と平行」と読んでもよい(一般形 ax+by+c = 0 の係数 (a, b) が垂直方向)。検算:中点 (3, 1) を直線に代入して 3+2−5 = 0 ○。

B1-2 折れ線の最短(対称点の利用)

考え方 AP+PB のような折れ線の最小は、一方の点を軸(直線)に関して折り返す:AP = A'P だから AP+PB = A'P+PB ≧ A'B(直線距離)。

B1-2解答を見る解答を隠す

解答
A(1, 3) の x 軸に関する対称点は A'(1, −3)。
AP = A'P なので AP+PB = A'P+PB ≧ A'B
A'B = √{(4−1)²+(1+3)²} = √(9+16) = 5(最小値)
等号は P が線分 A'B 上にあるとき。直線 A'B は傾き 4/3 で
y+3 = (4/3)(x−1)。y = 0 として x = 13/4。
よって P(13/4, 0) のとき最小値 5

ポイント 「折り返して一直線」— 光の反射と同じ原理。最小値だけなら A'B の距離で即答、P の座標まで問われたら直線 A'B と軸の交点を求める。B1-1 の対称点の技術がそのまま部品になる。

B1-3 垂直二等分線

B1-3解答を見る解答を隠す

解答
《解1:図形の性質で》中点は (1, 3)、AB の傾きは (4−2)/(3+1) = 1/2。
垂直二等分線は中点を通り傾き −2:
y−3 = −2(x−1) → y = −2x+5(2x+y−5 = 0)
《解2:距離の式で》P(x, y) が AP = BP を満たすとして
(x+1)²+(y−2)² = (x−3)²+(y−4)²
展開すると 2乗の項が消えて 8x+4y−20 = 0 → 2x+y−5 = 0(同じ)

ポイント 解2は次の B3(軌跡)の入り口:「条件を距離の式で書いて整理」すると2乗が消えて直線が現れる。等距離 → 垂直二等分線、という図形的事実と式が一致する体験をここで。


B2【円の応用】

B2-1 接線

B2-1解答を見る解答を隠す

解答
① 公式 x₁x+y₁y = r² より 3x+4y = 25
② 接点を (x₁, y₁) とおくと、接線は x₁x+y₁y = 5。
これが点 (3, 1) を通るから 3x₁+y₁ = 5 …(A)
接点は円上にあるから x₁²+y₁² = 5 …(B)
(A)より y₁ = 5−3x₁ を(B)へ:x₁²+(5−3x₁)² = 5
10x₁²−30x₁+20 = 0 → x₁²−3x₁+2 = 0 → x₁ = 1、2
接点 (1, 2)、(2, −1) に対応して、接線は x+2y = 5 と 2x−y = 5

ポイント 円外の点からの接線は「接点をおく」のが最も見通しがよい(接点・接線が同時に手に入る)。「y = m(x−3)+1 とおいて d = r」でも解けるが、傾きをもたない接線(x = 定数)を見落とす危険がある — 接点方式ならその心配がない。

B2-2 弦の長さ

B2-2解答を見る解答を隠す

解答
中心(原点)と直線の距離:d = |−2|/√2 = √2
半径 r = 3 なので、弦の長さ = 2√(r²−d²) = 2√(9−2) = 2√7

ポイント 「中心から弦に垂線 → 半径・d・半弦の直角三角形」で三平方。交点を求めて2点間距離でも解けるが、この方法なら交点の汚い座標を経由せずに済む。

B2-3 2つの円

B2-3解答を見る解答を隠す

解答
① 中心間距離 = 3、半径の和 = 2+1 = 3。距離 = 和なので外接する
共有点は中心 (0,0) と (3,0) を結ぶ線分を 2 : 1 に内分する点(半径の比で分ける):(2, 0)
② 2円の式を辺々引く:
(x²+y²)−(x²+y²−2x−4y) = 10−0
2x+4y = 10 → x+2y−5 = 0

ポイント ②の「引き算で2次の項が消えて直線が出る」— この直線は両円の交点を必ず通る(両方の式を満たす点は差の式も満たす)ので共通弦になる。第1巻第7章の「2円の位置関係5パターン」も①で再確認。


B3【軌跡】

考え方 軌跡の手順は4ステップで固定:
「(1) 求める点を (x, y) とおく (2) 条件を x、y の式に翻訳 (3) 整理して図形の名前で答える (4) 除外点の確認
つられて動く点(中点・重心)では、もとの動点の座標を x、y で逆に表すのが核心の一手。

B3-1解答を見る解答を隠す

解答
P(x, y) とおく。AP : BP = 2 : 1 より AP = 2BP、すなわち AP² = 4BP²
x²+y² = 4{(x−3)²+y²}
x²+y² = 4x²−24x+36+4y²
3x²+3y²−24x+36 = 0 → x²+y²−8x+12 = 0
(x−4)²+y² = 4 — 中心 (4, 0)、半径 2 の円

ポイント 距離の条件は2乗してから展開(√ を避ける)。距離の「比」が一定 → 円(アポロニウスの円)は結果として有名:比が 1 : 1 のときだけ直線(垂直二等分線、B1-3)になる。

B3-2解答を見る解答を隠す

解答
P(x, y) とおく。Q(s, t) とすると、P は AQ の中点だから
x = (6+s)/2、y = t/2 → s = 2x−6、t = 2y
Q は円上の点なので s²+t² = 16 に代入:
(2x−6)²+(2y)² = 16
4(x−3)²+4y² = 16 → (x−3)²+y² = 4 — 中心 (3, 0)、半径 2 の円

ポイント 「Q の条件式に、x、y で表した Q の座標を代入して Q を消去」— つられて動く点の軌跡はすべてこの型。答えの円は元の円を A に向かって 1/2 に縮めた形(中心も半径も半分)— 図形的な意味でも検算できる。

B3-3解答を見る解答を隠す

解答
G(x, y) とおく。Q(s, t) とすると、重心の公式より
x = (3+0+s)/3、y = (0+3+t)/3 → s = 3x−3、t = 3y−3
Q は円 x²+y² = 9 上なので
(3x−3)²+(3y−3)² = 9 → (x−1)²+(y−1)² = 1
ただし、三角形ができるためには Q が A、B と異なる必要がある。
Q = A(3, 0) のとき G = (2, 1)、Q = B(0, 3) のとき G = (1, 2)。
よって軌跡は 円 (x−1)²+(y−1)² = 1、ただし2点 (2, 1)、(1, 2) を除く

ポイント (4) の除外点が本問の主役:A、B はどちらも円 x²+y² = 9 上にあるため、Q がそこへ来ると「三角形」が消滅する。「求めた図形の全部が答えとは限らない」— 軌跡で最も差がつく確認作業。


B4【領域と最大・最小】

考え方 「領域 D 内で式 f(x, y) の最大最小」は、f(x, y) = k とおいて図形(直線・円)とみなし、D と共有点をもつ範囲で k を動かす。直線なら頂点、距離がらみなら接点が最大最小の候補。

B4-1解答を見る解答を隠す

解答
領域 D は4点 (0, 0)、(3, 0)、(2, 2)、(0, 3) を頂点とする四角形の周と内部
(頂点 (2, 2) は x+2y = 6 と 2x+y = 6 の交点)。
① x+y = k とおくと、傾き −1 の直線。k は y 切片なので、直線を平行移動して D と共有点をもつ最大の k を探す。
傾き −1 は境界の傾き −1/2 と −2 の間にあるので、最大は頂点 (2, 2) で実現:
最大値 = 2+2 = 4
② 3x+y = k(傾き −3)。境界 2x+y = 6(傾き −2)より急なので、最大は頂点 (3, 0) で実現:
最大値 = 3×3+0 = 9

ポイント 最大を与える頂点は直線の傾きと境界の傾きの大小で決まる — ①と②で頂点が移るのはそのため。試験では「各頂点で値を計算して比較」でも確実(頂点は有限個)。両方の視点を持つ。

B4-2解答を見る解答を隠す

解答
x+2y = k とおくと直線 x+2y−k = 0。
これが円(中心 O、半径 √5)と共有点をもつ条件は
|−k|/√(1²+2²) ≦ √5 → |k| ≦ 5 よって 最大値 5、最小値 −5
最大値 5 をとるのは接点:中心から直線に下ろした垂線方向 (1, 2) の先で (x, y) = (1, 2)(最小は (−1, −2))

ポイント 円の領域では「直線と円が接するとき」が最大最小 — 点と直線の距離の公式(A4)がここで再登板。接点は「中心 + 半径×法線方向の単位ベクトル」または連立で求める。

B4-3解答を見る解答を隠す

解答
x²+y² は「原点からの距離の2乗」と読む。
領域は中心 C(3, 0)、半径 2 の円の周と内部。
原点から領域内の点までの距離は、
最大:OC+半径 = 3+2 = 5(点 (5, 0) で)
最小:OC−半径 = 3−2 = 1(点 (1, 0) で)
よって x²+y² の 最大値 25((5, 0))、最小値 1((1, 0))

ポイント = k とおくと x²+y² = k は「半径 √k の円」— 同心円を膨らませて考えても同じ結論。式を図形量(距離・傾き・切片)として読むのがこのテーマの本質:x+2y は切片、x²+y² は距離²、y/x は傾き(発展)。


B5【定点・交点を通る図形】

B5-1解答を見る解答を隠す

解答
k について整理する:
k(x+y−2)+(x−y) = 0
これがどんな k でも成り立つ ⇔ x+y−2 = 0 かつ x−y = 0
連立を解いて x = y = 1
よって定点 (1, 1)

ポイント 「k によらず」⇔「k の恒等式」⇔ k の係数と定数部分がともに 0(第1章の恒等式の考え方)。文字を含む直線を見たら「k で整理」が反射になるように。

B5-2解答を見る解答を隠す

解答
求める直線は、k を定数として
k(x+2y−3)+(3x−y+2) = 0 …(※)
の形で表せる(この直線は k の値によらず2直線の交点を通る — B5-1 の逆利用)。
点 (1, 2) を通るから k(1+4−3)+(3−2+2) = 0 → 2k+3 = 0 → k = −3/2
(※)に代入して −(3/2)(x+2y−3)+(3x−y+2) = 0
両辺を2倍して −3(x+2y−3)+2(3x−y+2) = 0
3x−8y+13 = 0

ポイント 交点の座標(本問では (−1/7, 11/7))が汚くても、交点を求めずに直線が書けるのが「束(たば)」の威力。注意:(※)は x+2y−3 = 0 自身は表せない(k をどうとっても係数が消えない)ので、答えがその直線になり得る問題では別途チェックする。

B5-3解答を見る解答を隠す

解答
求める円は、k を定数として
k(x²+y²−4)+(x²+y²−4x+2) = 0
の形で表せる(2円の交点を通る)。
点 (0, 1) を通るから k(1−4)+(1+2) = 0 → −3k+3 = 0 → k = 1
代入して 2x²+2y²−4x−2 = 0 → x²+y²−2x−1 = 0
(x−1)²+y² = 2 — 中心 (1, 0)、半径 √2 の円

ポイント 円の束も直線と同じ発想。なお k = −1 のときは2次の項が消えて共通弦(直線)になる — B2-3② の「引き算」の正体はこの束の特別な場合。1つの原理(f+kg = 0)が直線・円を貫いている。


実戦問題(共通テスト形式)

実戦3-1【円と直線の総合】★★★

円 C:x²+y²−4x−2y = 0 について考える。
① C の中心は ([ア], [イ])、半径は √[ウ] である。
② C と直線 y = 2x+k が接するのは、k = [エ] または k = [オカ] のときである。
③ k = 0 のとき、直線 y = 2x が C から切り取る弦の長さは ([キ]√[ク])/[ケ] である。
④ C は原点 O を通り、O における C の接線の方程式は y = −[コ]x である。

実戦3-2【領域と最大・最小】★★★

連立不等式 x ≧ 0、y ≧ 0、x+3y ≦ 9、2x+y ≦ 8 の表す領域を D とする。
① 2直線 x+3y = 9 と 2x+y = 8 の交点は ([ア], [イ]) である。
② 点 (x, y) が D を動くとき、x+y は ([ア], [イ]) で最大値 [ウ] をとる。
③ 5x+2y は ([エ], [オ]) で最大値 [カキ] をとる。
④ y−x の最大値は [ク] である。


実戦問題 解答・解説


実戦3-1

考え方 ①平方完成 → ②接する = 「d = r」 → ③弦 = 2√(r²−d²) → ④円周上の点の接線、と本章の円の道具を一列に並べた総合演習。②③④はすべて「中心と半径」さえ押さえれば距離の計算に落ちる。

実戦3-1解答を見る解答を隠す

解答
① 平方完成:(x−2)²+(y−1)² = 5
中心 (2, 1)、半径 √5(ア = 2、イ = 1、ウ = 5)
② 直線を一般形に:2x−y+k = 0。中心 (2, 1) との距離が半径に等しいとき接する:
|2×2−1+k|/√5 = √5 → |k+3| = 5 → k+3 = ±5 よって k = 2、−8(エ = 2、オカ = −8)
③ k = 0 のとき、中心と直線 2x−y = 0 の距離は
d = |4−1|/√5 = 3/√5
弦の長さ = 2√(r²−d²) = 2√(5−9/5) = 2√(16/5) = 8/√5 = (8√5)/5(キ = 8、ク = 5、ケ = 5)
④ x = 0、y = 0 を代入すると 0 なので C は原点を通る。
O における接線は、半径 CO(方向 (2, 1))に垂直で O を通る直線:
傾き = −2(半径の傾き 1/2 との積が −1)
よって y = −2x(コ = 2)

ポイント
• ②の |k+3| = 5 のような絶対値の方程式(第1巻第1章)がここでも部品として登場。±の2解がそれぞれ「円の上側で接する・下側で接する」に対応する。
• ④の一般公式:円 (x−a)²+(y−b)² = r² 上の点 (x₁, y₁) における接線は (x₁−a)(x−a)+(y₁−b)(y−b) = r²。本問は「接線 ⊥ 半径」の図形的性質で十分 — 公式と原理の両輪で。


実戦3-2

考え方 線形計画法の標準形。手順は「①領域を図示し頂点をすべて求める ② 目的の式 = k とおき、直線の傾きと境界の傾きを比較(または全頂点で値を計算)」。③で最大点が移動するのが本問の見どころ。

実戦3-2解答を見る解答を隠す

解答
① x+3y = 9 と 2x+y = 8 を連立:
2番目より y = 8−2x を代入して x+24−6x = 9 → x = 3、y = 2
交点は (3, 2)(ア = 3、イ = 2)
(領域 D の頂点は (0, 0)、(4, 0)、(3, 2)、(0, 3) の4つ)
② x+y = k(傾き −1)。境界の傾きは −1/3 と −2 で、−1 はその間にあるから、最大は2直線の交わる頂点 (3, 2) で実現:
最大値 = 3+2 = 5(ウ = 5)
③ 5x+2y = k(傾き −5/2)。境界 2x+y = 8(傾き −2)より急なので、最大は x 軸上の頂点 (4, 0) で実現:
最大値 = 5×4+0 = 20(エ = 4、オ = 0、カキ = 20)
④ y−x = k は傾き 1 の直線で、k は y 切片。左上の頂点 (0, 3) で最大:
最大値 = 3−0 = 3(ク = 3)
(確認:4頂点での値は 0、−4、−1、3 → 最大 3 ○)

ポイント
• ②③で最大を与える頂点が移った理由は「目的の直線の傾きが、どの境界より急か緩やかか」— 傾き比較の原理を④(正の傾き)まで含めて体感する構成。
• 迷ったら「全頂点で値を計算して比較」が確実(頂点は有限個)。ただし頂点の座標を1つでも落とすと破綻するので、①のように交点を丁寧に求めることが土台。
• この型は共通テスト・二次とも頻出。文章題(製品の生産量など)でも、不等式を立てた後は完全に同じ手順。


第4章 三角関数

第1巻の三角比(0°〜180°)が、単位円と弧度法によって「すべての角」の関数へ進化する章。方程式・不等式は必ず単位円を描いて解く。後半の加法定理から合成までは数IIの山場 — 公式は多いが、すべて加法定理から作れるという一本の系譜を意識すると整理できる。


この章の公式・要点まとめ

弧度法
• 180° = π(ラジアン)。度 → ラジアンは ×π/180、ラジアン → 度は ×180/π
• 扇形(半径 r、中心角 θ):弧の長さ ℓ = rθ、面積 S = (1/2)r²θ = (1/2)rℓ

定義(単位円)
• 角 θ の動径と単位円の交点を P とすると P(cos θ, sin θ)、tan θ = sin θ/cos θ(直線 x = 1 上の y 座標)
• 符号は象限で決まる:sin は上半分で正、cos は右半分で正、tan は第1・第3象限で正

相互関係:sin²θ+cos²θ = 1 / tan θ = sin θ/cos θ / 1+tan²θ = 1/cos²θ

角の変換(丸暗記せず単位円で復元)
• θ+2nπ:値は同じ(周期性)
• −θ:sin だけ符号が変わる(cos(−θ) = cos θ)
• θ+π:sin・cos とも符号反転、tan はそのまま
• π−θ:sin はそのまま、cos・tan は符号反転
• θ+π/2:sin(θ+π/2) = cos θ、cos(θ+π/2) = −sin θ(sin と cos が入れ替わる)

グラフ
• y = sin θ、y = cos θ:周期 2π、振幅 1/y = tan θ:周期 π、漸近線 θ = π/2+nπ
• y = a sin bθ:振幅 |a|、周期 2π/|b|(b 倍すると周期は 1/b 倍)
• y = sin(θ−p)+q:θ 軸方向に p、y 軸方向に q 平行移動

方程式・不等式:単位円で「sin = 高さ → 横線」「cos = 横 → 縦線」「tan → 直線 x = 1 上の点と原点を結ぶ」。範囲(0 ≦ θ < 2π など)の端に注意

加法定理(全公式の親)
• sin(α±β) = sin α cos β ± cos α sin β
• cos(α±β) = cos α cos β ∓ sin α sin β(cos は符号が逆転)
• tan(α±β) = (tan α±tan β)/(1∓tan α tan β)

2倍角の公式(加法定理で β = α とおく)
• sin 2α = 2 sin α cos α
• cos 2α = cos²α−sin²α = 1−2sin²α = 2cos²α−1(3つの顔を使い分ける)
• tan 2α = 2tan α/(1−tan²α)

半角の公式(cos 2α の式を逆に解く)
• sin²(α/2) = (1−cos α)/2、cos²(α/2) = (1+cos α)/2

三角関数の合成
• a sin θ+b cos θ = √(a²+b²) sin(θ+α)(cos α = a/√(a²+b²)、sin α = b/√(a²+b²))
• 点 (a, b) を図示して角 α を読むのが実戦的。最大値 √(a²+b²)、最小値 −√(a²+b²)


A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下


A1【弧度法と扇形】

A1-1
① 60°、135°、300° をそれぞれ弧度法で表せ。
② 5π/6、7π/4 をそれぞれ度数法で表せ。

A1-1解答を見る解答を隠す

解答
① 60° = π/3、135° = 3π/4、300° = 5π/3
② 5π/6 = 150°、7π/4 = 315°

ポイント 換算の芯は 180° = π の1本だけ。「60° は 180° の 1/3 → π/3」のように分数で読むと速い。よく出る角(30°、45°、60° 系)は往復を即答できるまで反復。

A1-2(類題)
半径 6、中心角 π/3 の扇形について、弧の長さ ℓ と面積 S を求めよ。

A1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
ℓ = rθ = 6×(π/3) =
S = (1/2)r²θ = (1/2)×36×(π/3) =

ポイント 弧度法の最初のご利益がこの公式(度数法だと 2πr×θ/360 と煩雑)。S = (1/2)rℓ(半径×弧÷2)でも同じ — 三角形の面積の親戚と見ると覚えやすい。


A2【一般角の三角関数の値】

A2-1
次の値を求めよ。
① sin(2π/3)
② cos(5π/4)
③ tan(11π/6)

A2-1解答を見る解答を隠す

解答
① 第2象限、基準角 π/3:√3/2
② 第3象限、基準角 π/4:−√2/2
③ 第4象限、基準角 π/6:−√3/3

ポイント 手順:「①単位円のどの象限か ②基準の鋭角(x 軸との角)は何か ③象限で符号を決める」。値は第1象限の3点セット(π/6、π/4、π/3)しかない — 位置と符号がすべて。

A2-2(類題)
次の値を求めよ。
① sin(−π/3)
② cos(7π/3)
③ tan(5π/4)

A2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① sin は奇関数:−sin(π/3) = −√3/2
② 7π/3 = 2π+π/3 なので cos(π/3) = 1/2
③ 第3象限(tan は正)、基準角 π/4:1

ポイント 2π を超えたらまず 2π を引いて(周期性)0 ≦ θ < 2π に戻す。負の角は −θ の公式(sin だけ符号反転)か、時計回りに単位円を描く。


A3【相互関係と象限】★★

A3-1
θ は第3象限の角で、sin θ = −3/5 とする。cos θ と tan θ の値を求めよ。

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解答
cos²θ = 1−9/25 = 16/25
第3象限では cos θ < 0 だから cos θ = −4/5
tan θ = (−3/5)÷(−4/5) = 3/4

ポイント 第1巻の相互関係と手順は同じで、符号の判断が「鋭角か鈍角か」から「どの象限か」に拡張されただけ。第3象限では sin・cos が負、tan が正 — 象限の符号表を単位円から毎回復元する。

A3-2(類題)
θ は第4象限の角で、tan θ = −2 とする。cos θ と sin θ の値を求めよ。

A3-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
1+tan²θ = 1/cos²θ より 1/cos²θ = 1+4 = 5 → cos²θ = 1/5
第4象限では cos θ > 0 だから cos θ = √5/5
sin θ = tan θ×cos θ = −2×(1/√5) = −2√5/5

ポイント tan スタートは 1+tan²θ = 1/cos²θ 経由(第1巻第4章 A3 と同じ流れ)。符号確認 → cos → sin の順で機械的に。


A4【角の変換(θ+π、π−θ など)】★★

A4-1
次を sin θ、cos θ、tan θ のいずれかを用いて表せ。
① sin(θ+π)
② cos(π−θ)
③ sin(θ+π/2)

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解答
−sin θ(π 回転で単位円の反対側 → 高さの符号が反転)
−cos θ(y 軸対称 → 横の符号が反転)
cos θ(90° 回すと sin と cos が入れ替わる)

ポイント 公式表の暗記より「単位円に点を打って、高さ・横がどうなるか見る」方が確実で速い。判断の型:「π がらみ → 符号だけ変わる可能性」「π/2 がらみ → sin と cos が入れ替わる」。

A4-2(類題)
sin(θ+π/2)+sin(θ+π)+sin(θ+3π/2)+sin(θ+2π) の値を求めよ。

A4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
各項を変換すると
sin(θ+π/2) = cos θ、sin(θ+π) = −sin θ
sin(θ+3π/2) = −cos θ、sin(θ+2π) = sin θ
和は cos θ−sin θ−cos θ+sin θ = 0

ポイント 単位円を 1/4 回転ずつした4点は「高さの合計が 0」— 対称性で答えの見当がつく。式変形と図形的直観の両方で確かめる習慣を。


A5【三角関数のグラフ】★★

A5-1
次の関数の振幅と周期を求めよ(③は周期のみ)。
① y = 2 sin θ
② y = cos 2θ
③ y = tan θ

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解答
① 振幅 2、周期 (高さが2倍になるだけで周期は不変)
② 振幅 1、周期 = 2π/2 = π(θ が2倍の速さで進む)
③ 周期 π(tan はもともと π 周期)

ポイント 「a 倍 → 振幅」「θ の係数 b → 周期 2π/b」と役割を分離して読む。②のグラフは y = cos θ を「横に 1/2 に圧縮」した形。

A5-2(類題)
① y = sin(θ−π/3) のグラフは、y = sin θ のグラフをどのように移動したものか。
② y = 3 cos(θ/2) の振幅と周期を求めよ。

A5-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
θ 軸方向に π/3 だけ平行移動したもの(右へずれる)
② 振幅 3、周期 = 2π÷(1/2) =

ポイント θ−π/3 は「+方向へ π/3 ずらす」— 第1巻第3章の平行移動(x → x−p)と全く同じ規則。係数 1/2 は「ゆっくり進む → 周期が2倍」— 圧縮・伸長の向きを言葉で言えるように。


A6【三角方程式】★★

A6-1
0 ≦ θ < 2π のとき、次の方程式を解け。
① sin θ = 1/2
② cos θ = −√3/2

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解答
① 単位円で高さ 1/2 の横線を引く。交点は2つ:θ = π/6、5π/6
② 横 −√3/2 の縦線を引く。θ = 5π/6、7π/6

ポイント 第1巻第4章 A6 と同じ「横線・縦線」の図解法が、半円から全円に広がっただけ。0 ≦ θ < 2π では sin・cos の方程式は原則2解(±1 のときだけ1解)。

A6-2(類題)
0 ≦ θ < 2π のとき、次の方程式を解け。
① tan θ = √3
② 2 sin θ+√2 = 0

A6-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① tan が √3 になるのは基準角 π/3。第1・第3象限で:θ = π/3、4π/3
② sin θ = −√2/2。高さ −√2/2 の横線:θ = 5π/4、7π/4

ポイント tan の方程式は「π 周期なので、解は π ずつ離れた2つ」。②のようにまず「sin θ = 値」の形に整理してから単位円へ。


A7【三角不等式】★★

A7-1
0 ≦ θ < 2π のとき、次の不等式を解け。
① sin θ > 1/2
② sin θ ≦ −√2/2

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解答
① 高さ 1/2 の横線よりにある弧:π/6 < θ < 5π/6
② 高さ −√2/2 の横線と、それよりの弧:5π/4 ≦ θ ≦ 7π/4

ポイント 手順:「①まず = の解(境界)を求める ②単位円上で条件を満たす弧を塗る ③弧の端の角を範囲で答える」。等号の有無(< か ≦)を境界に正しく反映。

A7-2(類題)
0 ≦ θ < 2π のとき、次の不等式を解け。
① cos θ ≦ 1/2
② tan θ ≧ 1

A7-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 横 1/2 の縦線よりの弧:π/3 ≦ θ ≦ 5π/3
② tan θ = 1 となるのは θ = π/4、5π/4。tan は π/2、3π/2 で定義されないことに注意して、
π/4 ≦ θ < π/2、5π/4 ≦ θ < 3π/2

ポイント ②は tan の急所:漸近線(θ = π/2 など)の手前までが答えに入る(端は「< π/2」— 定義されない角は含められない)。tan の不等式は必ずグラフか単位円の図とセットで。


A8【加法定理】★★

A8-1
加法定理を用いて、sin 75° と cos 15° の値を求めよ。

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解答
sin 75° = sin(45°+30°) = sin 45° cos 30°+cos 45° sin 30°
= (√2/2)(√3/2)+(√2/2)(1/2) = (√6+√2)/4
cos 15° = cos(45°−30°) = cos 45° cos 30°+sin 45° sin 30° = (√6+√2)/4

ポイント 有名角の和・差(15°、75°、105° = π/12、5π/12、7π/12)に分解するのが加法定理の第一の使い方。sin 75° = cos 15° になるのは 75°+15° = 90°(余角の関係)— 一致が検算になる。

A8-2(類題)
α、β は鋭角で、sin α = 3/5、cos β = 5/13 とする。sin(α+β) と cos(α+β) の値を求めよ。

A8-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
鋭角なので cos α = 4/5、sin β = 12/13(相互関係と符号)。
sin(α+β) = (3/5)(5/13)+(4/5)(12/13) = (15+48)/65 = 63/65
cos(α+β) = (4/5)(5/13)−(3/5)(12/13) = (20−36)/65 = −16/65

ポイント 加法定理を使う前の下ごしらえ(cos α、sin β を相互関係で補充)が半分の仕事。cos(α+β) < 0 から「α+β は鈍角」まで読み取れる — sin²+cos² = (63²+16²)/65² = 1 の検算も一瞬。


A9【2倍角・半角の公式】★★

A9-1
α は鋭角で、cos α = 1/3 とする。sin 2α と cos 2α の値を求めよ。

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解答
sin α = √(1−1/9) = 2√2/3(鋭角なので正)
sin 2α = 2 sin α cos α = 2×(2√2/3)×(1/3) = 4√2/9
cos 2α = 2cos²α−1 = 2/9−1 = −7/9

ポイント cos 2α は3つの形のうち「分かっている値だけで書ける形」を選ぶ(cos α から出発 → 2cos²α−1)。cos 2α < 0 は 2α が鈍角ということ — cos α = 1/3 < 1/2 より α > π/3、つまり 2α > 2π/3 と整合。

A9-2(類題)
半角の公式を用いて、sin(π/8) の値を求めよ。

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解答
sin²(π/8) = {1−cos(π/4)}/2 = (1−√2/2)/2 = (2−√2)/4
π/8 は鋭角で sin > 0 だから
sin(π/8) = √(2−√2)/2 → sin(π/8) = √(2−√2) / 2

ポイント 半角の公式は「2乗の値」しか与えない — 最後に角の位置から符号を判断して √ を外す一手が必須。π/8(= 22.5°)のように「有名角の半分」が守備範囲。


A10【三角関数の合成】★★

A10-1
sin θ+cos θ を r sin(θ+α) の形に合成せよ。また、0 ≦ θ < 2π におけるこの式の最大値・最小値と、そのときの θ を求めよ。

A10-1解答を見る解答を隠す

解答
r = √(1²+1²) = √2。点 (1, 1) の方向の角は π/4 だから
sin θ+cos θ = √2 sin(θ+π/4)
sin(θ+π/4) が 1 のとき最大:θ+π/4 = π/2 → θ = π/4 で最大値 √2
−1 のとき最小:θ+π/4 = 3π/2 → θ = 5π/4 で最小値 −√2

ポイント 合成の手順:「①係数の点 (a, b) を図示 ② r = √(a²+b²) ③その点の方向角が α」。最大最小は「sin(…) = ±1」に帰着 — 合成は"1つの sin にまとめて値域を読む"ための道具

A10-2(類題)
√3 sin θ−cos θ を r sin(θ+α) の形に合成せよ。また、その最大値を求めよ。

A10-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
点 (√3, −1) を図示すると r = √(3+1) = 2、方向角は −π/6。
√3 sin θ−cos θ = 2 sin(θ−π/6)
最大値は 2(sin(θ−π/6) = 1 のとき)

ポイント b が負でも手順は同じ — 点 (√3, −1) は第4象限なので α = −π/6。検算:2 sin(θ−π/6) を加法定理で開いて元に戻るか確認(2{sin θ×(√3/2)−cos θ×(1/2)} = √3 sin θ−cos θ ○)。


B問題(応用力養成)

※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B3(2倍角の方程式)とB4(合成・おき換え)が最頻出の山場


B1【2次型の三角方程式・不等式】★★★

B1-1 0 ≦ θ < 2π のとき、方程式 2sin²θ−sin θ−1 = 0 を解け。
B1-2 0 ≦ θ < 2π のとき、方程式 2cos²θ+3sin θ−3 = 0 を解け。
B1-3 0 ≦ θ < 2π のとき、不等式 2cos²θ+cos θ−1 > 0 を解け。

B2【加法定理の応用(tan・なす角)】★★★

B2-1 α、β は鋭角で、tan α = 2、tan β = 3 とする。tan(α+β) の値を求め、さらに α+β の値を求めよ。
B2-2 2直線 y = 3x と y = (1/2)x のなす角 θ(0 < θ < π/2)を求めよ。
B2-3 tan α = 1/3 のとき、次の値を求めよ。
① tan(α+π/4)
② tan 2α

B3【2倍角を含む方程式】★★★

B3-1 0 ≦ θ < 2π のとき、方程式 sin 2θ = sin θ を解け。
B3-2 0 ≦ θ < 2π のとき、方程式 cos 2θ = cos θ を解け。
B3-3 0 ≦ θ < 2π のとき、方程式 sin 2θ = cos θ を解け。

B4【合成の応用・おき換え】★★★

B4-1 0 ≦ θ < 2π のとき、方程式 sin θ+√3 cos θ = 1 を解け。
B4-2 0 ≦ θ ≦ π/2 のとき、y = sin θ+cos θ の最大値と最小値を求めよ。
B4-3 0 ≦ θ < 2π のとき、y = sin θ+cos θ+2 sin θ cos θ の最大値と最小値を求めよ。


B問題 解答・解説


B1【2次型の三角方程式・不等式】

考え方 sin と cos が混ざった2次式は、相互関係 sin²θ+cos²θ = 1 で1種類に統一 → t とおいて2次方程式・不等式へ。t の範囲 −1 ≦ t ≦ 1 を忘れると解が増える。

B1-1解答を見る解答を隠す

解答
sin θ = t とおくと(−1 ≦ t ≦ 1)
2t²−t−1 = 0 → (2t+1)(t−1) = 0 → t = −1/2、1
(i) sin θ = 1 のとき θ = π/2
(ii) sin θ = −1/2 のとき θ = 7π/6、11π/6
よって θ = π/2、7π/6、11π/6

ポイント 因数分解 → 単位円、の2段構え。第1巻第3章の「2次方程式」と第4章 A6 の「単位円」がここで合流する — おき換えた瞬間、前半はただの2次方程式。

B1-2解答を見る解答を隠す

解答
cos²θ = 1−sin²θ を代入して sin だけの式に:
2(1−sin²θ)+3sin θ−3 = 0
−2sin²θ+3sin θ−1 = 0 → 2sin²θ−3sin θ+1 = 0
(2sin θ−1)(sin θ−1) = 0 → sin θ = 1/2、1
(i) sin θ = 1/2 のとき θ = π/6、5π/6
(ii) sin θ = 1 のとき θ = π/2
よって θ = π/6、π/2、5π/6

ポイント 「cos² と sin が混在 → cos² を消す」— 1次で現れている方の関数に合わせて統一するのが鉄則(逆に sin² を消すと sin の1次が残って詰む)。

B1-3解答を見る解答を隠す

解答
cos θ = t とおくと(−1 ≦ t ≦ 1)
2t²+t−1 > 0 → (2t−1)(t+1) > 0 → t < −1 または t > 1/2
−1 ≦ t ≦ 1 の範囲では t < −1 は不可能(t = −1 でも左辺 = 0 で不成立)。
よって cos θ > 1/2:単位円で横 1/2 の縦線より右の弧を読んで
0 ≦ θ < π/3、5π/3 < θ < 2π

ポイント 2次不等式の解 t < −1 が t の変域 −1 ≦ t ≦ 1 で消える — おき換えの範囲チェックが効く典型例。答えが2つの区間に分かれるのは θ = 0 の側(単位円の右端)をまたぐため。


B2【加法定理の応用】

B2-1解答を見る解答を隠す

解答
tan(α+β) = (tan α+tan β)/(1−tan α tan β) = (2+3)/(1−6) = −1
α、β は鋭角で tan α > 1、tan β > 1 より π/4 < α < π/2、π/4 < β < π/2
よって π/2 < α+β < π
この範囲で tan(α+β) = −1 となるのは α+β = 3π/4

ポイント tan の値から角を決めるときは角の範囲の絞り込みが必須(tan = −1 だけでは 3π/4 か 7π/4 か決まらない)。「tan > 1 → 角は π/4 より大」のような不等式での範囲評価が後半の主役。

B2-2解答を見る解答を隠す

解答
2直線と x 軸のなす角を α、β とすると tan α = 3、tan β = 1/2。
なす角 θ = α−β について
tan θ = (tan α−tan β)/(1+tan α tan β) = (3−1/2)/(1+3/2) = (5/2)/(5/2) = 1
0 < θ < π/2 より θ = π/4

ポイント 「直線のなす角」=「傾き = tan」と読み替えて加法定理(差)へ。一般には tan θ = |(m₁−m₂)/(1+m₁m₂)|(鋭角で答えるため絶対値)。第3章の直線と第4章の三角関数をつなぐ定番問題。

B2-3解答を見る解答を隠す

解答
① tan(π/4) = 1 だから
tan(α+π/4) = (1/3+1)/(1−1/3×1) = (4/3)/(2/3) = 2
② tan 2α = 2tan α/(1−tan²α) = (2/3)/(1−1/9) = (2/3)/(8/9) = 3/4

ポイント tan の加法定理・2倍角は sin・cos を経由せず tan だけで完結できるのが強み。分数の割り算(繁分数)は第1巻第1章の計算体力 — 分母分子に 9 を掛けて一気に払う。


B3【2倍角を含む方程式】

考え方 角が 2θ と θ で混在したら、2倍角の公式で θ に統一が第一手。その後は
「共通因数でくくる(sin 2θ = 2 sin θ cos θ 型)」または「1種類の2次式にする(cos 2θ の3つの顔を選ぶ)」。
両辺を sin θ や cos θ で割ってはいけない(= 0 の解を失う)— この章最大の罠。

B3-1解答を見る解答を隠す

解答
sin 2θ = 2 sin θ cos θ を代入:
2 sin θ cos θ−sin θ = 0 → sin θ(2 cos θ−1) = 0
(i) sin θ = 0 のとき θ = 0、π
(ii) cos θ = 1/2 のとき θ = π/3、5π/3
よって θ = 0、π/3、π、5π/3

ポイント sin θ で「割る」のではなく「くくる」— 割ると (i) の2解が消える。「移項 → 因数分解」を体に染み込ませる。

B3-2解答を見る解答を隠す

解答
cos 2θ = 2cos²θ−1 を代入(cos に合わせる):
2cos²θ−1 = cos θ → 2cos²θ−cos θ−1 = 0
(2cos θ+1)(cos θ−1) = 0 → cos θ = −1/2、1
(i) cos θ = 1 のとき θ = 0
(ii) cos θ = −1/2 のとき θ = 2π/3、4π/3
よって θ = 0、2π/3、4π/3

ポイント cos 2θ の3つの顔(cos²−sin²、1−2sin²、2cos²−1)から「右辺と同じ関数だけになる形」を選ぶ — ここでは cos θ に合わせて 2cos²θ−1。選択を誤ると2種類が混在して B1 の統一作業が余分に必要になる。

B3-3解答を見る解答を隠す

解答
2 sin θ cos θ = cos θ → cos θ(2 sin θ−1) = 0
(i) cos θ = 0 のとき θ = π/2、3π/2
(ii) sin θ = 1/2 のとき θ = π/6、5π/6
よって θ = π/6、π/2、5π/6、3π/2

ポイント 両辺を cos θ で割ると (i) の θ = π/2、3π/2 が消えて2解を失う — B3-1 と同じ罠だが、こちらは「割りたくなる形」なので事故率が高い。解の個数(4個)を単位円で図示して最終確認する習慣を。


B4【合成の応用・おき換え】

B4-1解答を見る解答を隠す

解答
左辺を合成:点 (1, √3) より r = 2、角 π/3
2 sin(θ+π/3) = 1 → sin(θ+π/3) = 1/2
ここで 0 ≦ θ < 2π より π/3 ≦ θ+π/3 < 2π+π/3 …(範囲のずらし)
この範囲で sin が 1/2 となるのは
θ+π/3 = 5π/6、13π/6
よって θ = π/2、11π/6

ポイント 合成後の最重要手順が「新しい角 θ+π/3 の範囲を書き直す」こと。もとの範囲のまま π/6 を拾うと誤り(π/6 は π/3 より小さく範囲外)、逆に 13π/6(= π/6+2π)は範囲内 — ずらした範囲で解を数え直す。検算:θ = π/2 で 1+0 = 1 ○。

B4-2解答を見る解答を隠す

解答
y = √2 sin(θ+π/4)
0 ≦ θ ≦ π/2 より π/4 ≦ θ+π/4 ≦ 3π/4
この範囲で sin(θ+π/4) は
θ+π/4 = π/2(すなわち θ = π/4)のとき最大値 1
θ+π/4 = π/4、3π/4(すなわち θ = 0、π/2)のとき最小値 √2/2
よって 最大値 √2(θ = π/4)、最小値 1(θ = 0、π/2)

ポイント 定義域つきの最大最小は「合成 → 角の範囲をずらす → 単位円(またはグラフ)でその弧の高さの範囲を読む」。最小が −√2 ではない(範囲が全周でないから)— A10 との違いはここ。

B4-3解答を見る解答を隠す

解答
t = sin θ+cos θ とおくと、両辺を2乗して
t² = 1+2 sin θ cos θ → 2 sin θ cos θ = t²−1
よって y = t+(t²−1) = t²+t−1
また t = √2 sin(θ+π/4) より −√2 ≦ t ≦ √2
f(t) = t²+t−1 = (t+1/2)²−5/4 のグラフ(下に凸、軸 t = −1/2)を −√2 ≦ t ≦ √2 で考える:
軸 t = −1/2 は範囲内 → 最小値 f(−1/2) = −5/4
軸から遠い端 t = √2 → 最大値 f(√2) = 2+√2−1 = 1+√2
最大値をとるのは t = √2、すなわち sin(θ+π/4) = 1 より θ = π/4
(最小値をとる θ は sin(θ+π/4) = −√2/4 を満たす角で、−√2 ≦ −1/2 ≦ √2 より確かに存在する)

ポイント 「sin θ+cos θ と sin θ cos θ の共存 → t = sin θ+cos θ とおき、2乗して sin θ cos θ = (t²−1)/2 を作る」は数IIの三大おき換えの1つ。手順は「①おき換え ②t の変域を合成で確定 ③2次関数の最大最小(第1巻第3章の軸と区間)」— 実戦1-2③と同じ「おき換え→変域→2次関数」の骨格が、三角関数でも貫かれている。


実戦問題(共通テスト形式)

実戦4-1【2倍角と2次関数の融合】★★★

0 ≦ θ < 2π のとき、関数 y = cos 2θ+2 sin θ について考える。
① cos 2θ = 1−[ア] sin²θ を用いると、y = −[イ] sin²θ+[ウ] sin θ+[エ] と表せる。
② sin θ = t とおくと、t のとり得る値の範囲は [オカ] ≦ t ≦ [キ] であり、
y = −2(t−1/[ク])²+[ケ]/[コ]
と変形できる。
③ y は θ = π/[サ]、[シ]π/[サ] のとき最大値 [ケ]/[コ] をとる。
④ y は θ = [ス]π/[セ] のとき最小値 [ソタ] をとる。

実戦4-2【合成と最大・最小・方程式】★★★

0 ≦ θ ≦ π のとき、関数 f(θ) = √3 sin θ+cos θ について考える。
① 合成すると f(θ) = [ア] sin(θ+π/[イ]) となる。
② このとき π/[イ] ≦ θ+π/[イ] ≦ [ウ]π/[イ] である。
③ f(θ) は θ = π/[エ] のとき最大値 [オ] をとる。
④ f(θ) は θ = π のとき最小値 [カキ] をとる。
⑤ 方程式 f(θ) = √3 の解は θ = π/[ク]、π/[ケ] である。


実戦問題 解答・解説


実戦4-1

考え方 「角の統一(2θ → θ)→ おき換え → t の変域つき2次関数」という、B1・B3・B4 で鍛えた流れの集大成。cos 2θ は sin に合わせて 1−2sin²θ を選ぶ(①がその誘導)。

実戦4-1解答を見る解答を隠す

解答
① cos 2θ = 1−2sin²θ を代入して
y = 1−2sin²θ+2sin θ = −2sin²θ+2sin θ+1(ア = 2、イ = 2、ウ = 2、エ = 1)
② sin θ は 0 ≦ θ < 2π ですべての値をとり得るから −1 ≦ t ≦ 1(オカ = −1、キ = 1)
y = −2t²+2t+1 = −2(t−1/2)²+3/2(ク = 2、ケ = 3、コ = 2)
③ 上に凸で軸 t = 1/2 は範囲内 → t = 1/2 のとき最大値 3/2
sin θ = 1/2 より θ = π/6、5π/6(サ = 6、シ = 5)
④ 軸から遠い端 t = −1 のとき最小値 −2−2+1 = −3
sin θ = −1 より θ = 3π/2(ス = 3、セ = 2、ソタ = −3)

ポイント
• ④で t = 1(y = 1)ではなく t = −1 が最小を与える — 上に凸では「軸から遠い端で最小」(第1巻第3章の軸と区間)。端点2つの値を両方計算して比べれば確実。
• 最後に t から θ へ戻すのを忘れない(答えるのは θ)。t = 1/2 に対応する θ が2つあるのも単位円で確認。


実戦4-2

考え方 定義域が 0 ≦ θ ≦ π(全周ではない)の合成問題。②の「角の範囲のずらし」が全設問の土台 — B4-1・B4-2 の手順をマーク形式でなぞる。

実戦4-2解答を見る解答を隠す

解答
① 点 (√3, 1) より r = 2、方向角 π/6:
f(θ) = 2 sin(θ+π/6)(ア = 2、イ = 6)
② 0 ≦ θ ≦ π の各辺に π/6 を加えて
π/6 ≦ θ+π/6 ≦ 7π/6(ウ = 7)
③ この範囲で sin(θ+π/6) が最大となるのは θ+π/6 = π/2 のとき(値 1)。
よって θ = π/3 のとき最大値 2(エ = 3、オ = 2)
④ 範囲の両端での sin の値は、θ+π/6 = π/6 で 1/2、θ+π/6 = 7π/6 で −1/2。
単位円で π/6 から 7π/6 までの弧の高さの最小は −1/2(端 7π/6 で実現)。
よって θ = π のとき最小値 2×(−1/2) = −1(カキ = −1)
⑤ f(θ) = √3 より sin(θ+π/6) = √3/2
π/6 ≦ θ+π/6 ≦ 7π/6 の範囲で θ+π/6 = π/3、2π/3
よって θ = π/6、π/2(ク = 6、ケ = 2)

ポイント
• ④の最小が −2 ではないのが本問の核心:sin(θ+π/6) = −1 となる角 3π/2 は範囲 [π/6, 7π/6] の — ずらした範囲の弧を単位円に描き、その弧での高さの最大・最小を読む。
• ⑤の検算:θ = π/6 で √3×(1/2)+(√3/2) = √3 ○、θ = π/2 で √3×1+0 = √3 ○。マーク式でも代入検算は10秒でできる保険。


第5章 指数関数・対数関数

指数と対数は「同じ山を反対側から登る」関係(互いに逆関数)。この章の失点は2大原因に集中する — ①底が1より小さいときの不等号の逆転 ②対数の真数条件(真数 > 0)の確認忘れ。全問でこの2点を口に出して確認する習慣を。桁数の問題(A10)は共通テスト頻出。 ※本書の表記:底 a の対数を logₐ x、底が分数のときは log₁/₃ x のように書く。log₁₀ は常用対数。


この章の公式・要点まとめ

指数の拡張(a > 0)
• a⁰ = 1、a⁻ⁿ = 1/aⁿ
• ⁿ√a = 「n 乗すると a になる正の数」、a^(m/n) = ⁿ√(aᵐ)
• 指数法則:aᵐ×aⁿ = aᵐ⁺ⁿ / aᵐ÷aⁿ = aᵐ⁻ⁿ / (aᵐ)ⁿ = aᵐⁿ / (ab)ⁿ = aⁿbⁿ
• 累乗根の計算はすべて「a の何乗か」に直すのが最速

指数関数 y = aˣ(a > 0、a ≠ 1)
• 定義域は実数全体、値域は y > 0、必ず点 (0, 1) を通り、x 軸が漸近線
• a > 1 なら増加、0 < a < 1 なら減少
• 大小比較:底をそろえて指数を比較。0 < a < 1 のときは大小が逆転

指数方程式・不等式
• 底をそろえる:aᵖ = aᑫ ⇔ p = q
• 不等式は「a > 1 → 向きそのまま/0 < a < 1 → 向きが逆転
• aˣ = t のおき換え:t > 0 の条件を必ず添える

対数の定義(a > 0、a ≠ 1、M > 0)
• aᵖ = M ⇔ p = logₐ M(「a を何乗すると M か」という数)
• logₐ a = 1、logₐ 1 = 0

対数の性質
• logₐ MN = logₐ M+logₐ N
• logₐ (M/N) = logₐ M−logₐ N
• logₐ Mᵏ = k logₐ M
• 底の変換公式:logₐ b = (log꜀ b)/(log꜀ a)(底 c は好きに選べる)

対数関数 y = logₐ x
定義域は x > 0(真数条件)、値域は実数全体、点 (1, 0) を通り、y 軸が漸近線
• a > 1 なら増加、0 < a < 1 なら減少
• y = aˣ と y = logₐ x のグラフは直線 y = x に関して対称(逆関数)

対数方程式・不等式
最初に真数条件を書く(解いた後で候補をふるいにかける)
• logₐ p = logₐ q ⇔ p = q/不等式は底と 1 の大小で向きを判断(0 < a < 1 で逆転)

常用対数(底 10)
• log₁₀ 2 ≒ 0.3010、log₁₀ 3 ≒ 0.4771(問題で与えられる)
N が n 桁 ⇔ n−1 ≦ log₁₀ N < n
• 小数第 n 位に初めて 0 でない数字が現れる ⇔ −n ≦ log₁₀ N < −n+1


A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下


A1【累乗根と有理数の指数】

A1-1
次の値を求めよ。
① ³√27
② ⁵√32
③ ³√2 × ³√4

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解答
① 3³ = 27 だから 3
② 2⁵ = 32 だから 2
③ ³√2 × ³√4 = ³√8 = 2

ポイント ⁿ√a は「n 乗すると a になる正の数」。③のように積は中身どうしの積にまとめられる(ⁿ√a×ⁿ√b = ⁿ√(ab))— 指数で書けば 2^(1/3)×2^(2/3) = 2¹ と、指数法則そのもの。

A1-2(類題)
次の値を求めよ、または簡単にせよ。
① 8^(2/3)
② 27^(−1/3)
③ √2 × ⁶√2 ÷ ³√2

A1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 8^(2/3) = (2³)^(2/3) = 2² = 4
② 27^(−1/3) = (3³)^(−1/3) = 3⁻¹ = 1/3
③ 指数に直して 2^(1/2)×2^(1/6)÷2^(1/3) = 2^(1/2+1/6−1/3) = 2^(1/3) = ³√2

ポイント 累乗根はすべて「底^(分数)」に直してから指数法則で処理 — 分数の足し引き(通分)に帰着する。①は「3乗根をとってから2乗」(8 → 2 → 4)と読むと暗算できる。


A2【指数関数のグラフと大小比較】★★

A2-1
関数 y = 2ˣ と y = (1/2)ˣ のグラフについて、次に答えよ。
① 2つのグラフが共通して通る点の座標
② 2つのグラフの位置関係
③ それぞれの増減

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解答
① x = 0 のとき両方 y = 1:(0, 1)
② (1/2)ˣ = 2⁻ˣ なので、y 軸に関して対称
③ y = 2ˣ は増加(底 > 1)、y = (1/2)ˣ は減少(底 < 1)

ポイント 指数関数のグラフの3点セット:「(0, 1) を必ず通る」「x 軸が漸近線(y > 0)」「底と 1 の大小で増減が決まる」。この増減が、方程式・不等式のすべての判断の根拠になる。

A2-2(類題)
① √2、³√4、⁴√8 を小さい順に並べよ。
② (1/3)^(1/2) と (1/3)^(1/3) の大小を比較せよ。

A2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① すべて 2 のべきに直す:2^(1/2)、2^(2/3)、2^(3/4)
指数は 1/2 < 2/3 < 3/4 で、底 2 > 1(増加)だから
√2 < ³√4 < ⁴√8
② 底 1/3 < 1(減少)なので、指数が大きいほど値は小さい:
1/3 < 1/2 より (1/3)^(1/2) < (1/3)^(1/3)

ポイント 大小比較の手順:「底をそろえる → 指数を比べる → 底と 1 の大小で向きを決める」。②の逆転が本章の失点源その1 — 「底が 1 より小さい = 減少関数」とグラフを思い浮かべて判断する。


A3【指数方程式】★★

A3-1
次の方程式を解け。
① 2ˣ = 32
② 27ˣ = 9
③ (1/4)ˣ = 8

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解答
① 2ˣ = 2⁵ より x = 5
② (3³)ˣ = 3² → 3³ˣ = 3² → 3x = 2 → x = 2/3
③ 2⁻²ˣ = 2³ → −2x = 3 → x = −3/2

ポイント 指数方程式の基本は「底をそろえて指数を比較」の一本(aᵖ = aᑫ ⇔ p = q)。27、9、1/4、8 … を見たら瞬時に「2 か 3 の何乗か」に分解する。

A3-2(類題)
方程式 4ˣ−3×2ˣ−4 = 0 を解け。

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解答
4ˣ = (2ˣ)² なので、2ˣ = t とおくと(t > 0)
t²−3t−4 = 0 → (t−4)(t+1) = 0 → t = 4、−1
t > 0 より t = 4
2ˣ = 4 = 2² より x = 2

ポイント 4ˣ と 2ˣ の混在 → 2ˣ = t のおき換えで2次方程式へ。t = −1 を捨てる根拠が「t = 2ˣ > 0(指数関数の値域)」— おき換えたら変域を書く、が第1巻から続く鉄則。


A4【指数不等式】★★

A4-1
次の不等式を解け。
① 2ˣ > 8
② (1/3)ˣ ≧ 1/9

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解答
① 2ˣ > 2³。底 2 > 1(増加)なので向きはそのまま:x > 3
② (1/3)ˣ ≧ (1/3)²。底 1/3 < 1(減少)なので向きが逆転:x ≦ 2

ポイント 不等式は方程式にひと手間:「底と 1 の大小」の宣言を必ず書く(答案上も)。②を x ≧ 2 とするのが本章最多のミス — グラフの減少を思い出して逆転。

A4-2(類題)
不等式 4ˣ−2ˣ⁺¹−8 < 0 を解け。

A4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
2ˣ⁺¹ = 2×2ˣ なので、2ˣ = t とおくと(t > 0)
t²−2t−8 < 0 → (t−4)(t+2) < 0 → −2 < t < 4
t > 0 とあわせて 0 < t < 4
2ˣ < 4 = 2²。底 2 > 1 より x < 2

ポイント 「おき換え → 2次不等式 → t > 0 との共通範囲 → 指数に戻す」の4段。0 < t の側(2ˣ > 0)は x の条件としては「すべての実数」なので消える — 最後は 2ˣ < 4 だけが残る仕組みまで理解する。


A5【対数の定義と計算】

A5-1
次の値を求めよ。
① log₂ 8
② log₃ (1/9)
③ log₅ √5

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解答
① 2 を何乗すると 8 か:3
② 3 を何乗すると 1/9 = 3⁻² か:−2
③ 5 を何乗すると √5 = 5^(1/2) か:1/2

ポイント logₐ M は「a を何乗すると M になるか」というそのもの — 定義を日本語で言えることが対数のすべての出発点。真数を aᵖ の形に直せば指数 p が答え。

A5-2(類題)
次の x の値を求めよ。
① log₂ x = 4
② logₓ 27 = 3

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解答
① 定義より x = 2⁴ = 16
② 定義より x³ = 27。x > 0、x ≠ 1 より x = 3

ポイント logₐ M = p ⇔ M = aᵖ の書き換えを両方向で。②では「底の条件(x > 0、x ≠ 1)」が効いている — 底・真数の条件は対数の宿命として常に意識する。


A6【対数の性質と底の変換】★★

A6-1
次の値を求めよ。
① log₁₀ 2+log₁₀ 5
② log₂ 12−log₂ 3
③ log₃ √27

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解答
① log₁₀ (2×5) = log₁₀ 10 = 1
② log₂ (12/3) = log₂ 4 = 2
③ log₃ 27^(1/2) = (1/2)×log₃ 27 = (1/2)×3 = 3/2

ポイント 3つの性質(積 → 和、商 → 差、累乗 → 係数)で「まとめてから」値を読むのが基本方針。バラバラのままでは値が出なくても、まとめると 10 や 4 のようなよい数が現れる設計が多い。

A6-2(類題)
次の値を求めよ。
① log₄ 8
② log₂ 3 × log₃ 4

A6-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 底の変換で底を 2 に:log₄ 8 = (log₂ 8)/(log₂ 4) = 3/2 → 3/2
② log₃ 4 = (log₂ 4)/(log₂ 3) と変換して
log₂ 3 × (log₂ 4)/(log₂ 3) = log₂ 4 = 2

ポイント 底がばらばらなら底の変換公式で1つの底に統一(小さい素数の底が便利)。②のように掛け算で log が約分のように消えていく感覚をつかむ。


A7【対数関数のグラフと大小比較】★★

A7-1
関数 y = log₂ x について、次に答えよ。
① グラフが通る点を2つ挙げよ。
② 定義域を述べよ。
③ y = 2ˣ のグラフとの位置関係を述べよ。

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解答
(1, 0) と (2, 1)(log₂ 1 = 0、log₂ 2 = 1)
② 真数条件より x > 0
③ 互いに逆関数なので、直線 y = x に関して対称

ポイント 対数関数のグラフ3点セット:「(1, 0) を必ず通る」「y 軸が漸近線(定義域 x > 0)」「底 > 1 で増加」。指数関数のグラフを y = x で折り返した形、と結びつけて覚える。

A7-2(類題)
① log₂ 3 と log₂ 5 の大小を比較せよ。
② log₁/₂ 3 と log₁/₂ 5 の大小を比較せよ。
③ 3/2、log₂ 3、log₄ 10 を小さい順に並べよ。

A7-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 底 2 > 1(増加)で真数 3 < 5 だから log₂ 3 < log₂ 5
② 底 1/2 < 1(減少)なので逆転:log₁/₂ 3 > log₁/₂ 5
③ すべて底 2 の対数に直して真数で比較:
3/2 = log₂ 2^(3/2) = log₂ √8、log₄ 10 = (log₂ 10)/2 = log₂ √10
真数は √8 < 3 < √10(2乗して 8 < 9 < 10)だから
3/2 < log₂ 3 < log₄ 10

ポイント ③の手順:「底を統一 → 数値も logₐ の形に直す → 真数の大小に帰着」。真数の比較で √ が出たら2乗して比べる(第1巻第1章)。指数のとき(A2-2)と完全に同じ思想 — 「そろえて比べる」。


A8【対数方程式】★★

A8-1
方程式 log₂ (x−1) = 3 を解け。

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解答
真数条件:x−1 > 0 より x > 1
定義より x−1 = 2³ = 8
よって x = 9(x > 1 を満たす)→ x = 9

ポイント 対数方程式の第一手は真数条件(解いた後に候補を検品する基準になる)。あとは定義 logₐ M = p ⇔ M = aᵖ で外すだけ。

A8-2(類題)
方程式 log₃ (x+2)+log₃ x = 1 を解け。

A8-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
真数条件:x+2 > 0 かつ x > 0 より x > 0
左辺をまとめて log₃ x(x+2) = 1
x(x+2) = 3 → x²+2x−3 = 0 → (x+3)(x−1) = 0 → x = −3、1
真数条件 x > 0 より x = −3 は不適。
よって x = 1

ポイント 「まとめる → 定義で外す → 2次方程式 → 真数条件でふるう」の4段。x = −3 を残すのが本章の失点源その2 — 真数条件を最初に書いたかどうかで答案の運命が決まる。


A9【対数不等式】★★

A9-1
不等式 log₂ x < 3 を解け。

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解答
真数条件:x > 0
log₂ x < log₂ 8。底 2 > 1(増加)なので x < 8
真数条件とあわせて 0 < x < 8

ポイント 答えは「x < 8」ではなく 0 < x < 8 — 真数条件が答えの左端を作る。「右辺の数も logₐ の形に直す(3 = log₂ 8)」と比較の形が見える。

A9-2(類題)
不等式 log₁/₃ (x−1) ≧ −2 を解け。

A9-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
真数条件:x−1 > 0 より x > 1
−2 = log₁/₃ (1/3)⁻² = log₁/₃ 9 だから
log₁/₃ (x−1) ≧ log₁/₃ 9
底 1/3 < 1(減少)なので向きが逆転:x−1 ≦ 9 → x ≦ 10
真数条件とあわせて 1 < x ≦ 10

ポイント 本章の2大注意(真数条件底 < 1 の逆転)が同時に出る集大成型。「①真数条件 ②両辺を同じ底の log に ③底と 1 の大小で向き ④共通範囲」— この4手順を毎回声に出す。


A10【常用対数と桁数】★★

A10-1
log₁₀ 2 = 0.3010 とするとき、次の値を求めよ。
① log₁₀ 4
② log₁₀ 5
③ log₁₀ 20

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解答
① log₁₀ 2² = 2×0.3010 = 0.6020
② log₁₀ (10/2) = 1−0.3010 = 0.6990
③ log₁₀ (2×10) = 0.3010+1 = 1.3010

ポイント 与えられるのは log₁₀ 2 と log₁₀ 3 だけ — 5 = 10/2、4 = 2²、6 = 2×3 のように「2 と 3 と 10 の組み立て」で他の値を作る。②の 5 = 10/2 は最頻出の変形。

A10-2(類題)
log₁₀ 2 = 0.3010 とするとき、2¹⁰⁰ は何桁の整数か。

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解答
log₁₀ 2¹⁰⁰ = 100×0.3010 = 30.10
よって 30 ≦ log₁₀ 2¹⁰⁰ < 31
すなわち 10³⁰ ≦ 2¹⁰⁰ < 10³¹
よって 2¹⁰⁰ は 31 桁

ポイント 桁数の原理:「n 桁 ⇔ 10ⁿ⁻¹ 以上 10ⁿ 未満 ⇔ n−1 ≦ log₁₀ N < n」。log の整数部分が 30 なら 31 桁(+1 のずれ)— 10¹ = 10 が2桁、で確かめると忘れない。


B問題(応用力養成)

※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B3(最大・最小)とB4(常用対数の応用)が入試の主戦場


B1【指数の応用】★★★

B1-1 2ˣ+2⁻ˣ = 3 のとき、次の値を求めよ。
① 4ˣ+4⁻ˣ
② 8ˣ+8⁻ˣ
B1-2 方程式 9ˣ−10×3ˣ+9 = 0 を解け。
B1-3 不等式 (1/9)ˣ−4×(1/3)ˣ+3 ≦ 0 を解け。

B2【対数方程式・不等式の応用】★★★

B2-1 方程式 (log₂ x)²−log₂ x²−3 = 0 を解け。
B2-2 不等式 log₂ (x−1)+log₂ (x−3) ≦ 3 を解け。
B2-3 方程式 log₄ x+log₂ x = 6 を解け。

B3【指数・対数関数の最大・最小】★★★

B3-1 0 ≦ x ≦ 3 のとき、関数 y = 4ˣ−2ˣ⁺²+1 の最大値と最小値を求めよ。
B3-2 1 ≦ x ≦ 8 のとき、関数 y = (log₂ x)×{log₂ (8/x)} の最大値と最小値を求めよ。
B3-3 関数 y = 4ˣ+4⁻ˣ−2(2ˣ+2⁻ˣ)+3 の最小値を求めよ。

B4【常用対数の応用】★★★

log₁₀ 2 = 0.3010、log₁₀ 3 = 0.4771 とする。
B4-1 次の数は何桁の整数か。
① 3⁵⁰
② 6²⁰
B4-2 (0.3)²⁰ を小数で表すと、小数第何位に初めて 0 でない数字が現れるか。
B4-3 2ⁿ が 15 桁の整数となる自然数 n をすべて求めよ。


B問題 解答・解説


B1【指数の応用】

B1-1 対称式

考え方 2ˣ と 2⁻ˣ は積が 1 の2数(2ˣ×2⁻ˣ = 2⁰ = 1)。だから「和が分かれば対称式はすべて求まる」— 第1巻第1章の対称式の技術がそのまま使える。

B1-1解答を見る解答を隠す

解答
2ˣ×2⁻ˣ = 1 に注意する。
① 4ˣ+4⁻ˣ = (2ˣ)²+(2⁻ˣ)² = (2ˣ+2⁻ˣ)²−2×1 = 9−2 = 7
② 8ˣ+8⁻ˣ = (2ˣ)³+(2⁻ˣ)³ = (2ˣ+2⁻ˣ)³−3×1×(2ˣ+2⁻ˣ) = 27−9 = 18

ポイント 「4ˣ は (2ˣ)²、8ˣ は (2ˣ)³」と2ˣ を主役の文字と見るのが入口。a+1/a 型(積が1)の対称式は指数・対数の定番舞台 — x²+y² = (x+y)²−2xy、x³+y³ = (x+y)³−3xy(x+y) を即座に呼び出す。

B1-2解答を見る解答を隠す

解答
3ˣ = t とおくと(t > 0)、9ˣ = t² だから
t²−10t+9 = 0 → (t−1)(t−9) = 0 → t = 1、9(ともに t > 0 を満たす)
(i) 3ˣ = 1 のとき x = 0
(ii) 3ˣ = 9 のとき x = 2
よって x = 0、2

ポイント A3-2 と同じおき換え型だが、解が2つとも生き残るパターン。t の候補が出たら「t > 0 か」を機械的に検品 — 今回は両方合格、という判断まで含めて答案。

B1-3解答を見る解答を隠す

解答
(1/3)ˣ = t とおくと(t > 0)、(1/9)ˣ = t² だから
t²−4t+3 ≦ 0 → (t−1)(t−3) ≦ 0 → 1 ≦ t ≦ 3
すなわち 1 ≦ (1/3)ˣ ≦ 3
(i) (1/3)ˣ ≧ 1 = (1/3)⁰:底 1/3 < 1 なので x ≦ 0
(ii) (1/3)ˣ ≦ 3 = (1/3)⁻¹:同様に逆転して x ≧ −1
よって −1 ≦ x ≦ 0

ポイント 「おき換えで2次不等式 → t の範囲 → 底 < 1 の逆転で x に戻す」— 本章の技術の総結集。3 = (1/3)⁻¹ のように右辺も同じ底のべきで書くと逆転の処理が正確になる。


B2【対数方程式・不等式の応用】

B2-1解答を見る解答を隠す

解答
真数条件:x > 0
このとき log₂ x² = 2 log₂ x なので、log₂ x = t とおくと
t²−2t−3 = 0 → (t−3)(t+1) = 0 → t = 3、−1
(i) log₂ x = 3 のとき x = 8
(ii) log₂ x = −1 のとき x = 1/2
どちらも x > 0 を満たす。よって x = 8、1/2

ポイント (log₂ x)² と log₂ x² は別物((log)の2乗と、真数の2乗)— まず後者を 2 log₂ x に直して t の2次方程式へ。t には正負の制限がない(対数の値域は実数全体)ので、指数のときと違い t = −1 も採用される。

B2-2解答を見る解答を隠す

解答
真数条件:x−1 > 0 かつ x−3 > 0 より x > 3
左辺をまとめて log₂ (x−1)(x−3) ≦ 3 = log₂ 8
底 2 > 1 なので (x−1)(x−3) ≦ 8
x²−4x−5 ≦ 0 → (x−5)(x+1) ≦ 0 → −1 ≦ x ≦ 5
真数条件とあわせて 3 < x ≦ 5

ポイント 真数条件は「両方の真数が正」— x > 1 だけでは足りない(x = 2 は 2 つ目の log が定義されない)。「まとめる前の式で真数条件、まとめた式で計算」という役割分担を固定する。

B2-3解答を見る解答を隠す

解答
真数条件:x > 0
底の変換で底を 2 にそろえる:log₄ x = (log₂ x)/(log₂ 4) = (log₂ x)/2
(log₂ x)/2+log₂ x = 6 → (3/2) log₂ x = 6 → log₂ x = 4
よって x = 2⁴ = 16

ポイント 底が違う log の混在は底の変換で統一が第一手(小さい方の底 2 にそろえると分数が軽い)。統一後は log₂ x をひとかたまりの文字として1次方程式を解くだけ。


B3【指数・対数関数の最大・最小】

考え方 すべて「おき換え → t の変域 → 2次関数(軸と区間)」の3段ロケット。t の変域の作り方が3問で異なる — ①指数関数の単調性から ②対数の値の範囲から ③相加相乗から。変域を落とすと全滅する。

B3-1解答を見る解答を隠す

解答
2ˣ = t とおく。0 ≦ x ≦ 3 で 2ˣ は増加だから 1 ≦ t ≦ 8
y = (2ˣ)²−4×2ˣ+1 = t²−4t+1 = (t−2)²−3
軸 t = 2 は範囲 1 ≦ t ≦ 8 の内部 → t = 2 で最小値 −3
軸から遠い端 t = 8 で最大値 64−32+1 = 33
t = 2 ⇔ x = 1、t = 8 ⇔ x = 3
よって 最大値 33(x = 3)、最小値 −3(x = 1)

ポイント 2ˣ⁺² = 4×2ˣ の変形(指数法則)を落ち着いて。t の変域は「x の両端を 2ˣ に代入」— 増加関数だから端が端に対応する。最後に t から x へ戻して答える(第4章 実戦4-1 と同じ注意)。

B3-2解答を見る解答を隠す

解答
log₂ (8/x) = log₂ 8−log₂ x = 3−log₂ x
log₂ x = t とおく。1 ≦ x ≦ 8 で 0 ≦ t ≦ 3
y = t(3−t) = −t²+3t = −(t−3/2)²+9/4
上に凸で軸 t = 3/2 は範囲内 → t = 3/2 で最大値 9/4
軸から遠さが等しい両端 t = 0、3 で最小値 0
t = 3/2 ⇔ x = 2^(3/2) = 2√2、t = 0、3 ⇔ x = 1、8
よって 最大値 9/4(x = 2√2)、最小値 0(x = 1、8)

ポイント 対数の性質で「log₂ x のかたまり」を作ってからおき換え。最大を与える x = 2√2 のような無理数の答えにひるまない — t の世界では 3/2 というただの分数。

B3-3解答を見る解答を隠す

解答
2ˣ+2⁻ˣ = t とおく。2ˣ > 0、2⁻ˣ > 0 だから、相加平均・相乗平均の関係より
t ≧ 2√(2ˣ×2⁻ˣ) = 2(等号は 2ˣ = 2⁻ˣ、すなわち x = 0)→ t ≧ 2
また 4ˣ+4⁻ˣ = (2ˣ+2⁻ˣ)²−2 = t²−2(B1-1)だから
y = (t²−2)−2t+3 = t²−2t+1 = (t−1)²
t ≧ 2 の範囲で、軸 t = 1 は範囲の左外 → t = 2 で最小。
最小値 = (2−1)² = 1(x = 0 のとき)

ポイント t の変域を相加相乗で作るのが本問の華(第1章 B5・実戦1-2③の再演)。「対称式で次数を下げ、相加相乗で変域を確定し、2次関数で仕上げる」— 3つの章の道具が1問に同居する、数IIの代表的な融合型。


B4【常用対数の応用】

考え方 巨大数・微小数は log₁₀ をとって「10 の何乗か」を測る
桁数:n 桁 ⇔ n−1 ≦ log₁₀ N < n/小数:第 n 位に初めて 0 でない数字 ⇔ −n ≦ log₁₀ N < −n+1。
log₁₀ の値は 2 と 3(と 10)の組み立てで作る。

B4-1解答を見る解答を隠す

解答
① log₁₀ 3⁵⁰ = 50×0.4771 = 23.855
23 ≦ log₁₀ 3⁵⁰ < 24 より 10²³ ≦ 3⁵⁰ < 10²⁴
よって 24 桁
② log₁₀ 6²⁰ = 20×log₁₀ (2×3) = 20×(0.3010+0.4771) = 20×0.7781 = 15.562
15 ≦ log₁₀ 6²⁰ < 16 より 16 桁

ポイント 「log の整数部分+1 = 桁数」。②のように素因数分解してから log を分解(6 = 2×3)するのが常用対数の作法 — どんな数も 2、3、10 の組み立てに落とす。

B4-2解答を見る解答を隠す

解答
log₁₀ 0.3 = log₁₀ (3/10) = 0.4771−1 = −0.5229
log₁₀ (0.3)²⁰ = 20×(−0.5229) = −10.458
−11 ≦ log₁₀ (0.3)²⁰ < −10 より 10⁻¹¹ ≦ (0.3)²⁰ < 10⁻¹⁰
よって 小数第 11 位に初めて 0 でない数字が現れる。

ポイント 小数版は桁数の鏡像:「log が −10.458 → 10⁻¹¹ 台 → 第 11 位」。負の数のはさみ方(−11 ≦ −10.458 < −10)で符号ミスをしやすいので、10⁻¹ = 0.1 が第1位(log = −1 は −1 ≦ log < 0)で検算する。

B4-3解答を見る解答を隠す

解答
2ⁿ が 15 桁 ⇔ 14 ≦ log₁₀ 2ⁿ < 15
log₁₀ 2ⁿ = 0.3010n だから
14 ≦ 0.3010n < 15
各辺を 0.3010 で割って 46.51… ≦ n < 49.83…
n は自然数なので n = 47、48、49

ポイント 桁数の条件を不等式に翻訳して n について解く逆向きの問題。割り算の値(14/0.3010 ≒ 46.5)は小数第1位まで丁寧に — 端の 46 や 50 を含めるかどうかがすべて。答えが複数個になるのもこの型の特徴(2ⁿ は約 3 個ごとに桁が1つ増える:log₁₀ 2 ≒ 0.3 の意味)。


実戦問題(共通テスト形式)

実戦5-1【対数関数の最大・最小】★★★

1 ≦ x ≦ 32 のとき、関数 f(x) = (log₂ x)²−log₂ x⁴+5 について考える。
① log₂ x⁴ = [ア] log₂ x である。
② log₂ x = t とおくと、1 ≦ x ≦ 32 より [イ] ≦ t ≦ [ウ] である。
③ f(x) は t を用いて f(x) = (t−[エ])²+[オ] と表せる。
④ f(x) は x = [カ] のとき最小値 [オ] をとる。
⑤ f(x) は x = [キク] のとき最大値 [ケコ] をとる。

実戦5-2【常用対数の応用(増殖と減衰)】★★★

log₁₀ 2 = 0.3010 とする。
(1) ある細菌は 1 時間ごとに個数が 2 倍になる。最初に 1 個であった細菌の個数が、初めて 10⁹ 個を超えるのは [アイ] 時間後である。
(2) ある物質は 1 年ごとに質量が 20% ずつ減少する(毎年、前年の 0.8 倍になる)。
① log₁₀ 0.8 = [ウ] log₁₀ 2−1 = −0.0970 である。
② この物質の質量が、初めて最初の 1/10 以下になるのは [エオ] 年後である。


実戦問題 解答・解説


実戦5-1

考え方 B3-1・B3-2 で練習した「おき換え → t の変域 → 2次関数」を対数で行うフルコース。①で真数の累乗を係数に下ろし、②の変域が全設問の土台になる — 共通テストは手順そのものを誘導してくる。

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解答
① 対数の性質より log₂ x⁴ = 4 log₂ x(ア = 4)
② log₂ x は増加関数なので、x の両端を代入して
log₂ 1 = 0、log₂ 32 = 5 より 0 ≦ t ≦ 5(イ = 0、ウ = 5)
③ f(x) = t²−4t+5 = (t−2)²+1(エ = 2、オ = 1)
④ 軸 t = 2 は範囲 0 ≦ t ≦ 5 の内部にあるから、t = 2 で最小。
log₂ x = 2 より x = 4 のとき最小値 1(カ = 4)
⑤ 軸から遠い端 t = 5 で最大:f = 25−20+5 = 10
log₂ x = 5 より x = 32 のとき最大値 10(キク = 32、ケコ = 10)

ポイント
• (log₂ x)² と log₂ x⁴ の区別(前者は log の2乗、後者は 4 log₂ x)— B2-1 で確認した頻出の見分けが①の正体。
• ④⑤で t の値を x に戻す変換(t = 2 → x = 2² = 4)を忘れると、せっかくの計算が0点になる。マークの並びも「x を答えてから値」— 問われている量を最後に確認。


実戦5-2

考え方 「毎回 r 倍」の繰り返しは n 回後に rⁿ 倍 — 指数の文章題はこの一行の立式から始まる。あとは両辺の log₁₀ をとって n の1次不等式へ。(2)では log₁₀ 0.8 が負であることが最大の注意点。

実戦5-2解答を見る解答を隠す

解答
(1) n 時間後の個数は 2ⁿ 個。条件は
2ⁿ > 10⁹
両辺の常用対数をとって n log₁₀ 2 > 9
0.3010n > 9 → n > 9/0.3010 = 29.90…
n は自然数なので、初めて超えるのは 30 時間後(アイ = 30)
(2)
① log₁₀ 0.8 = log₁₀ (2³/10) = 3 log₁₀ 2−1 = 0.9030−1 = −0.0970(ウ = 3)
② n 年後の質量は最初の 0.8ⁿ 倍。条件は
0.8ⁿ ≦ 1/10
両辺の常用対数をとって n log₁₀ 0.8 ≦ −1
−0.0970n ≦ −1
負の数 −0.0970 で割るので不等号の向きが逆転して
n ≧ 1/0.0970 = 10.30…
n は自然数なので、初めて 1/10 以下になるのは 11 年後(エオ = 11)

ポイント
• (2)②の逆転が本問の核心:log₁₀ 0.8 < 0(1 未満の数の対数は負)なので、割った瞬間に向きが変わる — 第1巻第1章の不等式の大原則が、対数の文章題で命綱になる。
• 検算の感覚:(1) は「2 は約 3 回で 1 桁増える(log₁₀ 2 ≒ 0.3)」→ 9 桁増やすには約 30 回 ○。(2) は「1 年で約 9.7% 分の log が減る」→ 1(= 1 桁)減らすには約 10.3 年 → 11 年目 ○。数字の意味で答えを見直す習慣が、マーク式の強力な保険になる。


第6章 微分法と積分法

数IIのクライマックス。微分は「接線の傾きを与える関数」、積分は「その逆演算」であり面積を測る道具。①増減表 ②接点をおく ③面積は(上)−(下)、の3つの型で章の大半が動く。共通テストでは面積計算(1/6 公式)と、極値・方程式への応用が主役。 ※表記:定積分を ∫[a→b] f(x)dx と書く(a が下端、b が上端)。


この章の公式・要点まとめ

微分係数と導関数
• 平均変化率:{f(b)−f(a)}/(b−a)(2点を結ぶ直線の傾き)
• 微分係数 f'(a):x = a における接線の傾き(平均変化率の h → 0 の極限)
• (xⁿ)' = n xⁿ⁻¹、(定数)' = 0/{k f(x)}' = k f'(x)、{f±g}' = f'±g'
• 積の形はまず展開してから微分する(数IIの範囲では)

接線の方程式
• 曲線上の点 (a, f(a)) における接線:y = f'(a)(x−a)+f(a)
• 曲線外の点から引く接線・傾き指定の接線:接点を (a, f(a)) とおくのが第一手

増減と極値
• f'(x) > 0 の区間で増加、f'(x) < 0 の区間で減少 → 増減表(x/f'(x)/f(x) の3段)を書く
• f'(a) = 0 で符号が + → − なら極大、− → + なら極小
• 注意:f'(a) = 0 でも極値とは限らない(符号が変わらない例:y = x³ の x = 0)

最大・最小:区間内の極値と両端の値をすべて求めて比較(増減表に端の値も書き込む)

方程式・不等式への応用
• f(x) = k の実数解の個数 =「y = f(x) と直線 y = k の共有点の個数」→ 極値と k の大小で分類

不定積分
• ∫xⁿ dx = xⁿ⁺¹/(n+1)+C(積分定数 C を忘れない)
• 微分して元に戻るかで検算できる(積分は微分の逆演算)

定積分
• ∫[a→b] f(x)dx = F(b)−F(a)(F は f の原始関数の1つ。C は消えるので不要)
• 性質:∫[a→a] = 0、∫[b→a] = −∫[a→b]、区間の分割 ∫[a→c]+∫[c→b] = ∫[a→b]

定積分と面積
• a ≦ x ≦ b で f(x) ≧ 0 のとき、曲線と x 軸の間の面積 S = ∫[a→b] f(x)dx
• f(x) ≦ 0 の部分は S = −∫f(x)dx(マイナスをつけて正に)
• 2曲線間:S = ∫[a→b] {(上の式)−(下の式)}dx — どちらが上かの確認が最重要
1/6 公式:∫[α→β] (x−α)(x−β)dx = −(β−α)³/6
→ 放物線 y = ax²+… と直線が α、β で交わるとき、囲む面積 = |a|(β−α)³/6


A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下


A1【平均変化率と微分係数】

A1-1
f(x) = x² について、次を求めよ。
① x が 1 から 3 まで変化するときの平均変化率
② 微分係数 f'(1)(定義に従って求めよ)

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解答
① {f(3)−f(1)}/(3−1) = (9−1)/2 = 4
② f'(1) = lim(h→0) {f(1+h)−f(1)}/h
= lim(h→0) {(1+2h+h²)−1}/h = lim(h→0) (2+h) = 2

ポイント 平均変化率は「2点を結ぶ直線の傾き」、微分係数は「その2点を限りなく近づけた極限 = 接線の傾き」。h で約分してから h → 0 とする流れを一度は定義で体験しておく(以後は公式で)。

A1-2(類題)
f(x) = x²−3x について、次を求めよ。
① x が 0 から 2 まで変化するときの平均変化率
② 微分係数 f'(2)(定義に従って求めよ)

A1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① {f(2)−f(0)}/2 = (−2−0)/2 = −1
② f(2+h)−f(2) = {(2+h)²−3(2+h)}−(−2) = h²+h
f'(2) = lim(h→0) (h²+h)/h = lim(h→0) (h+1) = 1

ポイント 分子を先に計算して h でくくる(定数項が消えるのが検算 — 消えなければ計算ミス)。①が負なのは「この区間では全体として減っている」という意味。


A2【導関数の計算】

A2-1
次の関数を微分せよ。
① y = x³−4x²+5x−2
② y = 2x³+3x
③ y = (x−1)(x+3)

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解答
① y' = 3x²−8x+5
② y' = 6x²+3
③ 展開して y = x²+2x−3 → y' = 2x+2

ポイント (xⁿ)' = n xⁿ⁻¹:「指数が前に降りて、指数は1減る」。定数の微分は 0。③のような積は数IIでは展開してから — 各項ごとに機械的に処理する。

A2-2(類題)
① y = (2x+1)² を微分せよ。
② f(x) = x³−3x² のとき、f'(2) と f'(−1) を求めよ。

A2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① 展開して y = 4x²+4x+1 → y' = 8x+4
② f'(x) = 3x²−6x
f'(2) = 12−12 = 0、f'(−1) = 3+6 = 9

ポイント ②の f'(2) = 0 は「x = 2 で接線が水平」— 極値の候補点(A4 へつながる伏線)。導関数はまず求めてから値を代入、の順を守る。


A3【接線の方程式】★★

A3-1
放物線 y = x² 上の点 (2, 4) における接線の方程式を求めよ。

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解答
y' = 2x より、傾きは x = 2 で 2×2 = 4
y = 4(x−2)+4 → y = 4x−4

ポイント 接線は「傾き f'(a)、通る点 (a, f(a))」の直線 — 第3章 A2 の基本形 y−y₁ = m(x−x₁) に乗せるだけ。微分の最初の使い道がこれ。

A3-2(類題)
曲線 y = x³−3x について、次の接線の方程式を求めよ。
① 曲線上の点 (1, −2) における接線
② 傾きが 9 である接線

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解答
y' = 3x²−3
① 傾き = 3−3 = 0。よって y = −2(水平な接線)
② 接点の x 座標を a とすると 3a²−3 = 9 → a² = 4 → a = ±2
(i) a = 2:接点 (2, 2)、y = 9(x−2)+2 → y = 9x−16
(ii) a = −2:接点 (−2, −2)、y = 9(x+2)−2 → y = 9x+16

ポイント ②の型は「接点 a をおいて、傾きの条件から a の方程式」— 接線問題の万能手順(曲線外の点から引く接線も同じ)。①の「傾き 0 = 水平線 y = −2」は極値との接点(A4 の予告)。


A4【関数の増減と極値】★★

A4-1
関数 y = x³−3x の増減を調べ、極値を求めよ。

A4-1解答を見る解答を隠す

解答
y' = 3x²−3 = 3(x+1)(x−1)
y' = 0 となるのは x = −1、1。増減表:

x −1 1
y' + 0 0 +
y 2 −2

よって x = −1 で極大値 2、x = 1 で極小値 −2

ポイント 手順:「①微分 ②y' = 0 を解く ③増減表(y' の符号は因数の符号かグラフで判断)④極値を宣言」。3次関数(x³ の係数が正)の基本形は「山 → 谷」— 概形を頭に置いて表を検算する。

A4-2(類題)
関数 y = −x³+3x² の増減を調べ、極値を求めよ。

A4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
y' = −3x²+6x = −3x(x−2)
y' = 0 となるのは x = 0、2。増減表:

x 0 2
y' 0 + 0
y 0 4

よって x = 0 で極小値 0、x = 2 で極大値 4

ポイント x³ の係数がだと概形は「谷 → 山」に反転(極小が先)。y' = −3x(x−2) の符号は「上に凸の放物線が 0 と 2 の間で正」と読む — 第1巻第3章の2次不等式がここで毎回働く。


A5【最大値・最小値】★★

A5-1
関数 f(x) = x³−3x²+2(−1 ≦ x ≦ 3)の最大値と最小値を求めよ。

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解答
f'(x) = 3x²−6x = 3x(x−2)。区間内で f'(x) = 0 となるのは x = 0、2。
候補の値:f(−1) = −2、f(0) = 2(極大)、f(2) = −2(極小)、f(3) = 2
よって 最大値 2(x = 0、3)、最小値 −2(x = −1、2)

ポイント 区間つきの最大最小は「極値と両端、候補を全部並べて比較」— 増減表の右端・左端に区間の端の値を書き足す。本問のように最大・最小が2か所で起こることもある(端と極値が並ぶ)。

A5-2(類題)
関数 f(x) = x³−6x²+9x(0 ≦ x ≦ 2)の最大値と最小値を求めよ。

A5-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
f'(x) = 3x²−12x+9 = 3(x−1)(x−3)
区間 0 ≦ x ≦ 2 内で f'(x) = 0 となるのは x = 1 のみ(x = 3 は区間外)。
候補の値:f(0) = 0、f(1) = 4(極大)、f(2) = 2
よって 最大値 4(x = 1)、最小値 0(x = 0)

ポイント 区間外の極値候補(x = 3)は捨てる — 「y' = 0 の解がすべて候補」ではなく「区間内のものだけ」。区間が変わると答えが変わる感覚は、第1巻第3章の2次関数と同じ。


A6【不定積分】

A6-1
次の不定積分を求めよ。
① ∫(3x²−4x+1)dx
② ∫(6x²+2x)dx

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解答
x³−2x²+x+C(C は積分定数)
2x³+x²+C

ポイント ∫xⁿ dx = xⁿ⁺¹/(n+1)+C:「指数を1増やして、増えた指数で割る」(微分の逆再生)。検算は微分して元に戻るか — 10秒でできる最強の保険。C の書き忘れは定番の減点。

A6-2(類題)
F'(x) = 3x²−2x かつ F(1) = 3 を満たす関数 F(x) を求めよ。

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解答
F(x) = ∫(3x²−2x)dx = x³−x²+C
F(1) = 1−1+C = C = 3
よって F(x) = x³−x²+3

ポイント 「導関数と1点の値から元の関数を復元」— 不定積分の C が、通る点の条件でただ1つに決まる構造。接線条件つきの関数決定など、応用の基本部品になる。


A7【定積分の計算】★★

A7-1
次の定積分を求めよ。
① ∫[1→3] (2x+1)dx
② ∫[0→2] (3x²−2x)dx

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解答
① [x²+x] を 1 から 3 まで:(9+3)−(1+1) = 10
② [x³−x²] を 0 から 2 まで:(8−4)−0 = 4

ポイント 手順:「原始関数を作る(C 不要)→ 上端の値 − 下端の値」。代入は上端から — 引き算の順序ミスが最多の事故なので、(上端)−(下端)と声に出す。

A7-2(類題)
次の定積分を求めよ。
① ∫[−1→2] (x²−x)dx
② ∫[−1→1] (3x²+2x+1)dx

A7-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① [x³/3−x²/2] を −1 から 2 まで:
(8/3−2)−(−1/3−1/2) = 2/3+1/3+1/2 = 3/2
② [x³+x²+x] を −1 から 1 まで:(1+1+1)−(−1+1−1) = 4
《別解》②は −1 から 1 の対称区間なので、奇関数 2x の積分は 0。
2∫[0→1] (3x²+1)dx = 2×(1+1) = 4(同じ)

ポイント ①のような分数は通分を焦らず1項ずつ。②の別解「対称区間では奇数次の項は消える、偶数次は 0 からの2倍」は計算量を半減させる強力な時短技(検算にも)。


A8【定積分と面積(x 軸との間)】★★

A8-1
放物線 y = −x²+4 と x 軸で囲まれた図形の面積 S を求めよ。

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解答
x 軸との交点:−x²+4 = 0 → x = ±2。この区間で y ≧ 0。
S = ∫[−2→2] (−x²+4)dx = [−x³/3+4x] を −2 から 2 まで
= (−8/3+8)−(8/3−8) = 32/3

ポイント 面積の3手順:「①交点(積分区間)②上下の確認(y ≧ 0 か)③定積分」。1/6 公式でも:|−1|×{2−(−2)}³/6 = 64/6 = 32/3 — 一致の確認が最高の検算。

A8-2(類題)
放物線 y = x²−2x と x 軸で囲まれた図形の面積 S を求めよ。

A8-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
交点:x²−2x = 0 → x = 0、2。0 ≦ x ≦ 2 では y ≦ 0(下に凸で軸との間が下側)。
S = ∫[0→2] (x²−2x)dx = −[x³/3−x²] = −(8/3−4) = 4/3

ポイント 曲線が x 軸のにある部分は、定積分が負になるのでマイナスをつけて面積に直す。マイナスを忘れて「−4/3」と答えるのが典型ミス — 面積は必ず正、が最終チェック。


A9【2曲線間の面積】★★

A9-1
放物線 y = x² と直線 y = x+2 で囲まれた図形の面積 S を求めよ。

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解答
交点:x² = x+2 → x²−x−2 = 0 → x = −1、2
−1 ≦ x ≦ 2 では直線が上(たとえば x = 0 で 2 > 0)。
S = ∫[−1→2] {(x+2)−x²}dx
1/6 公式より S = |−1|×{2−(−1)}³/6 = 27/6 = 9/2

ポイント (上)−(下) = −(x²−x−2) = −(x+1)(x−2) — 交点の2次方程式の左辺がそのまま被積分関数になる構造。1/6 公式 |a|(β−α)³/6 は放物線と直線の面積の最短ルート(記述では公式の使用を一言断るか、定積分を書き添える)。

A9-2(類題)
2つの放物線 y = x²−1 と y = −x²+2x+3 で囲まれた図形の面積 S を求めよ。

A9-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
交点:x²−1 = −x²+2x+3 → 2x²−2x−4 = 0 → x²−x−2 = 0 → x = −1、2
この区間では y = −x²+2x+3 が上(x = 0 で 3 > −1)。
S = ∫[−1→2] {(−x²+2x+3)−(x²−1)}dx = ∫[−1→2] (−2x²+2x+4)dx
被積分関数は −2(x+1)(x−2) なので、1/6 公式の拡張より
S = |−2|×{2−(−1)}³/6 = 2×27/6 = 9

ポイント 放物線どうしでも「差をとって1つの2次関数」にすれば直線のときと同じ — 公式は |a|(β−α)³/6 の a に差の x² の係数(ここでは −2)が入る。上下の確認(1点代入)を省かないこと。


B問題(応用力養成)

※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B3(解の個数)とB5(面積の応用)が入試の最頻出、B4(定積分で表された関数)は差がつく定番


B1【接線の応用】★★★

B1-1 点 (1, −3) から放物線 y = x² に引いた接線の方程式を求めよ。
B1-2 曲線 y = x³ の接線のうち、点 (0, −2) を通るものを求めよ。
B1-3 曲線 y = x³+ax+b が点 (1, 3) で直線 y = 2x+1 に接するとき、定数 a、b の値を求めよ。

B2【極値の条件・関数の決定】★★★

B2-1 関数 f(x) = x³−3x²+ax が極値をもつような定数 a の値の範囲を求めよ。
B2-2 関数 f(x) = x³+ax²+bx が x = 1 で極大値 5 をとるとき、定数 a、b の値を求めよ。
B2-3 関数 f(x) = x³+ax²+bx+c が x = 0 で極大値 2 をとり、x = 2 で極小値をとる。定数 a、b、c の値と極小値を求めよ。

B3【方程式・不等式への応用】★★★

B3-1 方程式 x³−3x+1 = 0 の異なる実数解の個数を求めよ。
B3-2 k を定数とする。方程式 x³−3x²−k = 0 の異なる実数解の個数を、k の値によって分類せよ。
B3-3 x ≧ 0 のとき、不等式 x³+4 ≧ 3x² が成り立つことを証明せよ。

B4【定積分で表された関数】★★★

B4-1 等式 f(x) = 3x²+∫[0→2] f(t)dt を満たす関数 f(x) を求めよ。
B4-2 F(x) = ∫[1→x] (t²−2t)dt について、次を求めよ。
① F'(x)
② F(x)
B4-3 等式 ∫[a→x] f(t)dt = x²−3x+2 を満たす関数 f(x) と定数 a の値を求めよ。

B5【面積の応用】★★★

B5-1 放物線 y = x² の点 (1, 1) における接線を ℓ とする。放物線と ℓ と y 軸で囲まれた図形の面積 S を求めよ。
B5-2 曲線 y = x³−4x と x 軸で囲まれた2つの部分の面積の和 S を求めよ。
B5-3 放物線 y = x² と直線 y = 4 で囲まれた図形の面積を、直線 y = k(0 < k < 4)が2等分するとき、k の値を求めよ。


B問題 解答・解説


B1【接線の応用】

考え方 接線問題の万能手順は「接点 (a, f(a)) をおく → 接線 y = f'(a)(x−a)+f(a) を書く → 条件(通る点・傾き・一致)から a の方程式」。通る点が曲線上にない場合こそ、この型が威力を発揮する。

B1-1解答を見る解答を隠す

解答
接点を (a, a²) とおくと、y' = 2x より接線は
y = 2a(x−a)+a² = 2ax−a²
これが点 (1, −3) を通るから −3 = 2a−a²
a²−2a−3 = 0 → (a−3)(a+1) = 0 → a = 3、−1
よって接線は y = 6x−9 と y = −2x−1

ポイント 点 (1, −3) は放物線の外部(下側)にあるので接線は2本 — 答えの本数を図で予想してから解くと安心。「接点をおく」のであって「傾きをおく」のではない(傾き m でおくと判別式経由になり遠回り)。

B1-2解答を見る解答を隠す

解答
接点を (a, a³) とおくと、y' = 3x² より接線は
y = 3a²(x−a)+a³ = 3a²x−2a³
これが点 (0, −2) を通るから −2 = −2a³ → a³ = 1 → a = 1
よって接線は y = 3x−2(接点 (1, 1))

ポイント 3次曲線の接線の y 切片は −2a³ という形になる(整理の結果)。a³ = 1 の実数解は 1 のみ — 3次方程式の実数解の個数がそのまま接線の本数になる、という対応は発展問題(接線が3本引ける点の範囲など)への入り口。

B1-3解答を見る解答を隠す

解答
f(x) = x³+ax+b とおく。曲線が点 (1, 3) で直線 y = 2x+1 に接する条件は
(i) 点を通る:f(1) = 3 (ii) 傾きが一致:f'(1) = 2
f'(x) = 3x²+a より
(ii):3+a = 2 → a = −1
(i):1+a+b = 3 → 1−1+b = 3 → b = 3
(検算:点 (1, 3) は直線 y = 2x+1 上にある ○)

ポイント 「接する」の翻訳は 値の一致+微分係数の一致 の2本セット — 判別式(第3章の円と直線)ではなく微分で書くのが3次以上の流儀。条件2本で未知数2個、と方程式の数を確認してから解く。


B2【極値の条件・関数の決定】

B2-1解答を見る解答を隠す

解答
f'(x) = 3x²−6x+a
f(x) が極値をもつ ⇔ f'(x) = 0 が異なる2つの実数解をもち、その前後で f' の符号が変わる。
f' は下に凸の2次関数なので、異なる2実解をもてば符号は必ず + → − → + と変わる。
判別式:D/4 = 9−3a > 0 → a < 3

ポイント 「極値をもつ ⇔ D > 0」— 等号を含めないのが核心(D = 0 の重解では f' ≧ 0 のまま符号が変わらず、極値にならない:y = x³ 型)。「f' = 0 の解がある」だけでは不十分、という論理を答案に一言書く。

B2-2解答を見る解答を隠す

解答
f'(x) = 3x²+2ax+b
x = 1 で極大値 5 をとるための必要条件
f'(1) = 3+2a+b = 0、f(1) = 1+a+b = 5
連立を解いて 2a+b = −3、a+b = 4 → a = −7、b = 11
(十分性の確認)このとき f'(x) = 3x²−14x+11 = (3x−11)(x−1)
増減は x = 1 の前後で + → −(x = 1 と 11/3 の間で負)となり、x = 1 で確かに極大。f(1) = 1−7+11 = 5 ○
よって a = −7、b = 11

ポイント f'(1) = 0 は極値の必要条件にすぎない(逆は成り立たない)ので、解いた後に増減表で「本当に極大か」を確認するのが満点答案の作法 — この一段の有無が記述の評価を分ける。

B2-3解答を見る解答を隠す

解答
f'(x) = 3x²+2ax+b
x = 0、2 で極値をとるから f'(0) = 0、f'(2) = 0:
b = 0、12+4a+b = 0 → a = −3、b = 0
極大値の条件から f(0) = c = 2
このとき f(x) = x³−3x²+2、f'(x) = 3x(x−2)
増減:x = 0 の前後で + → −(極大 ○)、x = 2 の前後で − → +(極小 ○)
極小値は f(2) = 8−12+2 = −2

ポイント 「x = 0 と 2 で極値」→ f' = 0 の2解がその2つ、と読めば f'(x) = 3x(x−2) と因数分解の形が先に見える(解と係数の関係でも a、b が出る)。決定後の増減確認は B2-2 と同じく必須。


B3【方程式・不等式への応用】

考え方 「解の個数」はグラフの共有点の個数に翻訳する:
定数 k を含むなら k を分離(f(x) = k の形)して、曲線 y = f(x) と水平線 y = k の交わりを極値と比べる。個数の境目は極値の高さ

B3-1解答を見る解答を隠す

解答
f(x) = x³−3x+1 とおく。f'(x) = 3(x+1)(x−1)
極大値 f(−1) = −1+3+1 = 3 > 0
極小値 f(1) = 1−3+1 = −1 < 0
極大値と極小値が異符号なので、グラフは x 軸と3回交わる。
よって異なる実数解は 3 個

ポイント 3次方程式の解の個数の判定:「(極大値)×(極小値) < 0 ⇔ 3個」「= 0 ⇔ 2個」「> 0(または極値なし)⇔ 1個」。グラフの山と谷が x 軸をまたぐか、の図で理解する。

B3-2解答を見る解答を隠す

解答
k を分離して x³−3x² = k
g(x) = x³−3x² とおくと g'(x) = 3x(x−2)
極大値 g(0) = 0、極小値 g(2) = 8−12 = −4
曲線 y = g(x) と直線 y = k の共有点の個数を、k を上下に動かして数える:
−4 < k < 0 のとき 3個
k = 0、−4 のとき 2個
k < −4、0 < k のとき 1個

ポイント 定数分離(k を右辺に孤立させる)が最強の整理法 — 曲線は固定され、動くのは水平線だけになる。境目は必ず極値の高さ(0 と −4)。「等号のとき2個」(山頂・谷底で接する)を落とさない。

B3-3解答を見る解答を隠す

解答
《証明》f(x) = x³−3x²+4 とおき、x ≧ 0 での最小値を調べる。
f'(x) = 3x²−6x = 3x(x−2)
x ≧ 0 における増減:0 ≦ x ≦ 2 で減少、x ≧ 2 で増加。
よって x ≧ 0 での最小値は f(2) = 8−12+4 = 0
したがって x ≧ 0 のとき f(x) ≧ 0、すなわち x³+4 ≧ 3x² が成り立つ。
(等号は x = 2 のとき)∎

ポイント 不等式の証明の微分版:「(左辺)−(右辺)の最小値 ≧ 0 を示す」。第1章の平方完成では届かない3次の不等式は、増減表で最小値を特定する — 「差をとる」という大方針(第1章 A7)は変わらない。


B4【定積分で表された関数】

B4-1解答を見る解答を隠す

解答
∫[0→2] f(t)dt は定数なので A とおくと f(x) = 3x²+A
A = ∫[0→2] (3t²+A)dt = [t³+At] を 0 から 2 まで = 8+2A
よって A = 8+2A → A = −8
f(x) = 3x²−8
(検算:∫[0→2] (3t²−8)dt = 8−16 = −8 = A ○)

ポイント上端・下端が数字の定積分 = ただの定数」と見抜いて A とおく — この一手だけの問題。A の方程式を解いたら、必ず元の等式に戻して検算(左右が一致するか)。

B4-2解答を見る解答を隠す

解答
① 上端が x の定積分の微分:F'(x) = x²−2x
② 実際に積分して
F(x) = [t³/3−t²] を 1 から x まで = (x³/3−x²)−(1/3−1)
F(x) = x³/3−x²+2/3
(検算:F'(x) = x²−2x ○、F(1) = 1/3−1+2/3 = 0 ○)

ポイント 公式「d/dx ∫[a→x] f(t)dt = f(x)」(積分してから微分すると元に戻る)と、「x = a を代入すると 0」(∫[a→a] = 0)の2性質がこの型のすべて。②の結果が①②の両方を満たすか、の二重検算が効く。

B4-3解答を見る解答を隠す

解答
両辺を x で微分すると、左辺は f(x) になるから
f(x) = 2x−3
また、x = a を代入すると左辺は ∫[a→a] = 0 なので
0 = a²−3a+2 → (a−1)(a−2) = 0 → a = 1、2

ポイント この型の2大操作:「微分して f を出す」「x = a を代入して a を出す」— 順不同でどちらも実行する。a が2つ出てもどちらも正解(検算:a = 1 でも 2 でも右辺が x = a で 0 になる ○)。


B5【面積の応用】

B5-1解答を見る解答を隠す

解答
y' = 2x より、点 (1, 1) における接線 ℓ は y = 2(x−1)+1 = 2x−1
放物線と接線の差は x²−(2x−1) = (x−1)² ≧ 0 なので、放物線が常に上。
y 軸(x = 0)から接点(x = 1)までの間で
S = ∫[0→1] (x−1)² dx = [(x−1)³/3] を 0 から 1 まで = 0−(−1/3) = 1/3

ポイント 放物線と接線の差は必ず (x−接点)² の形(接するから重解)— この完全平方が積分を一瞬にする。∫(x−1)²dx は展開せず「(x−1)³/3」とそのまま積分(平行移動の感覚)。

B5-2解答を見る解答を隠す

解答
x³−4x = x(x+2)(x−2) より、x 軸との交点は x = −2、0、2。
−2 ≦ x ≦ 0 では y ≧ 0(例:x = −1 で 3)、0 ≦ x ≦ 2 では y ≦ 0。
S = ∫[−2→0] (x³−4x)dx+{−∫[0→2] (x³−4x)dx}
∫[0→2] (x³−4x)dx = [x⁴/4−2x²] = 4−8 = −4
∫[−2→0] (x³−4x)dx = 0−(4−8) = 4
よって S = 4+4 = 8

ポイント 上下が入れ替わる図形は「交点で区間を切って、下側の区間はマイナス」— まとめて −2 から 2 まで積分すると 0 になってしまう(奇関数!)のが本問の罠。原点対称なグラフなので「片側 ×2」の時短も効く。

B5-3解答を見る解答を隠す

解答
放物線 y = x² と直線 y = k(k > 0)の交点は x = ±√k。囲む面積は
∫[−√k→√k] (k−x²)dx = 1/6 公式より {2√k}³/6 = (4/3)k√k
k = 4 のとき全体の面積は (4/3)×4×2 = 32/3
2等分の条件は「y = k より下の部分 = 全体の半分」:
(4/3)k√k = (1/2)×(32/3) = 16/3
k√k = 4 → k^(3/2) = 4 → k = 4^(2/3) = 2 ³√2

ポイント 「放物線と水平線の囲む面積 = (4/3)k√k」を k の関数として立式するのが核心 — 面積が k^(3/2) に比例する(横幅 √k × 高さ k の相似拡大)。答えの 2³√2(= ³√16 ≒ 2.52)が 0 < k < 4 に収まることを確認して締める。


実戦問題(共通テスト形式)

実戦6-1【3次関数の総合】★★★

関数 f(x) = x³−3x+2 について考える。
① f'(x) = [ア]x²−[イ] である。
② f(x) は x = [ウエ] のとき極大値 [オ] をとり、x = [カ] のとき極小値 [キ] をとる。
③ 曲線 y = f(x) 上の点 (0, 2) における接線の方程式は y = −[ク]x+[ケ] である。
④ k を定数とする。方程式 f(x) = k が異なる3つの実数解をもつような k の値の範囲は [コ] < k < [サ] である。

実戦6-2【放物線・接線と面積】★★★

放物線 C:y = x²−4x+3 について考える。
① C と x 軸の交点の x 座標は [ア] と [イ] である(ア < イ)。
② C と x 軸で囲まれた図形の面積は [ウ]/[エ] である。
③ C 上の点 (0, 3) における接線 ℓ の方程式は y = −[オ]x+[カ] である。
④ C と ℓ と直線 x = 2 で囲まれた図形の面積は [キ]/[ク] である。


実戦問題 解答・解説


実戦6-1

考え方 微分の3大テーマ「増減・接線・解の個数」を1つの関数で通す共通テストの定番構成。④は曲線を固定し水平線 y = k を動かす(B3 の定数分離)— ②で求めた極値がそのまま境目になる、という設問間の連携を読む。

実戦6-1解答を見る解答を隠す

解答
① f'(x) = 3x²−3(ア = 3、イ = 3)
② f'(x) = 3(x+1)(x−1) = 0 より x = −1、1。増減表から
x = −1 のとき極大値 f(−1) = −1+3+2 = 4
x = 1 のとき極小値 f(1) = 1−3+2 = 0
(ウエ = −1、オ = 4、カ = 1、キ = 0)
③ 傾きは f'(0) = −3。点 (0, 2) を通るから
y = −3x+2(ク = 3、ケ = 2)
④ 方程式 f(x) = k の実数解の個数は、曲線 y = f(x) と直線 y = k の共有点の個数。
3個となるのは、y = k が極小値と極大値のにあるとき:
0 < k < 4(コ = 0、サ = 4)

ポイント
• ④の境目は必ず②の極値 — 「前の設問の答えは後の設問の部品」という共通テストの誘導原理。k = 0、4(端)のときは接して2個、外側は1個、と全分類も頭の中で確認。
• 極小値が 0 ということは、グラフが x = 1 で x 軸に接するということ(実際 f(x) = (x−1)²(x+2) と因数分解できる)— 因数分解による検算 f(1) = 0、f(−2) = 0 まで見えると盤石。


実戦6-2

考え方 面積の2大パターン「x 軸との間(②)」と「接線との間(④)」を1本の放物線で。④は B5-1 の再演:放物線と接線の差は必ず (x−接点)² — 接点が x = 0 なので差はただの x² になる。

実戦6-2解答を見る解答を隠す

解答
① x²−4x+3 = (x−1)(x−3) = 0 より x = 1、3(ア = 1、イ = 3)
② 1 ≦ x ≦ 3 で C は x 軸の下側。面積は 1/6 公式で
S = |1|×(3−1)³/6 = 8/6 = 4/3(ウ = 4、エ = 3)
③ y' = 2x−4 より、x = 0 での傾きは −4。点 (0, 3) を通るから
ℓ:y = −4x+3(オ = 4、カ = 3)
④ C と ℓ の差:(x²−4x+3)−(−4x+3) = x²
よって C は ℓ の上側にあり(下に凸の放物線は接線の上)、接点 x = 0 から x = 2 までで
S = ∫[0→2] x² dx = [x³/3] を 0 から 2 まで = 8/3(キ = 8、ク = 3)

ポイント
• ②は「下側だからマイナス」を 1/6 公式が吸収してくれる(公式は面積を直接与える)— 定積分で書くなら −∫1→3dx。
• ④の「差 = (x−0)²」は偶然ではなく必然(接する ⇔ 重解)。囲む区間の左端が「交点」ではなく接点である点、右端が指定された直線 x = 2 である点 — 図を描いて領域の輪郭を確定してから積分する、という面積問題の作法の総仕上げ。


第7章 数列

ここから数B。数列は「規則を式にする」章 — 土台は等差・等比の2大基本形と Σ の3公式。つまずきどころは、階差・S_n → a_n の「n ≧ 2 と n = 1 の場合分け」、漸化式の特性方程式、(等差)×(等比)型の S−rS。共通テスト数Bの主力分野。 ※表記:和の記号を Σₖ₌₁ⁿ(k = 1 から n まで)のように書く。


この章の公式・要点まとめ

等差数列(初項 a、公差 d)
• 一般項:aₙ = a+(n−1)d
• 和:Sₙ = n(初項+末項)/2 = n{2a+(n−1)d}/2 —「(項数)×(平均)」のイメージ
• 等差中項:a、b、c が等差 ⇔ 2b = a+c

等比数列(初項 a、公比 r)
• 一般項:aₙ = a rⁿ⁻¹
• 和:r ≠ 1 のとき Sₙ = a(rⁿ−1)/(r−1)、r = 1 のとき Sₙ = na
• 等比中項:a、b、c が等比 ⇔ b² = ac

Σ の公式
• Σₖ₌₁ⁿ c = cn、Σₖ₌₁ⁿ k = n(n+1)/2
• Σₖ₌₁ⁿ k² = n(n+1)(2n+1)/6、Σₖ₌₁ⁿ k³ = {n(n+1)/2}²
• 線形性:Σ(pk+q…) は項ごとに分けて係数を外に出せる。答えは因数分解して整理

いろいろな和
• 部分分数:1/{k(k+1)} = 1/k−1/(k+1) → 途中が打ち消し合う(望遠鏡和)
• (等差)×(等比)の和:S−rS を作って等比数列の和に帰着

階差数列(bₙ = aₙ₊₁−aₙ)
• n ≧ 2 のとき aₙ = a₁+Σₖ₌₁ⁿ⁻¹ bₖ → 最後に n = 1 で成り立つか確認

和と一般項
• a₁ = S₁、n ≧ 2 のとき aₙ = Sₙ−Sₙ₋₁ → n = 1 の確認を忘れない

漸化式
• aₙ₊₁ = aₙ+d(等差型)/aₙ₊₁ = r aₙ(等比型)/aₙ₊₁ = aₙ+f(n)(階差型)
aₙ₊₁ = p aₙ+q 型:特性方程式 α = pα+q を解き、aₙ₊₁−α = p(aₙ−α) と変形 →{aₙ−α}が等比数列

数学的帰納法
• (i) n = 1 で成立を確認 (ii) n = k での成立を仮定し、n = k+1 での成立を示す — 2段で「すべての自然数」を証明


A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下


A1【等差数列の一般項】

A1-1
第3項が 10、第7項が 22 である等差数列 {aₙ} の一般項を求めよ。

A1-1解答を見る解答を隠す

解答
初項 a、公差 d とすると
a+2d = 10、a+6d = 22
辺々引いて 4d = 12 → d = 3、a = 4
よって aₙ = 4+(n−1)×3 = 3n+1

ポイント 条件2つ → 初項と公差の連立方程式、が等差の決定の定型。求めた一般項は必ず条件の項に代入して検算する(a₃ = 3×3+1 = 10 ○、a₇ = 3×7+1 = 22 ○)— この10秒の儀式が転記ミスを拾う。

A1-2(類題)
第4項が 20、第10項が 2 である等差数列 {aₙ} の一般項を求めよ。また、初めて負になるのは第何項か。

A1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
初項 a、公差 d とすると a+3d = 20、a+9d = 2。
辺々引いて 6d = −18 → d = −3、a = 29。
よって aₙ = 29+(n−1)×(−3) = 32−3n
aₙ < 0 ⇔ 32−3n < 0 ⇔ n > 10.67… だから、初めて負になるのは 第11項(a₁₁ = −1)。

ポイント 決定は連立、が定石(A1-1 と同型)。「初めて負」は不等式 aₙ < 0 を解いて自然数で答える — 本章 B1(和の最大)や第5章(桁数)と同じ、境目を不等式で押さえる型。


A2【等差数列の和】

A2-1
① 初項 5、末項 41、項数 10 の等差数列の和を求めよ。
② 初項 2、公差 3 の等差数列の、初項から第 n 項までの和 Sₙ を求めよ。

A2-1解答を見る解答を隠す

解答
① S = 10×(5+41)/2 = 230
② Sₙ = n{2×2+(n−1)×3}/2 = n(3n+1)/2 → Sₙ = n(3n+1)/2

ポイント 和の公式は2本:「(項数)×(初項+末項)÷2」(末項が分かるとき)と「n{2a+(n−1)d}/2」(公差で書くとき)。①は台形の面積のイメージで暗算できる。

A2-2(類題)
等差数列 3, 7, 11, 15, … について、初項から第 n 項までの和 Sₙ を求めよ。また、Sₙ = 210 となる n を求めよ。

A2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
初項 3、公差 4 だから
Sₙ = n{2×3+(n−1)×4}/2 = n(4n+2)/2 = n(2n+1)
n(2n+1) = 210 とすると 2n²+n−210 = 0
(n−10)(2n+21) = 0 → n = 10、−21/2
n は自然数だから n = 10
(検算:S₁₀ = 10×21 = 210 ○)

ポイント 和の公式に当てはめて n の2次方程式に落とす(A2-1 と同型)。たすき掛けが見えなくても、Sₙ は増加列なので S₉ = 171、S₁₀ = 210 と実験すれば届く。n は自然数なので負・分数の解は必ず捨てる — この「解の吟味」の一言まで書いて完答。


A3【等比数列の一般項】

A3-1
第2項が 6、第5項が 48 である等比数列 {aₙ} の一般項を求めよ(公比は実数)。

A3-1解答を見る解答を隠す

解答
初項 a、公比 r とすると ar = 6、ar⁴ = 48
辺々割って r³ = 8 → r = 2、a = 3
よって aₙ = 3×2ⁿ⁻¹

ポイント 等比の決定は「割って公比のべきだけにする」— ar⁴÷ar = r³ で a が消える。r³ = 8 の実数解は 2 のみ(第2章の知識)。

A3-2(類題)
第2項が −6、第4項が −54 である等比数列 {aₙ} の一般項を求めよ(公比は実数)。

A3-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
初項 a、公比 r とすると ar = −6、ar³ = −54。
辺々割って r² = 9 → r = ±3。
(i) r = 3 のとき a = −2 → aₙ = −2×3ⁿ⁻¹
(ii) r = −3 のとき a = 2 → aₙ = 2×(−3)ⁿ⁻¹
よって aₙ = −2×3ⁿ⁻¹ または aₙ = 2×(−3)ⁿ⁻¹

ポイント A3-1 と違い r² = 9 は2つの実数解 ±3 をもつ — 偶数乗だと公比が2通りになり、答えも2組。「割って公比のべきにする」手順は同じでも、べきが偶数か奇数かで解の個数が変わる点に注意。


A4【等比数列の和】

A4-1
初項 3、公比 2 の等比数列の、初項から第 n 項までの和 Sₙ を求めよ。

A4-1解答を見る解答を隠す

解答
Sₙ = 3(2ⁿ−1)/(2−1) = 3(2ⁿ−1)

ポイント 公式 Sₙ = a(rⁿ−1)/(r−1)。指数は n(n−1 ではない)— 「項数の分だけ掛かる」と覚える。r = 1 のときは公式が使えず Sₙ = na、の場合分けも頭の隅に(文字の公比で問われる)。

A4-2(類題)
初項 4、公比 1/2 の等比数列の、初項から第 n 項までの和 Sₙ を求めよ。

A4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
Sₙ = 4{1−(1/2)ⁿ}/(1−1/2) = 4×{1−(1/2)ⁿ}÷(1/2) = 8{1−(1/2)ⁿ} = 8−8×(1/2)ⁿ
(別の書き方:8−(1/2)ⁿ⁻³ でもよい)

ポイント 公比が 1 未満(分数)でも公式は同じ。分母が 1−r = 1/2 になるので「÷(1/2) = ×2」で処理。n を大きくすると (1/2)ⁿ → 0 で和が 8 に近づく(無限級数の入り口)— 数III で回収される感覚。


A5【Σ の計算】★★

A5-1
次の和を求めよ。
① Σₖ₌₁ⁿ (2k+1)
② Σₖ₌₁ⁿ (3k²−k)

A5-1解答を見る解答を隠す

解答
① 2×n(n+1)/2+n = n²+n+n = n²+2n = n(n+2)
② 3×n(n+1)(2n+1)/6−n(n+1)/2 = n(n+1)(2n+1)/2−n(n+1)/2
= n(n+1){(2n+1)−1}/2 = n(n+1)×2n/2 = n²(n+1)

ポイント 手順:「項ごとに分ける → 3公式を代入 → 共通因数でくくって整理」。②のように n(n+1)/2 でくくると計算が軽く、答えも美しく畳まれる。検算:n = 1 を代入(① 3 = 1×3 ○、② 2 = 1×2 ○)。

A5-2(類題)
次の和を求めよ。
① Σₖ₌₁ⁿ (k²+3k)
② Σₖ₌₁ⁿ k(k+2)

A5-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
① n(n+1)(2n+1)/6+3×n(n+1)/2 = n(n+1)(2n+1)/6+9n(n+1)/6
= n(n+1){(2n+1)+9}/6 = n(n+1)(2n+10)/6 = n(n+1)(n+5)/3
② Σ(k²+2k) = n(n+1)(2n+1)/6+2×n(n+1)/2 = n(n+1)(2n+1)/6+6n(n+1)/6
= n(n+1)(2n+7)/6 → n(n+1)(2n+7)/6

ポイント ②はまず展開して k²+2k にしてから公式(A5-1 と同型)。①のように n(n+1) でくくって整理すると美しく畳める。検算は n = 1 代入(① 1×2×6/3 = 4 = 1+3 ○、② 1×2×9/6 = 3 = 1×3 ○)。


A6【階差数列】★★

A6-1
数列 1, 2, 5, 10, 17, … の一般項 aₙ を求めよ。

A6-1解答を見る解答を隠す

解答
階差をとると 1, 3, 5, 7, … → 階差数列 bₖ = 2k−1
n ≧ 2 のとき
aₙ = a₁+Σₖ₌₁ⁿ⁻¹ (2k−1) = 1+{2×(n−1)n/2−(n−1)} = 1+(n−1)²
= n²−2n+2
n = 1 のとき n²−2n+2 = 1 = a₁ となり成立。
よって aₙ = n²−2n+2(すべての n)

ポイント 「差に規則が見える → 階差」。公式の上端は n−1(aₙ までに足す差は n−1 個)— Σ の公式の n をすべて n−1 に置き換える。最後の n = 1 の確認は儀式ではなく論理の要求(公式は n ≧ 2 でしか導けていない)。

A6-2(類題)
数列 2, 3, 6, 11, 18, … の一般項 aₙ を求めよ。

A6-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
階差をとると 1, 3, 5, 7, … → 階差数列 bₖ = 2k−1。
n ≧ 2 のとき aₙ = a₁+Σₖ₌₁ⁿ⁻¹ (2k−1) = 2+(n−1)² = n²−2n+3
n = 1 のとき n²−2n+3 = 2 = a₁ となり成立。よって aₙ = n²−2n+3。

ポイント A6-1(初項が 1)と階差は同じ 2k−1 だが、初項が 2 なので答えの定数項がずれる。「階差 → Σ(上端 n−1)→ n = 1 の確認」の手順は不変 — 初項の違いが結果にどう効くかを A6-1 と見比べる。


A7【和 Sₙ と一般項】★★

A7-1
初項から第 n 項までの和が Sₙ = n²+2n である数列 {aₙ} の一般項を求めよ。

A7-1解答を見る解答を隠す

解答
a₁ = S₁ = 1+2 = 3
n ≧ 2 のとき
aₙ = Sₙ−Sₙ₋₁ = (n²+2n)−{(n−1)²+2(n−1)} = 2n+1
n = 1 のとき 2n+1 = 3 = a₁ となり成立。
よって aₙ = 2n+1

ポイント 「Sₙ から aₙ」は aₙ = Sₙ−Sₙ₋₁(n ≧ 2)と a₁ = S₁ の2本立て — Sₙ₋₁ は n ≧ 2 でないと意味をもたないから。本問は n = 1 も統合できたが、Sₙ に定数項があると統合できない(a₁ だけ別)のが定番の出題ポイント。

A7-2(類題)
初項から第 n 項までの和が Sₙ = n²+3n+1 である数列 {aₙ} の一般項を求めよ。

A7-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
a₁ = S₁ = 1+3+1 = 5。
n ≧ 2 のとき aₙ = Sₙ−Sₙ₋₁ = (n²+3n+1)−{(n−1)²+3(n−1)+1} = 2n+2。
n = 1 のとき 2n+2 = 4 ≠ 5 = a₁ なので、統合できない。
よって a₁ = 5、n ≧ 2 のとき aₙ = 2n+2

ポイント A7-1 と違い Sₙ に定数項 +1 があるため a₁ だけ別扱いになる典型例。Sₙ = Sₙ₋₁+aₙ の関係は n ≧ 2 でしか使えないので、a₁ は必ず S₁ から直接求める。「n = 1 で一致しない → 場合分けして答える」まで書き切る。


A8【漸化式の基本】★★

A8-1
次の漸化式で定まる数列 {aₙ} の一般項を求めよ。
① a₁ = 2、aₙ₊₁ = aₙ+3
② a₁ = 5、aₙ₊₁ = 3aₙ

A8-1解答を見る解答を隠す

解答
① 公差 3 の等差数列:aₙ = 2+(n−1)×3 = 3n−1
② 公比 3 の等比数列:aₙ = 5×3ⁿ⁻¹

ポイント 漸化式は「隣どうしの関係式」— まず「+定数なら等差、×定数なら等比」の2大基本形を瞬時に見分ける。すべての漸化式攻略は、この2形(と階差型)への帰着が目標になる(B4 へ)。

A8-2(類題)
次の漸化式で定まる数列 {aₙ} の一般項を求めよ。
a₁ = 1、aₙ₊₁ = aₙ+2n

A8-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
aₙ₊₁−aₙ = 2n だから、階差数列が bₙ = 2n の階差型。
n ≧ 2 のとき aₙ = a₁+Σₖ₌₁ⁿ⁻¹ 2k = 1+2×(n−1)n/2 = 1+n(n−1) = n²−n+1
n = 1 のとき n²−n+1 = 1 = a₁ となり成立。よって aₙ = n²−n+1。

ポイント aₙ₊₁ = aₙ+(n の式)は階差型(A6 と同じ処理)。「+定数」なら等差だが「+2n」のように n を含むと階差数列になる — A8-1 の2大基本形に対し、こちらは階差への帰着。漸化式は「どの型か」の見極めがすべて。


B問題(応用力養成)

※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B3(等差×等比)とB4(特性方程式)が数列の2大山場


B1【等差数列の和の最大】★★★

B1-1 初項 50、公差 −4 の等差数列 {aₙ} について、初項から第 n 項までの和 Sₙ が最大となる n の値と、そのときの Sₙ を求めよ。

B1-2 初項 −30、公差 4 の等差数列 {aₙ} について、初項から第 n 項までの和 Sₙ が最小となる n の値と、そのときの Sₙ を求めよ。

B2【部分分数分解による和】★★★

B2-1 和 Σₖ₌₁ⁿ 1/{k(k+1)} を求めよ。

B2-2 和 Σₖ₌₁ⁿ 1/{(2k−1)(2k+1)} を求めよ。

B3【(等差)×(等比)の和】★★★

B3-1 和 S = 1×1+2×2+3×2²+…+n×2ⁿ⁻¹ を求めよ。

B3-2 和 S = 1+3x+5x²+7x³+…+(2n−1)xⁿ⁻¹ を求めよ(x ≠ 1)。

B4【漸化式 aₙ₊₁ = paₙ+q】★★★

B4-1 a₁ = 1、aₙ₊₁ = 2aₙ+1 で定まる数列 {aₙ} の一般項を求めよ。

B4-2 a₁ = 2、aₙ₊₁ = 3aₙ−4 で定まる数列 {aₙ} の一般項を求めよ。

B5【数学的帰納法】★★★

B5-1 すべての自然数 n について、次の等式が成り立つことを数学的帰納法で証明せよ。
1+3+5+…+(2n−1) = n²

B5-2 すべての自然数 n について、次の等式が成り立つことを数学的帰納法で証明せよ。
1²+2²+3²+…+n² = n(n+1)(2n+1)/6


B問題 解答・解説


B1-1 和の最大

考え方 公差が負なので、項はいつか負になる。和が最大になるのは「正の項を足し切った瞬間」 — aₙ > 0 となる最後の n を探す。

B1-1解答を見る解答を隠す

解答
aₙ = 50+(n−1)×(−4) = 54−4n
aₙ > 0 ⇔ 54−4n > 0 ⇔ n < 13.5
よって a₁₃ = 2 > 0、a₁₄ = −2 < 0 — 第13項までが正。
Sₙ が最大となるのは n = 13 のときで
S₁₃ = 13×(50+2)/2 = 13×26 = 338

ポイント 「Sₙ を n の2次式にして頂点」でも解けるが(Sₙ = −2n²+52n、軸 n = 13)、項の符号で判断する方が速く、意味も明快(「負の項を足したら減るだけ」)。n は自然数なので頂点が整数かの確認も本来必要 — 符号方式ならその心配がない。

B1-2(類題) 和の最小

考え方 公差が正なので項はいつか正に転じる。和が最小になるのは「負の項を足し切った瞬間」 — B1-1 の符号判定を逆向きに使う。

B1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
aₙ = −30+(n−1)×4 = 4n−34。
aₙ < 0 ⇔ 4n−34 < 0 ⇔ n < 8.5 だから、第8項までが負(a₈ = −2 < 0、a₉ = 2 > 0)。
Sₙ が最小となるのは n = 8 のときで
S₈ = 8×(−30+(−2))/2 = 8×(−16) = −128

ポイント 「公差が正 → 負の項を足す間は和が減り続ける → 正に転じる直前が最小」。B1-1(公差負・最大)と完全に対称。境目 aₙ = 0 の前後を1項ずつ確認する丁寧さが要。


B2-1 部分分数(望遠鏡和)

考え方 分母が「隣り合う2数の積」→ 差の形に分解すると、途中の項がドミノ式に打ち消し合う。

B2-1解答を見る解答を隠す

解答
1/{k(k+1)} = 1/k−1/(k+1) と分解できる(通分して確認)。
Σₖ₌₁ⁿ 1/{k(k+1)} = (1/1−1/2)+(1/2−1/3)+…+(1/n−1/(n+1))
途中がすべて打ち消し合い、最初と最後だけが残って
= 1−1/(n+1) = n/(n+1)

ポイント 分解の作り方は第1章 A5-2(部分分数分解)そのもの — 恒等式の技術が数列で回収される。「残るのは両端だけ」を必ず数項書き出して視覚的に確認(k = 1、2 と k = n を書けば十分)。検算:n = 1 で 1/2 ○。

B2-2(類題) 差が2の部分分数

考え方 分母が「差が 2 の2数の積」→ 分解すると係数 1/2 が出る(差が 2 だから)。

B2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
1/{(2k−1)(2k+1)} = (1/2){1/(2k−1)−1/(2k+1)} と分解できる。
Σₖ₌₁ⁿ = (1/2){(1/1−1/3)+(1/3−1/5)+…+(1/(2n−1)−1/(2n+1))}
= (1/2){1−1/(2n+1)} = (1/2)×2n/(2n+1) = n/(2n+1)

ポイント B2-1(隣接2数)との違いは、差が 2 なので分解に 係数 1/2 が付くこと(通分すると分子が (2k+1)−(2k−1) = 2 になるため)。望遠鏡和で途中が消える構造は同じ。検算 n = 1 で 1/3 ○。


B3-1 (等差)×(等比)

考え方 係数が等差(1, 2, 3, …)、残りが等比(1, 2, 2², …)の積の和は、S−(公比)×S を作ると等比数列の和に化ける — 唯一無二の専用手順。

B3-1解答を見る解答を隠す

解答
S = 1×1+2×2+3×2²+…+n×2ⁿ⁻¹
両辺に公比 2 を掛けて
2S = 1×2+2×2²+…+(n−1)×2ⁿ⁻¹+n×2ⁿ
辺々引くと(桁をそろえて縦に引く)
S−2S = (1+2+2²+…+2ⁿ⁻¹)−n×2ⁿ
−S = (2ⁿ−1)−n×2ⁿ
S = n×2ⁿ−2ⁿ+1 = (n−1)×2ⁿ+1

ポイント 引き算のとき指数の等しい項どうしが縦に並ぶようにずらして書くのが事故防止の要 — 残るのは「等比数列の和」と「最後の項」だけ。検算:n = 2 で S = 1+4 = 5、(2−1)×4+1 = 5 ○。

B3-2(類題) 文字を公比とする(等差)×(等比)

考え方 係数が等差(1, 3, 5, …)×等比(1, x, x², …)→ S−xS で等比の和に帰着(B3-1 の一般化)。

B3-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
S = 1+3x+5x²+…+(2n−1)xⁿ⁻¹
xS = x+3x²+…+(2n−3)xⁿ⁻¹+(2n−1)xⁿ
辺々引くと
S−xS = 1+2x+2x²+…+2xⁿ⁻¹−(2n−1)xⁿ
(1−x)S = 1+2(x+x²+…+xⁿ⁻¹)−(2n−1)xⁿ
x+x²+…+xⁿ⁻¹ = x(1−xⁿ⁻¹)/(1−x) を代入し、両辺に 1−x を掛けて整理すると
(1−x)²S = (1−x)+2x(1−xⁿ⁻¹)−(2n−1)xⁿ(1−x)
= 1+x−(2n+1)xⁿ+(2n−1)xⁿ⁺¹
よって S = {1+x−(2n+1)xⁿ+(2n−1)xⁿ⁺¹}/(1−x)²
(検算:n = 1 では分子 = 1−2x+x² = (1−x)² となり S = 1 ○。x = 2、n = 2 では S = 1+3×2 = 7、式でも (3−20+24)/1 = 7 ○)

ポイント B3-1 は公比が具体値 2 だったが、本問は文字 x。手順(S−xS をずらして引く)は不変で、途中の等比数列の和を公式で処理し、分母が (1−x)² になる形まで整理するのが標準(等比の和の分母 1−x がもう一度掛かるため2乗が現れる)。なお x = 1 のときは S = 1+3+…+(2n−1) = n²(B5-1 の等式)— 場合分けの先がつながっている。


B4-1 特性方程式型

考え方 aₙ₊₁ = paₙ+q(p ≠ 1)は、α = pα+q を満たす α を引くと等比型に変形できる:aₙ₊₁−α = p(aₙ−α)。

B4-1解答を見る解答を隠す

解答
特性方程式 α = 2α+1 を解いて α = −1。
漸化式から辺々引くと
aₙ₊₁−(−1) = 2{aₙ−(−1)} すなわち aₙ₊₁+1 = 2(aₙ+1)
よって数列 {aₙ+1} は初項 a₁+1 = 2、公比 2 の等比数列:
aₙ+1 = 2×2ⁿ⁻¹ = 2ⁿ
aₙ = 2ⁿ−1

ポイント 変形の検算:aₙ₊₁+1 = 2aₙ+2 = 2(aₙ+1) ○(展開して元の漸化式に戻るか)。答えの検算:a₁ = 1、a₂ = 3、a₃ = 7 を漸化式(2×1+1 = 3、2×3+1 = 7)と一般項の両方で ○。「おき換えた数列 {aₙ+1} の初項は a₁+1」 — 初項の変換忘れが最頻出ミス。

B4-2(類題) 特性方程式の解が初項と一致する場合

考え方 aₙ₊₁ = paₙ+q 型 → 特性方程式 α = 3α−4 を解いて α を引く(B4-1 と同型)。

B4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
特性方程式 α = 3α−4 を解いて α = 2。
漸化式から辺々引くと aₙ₊₁−2 = 3(aₙ−2)。
よって {aₙ−2} は初項 a₁−2 = 0、公比 3 の等比数列。
初項が 0 なので、すべての n で aₙ−2 = 0、すなわち aₙ = 2(定数列)

ポイント 特性方程式の解 α = 2 がちょうど初項 a₁ = 2 と一致するため、{aₙ−2} がすべて 0 の等比数列になり、数列は定数列。「a₁ = α のときは定数列になる」という特別ケース — 検算:3×2−4 = 2 ○(確かに 2 のまま)。B4-1 と同じ手順で、初項の値次第でこうなることを確認。


B5-1 数学的帰納法

考え方 帰納法は2段構え:「(i) 最初の1枚(n = 1)を倒す (ii) k 枚目が倒れれば k+1 枚目も倒れる仕組みを示す」— ドミノの比喩ごと書式を覚える。

B5-1解答を見る解答を隠す

解答
《証明》
(i) n = 1 のとき:左辺 = 1、右辺 = 1² = 1 で成り立つ。
(ii) n = k のとき成り立つ、すなわち
1+3+5+…+(2k−1) = k² …(※)
と仮定する。n = k+1 のとき、左辺は
1+3+5+…+(2k−1)+(2k+1) = k²+(2k+1)((※)を用いた)
= (k+1)²
となり、右辺と一致する。よって n = k+1 のときも成り立つ。
(i)、(ii)より、すべての自然数 n について等式は成り立つ。∎

ポイント (ii) の核心は「仮定(※)をどこで使ったかを明示する」こと — 使っていなければ帰納法になっていない。ゴール (k+1)² を先に見据えて、k²+2k+1 への変形を逆算する。締めの「(i)、(ii)より…」の一文まで含めて定型フォーマット。

B5-2(類題) 平方の和の公式の証明

考え方 帰納法の2段(n = 1 の確認・n = k の仮定で n = k+1 を示す)。ゴールの式に n = k+1 を代入した形を先に用意し、そこへ変形する。

B5-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
《証明》
(i) n = 1 のとき:左辺 = 1、右辺 = 1×2×3/6 = 1 で成り立つ。
(ii) n = k のとき成り立つ、すなわち 1²+…+k² = k(k+1)(2k+1)/6 …(※) と仮定する。
n = k+1 のとき、左辺は
1²+…+k²+(k+1)² = k(k+1)(2k+1)/6+(k+1)² ((※)を用いた)
= (k+1){k(2k+1)+6(k+1)}/6 = (k+1)(2k²+7k+6)/6
= (k+1)(k+2)(2k+3)/6
これは右辺の n に k+1 を代入した (k+1)(k+2)(2k+3)/6 と一致する。
よって n = k+1 のときも成り立つ。
(i)、(ii)より、すべての自然数 n について等式は成り立つ。∎

ポイント B5-1 より変形が重いが骨格は同じ。核心は (k+1) でくくってから 2k²+7k+6 = (k+2)(2k+3) と因数分解し、目標の形(n → k+1)に一致させること。ゴールを先に書き出しておくと変形の着地点が明確になる。


実戦問題(共通テスト形式)

実戦7-1【等差数列から等比数列へ】★★★

等差数列 {aₙ} は a₃ = 8、a₇ = 20 を満たす。
① 一般項は aₙ = [ア]n−[イ] である。
② 初項から第 n 項までの和は Sₙ = n([ウ]n+[エ])/2 である。
③ bₙ = 2^(aₙ) とおくと、数列 {bₙ} は初項 [オ]、公比 [カ] の等比数列である。
④ Σₖ₌₁ⁿ bₖ = /[キ] である。

実戦7-2【漸化式の標準誘導】★★★

数列 {aₙ} は a₁ = 3、aₙ₊₁ = 2aₙ−2 で定められる。
① a₂ = [ア]、a₃ = [イ] である。
② bₙ = aₙ−[ウ] とおくと、bₙ₊₁ = [エ]bₙ が成り立ち、b₁ = [オ] である。
③ よって bₙ = 2^(n−[カ]) であり、aₙ = 2ⁿ⁻¹+[キ] である。
④ Sₙ = Σₖ₌₁ⁿ aₖ = 2ⁿ+2n−[ク] である。


実戦問題 解答・解説


実戦7-1

考え方 等差の決定(A1)→ 和(A2)→ 指数に乗せると等比に変わる(③)、という数列2大基本形の連結。bₙ₊₁/bₙ を計算すれば「指数法則が公比を生む」仕組みが見える。

実戦7-1解答を見る解答を隠す

解答
① a₁+2d = 8、a₁+6d = 20 → d = 3、a₁ = 2
aₙ = 3n−1(ア = 3、イ = 1)
② Sₙ = n{2×2+(n−1)×3}/2 = n(3n+1)/2(ウ = 3、エ = 1)
③ bₙ = 2^(3n−1)。b₁ = 2² = 4
bₙ₊₁/bₙ = 2^(3n+2)/2^(3n−1) = 2³ = 8 — 初項 4、公比 8 の等比数列(オ = 4、カ = 8)
④ 等比数列の和の公式より
Σₖ₌₁ⁿ bₖ = 4(8ⁿ−1)/(8−1) = 4(8ⁿ−1)/7(キ = 7)

ポイント
• ③の一般法則:「{aₙ} が等差(公差 d)⇔ {r^(aₙ)} は等比(公比 r^d)」— 指数が足し算を掛け算に変える(第5章の対数と表裏の関係)。
• 検算:b₂ = 2⁵ = 32 = 4×8 ○。④は n = 1 で 4 = 4(8−1)/7 ○。


実戦7-2

考え方 aₙ₊₁ = paₙ+q 型の共通テスト式誘導:②の「bₙ = aₙ−[ウ]」の [ウ] が特性方程式の解 α そのもの。誘導がある分、B4-1 より易しい — 「誘導 = 特性方程式の代行」と見抜く。

実戦7-2解答を見る解答を隠す

解答
① a₂ = 2×3−2 = 4、a₃ = 2×4−2 = 6(ア = 4、イ = 6)
② 特性方程式 α = 2α−2 より α = 2。
bₙ = aₙ−2 とおくと
bₙ₊₁ = aₙ₊₁−2 = (2aₙ−2)−2 = 2(aₙ−2) = 2bₙ
b₁ = a₁−2 = 1(ウ = 2、エ = 2、オ = 1)
③ {bₙ} は初項 1、公比 2 の等比数列だから bₙ = 2^(n−1)
よって aₙ = 2ⁿ⁻¹+2(カ = 1、キ = 2)
④ Sₙ = Σₖ₌₁ⁿ (2^(k−1)+2) = (2ⁿ−1)+2n = 2ⁿ+2n−1(ク = 1)

ポイント
• ①の具体値は最終検算の物差し:③の一般項で a₂ = 2+2 = 4 ○、a₃ = 4+2 = 6 ○、④で n = 2 のとき S₂ = 4+4−1 = 7 = 3+4 ○ — マーク式は各段で数値検算を回すのが最強の防御。
• ④は「等比部分の和 2ⁿ−1」+「定数部分の和 2n」に分けて足す — Σ の線形性(A5)の実戦適用。


第8章 統計的な推測

第1巻「データの分析」(記述統計)の続編で、確率を使って母集団を推し量る章。流れは「確率分布 → 正規分布 → 標本 → 推定・検定」の一本道で、計算の芯は3つだけ — ①標準化 Z = (X−m)/σ ②標本平均の σ は √n で縮む ③95% の相棒は 1.96。正規分布表の値は問題文で与えられる。共通テストでは数列と並ぶ数Bの選択分野。


この章の公式・要点まとめ

確率変数と確率分布
• 確率の合計は 1(分布表の検算)
• 期待値(平均)E(X) = Σ(値×確率)、分散 V(X) = E(X²)−{E(X)}²、標準偏差 σ(X) = √V(X)

確率変数の変換(Y = aX+b)
• E(Y) = aE(X)+b/V(Y) = a²V(X)/σ(Y) = |a|σ(X)(第1巻第5章の変量の変換と同じ形)

和と積(X、Y が確率変数)
• E(X+Y) = E(X)+E(Y)(常に成り立つ)
• X、Y が独立なら:V(X+Y) = V(X)+V(Y)、E(XY) = E(X)E(Y)

二項分布 B(n, p)(n 回の反復試行で起こる回数、q = 1−p)
• E(X) = np、V(X) = npq、σ(X) = √(npq)

正規分布 N(m, σ²)
標準化 Z = (X−m)/σ で標準正規分布 N(0, 1) に直し、正規分布表で確率を読む
• n が大きいとき、二項分布 B(n, p) は N(np, npq) で近似できる

標本平均 X̄(母平均 m、母標準偏差 σ の母集団から大きさ n の標本)
• E(X̄) = m、σ(X̄) = σ/√n(n が大きいほど X̄ は m の近くに集中)
• n が大きいとき X̄ は N(m, σ²/n) に従うとみなせる

推定(95% 信頼区間)
• 母平均:x̄−1.96×σ/√n ≦ m ≦ x̄+1.96×σ/√n
• 母比率:p̂−1.96×√(p̂(1−p̂)/n) ≦ p ≦ p̂+1.96×√(p̂(1−p̂)/n)(p̂ = 標本比率)

仮説検定(有意水準 5%)
• 手順:①帰無仮説(主張と反対の仮定)と対立仮説を立てる ②帰無仮説のもとで標準化 ③棄却域と比較(両側:|Z| > 1.96/片側:Z > 1.64)④棄却する/棄却できない
• 「棄却できない」は「帰無仮説が正しいと証明された」ではない(第1巻第5章と同じ非対称性)


A問題(基礎完成)— 解答は各問のすぐ下


A1【確率分布と期待値・分散】

A1-1
2枚の硬貨を同時に投げ、表の出る枚数を X とする。X の確率分布表を作り、期待値 E(X)、分散 V(X)、標準偏差 σ(X) を求めよ。

A1-1解答を見る解答を隠す

解答
分布表:

X 0 1 2
P 1/4 1/2 1/4

(確率の合計 = 1 ○)
E(X) = 0×1/4+1×1/2+2×1/4 = 1
E(X²) = 0+1×1/2+4×1/4 = 3/2
V(X) = E(X²)−{E(X)}² = 3/2−1 = 1/2
σ(X) = √(1/2) = √2/2

ポイント 「分布表 → 合計1の検算 → E → V = E(X²)−(E(X))²」の一本道。分散の公式は第1巻第5章と同一 — 「データの平均」が「確率の重みつき平均」に変わっただけ。

A1-2(類題)
1個のさいころを1回投げ、出た目を X とする。X の期待値 E(X)、分散 V(X)、標準偏差 σ(X) を求めよ。

A1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
各目 1〜6 が確率 1/6 で出る。
E(X) = (1+2+3+4+5+6)/6 = 21/6 = 7/2
E(X²) = (1+4+9+16+25+36)/6 = 91/6
V(X) = E(X²)−{E(X)}² = 91/6−49/4 = 182/12−147/12 = 35/12
σ(X) = √(35/12) = √105/6

ポイント さいころの目の期待値 7/2、分散 35/12 は基本値(第1巻第6章の期待値とも接続)。手順は A1-1 と同じ「E → E(X²) → V = E(X²)−(E(X))²」。通分を丁寧に。


A2【確率変数の変換】

A2-1
確率変数 X について E(X) = 5、σ(X) = 2 とする。Y = 3X−4 のとき、E(Y)、σ(Y)、V(Y) を求めよ。

A2-1解答を見る解答を隠す

解答
E(Y) = 3×5−4 = 11
σ(Y) = |3|×2 = 6
V(Y) = 6² = 36

ポイント 平均は式にそのまま代入、散らばりは「×a」だけが効く(+b は無関係)、分散は a² 倍 — 第1巻第5章 B1 の3点セットが確率変数でもそのまま成立。

A2-2(類題)
確率変数 X について E(X) = 10、V(X) = 9 とする。Y = −2X+5 のとき、E(Y)、V(Y)、σ(Y) を求めよ。

A2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
E(Y) = −2×10+5 = −15
V(Y) = (−2)²×9 = 4×9 = 36
σ(Y) = |−2|×√9 = 2×3 = 6

ポイント A2-1 と同型。分散は a² 倍(負の a でも正)、標準偏差は |a| 倍。+5 は平均だけに効き、散らばりには無関係 — 符号 a = −2 が分散では消える点を確認。


A3【独立な確率変数の和】★★

A3-1
独立な確率変数 X、Y について、E(X) = 2、E(Y) = 3、V(X) = 1、V(Y) = 4 とする。次の値を求めよ。
① E(X+Y)
② V(X+Y)
③ E(XY)

A3-1解答を見る解答を隠す

解答
① E(X+Y) = 2+3 = 5
② 独立なので V(X+Y) = 1+4 = 5
③ 独立なので E(XY) = 2×3 = 6

ポイント 期待値の和は無条件、分散の和と期待値の積は「独立」が条件 — この差が最重要。答案では「X と Y は独立だから」の一言を添えてから②③の公式を使う。

A3-2(類題)
独立な確率変数 X、Y について E(X) = 4、E(Y) = 1、V(X) = 2、V(Y) = 3 とする。Z = X−Y について、E(Z) と V(Z) を求めよ。

A3-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
E(Z) = E(X)−E(Y) = 4−1 = 3
Z = X+(−Y) と見る。V(−Y) = (−1)²V(Y) = 3。X と Y は独立だから
V(Z) = V(X)+V(−Y) = 2+3 = 5

ポイント 差でも分散は「足す」(引くのではない)— V(X−Y) = V(X)+V(Y)。理由は −Y の分散が (−1)² 倍で V(Y) のままだから。A3-1 の「独立なら分散は和」を差の場合に適用する頻出型。


A4【二項分布】★★

A4-1
1個のさいころを 180 回投げるとき、1 の目が出る回数を X とする。X の期待値、分散、標準偏差を求めよ。

A4-1解答を見る解答を隠す

解答
X は二項分布 B(180, 1/6) に従う。
E(X) = 180×1/6 = 30
V(X) = 180×(1/6)×(5/6) = 25
σ(X) = √25 = 5

ポイント 「同じ試行を n 回、確率 p で起こる回数」と読めたら B(n, p) — 公式 np、npq に当てはめるだけで、第1巻の反復試行の計算(₁₈₀C₃₀…)を一切せずに平均と散らばりが分かる。これが分布で考えるご利益。

A4-2(類題)
発芽率が 0.8 である種を 100 個まくとき、発芽する種の個数を X とする。X の期待値、分散、標準偏差を求めよ。

A4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
X は二項分布 B(100, 0.8) に従う(q = 0.2)。
E(X) = 100×0.8 = 80
V(X) = 100×0.8×0.2 = 16
σ(X) = √16 = 4

ポイント A4-1 と同型で np、npq に代入するだけ。V = npq の q = 1−p = 0.2 を忘れない。0.8×0.2 = 0.16、×100 = 16 と、標準偏差が整数になるよう作られている(B(n, p) の定番設定)。


A5【正規分布と標準化】★★

A5-1
確率変数 X が正規分布 N(50, 10²) に従うとき、次の確率を求めよ。ただし P(0 ≦ Z ≦ 2) = 0.4772 とする。
① P(50 ≦ X ≦ 70)
② P(X ≧ 70)

A5-1解答を見る解答を隠す

解答
Z = (X−50)/10 と標準化する。
① X = 50 のとき Z = 0、X = 70 のとき Z = 2
P(50 ≦ X ≦ 70) = P(0 ≦ Z ≦ 2) = 0.4772
② P(X ≧ 70) = P(Z ≧ 2) = 0.5−0.4772 = 0.0228

ポイント 正規分布の確率はすべて「標準化 → 表を読む」の2手。表は「0 から z まで」の面積なので、右すそ(≧)は 0.5 から引く、左右対称の性質で負の側も処理 — 図(釣り鐘の面積)を毎回描いて確認。

A5-2(類題)
確率変数 X が正規分布 N(60, 8²) に従うとき、P(52 ≦ X ≦ 76) を求めよ。ただし P(0 ≦ Z ≦ 1) = 0.3413、P(0 ≦ Z ≦ 2) = 0.4772 とする。

A5-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
Z = (X−60)/8 と標準化する。
X = 52 のとき Z = −1、X = 76 のとき Z = 2。
P(52 ≦ X ≦ 76) = P(−1 ≦ Z ≦ 2) = P(0 ≦ Z ≦ 1)+P(0 ≦ Z ≦ 2)
= 0.3413+0.4772 = 0.8185

ポイント 平均をまたぐ区間(Z = −1 から 2)は、左右に分けて足す:P(−1≦Z≦0) = P(0≦Z≦1)(対称性)と P(0≦Z≦2) の和。A5-1 の「右すそは 0.5 から引く」と合わせ、標準化後は必ず面積の図で場合を判断する。


A6【標本平均の分布】★★

A6-1
母平均 50、母標準偏差 20 の母集団から、大きさ 100 の無作為標本を抽出する。標本平均 X̄ の期待値と標準偏差を求めよ。

A6-1解答を見る解答を隠す

解答
E(X̄) = 50(母平均と同じ)
σ(X̄) = 20/√100 = 2

ポイント 標本平均の要点は「中心は母平均のまま、散らばりは √n 分の 1 に縮む」— 100 個の平均をとれば偶然のブレは 1/10 になる。この縮小こそが推定・検定の土台。

A6-2(類題)
母平均 30、母標準偏差 12 の母集団から、大きさ 36 の無作為標本を抽出する。標本平均 X̄ の期待値と標準偏差を求めよ。

A6-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
E(X̄) = 30(母平均と同じ)
σ(X̄) = 12/√36 = 12/6 = 2

ポイント A6-1 と同型。σ(X̄) = σ/√n で、√36 = 6 により標準偏差が 1/6 に縮む。標本サイズ n を大きくとるほど平均のブレが小さくなる — この一点が推定・検定のすべての根拠。


A7【母平均の推定(信頼区間)】★★

A7-1
母標準偏差が 10 である母集団から大きさ 100 の標本を抽出したところ、標本平均は 165 であった。母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間を求めよ。ただし P(0 ≦ Z ≦ 1.96) = 0.475 とする。

A7-1解答を見る解答を隠す

解答
σ(X̄) = 10/√100 = 1
信頼度 95% の信頼区間は
165−1.96×1 ≦ m ≦ 165+1.96×1
163.04 ≦ m ≦ 166.96

ポイント 公式は「x̄ ± 1.96×σ/√n」の1本。1.96 は「標準正規分布で中央 95% を切り取る幅」(0.475×2 = 0.95)から来る数 — 由来ごと覚えると信頼度 99%(2.58)への変更にも対応できる。

A7-2(類題)
母標準偏差が 15 である母集団から大きさ 225 の標本を抽出したところ、標本平均は 48 であった。母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間を求めよ。ただし 1.96 を用いてよい。

A7-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
σ(X̄) = 15/√225 = 15/15 = 1
信頼区間は 48−1.96×1 ≦ m ≦ 48+1.96×1、すなわち
46.04 ≦ m ≦ 49.96

ポイント A7-1 と同型で「x̄ ± 1.96×σ/√n」。√225 = 15 で σ/√n = 1 となる設定。区間の幅は 2×1.96 = 3.92。n を4倍にすると √n が2倍になり、区間幅が半分になる — 精度と標本数の関係も意識。



B問題(応用力養成)

※解答・解説・ポイントは本章末尾にまとめて掲載。B4・B5(仮説検定)が新課程共通テストの目玉


B1【二項分布の正規近似】★★★

B1-1 1個のさいころを 720 回投げるとき、1 の目が出る回数が 100 回以下となる確率を、正規分布による近似を用いて求めよ。ただし P(0 ≦ Z ≦ 2) = 0.4772 とする。

B1-2 発芽率 0.8 の種を 400 個まくとき、発芽する個数が 336 個以上となる確率を、正規分布による近似を用いて求めよ。ただし P(0 ≦ Z ≦ 2) = 0.4772 とする。

B2【標本平均と確率】★★★

B2-1 母平均 60、母標準偏差 20 の母集団から大きさ 100 の無作為標本を抽出するとき、標本平均 X̄ が 63 以上となる確率を求めよ。ただし P(0 ≦ Z ≦ 1.5) = 0.4332 とする。

B2-2 母平均 500、母標準偏差 60 の母集団から大きさ 144 の無作為標本を抽出するとき、標本平均 X̄ が 490 以下となる確率を求めよ。ただし P(0 ≦ Z ≦ 2) = 0.4772 とする。

B3【母比率の推定(信頼区間)】★★★

B3-1 ある政策について 100 人を無作為に調査したところ、80 人が賛成した。賛成の母比率 p に対する信頼度 95% の信頼区間を求めよ(小数第2位まで)。

B3-2 ある製品 400 個を検査したところ、24 個が不良品であった。不良率の母比率 p に対する信頼度 95% の信頼区間を求めよ(小数第3位まで)。ただし 1.96 を用いてよい。

B4【母平均の仮説検定(両側)】★★★

B4-1 内容量が 200 g と表示された製品がある。無作為に 100 個を選んで調べたところ、平均は 198 g であった。母標準偏差を 8 g とするとき、「内容量は表示と異なる」といえるか。有意水準 5% で検定せよ(両側検定の棄却域は |Z| > 1.96 とする)。

B4-2 ある電球の寿命は平均 1000 時間とされている。無作為に 64 個を選んで調べたところ、平均は 1015 時間であった。母標準偏差を 40 時間とするとき、「寿命は表示と異なる」といえるか。有意水準 5% で検定せよ(両側検定の棄却域は |Z| > 1.96)。

B5【母比率の仮説検定(片側)】★★★

B5-1 あるさいころを 720 回投げたところ、1 の目が 150 回出た。「このさいころは 1 の目が出やすい」といえるか。有意水準 5% で検定せよ(片側検定の棄却域は Z > 1.64 とする)。

B5-2 ある治療法の従来の成功率は 60% である。新しい治療法を 100 人に試したところ 72 人が成功した。「新しい治療法は成功率が高い」といえるか。有意水準 5% で検定せよ(片側検定の棄却域は Z > 1.64)。


B問題 解答・解説


B1-1 正規近似(さいころ)

考え方 n が大きい二項分布は、同じ平均・同じ分散の正規分布で置き換えてよい(ド・モアブル=ラプラスの定理)。B(n, p) → N(np, npq) → 標準化、の3段。

B1-1解答を見る解答を隠す

解答
X を 1 の目の回数とすると X は B(720, 1/6) に従う。
E(X) = 720×1/6 = 120、V(X) = 720×(1/6)×(5/6) = 100、σ(X) = 10
よって X は近似的に正規分布 N(120, 10²) に従う。
Z = (X−120)/10 と標準化すると、X = 100 のとき Z = −2
P(X ≦ 100) = P(Z ≦ −2) = 0.5−P(0 ≦ Z ≦ 2) = 0.5−0.4772 = 0.0228

ポイント 「回数の確率で n が数百」= 正規近似の合図(二項分布の直接計算は不可能)。平均と σ を先に確定させれば、あとは A5 と同じ標準化の作業。答えの 2.28% は「平均から 2σ 下より外」の面積 — 位置の感覚も持つ。

B1-2(類題) 正規近似(発芽個数)

考え方 n = 400 と大きい二項分布 → N(np, npq) で近似 → 標準化(B1-1 と同型)。

B1-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
X を発芽個数とすると X は B(400, 0.8) に従う。
E(X) = 400×0.8 = 320、V(X) = 400×0.8×0.2 = 64、σ(X) = 8。
よって X は近似的に N(320, 8²) に従う。
Z = (X−320)/8 より、X = 336 のとき Z = 2。
P(X ≧ 336) = P(Z ≧ 2) = 0.5−0.4772 = 0.0228

ポイント B1-1 と同じ3段(平均・分散を出す → 正規近似 → 標準化)。σ = √64 = 8 が整数になる設定。336 は平均 320 より 2σ(= 16)上なので、右すその 2.28% — 位置と数値が一致する。


B2-1 標本平均の確率(上側)

考え方 X̄ は近似的に N(m, σ²/n) に従う — まず X̄ の分布(平均と標準偏差)を書き出してから標準化する。

B2-1解答を見る解答を隠す

解答
X̄ は近似的に正規分布 N(60, 2²) に従う(σ(X̄) = 20/√100 = 2)。
Z = (X̄−60)/2 と標準化すると、X̄ = 63 のとき Z = 1.5
P(X̄ ≧ 63) = P(Z ≧ 1.5) = 0.5−0.4332 = 0.0668

ポイント 標準化の分母は σ = 20 ではなく σ/√n = 2 — 「個々の値の話か、平均の話か」で分母が変わるのが本章最大の注意点。X̄ の分布を1行書いてから Z を作る習慣で事故を防ぐ。

B2-2(類題) 標本平均の確率(下側)

考え方 X̄ は近似的に N(m, σ²/n) に従う。分母は σ/√n(B2-1 の最重要注意)。

B2-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
σ(X̄) = 60/√144 = 60/12 = 5。よって X̄ は近似的に N(500, 5²) に従う。
Z = (X̄−500)/5 より、X̄ = 490 のとき Z = −2。
P(X̄ ≦ 490) = P(Z ≦ −2) = 0.5−0.4772 = 0.0228

ポイント B2-1 と同型。標準化の分母は母標準偏差 60 ではなく σ/√n = 5。√144 = 12 の設定で分母が整数に。左すそ(Z ≦ −2)は対称性で 0.5−0.4772。


B3-1 母比率の推定(賛成率)

考え方 標本比率 p̂ を中心に、幅 1.96×√(p̂(1−p̂)/n) — 母平均の信頼区間と同じ構造(σ/√n の役目を √(p̂(1−p̂)/n) が担う)。

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解答
標本比率 p̂ = 80/100 = 0.8
√(p̂(1−p̂)/n) = √(0.8×0.2/100) = √0.0016 = 0.04
信頼度 95% の信頼区間は
0.8−1.96×0.04 ≦ p ≦ 0.8+1.96×0.04
0.8−0.0784 ≦ p ≦ 0.8+0.0784
0.72 ≦ p ≦ 0.88

ポイント √ の中は「p̂(1−p̂)÷n」— 分散 p(1−p) を n で割る(標本平均の縮小と同じ理屈)。0.8×0.2 = 0.16 のようなきれいな積になる設定が多いので、√ を恐れず計算する。区間の意味は「この方法で区間を作ると、100回中95回は真の p を含む」。

B3-2(類題) 母比率の推定(不良率)

B3-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
標本比率 p̂ = 24/400 = 0.06。
√(p̂(1−p̂)/n) = √(0.06×0.94/400) = √(0.0564/400) = √0.000141 ≒ 0.0119。
信頼区間は 0.06±1.96×0.0119 = 0.06±0.0233、すなわち
0.037 ≦ p ≦ 0.083

ポイント B3-1 と同型で「p̂ ± 1.96×√(p̂(1−p̂)/n)」。√ の中は p̂(1−p̂)÷n。不良率のように p̂ が小さい場合も手順は不変。√ の値は試験では与えられることも多いので、与えられた数値を丁寧に代入する。


B4-1 母平均の両側検定(内容量)

考え方 検定の4手順:「①帰無仮説 m = 200(表示どおり)②その仮定で X̄ を標準化 ③棄却域 |Z| > 1.96 と比較 ④結論」。第1巻第5章の仮説検定が、相対度数の表から正規分布の計算に進化した形。

B4-1解答を見る解答を隠す

解答
帰無仮説:m = 200(対立仮説:m ≠ 200)
帰無仮説のもとで、X̄ は近似的に N(200, 0.8²) に従う(σ(X̄) = 8/√100 = 0.8)。
Z = (198−200)/0.8 = −2.5
|Z| = 2.5 > 1.96 なので、Z は棄却域に入る。 よって帰無仮説は棄却され、「内容量は表示と異なるといえる」。

ポイント 「異なるか」→ 多すぎも少なすぎも問題 → 両側検定(棄却域が両すそ)。標準化の分母はここでも σ/√n = 0.8(B2 の注意の再演)。結論は「異なるといえる」— 検定の言葉づかい(いえる/いえない)まで含めて型。

B4-2(類題) 母平均の両側検定(電球)

考え方 「異なるか」→ 両側検定。帰無仮説 m = 1000 のもとで X̄ を標準化(B4-1 と同型)。

B4-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
帰無仮説:m = 1000(対立仮説:m ≠ 1000)。
帰無仮説のもとで X̄ は近似的に N(1000, 5²) に従う(σ(X̄) = 40/√64 = 40/8 = 5)。
Z = (1015−1000)/5 = 3。
|Z| = 3 > 1.96 なので棄却域に入り、帰無仮説は棄却される。 よって「寿命は表示と異なるといえる」。

ポイント B4-1 と同型。標準化の分母は σ/√n = 5(√64 = 8)。「異なる」なので両側(|Z| と 1.96 を比較)。Z = 3 は棄却域の内側深くにあり、判断は明確。


B5-1 母比率の片側検定(さいころ)

考え方 帰無仮説は「公正(p = 1/6)」。回数 X は B(720, 1/6) → 正規近似 → 標準化 — B1 の計算がそのまま検定の部品になる。「出やすいか」だけを疑うので片側

B5-1解答を見る解答を隠す

解答
帰無仮説:p = 1/6(対立仮説:p > 1/6)
帰無仮説のもとで、X は近似的に N(120, 10²) に従う(B1 と同じ計算)。
Z = (150−120)/10 = 3
Z = 3 > 1.64 なので、Z は棄却域に入る。
よって帰無仮説は棄却され、「1 の目が出やすいといえる」。

ポイント 両側(≠ を疑う:|Z| > 1.96)か片側(> だけを疑う:Z > 1.64)かは、問題文の主張の向きで決まる — 「異なる」なら両側、「大きい/出やすい」なら片側。第1巻第5章 B4-1(コインの表)と同じ問いが、正規分布という新しい道具で厳密に解けるようになった — 2冊をつなぐ到達点。

B5-2(類題) 母比率の片側検定(治療法)

考え方 「高いか」だけを疑う → 片側検定。帰無仮説「p = 0.6(従来と同じ)」のもとで成功数 X を正規近似 → 標準化(B5-1 と同型)。

B5-2(類題)解答を見る解答を隠す

解答
帰無仮説:p = 0.6(対立仮説:p > 0.6)。
帰無仮説のもとで X は B(100, 0.6) に従い、
E(X) = 60、σ(X) = √(100×0.6×0.4) = √24 = 2√6。
X は近似的に N(60, (2√6)²) に従うから
Z = (72−60)/(2√6) = 6/√6 = √6 ≒ 2.45
Z ≒ 2.45 > 1.64 なので棄却域に入り、帰無仮説は棄却される。
よって「成功率が高いといえる」。

ポイント B5-1 と同型。「高い」の一方向なので片側(Z > 1.64)。σ = 2√6 が整数にならない設定では、Z = 6/√6 = √6 と厳密値のまま約分してから近似する — 丸め誤差が入らず、6 > 1.64² = 2.69 だから √6 > 1.64 は近似なしでも確定する。棄却域との比較で結論は明確。


実戦問題(共通テスト形式)

実戦8-1【正規分布・標本平均・推定の総合】★★★

ある工場で作られる製品の重さ X(g)は、正規分布 N(200, 5²) に従うとする。必要ならば P(0 ≦ Z ≦ 1.96) = 0.475、P(0 ≦ Z ≦ 2) = 0.4772 を用いてよい。
① 重さが 210 g 以上の製品の割合は 0.0[アイウ] である。
② この製品から無作為に 100 個を抽出するとき、標本平均 X̄ の標準偏差は [エ].[オ] g である。
③ X̄ が 201 g 以上となる確率は 0.0[アイウ] と等しい。
④ 別の日に 100 個を調べたところ標本平均は 199 g であった。母標準偏差を 5 g として、この日の母平均 m の信頼度 95% の信頼区間は
19[カ].0[キ] ≦ m ≦ 19[ク].9[ケ]
である。

実戦8-2【母比率の推定と仮説検定】★★★

必要ならば、両側検定の棄却域 |Z| > 1.96、片側検定の棄却域 Z > 1.64 を用いてよい。
(1) ある地域で 400 人を無作為に調査したところ、144 人がある提案に賛成した。
① 標本比率は p̂ = 0.[アイ] である。
② 賛成の母比率 p の信頼度 95% の信頼区間は、小数第2位までで
0.[ウエ] ≦ p ≦ 0.[オカ]
である。
(2) 1枚の硬貨を 400 回投げたところ、表が 224 回出た。「この硬貨は表が出やすい」といえるか。有意水準 5% で検定すると、Z = [キ].[ク] となり、この硬貨は表が出やすいと「(あ) いえる (い) いえない」のうち [ケ] である。


実戦問題 解答・解説


実戦8-1

考え方 「個々の値(①)→ 標本平均(②③)→ 推定(④)」と、この章の主要3場面を1つの工場で通す設計。③が①と同じ答えになる仕掛け(σ が 1/10 になったので、1/10 のずれが同じ Z = 2 になる)が本問の学びどころ。

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解答
① Z = (210−200)/5 = 2
P(X ≧ 210) = 0.5−0.4772 = 0.0228(アイウ = 228)
② σ(X̄) = 5/√100 = 0.5 g(エ = 0、オ = 5)
③ Z = (201−200)/0.5 = 2
P(X̄ ≧ 201) = 0.5−0.4772 = 0.0228 — ①と等しい ○
④ 信頼区間は 199±1.96×0.5 = 199±0.98
198.02 ≦ m ≦ 199.98(カ = 8、キ = 2、ク = 9、ケ = 8)

ポイント
• ①と③の対比が核心:個々の製品は ±10 g ずれても珍しくないが、100 個の平均が 1 g ずれるのは同じくらい珍しい(どちらも 2σ)— √n の縮小の意味を数値で体感する。
• ④の区間は 200 を含まない — もし帰無仮説 m = 200 を両側 5% で検定すれば棄却される(Z = −2、|Z| > 1.96)ことと表裏一体。「95% 信頼区間に入らない ⇔ 有意水準 5% の両側検定で棄却」という対応まで見えると一段上。


実戦8-2

考え方 (1) は B3、(2) は B5 の型。(2) は帰無仮説「p = 0.5(公正)」のもとで回数 X を二項分布 → 正規近似 → 標準化。「出やすい」の一方向だけを疑うので片側検定。

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解答
(1)
① p̂ = 144/400 = 0.36(アイ = 36)
② √(p̂(1−p̂)/n) = √(0.36×0.64/400) = 0.48/20 = 0.024
信頼区間は 0.36±1.96×0.024 = 0.36±0.04704
0.31296 ≦ p ≦ 0.40704 → 小数第2位までで 0.31 ≦ p ≦ 0.41(ウエ = 31、オカ = 41)
(2) 帰無仮説:p = 0.5(対立仮説:p > 0.5)
表の回数 X は B(400, 0.5) に従い、
E(X) = 200、σ(X) = √(400×0.5×0.5) = 10
X は近似的に N(200, 10²) に従うから
Z = (224−200)/10 = 2.4(キ = 2、ク = 4)
Z = 2.4 > 1.64 なので棄却域に入り、帰無仮説は棄却される。
よって表が出やすいと「(あ) いえる」(ケ = (あ))

ポイント
• (1)② の √(0.36×0.64) = 0.6×0.8 = 0.48 — √ の中を積のまま分解すると暗算で済む(0.36 = 0.6²、0.64 = 0.8²)。
• (2) の σ = √(npq) = 10 のような「n = 400、p = 0.5」の設定は計算が整うよう作られている — 数値が汚くなったら立式を疑う、という試験場のセンサーも持っておく。両側なら 1.96 と比べても 2.4 > 1.96 で結論は同じだが、問いの向き(出やすいか)に合わせて片側を選ぶのが正式。


おわりに

「数学II・B 例題マスター」全8章、お疲れさまでした。
第1〜6章(数学II)は類題を含めた完全版、第7〜8章(数学B)は本編のみの収録です。